エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

初トンボはシオヤトンボ

2020-04-30 | 日々の生活

保育園のすずちゃんのお迎えまでの午前中、ウスバシロチョウの様子を見に行った。

ようやく訪れた春の暖かさの中、ムラサキケマンは花をつけ始めていたが、少し早いようだった。

卵で冬を越したウスバシロチョウには寒かったようだ。

ムラサキケマン  ノジスミレ

   

気を取り直し,筒咲きタンポポ、ヒメシロチョウの観察に切り替えた。

ヒメシロの里では、今年初めてのトンボに出会う。シオヤトンボだった。

シオヤトンボ♀  

    

    

              

  

         

 

越冬したオツネントンボやホソミオツネントンボが盛んに産卵していた。

 ホソミオツネントンボ オツネントンボ

   

 

  

筒咲き 

   

    

 ボケ

 マンサク  

 確かに新型コロナウイルスとは無縁の自然界、小さな友だちに勇気づけられる時間だ。

そう認識しながら里山を歩いてきた。

夢のひとときを過ごし帰宅、世の中のコロナの現実に戻された。

近ごろ、庭に出ることが多い。庭の自然に元気をもらえる気がしている。


ヒメシロチョウの産卵

2020-04-28 | 自然観察

過去6年間、ヒメシロチョウの産卵風景を生息地の小学生と一緒に観察してきた。

郷土に、絶滅が心配されるチョウが何とか生息している。そのことを知らせたい一心だった。

でも、今年はコロナ問題でそれが叶わないようだ。

一方、市内ではこの春を心配していたヒメシロチョウを4/12に確認出来た。

その後、たびたび訪れる土手にヒメシロは飛ばなかった。

この春はずっと天気が悪く,雨模様、曇り空にも冷たい風が強く,彼女たちは飛べなかった。

雨や曇天には,枯れ草にジッと温かい日を待ち続けていただろう。

昨日は,冷たい風に見かけなかったヒメシロチョウ、今日は久々に舞い、産卵風景を見せてくれた。

    

わずか100mほどの土手に舞う絶滅危惧種は少ない。

これから6月には一斉草刈りがある。何とか夏型へ命をつないで欲しいと願っている。

 

 

 

 カラスノエンドウ 

    一部の花が白いタンポポ

 

 

 

 

 

 


ギフチョウ、ヒメギフチョウのこと

2020-04-27 | 昆虫

  ギフチョウとヒメギフチョウは思い出の多いチョウだ。

       

