575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

銛を手に少年海へ真逆さま   江本絵悶

2008年08月31日 | Weblog
今朝の中日俳壇に江本さんの句が
2句も載っています。

ひとつが栗田やすし選の

  銛を手に少年海へ真逆さま

真逆さま、によって生気躍動した俳句となった
もしかしたら少年時代の作者の自画像か。
と、選者の評。

もう一句は長谷川久々子選で

  夏草の繁るにまかせ三の丸

本丸、二の丸につづく三の丸。
その辺りは手入れが行き届かず夏草が
生い繁っている。
広大な敷地とはいえ、なにやら憐れを覚える、
と選者の評です。

    

俳句には絵画派と文学派があるのかもしれません。
江本さんは、絵画派ですね。

写生によって、描かれていることの背景とか、
周囲が見えてくる。
2つとも、そういう広がりのある良い句ですね。

         遅足












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後悔をいたぶる酒の夜長かな    朱露

2008年08月30日 | Weblog

  いたぶるはまあ虐めるでいいでしょう。
  私の酒は後悔を叩きのめす健康な酒だ。
  七十過ぎてわかってもやや手遅れだが。
  酒は憂さの捨てどころなんかじゃない。

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この句は日本語じゃない。    遅足

2008年08月29日 | Weblog

生前を笑い上戸に葉鶏頭   遅足

先日の句会で、この句は日本語になっていない、という意見がありました。
生前は笑い上戸で葉鶏頭、なら分かる、とのこと。
この意見は、とても良く理解出来ました。
私も俳句を始めた頃に、全く同じ感想を持ったからです。

私も、意見を述べた方も、以前に報道の仕事をしていました。
報道の文章は、意味に、ブレやユレがあってはいけない。
正解はひとつ。正解がふたつもある記事を読まされたら、
読者は混乱してしまいます。

だから俳句には戸惑いました。
俳句は日本語じゃない。まさに名言です。
もうひとつの日本語でつくるのが俳句なんでしょうね。
これが難しいけれども楽しい。
子どもの頃から矯正されて忘れていた自分。
そんな自分を再発見していくようです。
それはどんな自分なのか?

  しづかなる水は沈みて夏の暮  正木ゆう子

  秋風や人行く方に道曲り   上田五千石

今、私にとって気になる句は、こんな句です。
この辺りに自分が失ったものがあるのかな?




 
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方言   麗

2008年08月28日 | Weblog
熊本城から黒川温泉、高千穂、久住高原とレンタカーで巡って来ました。
九州は広く移動はなかなか大変ですが行く先々で九州のお国言葉が
聞かれ楽しい一時でした。

~ばってん、~しとっと?、~しちょる

微妙に違う九州の言葉。母の故郷の大分の言葉も懐かしかった。

さて名古屋より一足先にオープンした熊本城の本丸御殿。
さすがに混み合っていましたが本丸御殿の入場料は特になく、
お城の入園料の500円のみでした。
名古屋も是非今の入園料で入れるようにしてもらいたいと思いました。
それにしても加藤清正が熊本で愛されているのがよくわかりました。
お城の隣にある加藤神社もなかなかよかったです。
熊本ラーメンもなかなかいけましたよ。
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地球未(いま)だ中天にあり鰯雲    朱露

2008年08月27日 | Weblog

    「地球温暖化」という言葉を聞いた。
    じわじわそれっぽい現象に気がつく。
    時既に遅いのかまだ何とかなるのか。
    相対的宇宙の絶対的罰当たり、人間。

 
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涼風は束の間    鳥野

2008年08月26日 | Weblog
体温を越える暑さが続いた今年の夏。
「暑いですね」の挨拶もうんざりでした。

残暑はまだまだ、と覚悟していた23日の予報が、最高25度、耳を疑いました。
真実、この朝は久しぶりの涼風、薄い夏掛けでは心許ない夜明けでした。

ニュースによれば、この日は二四節気の「処暑」。となれば天の配剤の妙です。

節気は太陽の動きに従って1年を24等分したもので、中国の戦国時代、つまり紀元前400年のころに決められたといいます。
日本では江戸時代の暦に使われ始めました。

もとが中国ゆえに日本の気候とは矛盾するため、「雑節」として土用、八十八夜、入梅、二百十日などいくつもを追加。
さらに、「本朝七十二候」なるものが登場して、桃始笑、雷発声、涼風至、などが列記されました。

節気は、俳句の季語の拠りどころでもあって、興味深いものです。

 ・ 夏は逝く わが家はきのう月光にきょう霧雨につつまれて暮れ  三枝昂之

 ・ 老犬の処暑の大地にはらばひて  細谷喨々
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ピストルがプールの硬き面にひびき  山口誓子

2008年08月25日 | Weblog
北京オリンピックも、ようやく終りました。
「メダル!メダル!」の声も消え、ちょっと淋しくて、
静かな日常がもどってきました。

オリンピックの競技の多くは、もともと、殺し合いの技術、
それを平和的なスポーツに変えて、競うものだそうです。
たっしかに、槍投げ、砲丸投げなどは敵を殺すテクニック・・・
マラソンは伝令。

オリンピックの大義は、政治を離れ、スポーツを通じて
世界の人々が仲良くすることが目的。
今度の北京オリンピックも、中国の国威を世界に示す一方、
そうした目的を充分に果たしたと思います。

しかし人間は、なぜ競技に、あんなに熱中するんでしょうね?
テレビ観戦をしながら、ふっと不思議な気がしました。
戦いの遺伝子がうずくのでしょうか?



