澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

橋下徹改革で障害者雇用はどう変わるべきか

2012年03月25日 15時15分37秒 | 社会

 橋下徹・大阪市長が「能力主義」に基づく公務員改革を進めている。まずやり玉に挙がったのは、大阪市交通局。市バスの運転手の給料が「民間に比べて」極めて高い点が、攻撃の的になった。
 橋下流の手法は、はっきりしているというか、ワンパターン。「敵」を見つけて、アドバルーンをぶち挙げ、「世論」を味方につけて、仇敵をぶち倒すというやり口だ。

 だが、橋下市長が決してこぶしを挙げない相手がある。そのひとつが、障害者。大阪市役所では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(下記参照)に基づき、障害者を一般職員とは別枠(障害者枠)で採用してきた。これらの障害者職員は、市役所のかなりの部局に配属されているはずだが、その人事考課はどう行われているのか? 橋下市長は「人事考課でDを2年続けて評定された職員は、分限処分の対象とする」と広言している。つまり、勤評が極めて悪ければ、有無も言わさずクビにすることもできる。障害者職員といえども、公務員=大阪市職員であることに変わりはない。障害があることが特別扱いの理由にはならない。そもそも「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、障害者職員を「特別扱い」や「優遇」するように定めた法律ではないのだ。

 仄聞するところでは、障害者職員のかなりの部分が、法律に基づき雇用されたものの、実際の職場では「お荷物」状態になっていると聞く。他都県のある特別支援学校(養護学校)に配属された障害者の事務職員は、脳性麻痺のため、一般職員の十分の一も仕事が進まない。当人の無能力を承知の上で「一人前」の職員として配属した人事当局のやり方は無責任きわまりない。当然、職場での人事考課が悪かったのだが、それに対し当該職員が「障害者の権利」を主張したので、職場の上司も、教育庁(教委事務局)も下手に手を付けれらない状態となった。行政が最も恐れるのは「障害者を差別した」と言われることだからだ。結局、その職員の不始末の責任は、管理監督者である校長と職場の監督者が負わされる結果になったという。橋下市長がこのようなケースに遭遇した場合、「能力主義」と「障害者の権利」をどう折り合いをつけようとするのだろうか。これまで「触らぬカミに祟りなし」という状態だった障害者公務員の問題を明るみに出し、きちんと決着をつけてほしいものだ

 果てしない公務員叩きが続く中で、法律上の要請で雇用された障害者枠職員が、本当に公務員としてきちんと働いているのかどうか、改めて検証すべき時期だろう。これまでのような、議論の対象にもせず見て見ぬふりをする、障害者職員の不祥事は現場の管理者に責任を負わせるという行政当局の態度は、到底、許されることではない。橋下市長は、この際、障害者職員の実態を把握し、公務員として相応しくない者については、断固とした処分を下すべきだ。
 
 橋下市長がこの問題で、毅然たる態度を示すことができるかどうかは、「橋下改革」がホンモノかどうか見極める重要なポイントだ。

 
 「障害者の雇用の促進等に関する法律」

    第一節 身体障害者又は知的障害者の雇用義務等

(身体障害者又は知的障害者の雇用に関する事業主の責務)
第三十七条  すべて事業主は、身体障害者又は知的障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで身体障害者又は知的障害者の雇入れに努めなければならない。
(雇用に関する国及び地方公共団体の義務)
第三十八条  国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は、職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員であつて、警察官、自衛官その他の政令で定める職員以外のものに限る。以下同じ。)の採用について、当該機関に勤務する身体障害者又は知的障害者である職員の数が、当該機関の職員の総数に、第四十三条第二項に規定する障害者雇用率を下回らない率であつて政令で定めるものを乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)未満である場合には、身体障害者又は知的障害者である職員の数がその率を乗じて得た数以上となるようにするため、政令で定めるところにより、身体障害者又は知的障害者の採用に関する計画を作成しなければならない。
 前項の職員の総数の算定に当たつては、短時間勤務職員(一週間の勤務時間が、当該機関に勤務する通常の職員の一週間の勤務時間に比し短く、かつ、第四十三条第三項の厚生労働大臣の定める時間数未満である常時勤務する職員をいう。以下同じ。)は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、身体障害者又は知的障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、重度身体障害者又は重度知的障害者である職員(短時間勤務職員を除く。)は、その一人をもつて、政令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。
 第一項の身体障害者又は知的障害者である職員の数の算定に当たつては、第三項の規定にかかわらず、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、前項の政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の身体障害者又は知的障害者である職員に相当するものとみなす。