575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

新蕎麦や山水食らう峡の宿  紅

2020年11月30日 | Weblog

◆山峡の美しい水をたっぷり使って打った蕎麦を出す宿、おいしそう。(千香子)
◆山水は「さんすい」と解釈。山と水のある風景を食べる。思わず吐息がこぼれます。(殿)

読み仮名をつけてくださったおかげで
峡の宿を 「かいのやど」と読むのだと知りました。

「峡」すなわち両側に山が迫っている所。山と山の間。
いかにも温泉が湧いていそうで、いかにもその土地でとれた蕎麦を打って
野趣あふれる山菜とともに食べさせてくれそうな
山間のひなびた宿が目に浮かんできました。
殿様の言う通り、風景もご馳走として召しあがったと思います。

また、この句は声に出して気持ちがよいのです。音の並びとして、
「新蕎麦」「山水」のS  「食らう」「峡」の K という
摩擦音と破裂音の無声の子音が続くことで口が喜んでしまうのです。
そして、切れ字の「や」、宿<やど>のÝがやさしく響きあうという設計図も見えてきました。

俳句は、文字だけでなく発音することでさらに良さが増すものがあるように思います。郁子
コメント (1)
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「自由律の女優俳人」

2020年11月29日 | Weblog



夏目雅子<なつめまさこ> 1957年 横浜の生まれ。
江戸時代は徳川家の御典医。時を経て雑貨商を六
本木で営んでいました。やがて、東京オリンピッ
クの道路拡張により貸しビル業に転向して財を築
きます。夏目は東京女学館短期大学で仏語を専攻。
しかし、在学中に懇願され出演したTVCMが原因
で中退を余儀なくされたことで、芸能界入りを反
対していた母との確執に悩むことになります。

1977年 カネボウ 夏のキャンペーンガールに抜擢。
このTVCMによりスターダムの階段を駆けあがり
ます。さらに、夏目はTVCMで使われた曲を和訳
して歌手としてのデビューも果たします。ちなみ
に、このTVCMのディレクターが、その後、直木
賞作家となり、夏目の夫となる伊集院静です。ま
た、田中好子は夏目の兄の妻。

夏目は、都内でも裕福で垢抜けた才媛の集まる東京
女学館です。しかし、17歳の夏目は古ぼけた老人の
趣味といわれていた俳句に没頭します。やがて、伊
集院に誘われ写真家の浅井慎平が主宰する「東京俳
句倶楽部」に入会。夏目の俳号は「海童」でした。

「傾けば 冬の夜に 温」<海童>

夏目は、自由律を好むために破調が多く、尾崎放哉
のごとく音数に齟齬が生じることをあえて楽しんで
いた印象があります。

「時雨れてよ 足元が歪むほどに」<海童>

「寒空に 赤い火は 有り難い」<海童>

上記の「寒空」の句など、種田山頭火を彷彿。夏目
は放浪の俳人たちを私淑していたといわれています。

夏目雅子。白血病にて急逝。享年27歳。最後の句は
慶應病院から眺めた神宮の花火といわれています。

「間断の 音なき空に 星花火」<海童>

キヤノンの仕事でお世話になりました。あらためて、
ご冥福をお祈りいたします。

「叩いても 叩いても 咳(しはぶ)いて壊れた」<海童>


写真と文<殿>
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「窓烏」

2020年11月28日 | Weblog


吉行和子<よしゆきかずこ> 1935年 都内の生まれ。
父は詩人で作家の吉行エイスケ、母親は連続テレビ
小説「あぐり」のモデルになった美容師。兄は作家
の吉行淳之介で妹は詩人の吉行理恵。吉行は文筆業
の家に育っています。そのため、家族間の会話がな
く孤独になれた子どもといった印象があります。

「とげぬきの 地蔵洗ふや 夏の雲」<窓烏>

1954年に女子学院高等学校を卒業。劇団民藝の裏方
に入団。しかし「アンネの日記」の主役に急遽抜擢さ
れ女優の道を歩むことになります。1974年「紀伊国
屋演劇賞」を受賞。1978年の「愛の亡霊」では「日
本アカデミー賞」を受賞するなど与えられた役柄を大
胆に演じきる女優として賞賛を浴びています。