ピストルの句は水泳のスタートを詠んだもの。
戦前ですから、ハイカラな句だったんでしょうね。

私は、この句、冬の氷のようなプールの水面に
ピストルの音がひびいて・・・と、読んでいました。

教科書にも出ている有名な句だそうで、
奥さんから、これまで、そんな風に読んだ
生徒はひとりもいない、と、言われてしまいました。

遅足





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感動体験が無くなると愚痴が増える。     遅足

2008年08月24日 | Weblog
アイデアはプレッシャーがあってこそ。
センスはコダワリが大切。
こだわりが無くなると、ドンドン落ちてゆく。
感動体験が無くなると愚痴が増える。

これは、自然の素材から作品をつくる
ネイチャークラフトの先生のコトバ。
さらに、こう続きます。

最初はマネ。模倣。
それから個性のある作品がつくれるようになる。

グループのなかでは、口が大切。
ホラは大きく吹く。
評価は他の人にまかせる。
他の人の作品をほめる。これは結構ムツカシイ。

そして最後の言葉。
行き詰ったら素材を変える。


ウーン。俳句と全く同じ。
そういえば最近、愚痴が多くなった。

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蜩の鳴くや源氏の草蛙跡    朱露

2008年08月23日 | Weblog

   我が家の向かいの赤岩寺へ頼朝が来た。
   どうもここが源平の勢力の境目らしい。
   鞍掛神社・葦毛湿原、馬に縁の言葉だ。
   鎌倉時代も現代も東の果てがここです。

   蜩はヒグラシ
   草蛙はワラジ
   赤岩寺はセキガンジ
   鞍掛はクラカケ 
   葦毛はイモウ    と読んで下さい。

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駒 草               草女

2008年08月22日 | Weblog
この夏乗鞍畳平の植物観察に参加した。今年は雪が多く遅くまで残っていたほどなので、7月下旬でももハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ等が一面に咲いていた。
 お花畑から少し上がったガレ場にはコマクサが沢山美しい花をつけていた。人の手が加わっているそうだがおかげで株は数多くあった。
 ケシ科コマクサ属の多年草。高山植物の女王と呼ばれているのは、白味がかった細かい葉と赤紫色の花の調和が美しいからだろう。
 以前高峰湖近くの湿地で、案内人が3メートルはあるフエンスの中のコマクサを指して、「人から守るためです。」と説明してくれたことがあるが、この草は盗掘しても観賞用に育てることは不可能なのだ。というのは、この草は砂が常に動くような砂礫地でないと生きていけないし、地下には50から100㎝にもなる根を持っていて移植不能である。
 この草は,全草に麻酔性アルカロイドを含み有毒である。しかし御嶽山では御駒草と呼ばれ、干したものを霊薬として御嶽神社で売っていたが、今では御嶽山の駒草は採り尽くされ他山のものに頼っているという。
 駒草は花の形が馬の顔に似ているので名づけられとは知っていたが、接写の写真を見てビックリ、馬が唇を捲くって嘶く顔そのものではないか。
 それにしても、日本語に「駒」という語があって良かったとしみじみ思う。馬草ではこの花の美しさも、霊薬の効果も薄らぐではないか。
 さて、畳平の案内人はマイカー規制されてからこの地の高山植物が確実に増えてきているとうれしそうに話してくれた。
 でも、そういうことなら排気ガスの只中で生活してい私たちは大丈夫なのしら?

   岩昃りそめて駒草昃りけり      森田  峠
   駒草や蔵王荒膚なすところ      福永 耕二
   すぐ動く駒草好み岩の風       宮津 昭彦

★タイトルをクリックして写真を拡大すると駒の顔が迫ります。
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風句会   麗

2008年08月21日 | Weblog
句を作っていた最中はまだ熱風が吹き荒れて秋の風を探すのに一苦労。
ところが、昨夜のにぎやかな句会が終わったあと、
店を出た時に感じた秋の風。
あの体感を句に出来たらと思いました。

    句会終え秋風まとう帰り道  麗

来月はどんな香りの俳句ができるか楽しみになってきました。

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8月の句会の結果です。        愚足(遅足)

2008年08月21日 | Weblog
 8月句会の結果です。
この暑さでは、題詠の風は、なかなか難しかったという声も聞かれました。
8月の会らしく、若者に戦争体験を伝える難しさや、希望が語られました。
さて句会では、どんな結果が待っていたのでしょうか?

