575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

風船を手首に繋ぎ子爆睡  須美

2024年03月29日 | Weblog

(横浜のアンパンマンムュージアムから帰っていく親子を見ました。子供達は手首やベビーカーに風船をくくって爆睡していました。沢山遊んで疲れたのでしょう:須美)

幼い子ならではの可愛い瞬間を写し取った一句ですね。

能登さん:遊び疲れて寝入った児の可愛さが目に浮かびます。

晴代さん:可愛い寝顔がうかびます。

千香子さん:風船と楽しく遊び疲れた子の姿が浮かびます。

亜子さん:まさにこの通りでかわいらしい句。爆睡する子の手首につながれた風船。日常生活の中で子供と風船の関係がよく捉えらえている。私が子供の頃はこのようにガスの入った風船はなかったので、風船が舞うのは平和な世の中だからこそだと思う。

私の幼い頃も、ガスの入った風船はあこがれそのものでした。だからこそでしょうか。手からはずれて空へ空へと離れていく喪失感たるや・・・

 

  風船や点となりゆく青い空  竹葉

容子さん:子どもの頃、見えなくなるまで追いました。

泉さん:水素などを入れた風船は空高く飛んでいく青い空に吸い込まれそうだ。

須美さん:とても美しい光景がパッと目に浮かぶ

須美さんの描く光景は、式典などでたくさん飛んでいくカラフルな風船の一団かもしれませんね。

私もいただきました。思わず手をゆるめて飛ばしてしまった罪悪感と、そのまま高く高く上っていく風船の想像できないほどの孤独。。小さいときの思い出がよみがえりました。

 

もう一句、とても魅かれたのが

  風船をつきつつふのつくことばをふたり  佐保子

 

ふたりで風船をつきながら「ふ」のつく言葉を言い合う。脳トレにぴったりです。こんなふうに夫婦で歳を重ねていきたいなと思いました。亜子さんも心動かされ、

 風船や ふのつく言葉ふたりして  と5・7・5の文字数にしてみたそうです。

これも良句と思います。

ただ、言葉がうまく見つからず、笑いながらぎこちなく風船をつきあう感じが字余りの方に感じたりもします。皆さんはどのように思われますか    郁子

 

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風船の日に日に萎み色の濃き  容子

2024年03月28日 | Weblog

萎んでいく風船に目を付けたところがすばらしいと思いました。「日に日に」少しずつ萎んでいく風船。色が濃くなっていく微妙な変化を捉えた見事な写生句です。

千香子さん:何でもないようなところに、気が付いているのが面白いと思いました。

須美さん:風船が日に日に萎むのは気付くが色が濃くなるところに目を付けているのが面白い。

泉さん: 風船をおいておくと 膨らんでいる時より だんだん縮んで風船の色も濃くなる。人生のようだ。

 

      さみしさを風船にのせ雲にのせ   亜子

どんな人もある種のさみしさを抱きながら過ごしていると思います。それを風船に乗せて手放していく様子。中七と下五の反復も巧妙です。

作者の亜子さんに句意を伺ったところ、今の心境句だそうです。気持ちに波があって心が沈むことも。。。風船に救いを求めて作られたそうです。

竹葉さん:よく読むとそうか、さみしさを風船にのせて空の彼方の亡き人の所へ連れてもらうのかな、と私の気持ちを詠んで頂いた感がします。「にのせ」の繰り返しがだんだん高くなる感じがしました。

能登さん:きれいな句ですね。

遅足さんも採られています。

      

     指をさす風船涙の海に消ゆ  遅足

風船が飛んでいって海に消えて行ったのか?あるいは青空を「涙の海」に見立てたのかも知れません。亜子さんの句と共通するさみしさが感じられます。

晴代さん:悔しさが涙の海でよくわかります。

           ★★★

風船は膨らんでいる時は明るく楽しいものですが、しぼんだり飛んで行ったりすると、そこはかとなく寂しいもの。なぜか心が揺さぶられますね。    麗子

 

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紙風船昭和の音がたたまれて  麗子

2024年03月22日 | Weblog

紙風船

手でつくたび形がぺしゃっと凹み、そのつど膨らまさなくてはいけません。先日、久しぶりに駄菓子と一緒に売っているのを見つけて購入しました。くるくるとカメレオンの舌のように出たり入ったりの「吹きもどし」とセットで70円!このお値打ちさにワクワク 童心に戻り即買いしてしまいました。今の子どもたちはどうなんでしょうか。

 

