575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

去年今年思い出せないパスワード   遅足

2019年12月31日 | Weblog

 去年今年貫く棒のごときもの

虚子の有名な句です。
この句について夏井いつき先生の解説。
去年今年。一瞬にして新年に変わる。その一瞬。そして、その永遠の繰り返し。
その両方の意味を持つ季語だそうです。

新しい電脳時代は便利な反面、老人には辛いものがあります。
今回のパソコンのトラブル。
最後の関門がパスワードの入力。
これしかないというパスワード。何回、入れても拒否されました。
相手が人間なら、話し合いでまわり道がみつかるかも・・・。
でもYESかNO。実にそっけない。

時間の流れを一直線に考える世界観。
無駄なものをそぎ落とす。目標に向かって最短距離で到達する。
効率的な世界に直面した思いです。

一方、永遠の繰り返しの世界は?
最終的には同じ厳しさが待っていますが、出口はもう少しアイマイかも。
永遠という曖昧さに救われるのでしょう。

2019年もあとわずか。今年もお世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願い致します。遅足


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うたかたの 時ぞ駆け去<い>ぬ 大晦日 <殿>

2019年12月31日 | Weblog


空を見上げれば飛行機雲がまっすぐ伸びていきます。
しかし、雲はうたかた。たちまち消えてしまうでしょう。
「舎利子、不生にして不滅、不増にして不減なり」<般若心経>
舎利子よ。<仏陀の弟子> 雲は消えてしまう。
しかし、雲は消えても水に戻っただけである。
万物は減ることも増えることもない。
釈迦の言葉が駆け抜けてゆく大晦日。

ご照覧ありがとうございます。
来年もよろしくお願い申し上げます。<殿>

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除夜の鐘 ミレーの名画 ふと偲び <殿>

2019年12月31日 | Weblog


除夜の鐘。打鐘は煩悩の数といわれる108回。
ところで、除夜の鐘といえば知恩院。
鐘は高さが3mあまり。重さ70tという国内最大級の大鐘。1
7人の僧が撞木を突き、3人の僧が一打ごとに五体投地という祈りを捧げます。
ふと、農民の夫婦が祈りを捧げるミレーの「晩鐘」を思い出しました。
世界は広く信仰はさまざま。
しかしひたむきな人々の祈りに違いはない気がします。

*ミレー フランスの画家。
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電飾の剥がされし樹々冬ざるる  亜子

2019年12月30日 | Weblog
以下、殿様の感想です。

表参道のクリスマのイルミは年明けに撤去。
その後、丸裸になった寒々とした欅を思い出しました。
情景から心情が生まれる俳句のお手本のような良句。

青山通りから原宿までは明治神宮の参道。
しかし、これを神社の参道と捉える人は皆無でしょう。
すでに、キリストの生誕祭を祝うクリスマスのイルミが
神社の参道を美しく飾っています。
このキリスト生誕祭の後、1週間過ぎると神道の参拝客で大混雑。
宗教の視点から眺めると実に不思議な表参道。

(当たり前のように見ている世界も違ってみえるんですね。遅足)
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駆け回る 猫の手眺め 大掃除 <殿>

2019年12月29日 | Weblog


年末の大掃除。
すでに、ゴミの山。
さらに、これらを分別。
大型の廃棄物は指定された場所まで
運ぶことを考えるとため息が出ます。

こんな時は、猫の手も借りたい。
ふと、猫の手を眺めます。
気持ちが通じたのでしょうか。
猫の動きが止まりました。
じーっと、こちらの様子を伺います。

無為な時間ばかり流れる冬の午後。

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またひとつ関あり賀状書くことを   遅足

2019年12月28日 | Weblog

毎年、この時期に年賀状を書いてきました。
定年後、増えてきたのが「賀状を失礼いたします」という手紙。
私も送りましたし、いただきました。
いまでは賀状もずいぶん少なくなりました。
それでも年を超えるために通る関所のようなもの。

しかしパーキンソン病が発病。さらにパソコンの故障。
ダブルパンチに年賀状を書く作業は頓挫・・・。
今年はメールだけにしようかとも。
関所破りはご法度。
まだ数日残っていますが、なやましい令和初年の暮れです。
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冬の暮飛行機雲や真東に  竹葉

2019年12月27日 | Weblog

晴れ渡った冬、陽が沈みゆく景色が好きでよく見ますが、
薄い雲を従えて陽が沈む中、飛行機雲を発見。
沈む方向と異なる方へ行く姿が印象的でした、と作者。

冬空を飛行機雲が二つにわけた印象。
詠んでから空を眺めたくなる爽快な読後感、と殿様。さらに。

私は小型飛行機の操縦を学びました。
飛行機が雲に入っても水蒸気や氷の粒なので変化など
感じない気がします。
しかし、操縦桿には雲のたしかな存在を感じます。
雲中は幻想的な世界。しかし雲中は乱急流の塊。
雲は地上から眺めるのが最も良いようです。

この句、下五の「真東に」が良いですね。夜に向かって飛ぶ。
サンテクジュペリの夜間飛行の始まり。
大学生の時、アメリカへ旅行。セスナ機の操縦桿を握りました。
もちろん無免許。ほんの一瞬のことのようでした。
でも、あの不思議な浮遊感はいまも体に残っています。遅足
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贈り物   麗

