江ノ島には、弁財天が勧進され源頼朝による鳥居が建立されています。弁財天は、水の神であると共に歌舞音曲を司る女性の神様。そのため、江戸時代から歌舞伎役者など芸能に関わる人々の信仰を集めてきました。ところで、江戸庶民の楽しみといえば大山参り。江ノ島は鎌倉を経て金沢八景へ繋がる大山参りの拠点としてたいへん賑わったようです。明治となり横浜の外国人居留地の行動範囲が10里と決められていたことから、江ノ島には多くの外国人が訪れています。特に、英国のサムエル・コッキングは江ノ島の一部を買い取り熱帯植物園を造園しました。現在の「江ノ島サムエル・コッキング苑」は彼の遺構に作られた英国風ガーデン。まもなく深紅のウィンザーバラが開花の季節を迎えます。
Chill<落ち着く>という意のカフェ。読みかけの本にしおりを挟みます。カフェの窓には切り取ったような初夏の富士。ところで、大学の一般教養はすべてリモート講義となりました。都内の小中学校はタブレットを配布。先日は宅配ロボットを見かけました。近未来が社会を埋め尽くしていきます。きっと追従できないのでしょう。カフェで読書三昧の日々が続きます。
銀輪を連ねという表現がいいですね。それだけで複数の男の子が快活に自転車を走らせる姿がうかび、声までも聞こえてきそうです。
五月の季語にとても響きあいます。
皆さんからいただいたコメントです。
結宇さん:5月は男児の節句、通学でしょうか、のびのびと育っていく姿ですね。
泉さん:五月の風の中を自転車で走る爽やかな若者たちの姿が浮かぶ。
等さん:①と同じような景を詠んでいますが、こちらは”銀輪を連ね“と具体的に表現しているだけ勝りました。
①というのは
通学の車輛定まる五月来る 千香子
票が割れましたが、通学でもこちらは電車ですね。この着眼も素敵です。
麗子さん:中七の、「車輛定まる」に魅かれました。そろそろ落ち着いて来た定位置ですね
須美さん:電車通学を始めた頃を思い出す
等さんの言葉を借りて、より具体的にというならば
○○時発とか車両や座席などはいるとさらに光景が出たかもしれませんが、
うーんむずかしい。
余談になりますが、うちの娘はほとんどの生徒が自転車通学という高校でした。
始業すれすれ校門に吸い込まれるたくさんの自転車は、排水溝に水が流れ込むがごとし。テクニックもいります。
「肘でハンドルを押さえながら、車上でパンと牛乳の朝ごはんを食べながらやってくる猛者がいて尊敬するわ」と言いつつ
彼女も暴走しておりました。雨にも負けず風にも負けず、三年間皆勤賞で卒業できましたが、今となっては事故も起こさず無事だったことに感謝です。
コロナ禍が常態化して、制約の中で学校生活をおくる皆さんには、無事を祈ると同時に心からエールを送りたいと思います。郁子
早苗が植えられた美しい水田の様子。日本の原風景ですね。田植えの終わった五月の田んぼは本当に美しいですね。
この句のポイントは、空の青さを青絵の具と表現したところ。「田毎に流る」と具体的に映像化したところだと思いました。
作者の竹葉さんに句の背景をうかがってみました。
昨年千葉の水田地方を通った時空が綺麗に映っていたのを描こうと思い、「ひと塗りの空絵の具」を使いたかったのが、上手くいかず、「そうだ、大山千枚田にしよう」と変えました。そこは房総の南の方ですが、数年前行った時は秋でしたが、段々の水田に水が流れるように絵の具が流れて行くのを想像して詠みました。実際にはどうなのかいつか確かめてみたいとのことでした。
皆さんからいただいたコメントです。
晴代さん:空の青さと早苗の緑が思われます。
泉さん:絵の具で描いたように美しい感じがでている。
須美さん:とても美しい光景。
亜子さん:「田毎の月」(たごとのつき)は、斜面の小さく区切られた水田の一つ一つに映る月影。それと同じように田毎に青々とした空がイメージできました。