題詠「風」
①風誘う古寺の仏の微笑みや(光洋)
②千の風千の折鶴原爆忌(亜子)愚・鳥・立・童
③野分立つするべきことがわからぬまま(朱露)麗・静
④青すすき居丈高に風つかむ(狗子)愚・麗・晴・亜・立・郁・遅
⑤山の駅降り立ち風に抱かれる(麗子)鳥・静・能
⑥風鈴の吊りどころなき住居かな(静荷)愚・鳥・郁・狗・朱
⑦水底のペンキの青や秋の風(愚足)郁・遅・童
⑧水まけば吐息に似たる草の風(郁子)晴・亜・静・立・狗
⑨潮風や砂地模様を蟹走る(立雄)晴・亜・能・朱
⑩涼風に伽藍の由来細になり(晴代)狗・遅
⑪秋風のあと秋風のまろびつつ(遅足)能
⑫サンダルに蟹のぼりきて秋の風(能登)麗・童・朱

自由題
①犬逝きてぽかり悲しき夏の雲(郁子)麗・童・能
②秋めくや追分宿ののぼり旗(晴代)鳥・狗
③のうぜんの花掃ききれず終戦日(愚足)麗・亜・遅
④新涼や今朝の一句を声に出す(麗子)亜・静・立
⑤枝豆や未だ熟さぬ者同士(朱露)愚・晴・亜・静・郁・遅・能
⑥先頭の秋の風から玉砕す(遅足)狗
⑦蝉しぐれ今日一日を懸命に(光洋)麗・晴
⑧一分の黙祷の中蝉しぐれ(狗子)愚・鳥・静・立・郁
⑨船と競り飛魚の群跳んでいる(立雄)
⑩招かざる軍艦のゐる暑さかな(亜子)鳥・晴・狗・遅
⑪鬼やんま追ふ父と子の全力走(静荷)立・能
⑫ビール飲み五輪を見るや敗戦忌(能登)愚・郁・童・朱

★次回は9月17日(水)午後6時 安田屋
 題詠は「香り・にほい」に関した句です。
☆写真は句会で話題になった「お座敷風鈴」です。タイトルをクリックすると
 拡大します。
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投句が揃いました。    遅足

2008年08月20日 | Weblog
8月句会の投句が集まりました。
題詠の風は、なかなか難しかったという声も。
さて句会では、どんな結果が待っているのでしょうか?

題詠「風」
①風誘う古寺の仏の微笑みや
②千の風千の折鶴原爆忌
③野分立つするべきことがわからぬまま
④青すすき居丈高に風つかむ
⑤山の駅降り立ち風に抱かれる
⑥風鈴の吊りどころなき住居かな
⑦水底のペンキの青や秋の風
⑧水まけば吐息に似たる草の風
⑨潮風や砂地模様を蟹走る
⑩涼風に伽藍の由来細になり
⑪秋風のあと秋風のまろびつつ
⑫サンダルに蟹のぼりきて秋の風

自由題
①犬逝きてぽかり悲しき夏の雲
②秋めくや追分宿ののぼり旗
③のうぜんの花掃ききれず終戦日
④新涼や今朝の一句を声に出す
⑤枝豆や未だ熟さぬ者同士
⑥先頭の秋の風から玉砕す
⑦蝉しぐれ今日一日を懸命に
⑧一分の黙祷の中蝉しぐれ
⑨船と競り飛魚の群跳んでいる
⑩招かざる軍艦のゐる暑さかな
⑪鬼やんま追ふ父と子の全力走
⑫ビール飲み五輪を見るや敗戦忌


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風鈴と風船を間違える    遅足

2008年08月20日 | Weblog
投句のなかの

  風鈴の吊りどころなき住居(すまい)かな

の句を、

  風船の吊りどころなき住居かな

と、記載してしまいました。
作者には、大変、申し訳ないことをしました。
ごめんなさい。

また、この間違いを見つけてくださった鳥野さんと、
連絡してくださった愚足さんに感謝です。


   
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名句が動いた   鳥野

2008年08月19日 | Weblog
近場の旅の帰路、旧中仙道・細久手宿近くの古刹、曹洞宗鷹巣山開元院に立ち寄りました。
現在の地名は瑞浪市日吉。室町時代初期に土岐氏の創建によると、書いてありました。

山門前の庭はよく手入れされて、池の趣きもなかなかです。

お盆も果て、広い駐車場には、われらが車だけ。他に人影はなく、蝉も鳥も鳴いていません。

参道を連れ立って歩いて行くと、石の上にあがっていたらしい蛙が、水に飛び込みました。

と、俳諧には縁遠い一人が

 しずけさやかえるとびこむみずのおと・・・芭蕉の風景だね、と宣ったのです。

なにげなく聞き過ごして、「あれッ」と気が付きました。
言った当人は、何の違和感もないらしい。

訂正はさておいて、そのまま味わってみました。フムフム。

芭蕉翁の名句が動いたのです。ごめんなさい。

                       

 
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