写真は、文学館前の草野天平の歌碑(草野心平の弟)
一人
草野天平
見ても誰もいない
本を伏せる
家を出て山を見れば
山はやはり山
「いわきの福祉の父」を知った幸せ
開催期間が終わる前日、いわき市の草野心平記念文学館で開催中の大河内一郎展(「いわきの福祉の父」と言われる)を観に出かけた。 彼の魂の記録を見つめながら、これまで知らないでいた郷土の先人の人間愛、福祉と伝道の心に、言い知れない感動を覚えた。 残される子等の教育の徹底を書いた出征時の遺言、俘虜生活中に、風の子、光の子の構想を記したノート、感動に心揺さぶられる詩や短歌の原稿など、数々の資料に、尊敬すべき人物をあますことなく知ることができた。 ただ、自らが脳梗塞に倒れ、息子が急逝、その死に三日三晩泣き通して意識を失った妻の相次ぐ死と、晩年の彼に与えられた悲し過ぎる運命に胸が詰まり、神を恨んだ。 彼の歌集「人魚」に「訪ね行けば母はあわてて戸を閉じぬ 麻痺の子ありて暗きその家」とある。福祉への関心の低い時代に、障害児の教育に尽くした彼の精神、理念にあらためて敬意を払わざるを得なかった。
(ついでに!)
昨年の秋、山形県鶴岡市の鶴ヶ岡城址で大寶館を見学した。大寶館は猪苗代の天鏡閣を思わせる大正初期の擬洋風建築で、現在は郷土人物資料館として無料で公開されている。明治から昭和にかけて各方面でその道を究めた、鶴岡ゆかりの先人を一堂に集め、その足跡を顕彰、紹介していた。いつか、岩手県の盛岡先人記念館を見学し、そこでも郷土の文化人に触れ心から感動した覚えがある。 どこでも郷土には誇るべき先人がいる。地産地消というの言葉が使われるが、教育も同じと思う。野口英世を知らない人はいないだろうが、会津の山川健次郎、松江豊寿はどうだろうか。郷土の先人の業績、生き様を、特に子供たちに教えることは、彼らの豊かな人生を送る糧となるに違いない。 今回、いわきの先人、大河内一郎の偉業に触れながら、福島県内にも、個々の記念館、美術館でなく多くの先人を一堂に顕彰し学ぶ施設が欲しいと思った。
一人
草野天平
見ても誰もいない
本を伏せる
家を出て山を見れば
山はやはり山
「いわきの福祉の父」を知った幸せ
開催期間が終わる前日、いわき市の草野心平記念文学館で開催中の大河内一郎展(「いわきの福祉の父」と言われる)を観に出かけた。 彼の魂の記録を見つめながら、これまで知らないでいた郷土の先人の人間愛、福祉と伝道の心に、言い知れない感動を覚えた。 残される子等の教育の徹底を書いた出征時の遺言、俘虜生活中に、風の子、光の子の構想を記したノート、感動に心揺さぶられる詩や短歌の原稿など、数々の資料に、尊敬すべき人物をあますことなく知ることができた。 ただ、自らが脳梗塞に倒れ、息子が急逝、その死に三日三晩泣き通して意識を失った妻の相次ぐ死と、晩年の彼に与えられた悲し過ぎる運命に胸が詰まり、神を恨んだ。 彼の歌集「人魚」に「訪ね行けば母はあわてて戸を閉じぬ 麻痺の子ありて暗きその家」とある。福祉への関心の低い時代に、障害児の教育に尽くした彼の精神、理念にあらためて敬意を払わざるを得なかった。
(ついでに!)
昨年の秋、山形県鶴岡市の鶴ヶ岡城址で大寶館を見学した。大寶館は猪苗代の天鏡閣を思わせる大正初期の擬洋風建築で、現在は郷土人物資料館として無料で公開されている。明治から昭和にかけて各方面でその道を究めた、鶴岡ゆかりの先人を一堂に集め、その足跡を顕彰、紹介していた。いつか、岩手県の盛岡先人記念館を見学し、そこでも郷土の文化人に触れ心から感動した覚えがある。 どこでも郷土には誇るべき先人がいる。地産地消というの言葉が使われるが、教育も同じと思う。野口英世を知らない人はいないだろうが、会津の山川健次郎、松江豊寿はどうだろうか。郷土の先人の業績、生き様を、特に子供たちに教えることは、彼らの豊かな人生を送る糧となるに違いない。 今回、いわきの先人、大河内一郎の偉業に触れながら、福島県内にも、個々の記念館、美術館でなく多くの先人を一堂に顕彰し学ぶ施設が欲しいと思った。