「眺めよき 夏の野菜を 買ひ揃へ」<窓烏>

俳句は、岸田今日子と冨士眞奈美に勧められ始めて
います。俳号は「窓烏」 <まどからす> いまは亡き
冨士眞奈美と「おんなふたり奥の細道 迷い道」を共
著。出版記念会では、女優業より随筆を生業とした
いと黒柳徹子やタモリに語っています。

「恋といふ 字の遠ざかり 梅雨明ける」<窓烏>

吉行は「伊藤園おーいお茶新俳句大賞」で審査員を
務めています。当賞は応募句数200万。応募人数50
万人を数える日本を代表する俳句の祭典といわれて
います。吉行は選定にあたり、花鳥風月に縛られな
い自由で明るい句に出会いたいと語っています。

「語ること 多く残して 寒椿」<窓烏>

吉行和子。現在85歳。女優、エッセイスト、俳人。
最新の著作「老嬢は今日も上機嫌」新潮文庫刊。孤
独と向き合う女性。爽やかな読後感が楽しめる一冊。

「そしていま、一人になった」<窓烏>

写真と文<殿>
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新蕎麦の香の恋しかり夫の病む 佐保子

2020年11月27日 | Weblog
新蕎麦というのは、やはり香りが違うのでしょうか。
そば通の方に聞いてみたいです。

選んだ方のコメントです。
◆香が恋しいという表現からまた一緒に食べたい、だけでなく
楽しかった頃を思い出す切なさを感じました。(竹葉)

◆病に襲われた時はつらいですよね。 香り少しでも心安らぐといいですね。 病を少しでも忘れて・・・。(結宇)

私もとりました。
今年の新蕎麦を食べることは叶わないのでしょうか。ちょっと切ないですね。

辛いとき、人は楽しかった思い出を手繰り寄せます。
そのときに「香り」は重要な役割を果たしてくれます。
というのも嗅覚は、視覚や聴覚とは違い、
偏桃体と海馬という記憶と感情を処理する部位につながっているからだそうです。
花の香りや食べ物の香りなどが、記憶を呼び覚ますきっかけになったりもします。


この句は、香の恋しかり~ですから
作者の「香り」にともなう記憶はあざやかでしょう。おそらく夫との共通の思い出。
たくさん年月を重ね、思い出も多ければこその夫婦の情愛を感じます。
逆に思い出を語りあうことで、香りがたってくるのかもしれませんね。郁子

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木曽に来て至福の香り走り蕎麦  亜子

2020年11月26日 | Weblog
9月、10月ごろになるともう蕎麦の走りが出てきます。
木曽の新蕎麦を香りとともに味わう至福の時。
作者の亜子さんは今ご自宅でご主人の介護をされています。
何度もお二人で訪れた木曽。思い出の味であると思います。

選句された等さん:「この地方では蕎麦の名所はやはり木曽ですか。木曽で味わう新蕎麦はたまらないですね。」

同じ木曽を舞台に作られた能登さんの句は

       「新蕎麦や開田高原の風匂う」

竹葉さん:「開田高原の思い出の風の匂いって、きっと新蕎麦の思い出も入ってておしゃれだと思いました。」
泉さん:「 蕎麦畑の景色がでて新蕎麦を食べると高原の匂いがする。」

情景が目に浮かび、開田高原の風の心地よさも想像できるとてもいい句だと思いました。当地に出かけた方でないと作れない一句ですね。
早くコロナが収まってまた木曽にお蕎麦を食べに行きたいですね。 麗子


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新蕎麦を音なくすする異邦人  殿

2020年11月25日 | Weblog
 昨日に続き すするの句です

「欧米で食べる音はご法度。独国のヨハンは静かに蕎麦をすすります」
と、作者の注釈がありました。
 新蕎麦と異邦人という取り合わせが面白いですね。

◆外国人が苦戦してそばを食べる様子が楽しいですね (紅)
◆分かります。しかし、異邦人は日本人を不作法な奴らと思っているのかな (能登)
◆爪を綺麗に塗ったお嬢さんの箸使いが浮かびます(智恵)