2019年12月26日 | Weblog
全くクリスマスムードのない我が家に昨日、優しいサンタさんが来てくれました。
郁子さんが、ご主人お手製のクリスマスのケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」を持って来て下さいました。
年末が誕生日の私のためにお忙しい時間を縫ってわざわざ作って下さったのです。ご主人も会社の先輩ですが、
入社当時も手作りのシュークリームをご馳走になりました。あれから30年!
年々腕をあげられ、もはやプロ顔負けの腕前。ほどよい甘さで今朝もまた頂きました。本当にありがとうございました。
もうクリスマスが楽しみな年でもありませんが、やはりサンタさんが来てくれると嬉しいです。
昨夜は子供の頃のクリスマスのプレゼントを思い出しながら眠りにつきました。郁子さんお心入れのプレゼントありがとうございました。

          クリスマス優しい人の顔浮かび   麗

   
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怠りの 埋む聖夜に 按手せし <殿>

2019年12月26日 | Weblog


聖夜<せいや> クリスマス・イブ
按手<あんしゅ> 聖書に手を置く

聖夜に歌われる賛美歌「アメージンググレース」はスコットランドの民謡が起源。
奴隷貿易の商人 “ジョン・ニュートン”が難破。
その後、敬虔な牧師として活動した彼の作詞といわれています。
ちなみに”Amzing”とは「驚き、素晴らしい」 ”grace”とは「神の恵み」のこと。
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かじけ猫 玻璃入る光 目を細め <殿>

2019年12月25日 | Weblog



かじけ猫 冬に暖かい場所でじっとしている猫
玻璃<はり> ガラス窓

猫は夜行性の動物。
目は暗視カメラになっていて色つきのモノトーン。

猫は、私たちの知らない暗視カメラの世界で生きています。
きっと、弱々しい冬の光ですら明るさに満ち溢れた映像。
彼らが眺めるモノトーンの風景。
ちょっと尋ねてみたい冬の午后。
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はしゃぎ猫脇駆けぬける大掃除  郁子

2019年12月25日 | Weblog

年の瀬のバタバタ感が共感を呼びました。
日頃掃除しないところに掃除機。
猫は興奮して、はしゃぎ、ちっとも丸くなっていません。

         

お日様に誘われ、朝から換気扇の掃除に取り掛かりました。
午前中かかっても終わりません。
体がいうことをきかない・・・・。
お昼ご飯を食べてから再度挑戦。これじゃ夕方までかかりそうです。
時間はたっぷりありますけれど。

  換気扇ひとつ洗って大掃除  遅足
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黒マスク 外す少女に 笑窪あり <殿>

2019年12月24日 | Weblog


黒マスクをする異国の少女。
母親は強制送還され教会で暮らしています。
彼女は無口。いつもひとりで遊びます。

彼女の頬には笑窪があります。
そのことを話すと、彼女は柵の狭間に顔を埋めました。
黒マスクは笑顔を隠すため。
黒マスクを外してほしいと願う聖夜の夕。

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クリスマス市サンタに抱かれ泣き出す子  等

2019年12月24日 | Weblog

クリスマス・セール。サービス精神あふれたサンタさん。
そんなサンタさんにダッコされて泣き出す子も。

クリスマスといえば赤い服のサンタさんがそりに乗ってプレゼントを配ってまわる。
というイメージですが、殿様の紹介にもあったようにお国によってクリスマスも様々なようです。
服の色もイギリスでは緑色。
また、オランダでは25日のほかに12月6日の「聖ニコラスの日」があるとか。
プレゼントが2回もらえるのかしら?
ドイツでは、悪い子は「黒いサンタ」にさらわれるという言い伝えがあるそうです。
南半球のオーストラリアでは、サンタはサーフィンをしながらやって来るとか。
でも、どの国もクリスマス・セールは盛んなようですね。遅足


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支那そばの湯気上がりゆく冬の空  狗子

2019年12月23日 | Weblog
支那そばを中華そばとすれば選句しました。
しかし「支那そば」は差別用語という論争が起きています。
そのため、TV、新聞、雑誌、などマス媒体では避けています。
575の会のブログはネットで世界に公表されています。<自動翻訳可>
差別用語か判断のわかれる語句の使用は避けた方が無難では…、と殿様。

支那そば。中華そば。ラーメン。
同じ意味ですが、この句、中華そばやラーメンでも選ばれるでしょうか?
支那そばという言葉には、どこか小春日のような温かさがあり、それが魅力となっています。
差別用語かどうかは文脈によって判断するべきものでしょうね。
この句にはそういう意識はないと思います。
しかし、その温かさ。中国や朝鮮などの国々を植民地化した結果、得られたものでしょうか。
判断は難しいですね。

今や中国は日本を抜き、アメリカと肩を並べる大国。
支那という言葉の意味合いにも微妙な変化が生まれるかもしれません。

   冬空へ支那そばの湯気龍と化す  遅足



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廃校の 音の欠片や 冬日射す <殿>

2019年12月22日 | Weblog


廃校の音。
子どもたちの声。
廊下を走る音。
楽器を演奏する音。
体操の掛け声。

さまざまな音があったと思います。
音は砕け散り欠片が残っているかもしれません。

廃校の音の欠片。
冬日が射します。
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