575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

凍   麗

2008年07月31日 | Weblog
あまりの暑さにタイトルに惹かれて読んだ沢木耕太郎の「凍」。
読み進めていくとなんと先日テレビで見たばかりの登山家夫婦の話でした。

各局のドキュメンタリー番組ばかりを集めたザ・ベストテレビで紹介された
「夫婦で挑んだ白夜の大岸壁」。
その夫婦とはクライマーの山野井泰史・妙子夫妻。この夫婦は数年前
ヒマラヤのギャチュンカンという8000メートル級の登山でなだれに巻き込まれ奥さんは20本のうち18本の指を失い(両手はすべて)泰史氏もほとんどの指を失っていました。
そんな二人が再挑戦として選んだ場所がグリーンランドの1300メートルの大岸壁クライム。
映像を見てなぜこんなにまでして山に登るのかわからないままでした。

でも本を読んでこの二人の思いが少しわかりました。
つきなみだけど「本当に山が好き」なのだと。
本ではその指を失った過酷な登攀の様子と下山までの極限の記録が生々しく
暑さを忘れ一晩で読み上げてしまいました。
以前、宮本輝氏が「私は50歳を超えた人の情熱しか信じない」
と言っていたことが思い出されました。
妙子夫人は51歳です。

夏バテ気味の夜にお勧めの一冊です。
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匂をコトバで    遅足

2008年07月30日 | Weblog
東海シニア自然大学の講座で、
春日井少年自然の家に行ってきました。
名古屋から車で一時間たらずの場所で、緑が一杯。
木陰に入れば涼しい風もあり、とても良い所です。

今回の講座は「森と遊ぶ」。午前に講義、午後実習。
いろいろな楽しみ方がありますが、
なかに俳句を使った楽しみ方がありました。

「森の句会(俳句で俳句)」
季語も575の気にしない。
好きな場所をさがして、ゆっくりと身を置く。
感じたことを俳句にする。
完成にいたらなくても、表現することで
感じ方が変わったかどうか?がポイントだとのこと。
これは子どもたちと森で遊ぶ時に有効な方法の一つだそうです。

    

今回は俳句の授業はありませんでした。
その代わりに「匂」を森の中で探し、コトバで表現するという課題。

5人で挑戦しました。
ウツギの花は「甘い」
コナラの樹液は「甘酸っぱい」
リョウブは「プリンセスの香り」
キノコは「土に還るニオイ」
アカメガシワは「夕焼5分前の匂」
・・・

匂を表現する言葉は、案外少なく、とてもムツカシイ。

一度、兼題で「匂」を詠むのに挑戦しませんか?

   



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熱帯夜エレジー   鳥野

2008年07月29日 | Weblog
連日の酷暑、何時まで続くのかこの熱帯夜は。当方両脇を39度の毛むくじゃらに挟まれて、堪ったものではありません。

寝苦しく早々に目覚めて、枕元のラジオをつけると、聞き覚えのある歌声が。

♪愛は愛とて何になる・・・、あの、あがた森魚の「赤色エレジー」です。

五木寛之のトーク番組「わが人生の歌語り」に織り込まれていました。

ラジカルに変革を叫ぶのでもなく、じんわりと訴える反体制。懐かしいなー。

「夢千代日記」のアンちゃん役も忘れられない。

たまには虚け老人の"夜明け語り"もいいかもね。森魚の結句ではないけれど
「お泪頂戴ありがとう」
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秋の夜と夜の秋           愚足

2008年07月28日 | Weblog
 素人には「秋の夜」は分かるが「夜の秋」は分かりにくい。

 秋の夜は秋の季語、夜の秋は夏の季語だそうで、この違いがポイントなのだそうだ。

 秋の夜の句  秋の夜の猫のあけたる障子かな     細川加賀
        酒も少しは飲む父なるぞ秋の夜は    大串 章
        秋の夜を生まれて間なきものと寝る   山口誓子

 夜の秋の句  西鶴の女みな死ぬ夜の秋        長谷川かな女
        夜は秋ひやりとふれし椅子の肘     臼田亜浪
        灯の下の波がひらりと夜の秋      飯田龍太
        山の湖を灯のふちどりて夜の秋     伊藤柏翠

 百聞は一読にしかず、こう並べて見ると納得。

 しかし、この暑さ「夜の秋」は見つからぬ。
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なぜ生まれたのかを考える          愚足

2008年07月27日 | Weblog
 こう暑いと扇風機を引き寄せて天井を見るのみ。
 退屈なので俳句をつくろうと思い立つ。
 ひらのぼこ氏の「俳句の発想」の課題を思い出す。