私もいただきました。最近はすするという動作ができない若者も増えているようで
異邦人は国内でも増殖傾向です。

取り合わせで面白い句として

 新蕎麦やライダー集う道の駅 麗子

◆ライダーとの設定はいいですね。 いまどきの若者を想像したくなるのですが、さっとざる一枚食べて風のように去ってゆくといったところですね。 よく味わったのかどうかは、問わない。(結宇)
◆ライダー! 近年、中高年のライダーが多い。道の駅でもライダー達が美味しそうに新蕎麦を食べている光景がわかる。(泉)


 新蕎麦だぜ老爺(ロウヤ)指差す峠かな 結宇

 この句は、老爺が「~だぜ!」と弾んだ言葉になってしまうという妙でしょうか。

◆年金組合のウオーキングサークルでしょうか、峠はもうそこだ、「新蕎麦たべるぞー」と大声が響き、もうひと踏ん張りと、皆は頑張る元気が湧いてきた。(千香子)

選者、千香子さんの想像力にも脱帽です!
「だぜ!」で老爺や仲間に熱い血が通います。
この老爺たち、ライダーだったりしたらさらに面白くなりそう。。郁子
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新蕎麦をすすりて友の生返事  郁子

2020年11月24日 | Weblog
この句のポイントは「生返事」ですね。 俳諧味のあるユニークな一句。蕎麦を味わっている最中に話しかけられてもなかなか返事できませんよね。あるいは、友人は何かの事情で心ここにあらずでしょうか?

結宇さん:雰囲気が分かります。 注意はそちらへと言った図式ですよね。 滑稽味というか、そんな感じを持ちます。

すみさん:新蕎麦があまりにも美味しくて生返事になってしまうのかな?

今回の句会では「すする」という語を入れて句を作った方が4名いらっしゃいました。あのズルズルという音は蕎麦ならではですね。

「思い切りすする新蕎麦一口目」は竹葉さんの句。
新蕎麦の一口目、勢いよくすする様子が目に浮かびます。時に、ワサビでむせてしまうような(笑)
明日も「すする」俳句ご紹介します。

千香子さんから「こうすればよかったよ」というアドバイスが欲しいとのご意見を頂きました。遅足さんのアドバイスが欲しいところですが、今はまだ難しいご様子なので、選句しなかった皆さんもコメント欄に、感想やもっと良くなるひとことをお気軽に入れてくださいね。

                               麗子


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新蕎麦やすすりて後の善光寺  千香子

2020年11月23日 | Weblog
作者の千香子さん。
妙高へ行く途中長野駅前で食べたそばが、これまでに食べた中で1番おいしいそばだったそうです。時間があり善光寺もお参りされたとのこと。

花より団子ならぬ「寺より新蕎麦」ですね(笑)まずはお蕎麦を食べて、お参りはそのあとです。

では選句された皆さんからのコメントです。

★「善光寺」への流れがスムーズ。なかなかこうは行きません。 (能登さん)
★旅の目的の優先順位が、わかりました。 (智恵さん)
★お参りするのはまず新蕎麦を食べてから? (すみさん)
★信州へ来れば善光寺、善光寺へ行く前にまず蕎麦というのが常道ですね。参道では蕎麦屋さ んが軒を連ねています。(等さん)
★新蕎麦を食べた後に善光寺に参る満足感を感じる。(泉さん)

地名や固有名詞を入れるのは時に難しいことがありますが、「すすりて後の善光寺」。「後の」が利いています。そして、皆が知っている善光寺。まさに、牛に引かれるかのように良い方向に導かれ、見事に着地した感じがしました。麗子








コメント (4)
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「きょうも涙の日が落ちる」

2020年11月23日 | Weblog



渥美清<あつみきよし> 1928年都内上野の生
まれ。父は新聞記者、母は小学校の教師です。
1942年に巣鴨中学校に入学しますが、東京大
空襲で自宅を失います。そのため工場で働き
露天商などもして糊口を凌ぎます。

1946年、中央大学の商学部に入学。やがて、
大宮の日活館で初舞台を踏むことにより俳優
の道へ本格的に進むことになります。ちなみ
に、芸名の「渥美」は愛知県の渥美半島のこ
とで「清」は座長が別の役者と間違えて呼び
そのままになったといわれています。