         尊敬する昆虫写真家 田淵行男著  山の絵本 「安曇野の蝶」 より

かつての昆虫少年は、学生時代は信州でヒメギフチョウに魅せられた。専攻外の生物学教室にしばしば顔を出していた。

また、もう40年も前には、かつてのヒメギフ生息地川俣に居住したことがあり、花塚林道あたりを巡ったが、その頃は既に見られなくなっていた。

この2種は生息する地域が分かれている。いわゆる「リュードルフィアライン」だ。

福島県では、阿武隈山系を境に、西北側はヒメギフチョウ、日本海側はギフチョウが分布している。

この生息境界線の訳は、幼虫の食草の違いのようだ。

ギフチョウはカンアオイの仲間の葉をたべ、ヒメギフチョウのはウスバサイシンだ。

姫川流域や飯山あたりの何カ所かは両種が混成している。

手元に、『長野県の昆虫 ギフチョウとヒメギフチョウ』1967年発刊がある。

 素晴らしい書

そこには飯山産の両種の写真が並び、2種の各地採集写真や鱗粉の顕微鏡写真、各令の幼虫やサナギ、羽化の様子などの写真が載っている。

目次の前には、母校信大の小山長雄先生の「この本へのことば」がある。

そこには、《生物学は生きものの学問である。生物の自然におけるたたずまいから離れてはならない。そこが全ての出発点であり、・・・・》と。

著者は藤沢正平以下、,小中学校の教師仲間だ。定価300円。小山先生には、いろいろとお世話になった。

 ギフチョウは西会津町の天然記念物に指定され6~7年になる。

それ以前、小生は度々ギフチョウの危機を訴えてきた。

 当時の小生の町長宛提言と町の回答ある。
  ・・・・・・・・・・・・・・・
  [提案等の内容]
毎年5月連休の時期にギフチョウの写真撮影に西会津方面へ出かけています。
 ○○から○○への峠筋では、ギフチョウ採集目的のネットを持った輩を驚くほど
多数見かけます。以前に比べ個体数は確実に減っています。
 採集者に「ギフチョウは心配だから採るのやめましょう!」と声をかけますが、「ここは採っても良いんだ。価値観の違いだ。」などと一蹴されます。
 ギフチョウはレッドデータリストでは準絶滅危惧種(県)、絶滅危惧?類(環境庁)の指
定がなされ、個人のエゴでの採集は絶対許せません。
 西会津町としても保護対策をより強化すべきと思います。
 たとえば、食草のコシノカンアオイを保護したり、採集禁止の条例制定などが必要と考
えます。 ギフチョウを町の宝として保護して欲しいと願っています。  (60歳代 男性)
[回 答]
貴重なご提言を賜り御礼申し上げます。
ご指摘のとおり、毎年ギフチョウの採集に多くの方が○○や○○などに来ています。
私も山の散策が好きな方ですから、こうした採集は大変残念な行為だと思っています。現
在、西会津町教育委員会がギフチョウや食草のコシノカンアオイの分布調査を行っていま
すので、その結果を踏まえ、町としての保護対策を検討します。お質しの保護条例もその
一つであると考えます。                (平成25年6月27日公表)
  ・・・・・・・・・・・・・・・
  
  最近、喜多方市の広報を目にした。(掲載日:2020年3月4日掲載)

《希少なチョウとして知られる「ギフチョウ」と「キマダラルリツバメ」を、本市の天然記念物に指定しました!》と。

いずれの指定も素晴らしいことだ。でも、問題は採集禁止と同時に、これからギフチョウがいつまでも生息できるような対策だろう。

 例年、連休前後に西会津のギフチョウ生息地を訪れ、この「春の女神」との再会を楽しみにしている。

最近は,発生時期の違いもあるが、運が悪く,最近は観られない年もあり、可憐なカタクリに訪れる女神はほんのわずかとなった。

明らかに女神は減ってきている。いつまでも生息し続けて欲しい願いで一杯だ。

 「今年 西会津で再会したギフチョウ」 2020.4.25

 

 


今年もギフチョウに再会

2020-04-26 | 自然観察

昨夜、Mさんが電話でギフチョウのポイントを尋ねてきた。

10日ほど前は空振りでその後の天気もよくなかった。

朝から久々に晴れ渡ったので、急遽ギフチョウの撮影に出かけた。

数カ所、春の林道を巡った。林道のカタクリは終わりかけていた。

しばらく、カタクリに集まる元気なスギタニルリシジミやコツバメを撮った。

エゾエンゴサクやエンレイソウも終盤、ミヤマカタバミがおとなしく下を向いていた。

 

 

  

 

 

ギフチョウがカタクリに来訪、運良く再会を果たした。

 

  

レンズの解像が悪く、ギフチョウはピントが甘かったが、

スギタニルリ、コツバメはコンパクトデジカメのマニュアルフォーカスで何とか見られる写真を撮れた。

  

 

帰路、坂下のオオイワカガミの様子を見に寄った。

山道は荒れて、展望台へも登れないほどだった。

 スキー場から 

今日行けなかったヒメシロチョウが心配している。

 


タンポポを見つめる

2020-04-23 | 自然観察

今日も寒い春の1日だった。
コロナに閉じこもりたくなく、近くの里山をタンポポを見て歩いた。

そうはないオクウスギタンポポの一角を見つけた。

  


数年前に偶然見つけた筒咲きのタンポポ、やはり同じ所に見つけた。

  

 

この辺りは雑種が多い。  いろいろな表情が見られて楽しい。 が、寒すぎる。

 

折角なので,森で遊ぼうの広場へ。  今年度 「森で遊ぼう」の行事の中止が決まった。 

静かな山間に、これまでの子どもの歓声が響いてきた。

ビオトープ 去年はみんなでサンショウウオの卵やアカハライモリを観察したっけ。   シイタケの菌打った。

  

ボケ

 ムラサキケマン

もうカンボクの花が咲いていた。                           ウスタビガの繭を見つけた。

  

 

 


肌寒い春 庭の花

2020-04-23 | 日々の生活

この春はいつまでも寒い。

ヒメシロ発生の確認から10日になるが、里山訪問もままならない。

でも、いつしかハクモクレンが開きつつある。

カイドウ、ヤエヤマブキもつぼみが膨らんできた。

今日は、心配なヒメシロチョウの様子を見に出かけたいが・・・。

   

