もう3日前の話になったが、田中沖縄防衛局長の「不適切発言」問題が尾を引いていて、一川防衛相の進退問題に発展しそうな気配だ。
私は、こんな問題は大したことではないと思っているが、「人間として問題…」「沖縄の人の心を傷つける」とかいう、いつもの感傷的反響を聴くと、ウンザリした気分になる。
田中局長が「オフレコで」としたうえで、酒席のこぼれ話として話したことを、「田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した」として公表した「琉球新報社」は、本当に正義の味方、白馬の騎士なのかと問わざるを得ない。
マスメディアは「第四の権力」として現代政治を左右する力を持ちながら、都合が悪くなると「報道の自由」とやらを掲げて、自らの責任を回避する。今回の出来事でも、「オフレコ」という約束を「公共性、公益性」という理由で反故にして、田中局長を「血祭り」に挙げた。これは、マスメディアが自ら何が正義か不正義を判断する「神」のような立場に立ったことを意味する。
マスメディアが全知全能の「神」になったのならば、ぜひお願いしたいことがある。朝鮮総連や有力某新興宗教団体の「巨悪」についても、今回と同じような「公共性、公益性」的見地から鋭く追及し、同じように「血祭り」に挙げてほしいものだ。それでこそ、マスメディアの真骨頂ではないか。
「琉球新報」の「正義の味方」的ポーズには、沖縄県民に対する世論操作、部数増戦略など、現実的な打算が見え隠れする。真の正義の味方は、「オフレコ」の約束を守ると思うのだが、どうだろう。
「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり2011年11月29日
沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。
県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。
田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。
評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。
懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対し「発言の有無は否定せざるを得ない」と述べた。
沖縄の米軍基地問題に関連し、女性をさげすむ発言は過去にも問題となった。
1995年9月に起きた少女乱暴事件後の同年11月、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が同事件をめぐり、「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭された。
田中局長は1961年生まれ。大阪大学法学部卒。84年旧防衛施設庁入庁。那覇防衛施設局施設部施設企画課長、大臣官房広報課長、地方協力局企画課長などを経て8月15日に、沖縄防衛局長に就いた。
田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した。 【琉球新報】