1951年、浅草のフランス座の専属となります。
当時のフランス座は、関敬六、東八郎、長門
勇など一流のコメディアンが活躍。喜劇役者
への登龍門といわれていました。1961年「夢
で会いましょう」というNHKの人気テレビ番
組に出演。1962年の「あいつばかりが何故も
てる」で映画の主演を務めます。

1968年に山田洋次の脚本による「男はつらい
よ」がテレビで放送。高視聴率を得たことから
映画化。「男はつらいよ」は27年間で48作品
という、ギネス記録にも認定される世界的なロ
ングヒット映画となります。

「村の子が くれた林檎ひとつ 旅いそぐ」<風天>

渥美は映画の放埓な寅さんと違い、寡黙で真面
目な性格。私生活は一切明らかにせず、山田監
督も結婚したことや住所を知らなかったという
エピソードがあります。

「蛍消え 髪の匂いの なかに居る」<風天>

渥美の俳句好きは有名で、俳号は「風天」。あ
る時、俳人の尾崎放哉をドラマにしたいと友人
の早坂暁<脚本家>に持ちかけます。しかし、橋
爪功を放哉役にNHKがドラマ化してしまいます。
渥美は次に種田山頭火に注目。渥美が取材旅行
をおこない早坂暁が脚本を書きますが、すでに
「男はつらいよ」は国民的映画。ほのぼのとし
た寅さんのイメージが壊れると反対され、山頭
火の役はフランキー堺で制作されます。ちなみ
に「山頭火なんでこんなに淋しい風ふく」はモ
ンテカルロ最優秀賞を受賞しています。

「ポトリと 言ったような気がする 毛虫かな」<風天>

渥美は雑誌「アエラ」が主催する「アエラ句会」
の会員。句会で詠まれた句は「風天 渥美清のう
た」森英介<著>として新春文庫より発刊されて
います。

「台所 誰も居なくて 浅利泣く」<風天>

余談ですが、仕事で本人にコメントを依頼して
いたことがあります。しかし、いつも締め切り
を過ぎてしまい代筆。コメントでなく俳句を依
頼すれば一句詠んでくれたかもしれません。最
後のコメントをご紹介。

「ほら、見な、あんな雲になりてえんだよ」

渥美清 俳優そして俳人。享年68歳。


写真と文<殿>
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「宵待草の風景」

2020年11月21日 | Weblog



竹久夢二<たけひさゆめじ>1884年 岡山の酒
造業の次男として生まれます。叔父宅に寄宿
して神戸高等学校に入学。しかし、父が酒造
業を廃業したことで中退を余儀なくされ、家
族で九州に転居します。1902年 18歳の時に
早稲田大学へ入学。1905年 平民新聞に絵が
掲載されたことから早稲田大を中退して挿絵
画家としての道を歩み始めます。

1907年 読売新聞に入社。「夢二画集 春の巻」
がベストセラーとなり、雑誌「少女」に「宵
待草」の原詩が掲載され、挿絵画家であり詩
人として広く知られることになります。

絵入りの小唄集「どんたく」を出版し、日本
橋に「港屋絵草紙店」を開店します。1915年
雑誌「子供之友」と「新少女」を創刊。その
翌年、セノオ楽譜より出版された「お江戸日
本橋」の表紙画が話題となり、宮内省のバイ
オリニストが「宵待草」に曲をつけ全国的な
大ヒットとなります。

夢二は俳句を1,256句発表しています。その
多くは平民新聞への投句。平民新聞は社会主
義を信奉する幸徳秋水が主宰する左派の政治
機関紙です。しかし、夢二は政論の渦中にあ
りながら場違いとも思える乙女チックな句を
詠んでいます。

「花の下「かあいいピスの墓」とあり」<夢二>

自由詩が得意だった夢二。しかし「詩」は当
時の大衆に馴染みがありません。そこで、夢
二は俳句を「小唄風」にして詠んでいます。

「おぼろ月 お一人なのと 念を押し」<夢二>

夢二は、その言動からして社会主義を信奉し
ていません。しかし、軍部の芸術への介入を
不快に感じていたことは事実でしょう。夢二
は軍国主義を批判した句ばかり詠んでいた時
期があります。そのため、1910年の大逆事件
で拘留されています。

