自由題でトップ賞の亜子さんの秀句。亜子さんお気に入りの季語「淑気」を詠まれました。淑気とは、漢詩からきた言葉で、お正月の天地に漂う清くめでたい気配や空気、気分を指します。
毎日使うお箸と違ってお正月に使う箸袋に入った柳箸。身近なものにも、そこはかとなく淑気が感じられます。「新しき」ではなく「まあたらし」とひらがなにされたのは、漢字を控えやわらかさを出したかったからだそうです。
「箸一膳」というのが少しさみしげな感じがしますが凜としたお正月の雰囲気が伝わって来ました。一膳でも淑気を放つ新しいお箸。新年に新しいものをおろすのは気持ちが引き締まります。作者が明るくこの一年を過ごそうという気合いが感じられました。
能登さん:箸一膳にも宿る空気感、鋭い感性。
晴代さん:輪島塗でしょうか。
千香子さん:淑気という言葉がとても気品もあり、それだけですべてを表しているようで好きです。
須美さん:箸一膳の淑気が好き。
童子さん:淑気、知りませんでした。句が引き締まりますね。
★★★
これまでも新年の初句会にはこの淑気で俳句を作られている亜子さん。
磨かれし昭和の薬缶淑気満つ (2024年初句会)
独り居の花一輪の淑気かな (2022年初句会)
ひとつの季語で毎年俳句を作るというのもいい練習になるかも知れません。
私も来年の新年は「淑気」にチャレンジしてみたいと思いました。麗子