さて、昨夜は24年ぶりのスーパームーンの皆既月食ということで何度も夜空を見上げましたが、残念ながら厚い雲に覆われて天体ショーを見ることが出来ませんでした。田毎に満月なんて素敵でしょうね。次回は12年後ということで、皆さん年齢を数えませんでしたか?私は68才。う~ん。まだ、まだ見られるかな?麗子
長谷寺の開祖は天平時代<736年> いまから1,300年ほど前。聖武天皇の祈願所とされる鎌倉の古刹です。さまざまな種類の紫陽花が楽しめるため「あじさい寺」としても有名。しかし、今夏はコロナ禍のため「あじさい鑑賞券」により人数制限を行うとの由。鎌倉は海風により湿度が高く、紫陽花だけでなく苔など親水性の高い植物が多い印象。天平時代に作られたといわれる長谷寺の苔むす石段。水の匂いがあたりを包みます。
大学の教育実習。夏休み前の放課後にいつも少女が残っています。何を待っていたのでしょう。夏が近づくと思い出す記憶のひとコマ。
いただいたコメントをご紹介します。
少し大きめの古墳だと、なかなか小さい旅とはいきませんよね。でも、五月晴れのなか、古代への想像を描きながら いい散歩ですよね。 結宇
梅雨の晴れ間を利用したチョットだけの旅、「小さき旅」が女性らしい旅で良いですね。等
守山にはたくさんの古墳があります。遠出が出来ない今、ちょっと出かけるにはお天気もいいし。千香子
古墳時代に思いを馳せるとそれは大きな旅かも知れません。亜子
麗子さんの小さき旅に同行させていただいたのは私です。
名古屋市内で一番標高の高い東谷山(198. 4m)に登りました。
千香子さんのおっしゃる通り、このあたりは志段味古墳群と称される古墳銀座?(笑)
この山だけでも、尾張戸神社古墳、中社古墳、南社古墳と集中して存在しており、山全体の起伏を見ても古墳の風格があります。
以前家族で頂上の見晴らし目当てに登ったことはありますが、古墳を意識しての登頂は今回が初めてでした。
この大きく平らな石は儀式に使ったのではないか。そういえば不思議なパワーが・・
どこかに眠る貴人や目につく礫ひとつに話がつきません。
運動不足で足は重いが、想像力だけ大暴走の小さき旅!
墳活女子・麗子さんのおかげで、楽しい吟行となりました。
今日は大雨に警戒です。災害につながりませんように。郁子
今月のメール句会で見事トップ賞に輝いた須美さんの句です。核家族が多い中、四世代の洗濯物を干す須美さん。
実は先日、須美さんにお二人目のお孫さんが生まれたそうです。おめでとうございます!!その赤ちゃんの小さな洗濯物から、今は施設におられるお姑さんの洗濯物までまさに満艦飾のベランダのようです。忙しい中にも充実した日々が五月晴れからも伺えます。暗いコロナ禍の中、明るい俳句に背筋が伸びる気がしました。
では皆さんのコメントです。
郁子さん:4世代の洗濯ものが並ぶなんて、なんと賑やかで平和な光景でしょう。洗濯をする人は大変でしょうが、愛を感じます。
能登さん:4世代とは、壮観な物干し風景ですね。梅雨に入り、これからが大変そうです。
竹葉さん:四世代ともなると洗濯物いっぱいでしょうが、鯉のぼりのようで清々しい感じがします。
千香子さん:珍しくなった大家族、たくさんの洗濯物、陽をいっぱい浴びて気持ち良く乾くでしょう
晴代さん:未来が力強く壮観な眺めが目に浮かびます。
結宇さん:竿をうめるという事に格別の意味があるかどうか、浅学にて知りませんが、四世代といえば50年以上(?)でしょか、晴れた五月に新しい竿に干し物をという様でしょうか。
さて、須美さんの自由句です。
嬰児の握る手固く夏初め 須美
生命力に満ち満ちた一句ですね。五月生まれの子は強いと聞いたことがあります。「夏初め」が効いていると思いました。
郁子さん:赤ちゃんの湿り気のあるちいさな手、その握力は想像以上に力があります。 生まれたての透き通るような皮膚感は夏初めにぴったりです