  シャクナゲが沢山咲く          

 

 

 

キバナイカリ 

  

 4.23

 

 

 

 


ヒメシロチョウ乱舞

2020-04-22 | 自然観察

このところ天気が悪い。一週間ほど晴れ間が見えず、今朝も寒い。

こんな春は珍しいと思う。

久々に曇り空からときおりお日様が、午前中ヒメシロの生息地を訪ねた。

いつものようにオクウスギタンポポに挨拶。

麓の広い荒れ地にヒメシロチョウがあちこち舞い始めていた。
タンポポ、ヒメオドリコソウ、ハコベなどいろいろな花に集まる。

       


未だ産卵する個体は見られなかったが、たわむれるペアが元気に舞っていた。

    

いつもの沢へ移るが、ヒメシロチョウはほとんど見られず、山道を敷き詰めるニリンソウに歓声を上げた。

 

                   

  

   

  

 ムラサキケマンも

  

桜を楽しむことはなかった。遅ればせながら。

 

ハナダイコンにモンシロチョウ

 

  

モンカゲロウ


午後は地区役員の引き継ぎがあった。

思えば、町内会や地区、市の役員などのボランティアで9年の歳月が流れた。

つかの間だったようだが、長い日々を振り返り、すっかり荷が下りた思いに浸っている。(2020.4,21)


筒咲きタンポポ  シデコブシ

2020-04-19 | 日々の生活

滝沢峠の筒状花のタンポポや強清水手前のフサザクラの様子を見ながら,長浜へ。

目的は西湖の食事、最近名称が変わったが、いつも同じものをオーダー。

小生は甘煮五目拉麺、ばーちゃんはエビ塩湯麺をご馳走になった。

長浜 西湖 磐梯 

いつもの場所に筒咲きらしき一株を見つけた。今年もじっくり観察してみたい。

) 拙ブログ 「筒状タンポポ 参考写真」   https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/a340a30ab33c12425015b0f53aecfd05

フサザクラは見ないうちに盛りを過ぎていた。

 

トンボ池のシデコブシは咲き始めていた。

 

ヒマラヤシーダのシーダローズの絨毯を踏みしめた。

) 拙ブログ 「ヒマラヤシーダは雌雄異株では?」    https://blog.goo.ne.jp/tosimatu_1946/e/d8c5435adeb049b4864cdc7a04373140

 

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いよいよ、地域のボランティア活動を卒業した。

地区の最後の総会も、新型コロナウイルス対応で中止となった。

また、今日は、今年から少しは力を入れたいと思っていた「森で遊ぼう」の活動も

しばらく中止する旨の知らせが入った。

もう5~6年続けてきたB小学校でのヒメシロ観察も出来ないかも知れない。

町内の子ども会の自然観察の活動計画もキャンセルせざるを得ないのかも知れない。

気が抜けたというか、少し寂しい気もする。

しばらくは、一人コロナとは無縁の里山の自然巡る日々を楽しみにして過ごしたい。

これからつかの間に小さなお友達との再会が待っている。

ギフチョウ、オオイワカガミ、ウスバシロチョウ、ムカシヤンマ、カワトンボ、

ハッチョウトンボ、モートンイトトンボ、コバネアオイトトンボ、・・・ と続く。

健康に気をつけながら,楽しみたいと思っている。

 


カタクリ  コツバメ スギタニルリシジミ  

2020-04-17 | 自然観察

可憐なカタクリ満開     例年は、ここでギフチョウにお目にかかれるが、少し早いようだった。

一瞬、一頭が目の前を通り過ぎていった。そのうちまた来てみたい。

 

スギタニルリシジミ 吸蜜  

 コツバメ 吸蜜 

  

 

      ギフチョウを待つ

カタクリの花弁は普通は6枚(被片3枚と内被片3枚)だが、昨年に続き,今年も8枚のものを見つけた。きわめて珍しい。

花 8枚 

 つぼみ

コツバメ初見 ルリシジミ

エンレイソウ  

キクザキイチゲ   キケマン ザゼンソウミズバショウ 

豪雪地帯の松  ふだんギフチョウが舞う尾根の杉林に、食草コシノカンアオイが所々に自生している。

  