「廃兵を 父にもちける 御代の春」<夢二>

面長でなで肩。儚げで憂いを湛える夢二の女
性像。しかし、その実生活での恋愛は別離や
嫉妬などで苦悩に満ち、夢二の恋多き人生は
安穏ではなかったようです。

竹久夢二。享年50歳。辞世の句。

「死に隣る 眠り薬や 蛙なく」


写真と文<殿>
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立冬や迎え撃つ気の近江富士 麗子

2020年11月20日 | Weblog
自由題で 堂々トップに輝いたのは麗子さんのこの句。

お母さまを亡くし、一人暮らしになったお父さまを案じて何度も通う
名神高速道路から見える近江富士を詠みました。三上山というのだそうですね。
皆さんからのコメントのご紹介です。

◆立冬の凛とした感じに対抗するのに富士はぴったりで、迎えうつもすごい言葉だと思いました。(竹葉)
◆「迎え撃つ気」がいいですね(能登)
◆「迎え撃つ気が面白い」(すみ)
◆三上山の気合(読み手)コロナ禍と厳冬を迎え撃つぞ!(晴代』
◆来るなら来い、いつでも受けて立つ、富士の凛とした姿が浮かびます。富士に託して自分を励ましているようでもあり、頼もしい。(千香子』
◆空気も澄み、いつもよりはっきりと見える近江富士 (泉)

◆近江という設定は、芭蕉が近江を大事にした辺りと関連付けてもいいのでしょうか?
 近江富士自体は、さほどに大きくないし、目立った山じゃないですよね。 芭蕉を背景にして読みましたが。(結宇)

私もいただきました。この句の魅力は何といっても「迎え撃つ気」
自らを奮い立たせる気持ちが山に投影されています。
また結宇さんご指摘のように、それほど大きくない山とうかがうと、
くじけそうな作者の不安も感じられ、近江富士の姿がさらに愛しく浮かび上がります。
標高432m、琵琶湖の東平野にすっくとたつ円錐形の美しい近江富士、
神様が宿る神聖な三上山(近江富士)は紫式部や松尾芭蕉など多くの
歌人に詠まれているそうです。

三上山のみ夏知れる姿かな 芭蕉

新幹線からも見えるようです。今度見てみます。郁子

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新蕎麦や野武士のごとき指が打つ  遅足

2020年11月19日 | Weblog
メール句会で行われた「新蕎麦句会」。見事トップ賞に輝いたのは、現在、圧迫骨折で辛い日々をお過ごしの遅足主宰でした。俳句はどんな状況でも作れるのですね。以前、遅足さんが、「幸せな時より、ちょっと悲しい時、苦しい時の方がいい句が生まれる」とおっしゃっていたことを思い出しました。

選句された方のコメントです。

殿様「野武士の指など見たことがない筈。しかし太く武骨な指が浮かびます。」
紅さん「いかにもゴツゴツした指先の力強さが伝わります。」
能登さん「こんな容貌の打ち手が、腰の強い美味しい蕎麦を出してくれそうな気がします。」
晴代さん「野武士の指より華奢な指の方がおもしろいかな、、?」
智恵さん「蕎麦は、黒々、ゴツゴツの、こういう手で打っていただきたい。」
すみさん「 野武士のごとき指が楽しい」
等「蕎麦を打つのを見ていると、さぞ力が要るものと感じられます。特に指先には力が必要でしょうね。」
亜子さん「「野武士のごとき指」の表現が具体的で目に浮かぶ。」

私も採らせていただきました。蕎麦打ち職人の指に目をつけたのはこの句のみ。今まで何回その指で蕎麦を打ったのでしょうか?
「野武士のごとく」に職人を敬う気持ちが感じられました。

ちなみに野武士は山伏のことも指すようです。中世に全国的に広がった農民の武装集団のこと。追いはぎのようなことをしたという説もありますが、人里離れた山野で修業したのでしょう。ごつごつとした指が目に見えるようでした。