 「理由を考えて作ってみる」の練習題。

 「なぜ生まれたのか」で句作する。

   模範解答   母を見にちょっと生まれし二月かな     松葉久美子
            じゃんけんで負けて蛍に生まれたの     池田澄子

   練習句    防空壕勝男勝男と生まれけり
           鎖の輪また一つ増ゆ炎暑かな
           風鈴を聴きに日本に生まれたの

 ★ああ暑い、発想が陳腐、厭になった。
 
          
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どくだみや闇へ吐き出す白い毒   朱露

2008年07月26日 | Weblog

    湿地にはびこり強く根を張り花は白。
    ハート型の葉を潰すと絶望的な悪臭。
    ヤケドに効くよと母が言ったものだ。
    我が家の夏はどくだみの花と共存だ。

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頭の中で白い夏野となつてゐる    高屋窓秋

2008年07月26日 | Weblog
この句について荻原先生がブログに書いてみえましたので、
転載させていただきます。

   

第一句集『白い夏野』(一九三六年)に収録された一句。
初出は一九三二年=昭和七年の「馬酔木」だという。
俳句史的には、俳句における抽象表現の嚆矢、と理解しておけばいいだろうか。
草木の緑とその背景の空の青とが夏野の色彩の基調かと思われるが、
ここでは「白い夏野」と言っている。

現代の感覚ならば、「白い夏野」とあるだけで、
夏野を見ていて夏野に夏野以上の何かを感じて、
それで「白い」の一語を得たと解されると思う。
実景のなかに抽象化された心象を埋めこむのはそれほど珍しいことではない。
それを「頭の中で」と書いて、何かが白い夏野になっている、
何かが白い夏野を感じさせる、という文脈をわざわざ露呈しているのは、
ただの実景ではないとことわりを入れなければすべてが実景の再現だと
読まれてしまうような俳句の場があったということなのだろうか。
史的背景をあまり考えないで読むと、
この「頭の中で」はちょっとうるさい気もする。

                     (遅足)


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珊瑚樹は枝まで珊瑚        草女

2008年07月25日 | Weblog
 夏の終わりからサンゴジュの赤い実が目立つようになる。イカズラ科ガマズミ属の常緑高木。自然のままであれば高さ20㍍にもなるが、自生のサンゴジュに出会うことはこの近辺ではほとんどない。というのもこの木はもっと暖かい地方の樹なだからだ。この地方でも庭木や生垣に良く使われているのはサンゴジュが炎に出会うと水を噴出すと言われているからである。
 言うまでもなく、サンゴジュは珊瑚樹と書くが今までその赤い実からその名が付いているのだろうと思っていた。
 海上の森の人家跡にも立派な珊瑚樹があって、6月下旬の観察会では花盛りであったので、何気なく花序を手元に引き寄せて観察してみた。
 何と珊瑚は実だけではなかった。沢山の花柄が紅色でその形態も珊瑚そっくり。
 調べてみると「赤い沢山の実をつけ、枝も赤く染まるので珊瑚樹」とちやんと書いてある。何となく分かったつもりではいけない。実際にこの目で確かめることが大切だと痛感した次第だ。
 


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月下美人  麗

2008年07月24日 | Weblog
先日、大阪の母から興奮気味で電話がありました。
月下美人の花が満月の夜に一夜かぎり咲いたとか。

夕方から濃厚な香りを放ち始め、
渾身の力で咲き始めた様子は植物とは思えず、
まるでお産をしているようだったそうです。
朝方咲き終わって静かに横たわっている感じがまさに大仕事をやり遂げた
あとの風情とか。
月の夜に照らされて息づいているような月下美人。
実は我が家にも挿し芽でもらった月下美人があります
来年は花をつけてくれるかな?
そういえば今朝のラジオでドラゴンフルーツの花も
なぜか満月の夜に咲くと言っていました。
これまた月の光や引力と関係あるのでしょうか?自然の神秘。
でも地震だけは恐ろしいですね。

     陣痛の起こりし月下美人かな   麗

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天の川改札口を通る猫    遅足

2008年07月23日 | Weblog
e船団のホームページで診断していただいた句です。
診断の結果です。

     

 このまま読み下せば、銀河鉄道の改札口を今、
一匹の猫が通っていきました、と、、、メルヘンチックで、
この後がいろいろ想像できます。
 句の構造でいえば、天の川で一応切れる。
そうすると俄かに「改札口を通る猫」が
現実の駅の風景にも見えてきて
「天の川」も、あっ!七夕ですか?という感じ。
猫がいけないのかもしれません。
じゃあ犬か?そういうことでもないのですが。
 類想はあるかもしれませんが、
ここでは天の川の改札口(ここが売りです)を活かして、
あとを劇的に飛躍させてしまったらどうでしょうか。
言うだけ言って私に妙案はありません。
    
