白々と明けはじめた朝4時、寝室の窓を開けると黎明の磐梯が浮かんでいた。
一点の雲もない5月の朝の始まりだ。
庭の新緑も一気にしげり、いよいよ夏の到来、午前中さわやかな5月の風に誘われて里山を巡った。
特別な目的はないが、初夏の空気を吸いながら虫たちに会いたかった。
朝日の射す神録にコミスジが旋回して止まった。今年初めての再会だった。
ハルジョオンは人気者だ。出始めた虫たちが一斉に群がっている。
夢中で花粉を食べているのはコハナムグリ、ハナアブをはじめ、ベニシジミ、トラフシジミが蜜を求めて止まっている。
トラフシジミの飛翔は見失うほどに速い。やはりゼフの仲間なのだろう。
見慣れない黄色い模様の蛾も止まっていtた。名前は何と言うのだろうか。
それぞれにストローでおいしそうに花の蜜を吸っている。どんな味がするのだろうか。
小さい虫たちの姿を見ていると実に楽しい。
トラフシジミ春型
一日違いで、ウスバシロチョウは急に数を増した。
追いかけっこをするように思い思いに飛び交い、大好きなセイヨウカラシナに止まった。
ほとんど無我夢中で休密していて,ゆっくり写真を撮ることができた。
ツマキチョウ♂やベニシジミも来ていた。ツマキチョウはセイヨウカラシナを食草にしているようだ。
ツマキチョウ♂
山ツツジやボケが赤く目立って咲いていたが、アザミのつぼみも膨らみ鮮やかだった。
その他花が咲いているのは、エゾタンポポ、ホタルカズラ、キジムシロ、クサノオウ、ムラサキケマン、ウマノアシダカなど。
ウマノアシダカ
ヒメシロチョウがヒメオドリコソウに止まった。
真っ黒なチョウに近づいたら、羽がぼろぼろになったクジャクチョウだった。
越冬し産卵は済んだのだろうか。同じくルリタテハも日だまりで日光浴をしていた。
お疲れ様と声をかけた。一抹の寂しさが残った。
田の水際に新鮮なオツネントンボを見た。越冬個体と思うが・・・。産卵はこれからではないのだろうか?
カワトンボの胴体の青みがかった金属色の美しさにほれぼれした。
紅梅越しに、そして菜の花畑の向こうに磐梯がそびえていた。
春のイメージだが、残雪はほとんど消えるところだった。
今年は雪が多かったが、磐梯山の雪解けの早いのには驚いた。
ちなみに、飯豊山の雪は,まだ壁のように残っている。
身近にある小さな自然に感謝しながら里山を巡っているが、時折震災の、原発の現状が浮かんでくる。
ちいさん虫たちを眺めながら、多くの被災者のつらい境遇を思うと後ろめたささえ感じることがある。
そして、ふと、遠く過ぎ去りし日々と、今、野山の只中にある今の自分の幸せを意識したり。(20011.5.18)