先月末、森の会のT会長から勧められ「水環境教育指導者総合講座(上級編・会津若松会場)」に申し込んだ。数日前に受講者決定が届き楽しみにしていた。
朝から雨降り、長靴、カッパを準備して会場へ到着、いろいろな団体所属の約30名の参加だった。もり案の顔見知りの先輩も何人も参加していた。
日程は、残念ながら雨降りで現地の湯川での「水生生物採集と観察」は中止となり、屋内でのサンプル生物の同定、顕微鏡での観察実習だけになってしまった。
講師の福大・塘教授が用意された20種の水生生物サンプルの同定実習に、グループ分けされた5人が熱心に取り組んだ。 取りあえず裸眼、ルーペで、指標生物かそれ以外かの区分をした。カゲロウ、カワゲラ、トビケラの形態の特徴を整理しながら顕微鏡を覗いた。
顕微鏡の威力をあらためて知り、水生昆虫の美しさに見とれてしまった。
同定はチョウやトンボのようには行かない、やはり多くの現物に接して経験を積むしかない。
立派な資料をいただいた。
○日本水環境学会発行の小冊子
『川の生き物を調べよう』と『魚・鳥・植物 川辺で見かける生物たち』
執筆者・協力者に、かつてお世話になった桜井善雄先生のお名前を見つけた。
○カラーの下敷き 『川の生き物を調べよう』
午後は受講生からの事前の質問について塘教授からの解説があった。
調査の意義や取り組みの在り方など、小生の知る浦島太郎の昔と違った現状を理解することが出来た。
気になっていた指標生物も平成24年に改訂され、以前は確か15種類が現在は29種になっていた。
家に戻り、昔教材化した資料を持ち出した。色あせた資料、生徒のレポートのコピーを眺め、懐かしさがこみ上げてきた。
当時公害問題は、地球環境問題へ、さらに都市・生活環境問題へと変遷した。
会工での環境化学の学習内容は公害物質の化学分析や廃液、排気処理技術等だったが、より広い視野からのグローバルな環境科学教育、さらにエコロジカルな学習内容の必要性を感じていた。
そんな折りに、信州大学の桜井善雄研究室への内地留学に恵まれた。
そこでの研究テーマは、メインは・【粉石鹸プラントのプロセス設計】だったが、合わせて【環境科学に関する研究】とした。
後者で計画した具体的研修の内容は ・界面活性剤の生分解性について ・野外調査と観察 、そこで初めて「水生生物による環境調査法」に出会った。
その頃、学習の領域も・書斎科学や・実験科学から → ・野外科学の大切さを考えていた。
当時、そんな視点から【環境科学実習】を構造化し、この水生生物調査を教材化を検討し取り入れた。
当時の【環境科学実習】教材
[・廃水処理の基礎(重金属イオンの沈殿域) ・鉄粉法廃水処理プラントの運転
・アルミ缶のリサイクル実験 ・プラスチックのリサイクル実験 ・牛乳パックから和はがきを作る ・自然観察
・河川の水質調査(①湯川の水生昆虫調査 ②パックテストによる水質判定) ・新聞記事の考察 ・小論文を描く ]
こうした実習で、正しい環境認識から自然環境保全の思想を培いたい思いだった。
その後、小中学生や一般市民の環境啓蒙等の取り組みとして水生生物の調査 が普及してきた。 ここでは、学術的な生物判定よりも、むしろ川の流れの中で体験する意義を優先したいと思っている。
8月の「森で遊ぼう」のテーマは【水辺の生き物を探そう】だ。自然の中で遊ぶことの意義をあらためて大事にしたい。 (2014.7.19)