彼岸に、柳津の伯父にお線香をあげた。その帰りにしばらくぶりに桐の里、三島町を訪ね、秋の一日を楽しんだ。
国道沿いのドライブイン
雪国茶屋に立ち寄った。その店を経営する、蝶の研究家で知られる
角田伊一さんを訪ねた。これまでお会いしたことは無かったが、角田さんはキマダラルリツバメやギフチョウの研究家として著名な方だ。
雪国茶屋の入り口の暖簾の上には「蝶々乃家」と看板が掛かっていた。蝶についての展示などがあると思っていたが、店にはギフチョウの写真が飾ってあるだけのそば屋さんだった。壁にギフチョウと共に
ホソオチョウの写真の額が掲げられていた。
私のチョウとの関わりを話すと、角田さんは店の奥から紙の箱を持ってこられた。箱にはホソオチョウの小さい蛹が20個くらい入っていた。驚きだった。まさかこの会津の地にまで棲息範囲が広がっていたとは・・・。ショックでもあった。
ホソオチョウが1980年頃、韓国から持ち込まれ、日本の各地で繁殖しているとは聞いていた。そのころから、人為的手段で分布を広げていることに危惧を抱いていた。ホソオチョウの食草はジャコウアゲハと同じウマノスズクサなので、ジャコウアゲハが駆逐されはしないか、生態系を壊すことになりはしないかと心配していた。
外来種であるホソオチョウが人為的に放されて勢力を広げるのは、丁度ブラックバスに似ている。例えば、温暖化の影響などにより、南の動植物の北限が上昇することが言われているが、自然現象の変化によるこうした棲息分布の変化などはある程度仕方ない面もあろうが、問題は人為的に環境が改変されることであろう。
ホソオチョウはアゲハの仲間で白と黒の縞を基調とした翅の模様のパターンはギフチョウに似ている。後翅に細長い突起がある。ネットで検索してみたら、幼虫もギフチョウの幼虫に似て黒っぽく、太い突起があり、頭に角が2本生えている。成虫は年数回の発生、♂♀の翅の模様はほとんど同じだが、♂は全体が白っぽく♀は黒い部分が多い。
一度飛んでいるところを見てみたいとは思うが、複雑な気持ちだ。
角田さんはジャコウアゲハの蛹も見せてくれた。まだこれから羽化する3化のものと、越冬する蛹がいた。我が家でも昨年保護したジャコウアゲハの蛹が春先羽化したが、外は季節はずれの雪降りでかわいそうな思いをした。あらためて、自然のままにしておくべきが基本であろうと思った。角田さんはおそらく自然環境教育の一環で、小学生等への教材としてのものなのかと思った。そんな新聞報道を見た記憶があったから。
ジャコウアゲハは若松市内でも棲息している。でも、棲息している土手で、食草のウマノスズクサがときどき刈り取られ、いつもがっかりすることがあった。
今、いろいろな動植物で絶滅危惧種が言われているが、昆虫もしばらく前まで普通にいた種が、環境の変化で姿を消してしまう危惧がいま現実となっている例はたくさんある。草刈りも考えたいものだと思っていた。