結宇さん:生まれたばかりの嬰児ですね。暖かくなるこれから一所懸命育っていく様を想像しました。未来あるのはいいですね。
ご家族が増えて幸せホルモンが出ておられる須美さん。これからもお孫さんの成長とともに明るい俳句を作ってくれそうです。乞ご期待!麗子
2021・5月題詠「五月など」
① 通学の車輛定まる五月来る(千香子) 麗子 佐保子 須美
② 帆船の白き航跡五月来る(亜子) 等
③ 五月来て会ふ花は皆白ばかり(佐保子) 殿
④ フリスビー双子ジャンプの五月空(結宇) 麗子 須美
⑤ 銀輪を連ね男の子の五月かな(晴代) 結宇 等 郁子 泉
⑥ 逆光の田水撥ね上げ五月の鴨(等) 能登 泉
⑦ 五月雨や 大師と濡れる 二人旅(紅) 竹葉 殿 亜子
⑧ 五月雨や辺り一面青々と(泉)
⑨ 五月雨や 烟<けぶ>る鎌倉 とどまれり(殿) 紅
⑩ 落水の玉弾け飛ぶ五月晴(能登) 紅 晴代 佐保子
⑪ 四世代干し竿うめて五月晴れ(須美) 竹葉 結宇 郁子 能登 晴代 遅足 佐保子 千香子
⑫ 五月晴古墳を廻る小さき旅(麗子) 結宇 等 郁子 遅足 千香子 亜子
⑬ 青絵の具田毎に流る五月晴れ(竹葉) 晴代 遅足 泉 亜子 須美
⑭ 蝶番五月の空を飛んでくる(遅足) 殿 麗子 能登 千香子
⑮ 万物が生きなむとする聖五月(郁子) 竹葉 紅
自由題
① 指揮棒に瞳集めて初夏の歌(亜子) 竹葉 紅 能登 佐保子 泉 須美
② 2階よりのうぜんかずらピアノ音(結宇) 能登
③ 嬰児の握る手固く夏初め(須美) 結宇 麗子 郁子
④ ゆさゆさと蜜蜂と藤絡み合い(泉) 竹葉 殿 能登 千香子
⑤ 背番号四十二とし青嵐(千香子) 麗子
⑥ 五月五日少女のうなじ透きとおり(晴代) 等
⑦ 野のすみれ鉢に移せばみな枯れぬ(等)
⑧ 払暁に 生まれしメダカ 胸弾む(紅) 須美
⑨ はみあとのいまだ小さき夏の蚊よ(遅足) 殿 紅 郁子 亜子
⑩ マスクして青野に遊ぶ家族連れ(佐保子) 千香子
⑪ 十薬の蕾つくんと願いごと(郁子) 結宇 晴代 遅足 泉 須美
⑫ 柿若葉 車窓いっぱい 透くみどり(殿) 竹葉 等 紅
⑬ 波打って風の足跡麦の秋(麗子) 殿 等 晴代 遅足 亜子
⑭ 木洩れ日の白きひと筋今年竹(竹葉) 結宇 晴代 遅足 佐保子 泉 亜子
⑮ ワクチンの予約の取れて燕飛ぶ(能登) 麗子 郁子 佐保子 千香子
良い句がたくさんありました。題詠トップは須美さんです!!
おめでとうございます。
東海地方は早くも梅雨入りしました。清々しい5月は意外に短かったですね。今月は「五月」のつく季語が兼題でした。結果は明日発表です。お楽しみに。
2021・5月題詠「五月など」
① 通学の車輛定まる五月来る
② 帆船の白き航跡五月来る
③ 五月来て会ふ花は皆白ばかり
④ フリスビー双子ジャンプの五月空
⑤ 銀輪を連ね男の子の五月かな
⑥ 逆光の田水撥ね上げ五月の鴨
⑦ 五月雨や 大師と濡れる 二人旅
⑧ 五月雨や辺り一面青々と
⑨ 五月雨や 烟<けぶ>る鎌倉 とどまれり
⑩ 落水の玉弾け飛ぶ五月晴
⑪ 四世代干し竿うめて五月晴れ
⑫ 五月晴古墳を廻る小さき旅
⑬ 青絵の具田毎に流る五月晴れ
⑭ 蝶番五月の空を飛んでくる
⑮ 万物が生きなむとする聖五月
自由題
① 指揮棒に瞳集めて初夏の歌
② 2階よりのうぜんかずらピアノ音
③ 嬰児の握る手固く夏初め
④ ゆさゆさと蜜蜂と藤絡み合い
⑤ 背番号四十二とし青嵐
⑥ 五月五日少女のうなじ透きとおり
⑦ 野のすみれ鉢に移せばみな枯れぬ
⑧ 払暁に 生まれしメダカ 胸弾む
⑨ はみあとのいまだ小さき夏の蚊よ
⑩ マスクして青野に遊ぶ家族連れ
⑪ 十薬の蕾つくんと願いごと
⑫ 柿若葉 車窓いっぱい 透くみどり
⑬ 波打って風の足跡麦の秋
⑭ 木洩れ日の白きひと筋今年竹
⑮ ワクチンの予約の取れて燕飛ぶ