実際には見たことのない野武士を登場させたところに、病床にあっても、遅足さんの絶えることない想像力と冴えわたる描写力を見た思いでした。おめでとうございました。麗子
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新蕎麦メール句会の結果です。

2020年11月18日 | Weblog
「新蕎麦句会」はご覧のような結果になりました。
圧迫骨折でまた辛い日々をお過ごしの遅足さんが見事トップ賞に輝きました!おめでとうございます。
新蕎麦を打つ野武士のような指の動きが見えるようですね。麗子

題詠「新蕎麦」
① 木曽に来て至福の香り走り蕎麦 (亜子)等 遅足
② 新蕎麦や開田高原の風匂う (能登)竹葉 泉 遅足
③ 新蕎麦やすすりて後の善光寺 (千香子)能登 麗子 智恵 すみ 等 泉 亜子
④ 思い切りすする新蕎麦一口目 (竹葉)佐保子
⑤ 新蕎麦をすすりて友の生返事 (郁子)結宇 麗子 すみ
⑥ 新蕎麦を 音なくすする 異邦人 (殿)紅 能登 智恵 郁子
⑦ 新蕎麦やライダー集う道の駅 (麗子)結宇 晴代 郁子 泉 佐保子
⑧ 新蕎麦だぜ老爺(ロウヤ)指差す峠かな (結宇)千香子
⑨ 歩をのばし新蕎麦手繰る小昼かな (晴代)竹葉 殿 紅
⑩ 新蕎麦は明日きょうはお詫びに大盛を (等) 
⑪ 新蕎麦や野武士のごとき指が打つ (遅足)殿 紅 能登 麗子 晴代 
  智恵 すみ 等 亜子
⑫ 新蕎麦の香の恋しかり夫の病む(佐保子)竹葉 結宇 千香子 郁子 亜子
⑬ 口に笑み新蕎麦ありのお品書き (すみ)
⑭ 新蕎麦や 山水食らう 峡<かい>の宿 (紅)殿 千香子 佐保子
⑮ 新蕎麦の湯気につつまれリズミカル (泉)晴代 遅足


自由題
① 神無月輿に乗る神乗らぬ神  (遅足)殿 能登 麗子 智恵
② 賑わいは目地(メジ)のコスモス伊勢街道 (結宇)等 遅足
③ 山と川黒部のトロッコ秋深し (泉)
④ ドンドスン森かとつぐみ朝の窓 (千香子)結宇 佐保子
⑤ 月明り爺と老犬とぼとぼと (等)竹葉 千香子 すみ
⑥ 天高し何年ぶりのスキップか (晴代)すみ 郁子 亜子
⑦ 椎の実や こつんと打ちし トタン屋根 (殿) 紅 結宇 泉
⑧ 冬構え庭木ハサミの音高く (郁子)竹葉 晴代 佐保子
⑨ 臭木の実爪先に落つ風強く  (佐保子)遅足
⑩ 我待ちて裾に縋るる牛膝(いのこづち) (竹葉)殿 紅 能登 晴代
⑪ ビルの上鳩一列に秋の昼 (すみ)
⑫ 立冬や迎え撃つ気の近江富士 (麗子)竹葉 結宇 能登 晴代 千香子
  郁子 すみ 泉 亜子 佐保子
⑬ 冬来る破れ羽の蝶蟻が引く (能登) 紅 麗子 智恵 泉
⑭ みかん剥き 黄ばむ新聞 斜め読む (紅) 殿 郁子 亜子
⑮ 面会の叶はぬ夫よ火の恋し (亜子) 麗子 千香子 智恵 遅足
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11月句 作者発表!