所々に椿飯豊連峰

ショウジョウバカマ 橙桃色、白色、薄紫の花があった。シロ花は珍しい。

   

 キスミレ キジムシロ

  ヒメヤシャブか? テングチョウ

キクザキイチゲ

ミヤマカタバミ   イワカガミつぼみ


ヒメシロチョウ発生

2020-04-12 | 自然観察

数日間の願いが叶った。心配していた市内のヒメシロチョウの発生を確認した。

朝6時、地区一斉清掃で隣近所の方々と傷んだ私道の普請をした。

明日からまた天気が崩れる予報に、10時過ぎから隣町の生息地を訪ねた。

もうずいぶん前にツルフジバカマが茂っていた土手へ行くと、ほとんど刈り取られていた。

やはり、年4~5回の刈り取りに飽きたらず、あの強いツルフジバカマを根こそぎ刈ろうとする農家もあるようだ。

でも、数頭が舞い始めていた。

春の陽射しは温かいが、吹く風は冷たく,羽化したばかりのひ弱なチョウにはきついようだ。

  

 

 

取りあえず、例年発生が安定している地域、今年もそれなりの発生に安堵し帰宅した。

問題は市内の生息地だ。昨年3化のヒメシロの観察から、今年はいよいよ絶滅かとずいぶん心配していた。

少し風が強かったが、3時過ぎに重い腰を上げ土手に向かった。

現地につくころは風もおさまり、土手にちらほらヒメシロチョウの姿が見られた。

刈り残しの枯れ葉の伸びた土手で、ひ弱に飛翔するヒメシロチョウに取りあえず安堵した。うれしかった。

羽化したてだろう、枯れ草の間を舞いながらすぐに止まる、止まっては舞うの繰り返しだった。

夕方近くなので、今夜の休む場所を探しているかのようだった。

 

 

    

      

 

 


ヒメシロチョウの姿が見たい

2020-04-10 | 日々の生活

         (写真は昔 撮ったもの  )            

絶滅危惧種のヒメシロチョウは年3回の発生で、唯一生息する土手では数年前から個体数は減少傾向にあった。

昨年秋の発生状況からは、この春の発生がきわめて心配であった。

6年前から、食草のツルフジバカマの分布が大切と考え、阿賀川河川事務所に協力いただき、

年2回の一斉草刈りの際に一部を刈り残してもらってきた。

いよいよ、絶滅が危惧される春を迎えた。

4月に入り数回、昨日も生息地する土手を訪ねるも、まだ発生は確認できなかった。

ようやく、昨年の食草ツルフジバカマの枯れ残った褐色のツルに、新芽が萌え始めた。

タンポポも開き始め、キタテハ、モンシロチョウ、モンキチョウが数頭吸蜜していた。

 

詠めない俳句に、夢を託した。

待ち待ちし白いチョウの命想いて

チョウの舞う土手の賑わい明日もまた

萌えし草明日こそ舞えよヒメシロチョウ

ヒメシロの明日のいのちを願うのみ

 


ヒメシロ 未だ  

2020-04-09 | 日々の生活


今朝、庭にアカゲラが来た。久々だった。                   2007-03-23 庭で撮

ぽかぽか陽気に,ヒメシロを見にいた。今年の発生を心配している。

ツルフジバカマは、刈り残した茶色い枯れ枝を探すとようやく新芽が伸び始めていた。

 

モンシロチョウ1,モンキチョウ♀1、キタテハがタンポポに来ていた。

ルリシジミが数頭飛び始め、タンポポが鮮やかだった。

 

 エゾ 雑種

   

                ↑ 外片が内に比べ1/2ほどで短く、茎が細長いエゾ

目的の土手まで、農道の近道を行き何年ぶりかで「新選組殉難の地」へ寄ってみた。

ここ如来堂に立てこもり全員が戦死したとある。

 

イチョウの大木が静かに立っていた。境内にアオゲラを見た。

また見下ろす広い田にキジがゆっくり歩いていた。

  

ついでながら,先日里山のウメの木に集うメジロです。

      