建長寺は広大な敷地を持つ鎌倉の禅寺。奥の院となる半僧坊まで登ると「天園ハイキングコース」という鎌倉自然歩道と合流します。誰もいない「散在ガ池森林公園」を散策。しかし建長寺で鳴いていた松蝉ばかりか鳥の声すらありません。寺域として保護された自然林と人工的な森の違いでしょうか。遠く相模の海がキラキラと光ります。
鎌倉の叔父宅を撤去。庭に残した離れにコロナ疎開をしています。大学はリモート講義ばかり。通勤の時間がなくなったので鎌倉散歩を日課としています。今回は北鎌倉の建長寺を訪れました。建長寺は境内の「点心庵」でお茶を楽しむことができます。点心庵は庭の風景を切り取ったような丸窓の写真で有名。禅寺の丸窓は「悟りの窓」といわれ大宇宙を表しているとの由。ちなみに四角い窓は「迷いの窓」といわれています。悟りを得ると禅寺の丸い窓から己の心を眺めることができるそうです。しかし見えるのは鮮やかな新緑のみ。松蝉の鳴き声が点心庵を包みます。
先月の自由題では、この句も票を集めました。いただいたコメントを紹介します。
これは秀逸ですね。私の想像でしかないのですが、小抽斗というのは、昔の言葉ですね。そんな場の切り抜きは、着物の端切れとかと思うのですが。 新聞の切り抜きでないと思いたい。 勝手に失礼。。結宇
切り抜きを取っておくと、引き出しの中はどんどん増えていってしまう・・。古い思い出や過去は何処かで捨てなければ・・・。等
「小引き出し」がポイントだと思いました。気になる記事の切り抜きが増えて行く春の憂鬱。きちんと新聞を切り抜く作者の真摯な姿が想像できます 麗子
小引き出しがいいな 須美
春の憂い。新聞の切り抜きは増えるばかり。切り抜きがあふれそうになっている子引き出し。どんな記事が切り抜かれているか?原発問題か?はたまたお料理か?切り抜きは見返すと当時の関心がわかり面白い。亜子
四月句会に提出された句をご紹介するうちにすっかり季節は変わりました。
「五月」の句も揃ったようです。また皆さんからの選句をいただいていきますので、よろしくお願いします。郁子
先月の自由題で高得点を集めた結宇さんの句。平和公園をよく散歩されるそうです。そんな中古い墓石を見つけ、儚い桜と亡き兵士に思いを馳せたのでしょう。
いただいたコメントをご紹介します。
亜子さん:平和公園には兵士の墓がある。明治、大正のものもあり、古びて苔むしている。お墓と桜はなぜかよく似合う。
能登さん:花盛りの後、その陰にに忘れられたような墓碑。明治期の戦没者のものでしょうか。栄枯盛衰?そこに着目された作者に脱帽です。
等さん:桜が散る兵士のお墓には「明治」と彫られています。我々が生き育った「昭和」もやがて古くなり、
消え去るのですね。
私事ですが義父が亡くなり今お墓をどうしようかと迷っています。将来、墓守をする人がいなくなっても、どこかの誰かの目に触れることもあるのかと。。最近は墓じまいや樹木葬、合祀などお墓問題が私たちの世代では話題になっています。令和のお墓事情です。
昨日は郁子さんと東谷山へ登りました。古代のどなたかのお墓である古墳に手を合わせました。麗子
鎌倉で有名な地名といえば「雪ノ下」と「月影ケ谷」でしょうか。雪ノ下は、源頼朝の食膳用の雪を貯蔵する氷室があったといわれています。月影ケ谷は「十六夜日記」の著者である藤原為家の妻「阿仏尼」が庵を結んだ地。ちなみに、大学時代は京都で過ごしました。1年目は上賀茂神社から御園橋を渡った「紫竹野」<しちくの> 。2年目に雲母坂<きららざか> 下の「北終町」<かみはてちょう> に転居しました。京都は難読な地名が多いので、京都人はルビをつけるか、ひらがな表記したりします。
ところで、京都で「きつねうどん」を注文すると「たぬきうどん」が出てきます。さらに「たぬきうどん」を頼むと「あんかけうどん」となり、京都の狐狸に騙された感。