2020年11月17日 | Weblog
穏やかな晴天続きですね。
明日のメール句会を前に、まず作者さんの発表です。
どなたの句がトップ賞に輝きますか。お楽しみに 郁子


題詠「新蕎麦」
① 木曽に来て至福の香り走り蕎麦 (亜子)
② 新蕎麦や開田高原の風匂う (能登)
③ 新蕎麦やすすりて後の善光寺 (千香子)
④ 思い切りすする新蕎麦一口目 (竹葉)
⑤ 新蕎麦をすすりて友の生返事 (郁子)
⑥ 新蕎麦を 音なくすする 異邦人 (殿)
⑦ 新蕎麦やライダー集う道の駅 (麗子)
⑧ 新蕎麦だぜ老爺(ロウヤ)指差す峠かな (結宇)
⑨ 歩をのばし新蕎麦手繰る小昼かな (晴代)
⑩ 新蕎麦は明日きょうはお詫びに大盛を (等) 
⑪ 新蕎麦や野武士のごとき指が打つ (遅足)
⑫ 新蕎麦の香の恋しかり夫の病む (佐保子)
⑬ 口に笑み新蕎麦ありのお品書き (すみ)
⑭ 新蕎麦や 山水食らう 峡<かい>の宿 (紅)
⑮ 新蕎麦の湯気につつまれリズミカル (泉)

自由題
① 神無月輿に乗る神乗らぬ神  (遅足)
② 賑わいは目地(メジ)のコスモス伊勢街道 (結宇)
③ 山と川黒部のトロッコ秋深し (泉)
④ ドンドスン森かとつぐみ朝の窓 (千香子)
⑤ 月明り爺と老犬とぼとぼと (等)
⑥ 天高し何年ぶりのスキップか (晴代)
⑦ 椎の実や こつんと打ちし トタン屋根 (殿)
⑧ 冬構え庭木ハサミの音高く (郁子)
⑨ 臭木の実爪先に落つ風強く  (佐保子)
⑩ 我待ちて裾に縋るる牛膝(いのこづち) (竹葉)
⑪ ビルの上鳩一列に秋の昼 (すみ)
⑫ 立冬や迎え撃つ気の近江富士 (麗子)
⑬ 冬来る破れ羽の蝶蟻が引く (能登)
⑭ みかん剥き 黄ばむ新聞 斜め読む (紅)
⑮ 面会の叶はぬ夫よ火の恋し (亜子)

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投句が揃いました。

2020年11月16日 | Weblog
小春日和が続いています。新蕎麦のざるを食べたいですね~。いろんな「新蕎麦」を目指し、すすり、思い出もあふれています。
どの「新蕎麦」が味わい深いでしょうか?作者、結果とともにお楽しみに。麗子


題詠「新蕎麦」
① 木曽に来て至福の香り走り蕎麦 
② 新蕎麦や開田高原の風匂う 
③ 新蕎麦やすすりて後の善光寺 
④ 思い切りすする新蕎麦一口目 
⑤ 新蕎麦をすすりて友の生返事 
⑥ 新蕎麦を 音なくすする 異邦人
⑦ 新蕎麦やライダー集う道の駅 
⑧ 新蕎麦だぜ老爺(ロウヤ)指差す峠かな 
⑨ 歩をのばし新蕎麦手繰る小昼かな 
⑩ 新蕎麦は明日きょうはお詫びに大盛を  
⑪ 新蕎麦や野武士のごとき指が打つ 
⑫ 新蕎麦の香の恋しかり夫の病む 
⑬ 口に笑み新蕎麦ありのお品書き 
⑭ 新蕎麦や 山水食らう 峡(かい)の宿 
⑮ 新蕎麦の湯気につつまれリズミカル 




自由題
① 神無月輿に乗る神乗らぬ神  
② 賑わいは目地(メジ)のコスモス伊勢街道 
③ 山と川黒部のトロッコ秋深し 
④ ドンドスン森かとつぐみ朝の窓 
⑤ 月明り爺と老犬とぼとぼと 
⑥ 天高し何年ぶりのスキップか 
⑦ 椎の実や こつんと打ちし トタン屋根
⑧ 冬構え庭木ハサミの音高く 
⑨ 臭木の実爪先に落つ風強く  
⑩ 我待ちて裾に縋るる牛膝(いのこづち) 
⑪ ビルの上鳩一列に秋の昼 
⑫ 立冬や迎え撃つ気の近江富士 
⑬ 冬来る破れ羽の蝶蟻が引く 
⑭ みかん剥き 黄ばむ新聞 斜め読む 
⑮ 面会の叶はぬ夫よ火の恋し 
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