萌えちゃん 入学式おめでとう。   2020.4.8


啄木の悲しき生涯

2020-04-06 | 文芸

最近、ふとしたことで手にした「啄木の悲しき生涯」(杉森久英著 河出書房新社刊)を一気に読んだ。

そこには、薄々知るにはあまりある赤裸々な悲しい生涯があった。

彼自身の日記や作品、与謝野鉄幹、金田一京助や知人、友人への書簡等から明らかになる生々しい辛い日々が、

あった。天才啄木の生活苦に追われる生き様があった。

かつて「遠き落日」を読み、知りたくなかった若き日の野口英世の日々に落胆したことがあったが、

その比どころではない。

「石を持て追わるる如く・・・」 渋民でのいきさつ も知ることが出来た。

髙田雀林の法用寺に啄木の歌碑が2つある。

小樽日報の小林事務長とのけんかの事実を知った。(小林寅吉は高田雀林の出身)
  
敵として憎みし友と
 やや長く手をば握りき                                  
 わかれといふに           

 あらそひて
 いたく憎みて別れたる
 友をなつかしく思ふ日も来ぬ

法用寺境内の会津五桜の一つ、虎の尾桜もほどなく咲き始めるだろう。

鑑賞し、また啄木に触れたいと思っている。

啄木の、苦もなく水が湧くように詠む3行の詩の才能、

感嘆する天才啄木の悲しい生涯があまりに切ない。

26歳の短い人生、いずれの詩も涙なしでは読めない。

 

**** いくつかの詩を思い出す ****

そのかみの神童の名の かなしさよ ふるさとに来て泣くはそのこと

かにかくに渋民村は恋しかり おもでの山 おもいでの川

石をもて 追はるるごとくふるさとを 出でしかなしみ消ゆる時なし

ふるさとの山に向かいて言うことなし ふるさとの山はありがたきかな

しらしらと 氷かがやき千鳥なく 釧路の海も思出にあり

たはむれに 母を背負ひてそのあまり 軽(かろ)きに泣きて三歩あゆまず

東海の 小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる

はたらけど はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし) 楽にならざりぢっと手を見る

ふるさとの 訛なつかし停車場の 人ごみの中にそを聴きにゆく

頬につたふ なみだのごはず一握の 砂を示しし人を忘れず

やはらかに 柳あをめる北上の 岸辺目に見ゆ泣けとごとくに

砂山の 砂に腹這ひ初恋の いたみを遠くおもひ出づる日

己が名を ほのかに呼びて涙せし 十四の春にかへる術なし

いのちなき 砂のかなしさよさらさらと 握れば指のあひだより落つ

友がみな われよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ

ふるさとの なまりなつかし 停車場の人ごみの中に そを聴きに行く       

不来方の  お城の草に寝ころびて  空に吸はれし十五の心       

石をもて 追はるるごとく ふるさとを 出でしかなしみ 消ゆる時なし

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いつか、憧れて電車で旧渋民村の啄木の母校の小学校や

北上川沿いの「やわらかに柳あをめる北上の・・・」の歌碑を訪ねたことがあった。

また、盛岡の「啄木新婚の家」や不来方のお城も。

もう半世紀も前のこと、全てが遠い思い出となってしまった。

多分、いずれも石川啄木記念館の出来る前だったような気がする。

いつかもう一度訪ねたいと思っている。

  やわらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに

 


キブシの花 ヤナギの花

2020-04-06 | 自然観察


  早春、淡黄色のキブシの総状花序が目立つ。

 雌雄同株で、雄花は淡黄色、雌花はやや緑色を帯びている。

 下向きの花にアカタテハが吸蜜に来ていた。

 

 

 昨日はヤナギの花芽にルリシジミが来ていた。隣のチョウジザクラには目もくれず、 

 普段は目聡いのに、何度も寄ってきた。ヤナギは雌雄異株。

 

ネコヤナギ 

 

 コリヤナギ 

     オオネコヤナギ 

ウスバシロの林へ寄る  コンロンソウ、ムラサキケマンの芽が伸びていた。 ウスバシロチョウもあと一月か。

  

蝶が来なければ特に関心がなかったキブシ、ヤナギについて少し学んだ。

 梅や桜だけでなく、いろいろな花序を調べてみたいと思う。

   

    


生き方 を思う

2020-04-05 | 日々の生活

久々に日橋川の流れを見つめてきた。

年に何度かここを通るときには、いつも同じ気持ちになる。

絶えることなく流れゆく水の流れに見入った。

いつも方丈記の一文が浮かぶ。

鴨長明の無常観は知れずとも、ひととき生き方を思った。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。」