エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

自然に学ぶ庭

2006-04-22 | 自然観察
 市道から約50メートル、舗装されていない私道を入り突き当たりがわが家だ。
 大谷石の門柱に、自作の看板「自然に学ぶ庭」がかけてあり、右側に母屋が、その南側と西側に小高い山を借景に手のひらほどの庭が広がっている。南西の山は神社の杉林で、庭との際に大きな桐の木、カシワ、ドウダンツツジ、ケヤキ、モミジ、カエデが所狭しと植わっている。いつしか6~7メートルに育ったトウカエデは、30年も前、新築の頃に寄せ植えの盆栽を地におろしたものだ。それらは新緑から、さわやかな夏、黄金の秋を演出してくれる。
 庭にはいま、春一番にミスミソウ、イワウチワが咲き、クロッカス、スイセン、イチリンソウ、ワサビが続いて可憐な花を付ける。樹木ではレンギョウ、サンシュに続いてウメ、サクラが開花する。ジンチョウゲのつぼみもいくらか色づき、冬の間堅かったツバキが色づきボケの丸いつぼみも大きくなった。大好きな八重の梅花ウツギはようやく芽を出し始めたところ。やがて新緑のクマシデの実がすがすがしく風に揺れ、しとしと降る雨にはアジサイがよく似合う庭になる。そうそう、秋にはキンモクセイが毎年芳しい香りを放ってくれる。
 静かで、木々を揺らす風の音と訪れる鳥のさえずりだけが響いている庭に、いつも訪れるのがヒヨドリ、スズメ、カワラヒワ、シジュウカラなど、桐の木にはキツツキの類が、またときにはケーンケーンと鳴くキジを見かける。

     《今朝のヒヨドリ(幼鳥)》

     《黄色いのはツバキの花粉》

 小さな大自然と言えるこの庭には、昆虫も多い。春一番に越冬していたキタテハ、ヒオドシチョウが舞いだし、ウスバシロチョウが訪れ、コミスジ、ホシミスジ、テングチョウが見られる。セミはヒグラシ、アブラゼミ、ニイニイゼミがあちこち穴を掘り生まれてくる。オニヤンマがスイスイ飛びオオシオカラトンボや各種アカネが、そしてミヤマカミキリ、キボシカミキリ、コクワガタなどの甲虫も顔を見せてくれる。

      《産卵するホシミスジ》

 冬は書斎の奥まで日が射し込むが、杉林のため夏はほとんど陽が射さない。家人は残念だと言うが、夏は返って涼しくていい。西側は高台になっていて市内の眺めがすばらしく、特に夜景には感激するほどである。
  私はこんな大いなる自然に囲まれた庭が大好きである。そこは私の毎日の癒しの空間で、四季折々にこころを癒し和ませてくれる。
  山の端に沈む夕日を眺め、いつも自然の中にいてこれ以上の幸せはないと思いながら生活している。

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