今日は市場での水揚げ作業も終わり市場内を散策。すると潮が速く潮待ちしていたお隣の定置網が操業を終え戻って来る。覗きに行くといつも標本用に魚を確保して来て下さる方が何か見つけたらしい。カゴの中に入っているという事で見に行くと見覚えのあるウミヘビ科の魚である。歯が非常に鋭く一見ウツボの仲間かと思わせるが小さな胸鰭があり、更に頭部の大きさの割に眼は非常に小さいのだが口は大きく裂けとても不気味でインパクトのある顔付のウミヘビ科の魚である。昔はうちの定置網にもよく入網しており、不気味さから見つけては直ぐに鉤で引っ掛け海に捨てていた。魚ボラが始まった当初も普通に獲れており、標本用に確保するとムラサキウミヘビと同定された。歯が鋭く長物だったので標本用に確保するのも登録作業をするのも当時では大変だった為、1個体でもあればいいかと思い、その後は確保していなかった。ところがそれからこのウミヘビ科の魚は急激に減ってしまい、滅多に見る事が出来なくなってしまったのである。更に最近鹿大所蔵標本のデータベースを見るとムラサキウミヘビの登録は無く、昔確保した個体はタツウミヘビ属の1種と再同定されていた。と言う事は魚種を突き止めるには標本も数が必要である。現在の魚ボラの学生達の技術であれば標本登録も心配ないので、このウミヘビ科の魚を探していたところであった。この個体は体がかなり傷んでおり、赤くなってしまっている。だが、今では滅多に見つからないので魚ボラの標本用に確保する。タツウミヘビ属は現在はムラサキウミヘビも含まれ国内では4種である。体に斑紋がなく頭部の形状からタツウミヘビかムラサキウミヘビとなる。頭長に対して全長が長い感じに見えるのでムラサキウミヘビのように思うが、昔から変わらずあとは魚ボラ任せとする。
*後日、魚ボラでムラサキウミヘビと同定されました。
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