お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

まさか新種とは カササハオコゼ

2018年10月18日 | 魚ボラ
3年前にうちの定置網でツマジロオコゼが獲れ、魚ボラの標本用に確保した。ツマジロオコゼは珍しい魚ではないが、ここでは今までに数個体しか見つかっておらず、全て標本用に確保している。そんな中、1年ほど前にその個体が普通のツマジロオコゼとは違うと魚ボラの学生OBに教えてもらう。そしてその個体は未記載種とわかり、論文が日本魚類学会Ichthyological Research (英文誌)に掲載され、地元の地名を入れてくれて、標準和名「カササハオコゼ」Ablabys gymnothorax Chungthanawong and Motomura, 2018と提唱されました。自分では普通のツマジロオコゼでなければ日本未記録種だろうと思っていたが、未記載種と聞いて更に驚く。ツマジロオコゼとの違いは、わかり易いのが臀鰭の形状である。ツマジロオコゼは臀鰭の前方の3本の棘は長さが違い鰭膜も切れ目が深い。それに対してこの個体は棘の長さもさほど違いはなく、鰭膜の切れ目も後の軟条部と変わりない。ここではツマジロオコゼ自体も珍しいので、自分ではそこまで形質の認識はなく、魚ボラに持ち込んだ当時も背鰭の高さが豪く高いなと思ったくらいで、小さい時はそうなんだろうと思っていた。別種を全く疑わなかったことはちょっとショックである。自分としてはウッカリカサゴならぬウッカリハオコゼと名付けてもおかしくない状況であり、嬉しいやら悲しいやら複雑な思いであるが、魚種名に地元の地名が付き、しかも未記載種と言う事でやはり嬉しい限りである。
カササハオコゼ:Ablabys gymnothorax



普通のツマジロオコゼ:Ablabys taenianotus
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