容子さん:  紙風船といえば“音”ですね。打つときも。

竹葉さん:「音がたたまれて」の表現が斬新で、紙風船だから分かったような気がしていいと思いました。

亜子さん: ◎の句。風船の音に注目したところがよい。紙風船は昭和の匂いがする。紙風船をつく音はやわらかく、膨らみがいい加減だとどこか頼りない音がする。

私も一番にいただきました。 亜子さんの言葉を借りてもう少しつけ足すならば、つくときの音が単一でなく、そこが魅力なのだということでした。風船をつくたび変わる様々な音に昭和の空気感。ノスタルジーを作者は感じたのでしょう。それがあの舟形にきちんと折り畳まれているとは洒落た表現です。

 

紙風船とともに思い出すのは、

ストローの先にジェル状のものをつけてつくるシャボン玉のような風船。不器用な私はつくるのがとても苦手でした。上手に口を閉じないとみるみるうちにしぼんでしまいます。その時に嗅いでしまう独特のあの臭いは、子ども心にもヤバいぞ と思ったものです。「風船玉」と言うようです。懐かしいな・・今でも売っているのでしょうか。  郁子

 

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頬ばかりふくらむ吾子の紙風船  郁子

2024年03月21日 | Weblog

昨日は強風が吹き荒れた日本列島。買い物に出たら白い風船がガードレール横の植え込みにひっかかっているのを見つけました。風に乗ってどこからか飛んできたのでしょう。

さて、風船句会はいかがでしたでしょうか?幼子の様子、紙風船、懐かしさなどと共に膨らんだり、しぼんだり消えて行ったりと色んな情景が詠みこまれました。そんな中、見事トップ賞になったのが郁子さんのこの句です。大きく膨らんだ子供のほっぺが目に浮かびました。「頬ばかり」の「ばかり」が効いていると思いました。それに比べて紙風船の方はあまり膨らまず。。。

皆さんのコメントです。

容子さん:よく語られる風景ですが可愛らしいです。

能登さん:あるある風景。

晴代さん:ほっぺはまん丸懸命な様子が、、、、。

亜子さん:とてもかわいらしい句。大人にはどうってことない紙風船も子供が膨らませるのは大変。紙風船は富山の薬屋さんがお土産に持って来てくれたことを思い出しました。

泉さん:一生懸命に風船を膨らませようとしている様子がわかる。

         ★★★

郁子さんは子供の頃、紙風船を膨らませようとしてなかなか膨らまなかったことを思い出して作られたそうです。きっと三人のお嬢さんの小さい頃のことも心をよぎったと思います。先日、東谷山フルーツパークに二人で出かけたのですが、売店で紙風船が売られているのを郁子さんが見つけられ、購入されていました。どなたとつかれるのでしょうか?

余談ですが、元ハンマー投げのオリンピック選手で今はポーツ庁長官の室伏さんが肩こり防止の筋トレに紙風船を使うことをNHKテレビで紹介していました。俳句を作ろうと思っていた時でびっくりしました。いろんな使い方があるものですね。 

                                麗子                                 

 

 

 

 

 

 

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3月句会「風船」結果発表!

2024年03月20日 | Weblog

2024年3月兼題「風船」

  1. 風船を手首に繋ぎ子爆睡 (須美)能登 佐保子 晴代 千香子 亜子
  2. 風船をつきつつふのつくことばをふたり (佐保子)郁子
  3. 燃えたぎる太陽に赤い風船 (泉)竹葉
  4. 紙風船吹き込む願い数えつつ (晴代)
  5. 頬ばかりふくらむ吾子の紙風船 (郁子)容子 麗子 能登 遅足 佐保子 晴代 亜子 泉
  6. 紙風船昭和の音がたたまれて (麗子)容子 竹葉 遅足 佐保子 郁子 亜子
  7. くすりやさん手品のように紙ふうせん (能登)千香子
  8. 風船の日に日に萎み色の濃き (容子)麗子 千香子 須美 泉
  9. さみしさを風船にのせ雲にのせ (亜子)竹葉 麗子 能登 遅足
  10. 指をさす風船涙の海に消ゆ (遅足)晴代
  11. ガザの子の記事の風船空へ吹く (千香子)須美
  12. 風船や点となりゆく青い空 (竹葉)容子 郁子 須美 泉

 

自由題

  1. 詰襟にひとひら着地牡丹雪 (竹葉)容子 麗子 遅足 須美
  2. 蟇穴を出てガウディの塔仰ぎ (亜子)容子 麗子 遅足 郁子 千香子
  3. 春愁を蹴散らす鍵盤ガーシュイン (容子)能登 佐保子 晴代 郁子 千香子 亜子 泉
  4. 我の膝に春陽届ける黒い猫 (郁子)能登 須美
  5. 春の昼鳩に餌やる異国人 (須美)竹葉
  6. 加賀土産うまし「はぶたえつぶあん子」(佐保子)麗子
  7. 春を呼ぶ立華の勇姿男組 (泉)
  8. 春遠出三日すぎての足疲れ (晴代)郁子 泉
  9. 風光る前掛け新た地蔵様 (千香子)竹葉 能登 佐保子 晴代 
  10. 下萌や平城宮の都跡 (麗子)竹葉 遅足 佐保子 晴代 千香子 亜子 泉
  11. 白木蓮青空で映え地で腐ちる (能登)容子 須美 亜子

