丹羽・中国大使が、奇妙な言葉を使った。「愛国・親中の精神で頑張りたい」と就任の抱負を語ったという。
唐突に思い出したのは、日中国交回復交渉のとき、周恩来首相が外務省・法眼審議官に向かって言ったとされる、「あなたは法匪だ」という言葉。周恩来は、国際法(条約、国際慣例など)を掲げて中国側と粘り強く交渉する法眼審議官に対して、半ば賞賛の意味を込めてこの言葉を使ったと伝えられる。
時は移り、民間活力の導入事例(?)かどうか知らないが、民間人の丹羽氏が中国大使になった。その開口一番が「愛国・親中」というお言葉。国家を代表し、国益を守るべき人物が、軽々しく「親中」などと言っていいのだろうか、と疑問に思った。
法眼氏の例のように、立派な外交官とは、交渉相手から一目置かれる存在でなければならない。それなのに、丹羽氏は、就任早々、相手国に足元を見られるような発言をしてしまった。
丹羽氏の言動を見ていると、「中華帝国」に参上する朝貢貿易の使節を連想してしまう。中国は「1000年も2000年も付き合う相手」だと言っているが、それほどの歴史感覚があるのなら、何故、中華人民共和国が中共(=中国共産党)による独裁国家であり、「反日教育」を国是としているの国家であることに思い至らないのか。残念ながら丹羽氏には、ひとかけらの歴史哲学、政治哲学も見られない。さすが、カネ儲け一筋の人生を歩んできた人だとしか思えない。
こんな人を中国大使に任命した民主党政権の責任は重大だ。外務官僚を叩くために、わざわざこんな人事をしたのなら、まさに媚中・売国行為だと言われても仕方ない。現在、求められているのは、むしろ法眼氏のような外交官なのに…。
(花蓮上空を飛ぶ台湾空軍戦闘機)
愛国・親中の精神で頑張る」丹羽大使、中国に着任
【北京=矢板明夫】戦後初めて民間から中国大使に起用された丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事社長)が31日午後、北京に着任し、「愛国・親中の精神で頑張りたい」と記者団に抱負を語った。
丹羽大使は中国との交流について、「これから1000年、2000年もつきあわなければならない隣国として、日中の国民の相互理解が何よりも大事だ」と指摘、「スポーツ、文化などの草の根の交流の推進に力を入れる」と表明した。また、「中国と一緒に成長しなければ日本の発展は難しい」と述べ、「できるだけ中国との自由貿易協定(FTA)の協議を推進していきたい」との考えを改めて示した。
大使館の業務については、「民間人から見れば改革すべきことはたくさんあると思う。これから少しずつ推進していきたい」と改革への意欲を示した。