【サザンカ】
今日は気温は低かったが、珍しく風もなく穏やかな日となった。
なかなか消えなかった濃い霧も、昼を前にようやく晴れたてきた。久しぶりに、歩いて数分の大学の図書館へお邪魔した。
新聞の訃報欄に、昔お世話になった先輩の名を見つけた。Y先生は年齢からして、退職されて30年、私はあの頃30才くらい、若い私に優しく指導して下さった。
こうして先輩方が亡くなっていく。世の習いとはいえ、やはり寂しい。ご活躍のころのお姿やそのころのことが浮かんできた。
1年をふり返る時期を迎えたが、なぜか我が半生を振り返えりたい心境である。
生死をさまよい、生かされて5年が経つ。あらためて健康に気をつけて生活しなければと肝に銘じている。無理に長生きしたいとは思わないが、残された歳月を、良寛のように、すべて天真に任せたいと思っている。
最近、妻に怒りやすくなったと言われる。大病後には、輸血で血がほとんど入れ替わったせいだなどと。たしかに自分でも、ときどき細かいことにイライラしたりすると思っている。もっといろいろに頓着せず、静かに傍観していればいいのだが。ストレスが良くない、「イツモシズカニワラッテイル」で良いではないか。
とは言っても、何もぜず、ただ無為に1日1日が暮れていくようにも感じている。ゲーテは「生きることは悩み」と言った。悩みながらも、かつては「すべては無」「色即是空」、今は「求めない」と、一つの境地に心を導き安心しようとしている。ともかく、生きていること、当たり前に生活出来る「今を大切に」したいと思う。
長寿の人には若いころ大病した人が多いと聞いた。数年と思われた余生が、すこし長く生きられそうな気がしているが、少しでも豊かな余生でありたいものだ。長ければ良いではない。健康年齢が大切。
図書館の静けさの中で数冊の本を手に取りながら、心を静かに見つめることとなった。 (2008.12.4)