最近、本を読もうとする意欲が減退しているので、それじゃあだめじゃん、と考えて、我が町の大手書店に行く。
このところ、本を買う場合でも、アマゾンをまず検索する。もし、中古品で適当なモノがあれば、それで済ますというのが習慣になった。それと、ブックオフに行き、安いからと買ってしまう本が増えた。どちらも、本来の本と出会う楽しみ(そんなものが今あるのかどうか知らないが)を損なうものだ。
というわけで、書店の新刊書の中から気になった本は、次の四冊だった。
1 「朝日新聞の中国侵略」(山本武利著 文藝春秋社 2011.2)
2 『「諸君!」「正論」の研究~保守言論はどう変容したか』(上丸洋一著 2011.8 岩波書店)
3 「革新幻想の戦後史」(竹内洋著 中央公論新社)
4 「新しい世界史へ」(羽田正著 2011.12 岩波新書)
戦前、朝日新聞は紙面で大々的に「中国侵略」を鼓舞したが、その足跡を調べるのは容易ではないようだ。朝日が関係資料を公開しないので、「朝日新聞の中国侵略」の著者は、米国の公文書館まで出向いて調べたそうだ。現在の「朝日新聞」は、むしろ開き直って、その戦前の「反省」に立って中国との友好に尽くすこと(親中)が社是なのだそうだ。辛亥革命100年を記念する社説では「封建王朝を倒して革命を成し遂げた中国」と言った朝日だが、媚中の源流がどこにあるのかよくわかる。
最近、じり貧の岩波は、同業他社の総合誌である「諸君!」(現在休刊 文藝春秋社)、「正論」(産経新聞社)を貶す本まで出版した。昔だったら、岩波という「権威」にアグラをかいて、こんな雑誌は歯牙にもかけなかったのだが、時代は変わったものだ。それにしても、岩波は「変容」という言葉が大好きだなあ。
「新しい世界史へ」(岩波新書)のサブタイトルには、嗤った。地球市民の構築…とか書いてあった。最近のニュースを見ただけでも、東日本大震災、ECの経済危機、中国の膨張、中東問題など、「地球市民」への道など遠ざかるような事象ばかり。岩波は、この期に及んで、理想論、あるべき論、いやおとぎ話のようなことを書き連ねる本ばかり出す。今時、「岩波だから」と言って、こんな本を買う人などいるのだろうか。まあ、世間知らずの高校社会科教師が推薦書にすることは間違いないだろうが。
昔のままの「権威」をふりかざし、「平和呆け」「進歩主義幻想」を振りまく岩波書店に対して、真っ向から立ち向かったのが「革新幻想の戦後史」。これは、小熊某が書いた本と内容がだぶっているようだが、実は同時代を知る人が読めば、特に目新しい内容は含まれていない。同時代を生きた人は、時代のディテールを覚えているから、歴史的に総括した本書には、違和感を感じる人も多いだろう。
結局、本は何も買わなかった。雨が降ってきたが、傘がない。そこで、雨傘だけ買って帰ってきた。
読まなくても、本の内容が想像できるというのは、つまるところ、知的好奇心が減退し、デジャブ感ばかりということ。トシをとったな…。