先生は岡野ドクターです。ありがとうございます。



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頭のなかで白い夏野となってゐる   高屋窓秋

2008年07月23日 | Weblog
はじめて読んだ時から、ヘンな句だなと思ってきました。
今もそう思っています。

第一、主語がない。なにが白い夏野となっているのか?
そう荻原先生にたずねてみました。
その答えです。

   

書かれていない場合は、まず適当にあてはめてみる。
最初に、作者である「私」

 頭のなかで、私が白い夏野になっている

次に「君」

 君が、私の頭の中で白い夏野になっている

「母」、「人々」、「世界」など・・・

どれを入れても読めますが、
私は、君が頭のなかで白い夏野となっているが好きです。

読者が自由に読み込める余白の大きな句です。
いずれにしても「白い夏野」というイメージが
どんな主語をも支える力を持っているとのことです。

    

えっ?
この答えを聞いたのは、かなり前です。
今も「?」は消えていません。
どなたか目の前の霧を晴らして下さい。  遅足


  


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センコ花火と思ってた

2008年07月22日 | Weblog
花火大会の開催を知らせるポスターを見かけるようになると、夏も本番。気持ちも勇みたちます。

♪ドンと鳴った花火だ・・のあの豪快な炸裂音、空いっぱいに咲く光の華。打ち上げも仕掛けも、終幕のスターマインにも心が躍ります。

なかでも、忘れられないのは、線香花火。チマチマと地味なあの”おもちゃ花火”の持つ魅力は格別です。意味も分らずセンコハナビと呼んでいた頃が懐かしい。

21日付け中日新聞の「くらし歳時記」では、「一本が燃え尽きるまでの繊細な起承転結」と言っていました。なるほど。
その途中にそれぞれ名があるとも。はじめの玉は牡丹、松葉になって終りは「散り菊」。

チカチカっと細い光の線が走って、玉がブルッと震うのをみんなが見つめています。そして闇。
火種にと親が用意した蚊取り線香の輪も小さくなっていました。

  ・想いだけはうけとりました遠花火 本音を言わぬ君の伝言

  ・線香花火のおわりの玉がふるえおり やがての闇のふかさ計りて
                              
                            鳥野


   



    
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秋風は何処へ吹く            愚足

2008年07月21日 | Weblog
★困った時の俳句クイズ頼みです。次の秋風はどんな下五に続くでしょう。

 ① 秋風のこらへきれずに(      )   比奈夫

 ② 秋風のどこかにいつも(      )   耕二

 ③ 秋風のどこにも吹けり(      )   立子

 ④ 秋風の吹きわたりけり(      )   鬼貫

 ⑤ 秋風の吹きくる方に (      )   普羅

  あ・・帰るなり   い・・吹く日かな   う・・母の声   
  え・・人の顔    お・・竜飛崎
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あのジュリーの新曲    遅足

2008年07月20日 | Weblog
あの沢田研二の新しいアルバムROCKN' ROLL MARCHの中に
こんな曲があるそうです。

    


   我が窮状     沢田研二作詞

麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが 
忌まわしい時代に 遡るのは 賢明じゃない
英霊の涙に変えて 授かった宝だ
この窮状 救うために 声なき声よ集え
我が窮状 守りきれたら 残す未来輝くよ

麗しの国 日本の核が 歯車を狂わせたんだ
老いたるは無力を気骨に変えて 礎石となろうぜ
諦めは取り返せない 過ちを招くだけ
この窮状 救いたいよ 声に集め歌おう
我が窮状 守れないなら 真の平和ありえない

この窮状 救えるのは静かに通る言葉
我が窮状 守りきりたい 許し合い 信じよう

    

なかなか面白い歌ですね。聴いてみたいな。
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ここにある心臓 ここにある金魚   松本みゆき

2008年07月20日 | Weblog
今朝のNHK俳句の入選作です。

選者の正木ゆう子さんは、
私の心臓。金魚のような私の心臓・・・。
また、金魚鉢のなかの金魚を見ている景。
両方にとれる句と評していました。

俳句の取り合わせというテクニックを
見事に使った句だと思います。

私は金魚を飼っているので、
金魚を見ている景を思い浮かべました。
雑金を求めて5年余りに。
2倍以上に太りました。
そのうちにどこかの池に放してやろうかとも。

この句、命の鼓動を感じさせ、
ちょっと切ない感じがしますが・・・
                   遅足


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