 

トップ賞は 

  兼題 郁子 

  自由題  容子さん 麗子さん  

  おめでとうございます 

 

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風船句会の投句が揃いました。

2024年03月19日 | Weblog

投句が揃いました。色んな風船が舞いました。明日の結果をお楽しみに。

兼題「風船」

①      風船を手首に繋ぎ子爆睡 

②      風船をつきつつふのつくことばをふたり 

③      燃えたぎる太陽に赤い風船 

④      紙風船吹き込む願い数えつつ 

⑤      頬ばかりふくらむ吾子の紙風船  

⑥      紙風船昭和の音がたたまれて 

⑦      くすりやさん手品のように紙ふうせん 

⑧      風船の日に日に萎み色の濃き 

⑨      さみしさを風船にのせ雲にのせ 

⑩      指をさす風船涙の海に消ゆ 

⑪      ガザの子の記事の風船空へ吹く 

⑫      風船や点となりゆく青い空 

 

 自由題

①      詰襟にひとひら着地牡丹雪 

②      蟇穴を出てガウディの塔仰ぎ 

③      春愁を蹴散らす鍵盤ガーシュイン 

④      我の膝に春陽届ける黒い猫 

⑤      春の昼鳩に餌やる異国人 

⑥      加賀土産うまし「はぶたえつぶあん子」 

⑦      春を呼ぶ立華の勇姿男組 

⑧      春遠出三日すぎての足疲れ 

⑨      風光る前掛け新た地蔵様 

⑩      下萌や平城宮の都跡 

⑪      白木蓮青空で映え地で腐ちる 

 

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穴だらけ托鉢の足袋春来る  能登

2024年03月15日 | Weblog

作者は托鉢の僧をご覧になったのでしょうね。春まだ浅く手足はかじかむ寒さでしょう。

穴の開いた足袋から僧の修行の厳しさを思う優しい目をお持ちだなと感じました。

竹葉さん:春の到来を托鉢僧の穴だらけの足袋から感じるとは実感なのでしょうね。きっと穴もあれば汚れも、それを履いてる草鞋も擦り切れたりして。。一度出会いたいものです。

容子さん:穴があいていても寒くありませんね。この前、伊勢神宮のおはらい町で見かけました。

童子さん:穴だらけの足袋からの春来る。なんだかうきうき楽しくなる句です。冬の托鉢は大変だったでしょう。

 

 伊勢参り親子三代砂利を踏む  須美

砂利の音が聞こえてきそうですとは千香子さん。佐保子さんもとられました。

ひょっとしてお着物だったでしょうか。お宮参りの図が浮かんできました。しあわせの音ですね。

 

 還暦の骨折に如月笑う  童子

山が笑うは春の季語ですが如月が笑うとは!

亜子さん:骨折とは大変です。俳句にしたことで少しは救われるかも。この句は破調だがしっかりと17音になっている。お見舞いの気持ちを込めて。

還暦 骨折 如月と続くK音がカクカクとした硬質なイメージを持ち、それだけにポキリと痛そう。

(作者の言) 骨折しました。2月が笑う訳がありませんが、それくらい自分に呆れています。

 

笑いごとではありませんね。どうぞお大事になさってください。   郁子

 

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春そぞろ手にコンビニの新製品  郁子

2024年03月14日 | Weblog

「春そぞろ」は郁子さんの造語です。

「春到来を思わす日に目的もなくそぞろ歩きをしました。

ファミチキのタルタルソース発売の日で一緒にお酒も購入し公園でひとり飲んでました。」とのコメントがついていました。

いいですね!「そぞろ」は気持ちが落ち着かない様子も表しているようです。心のままに行動する様子が伺えます。次々出て来るコンビニの新商品。味もよくなり一人暮らしの高齢者にも欠かせないお店です。私もついつい寄ってしまいます。

容子さん:小さな幸せ”を積み重ねましょう。

須美さん:嬉しさが伝わる。小さな幸せ。

童子さん:コンビニのスイーツはホントに美味しいですね。

価格据え置き、47%増量ってのもローソンでやってますね。

 

     ★★★

奇しくも容子さん、須美さんが「小さな幸せ」とコメントして下さいました。ささやかな日常に新製品が味わえるという確かな小さな幸せですね。

そして、小さな幸せと言えば「おまけ」です。続いては佐保子さんの句。

   蕎麦を食べ豆のおまけや明日立春  

お昼時、どこかのお店でお蕎麦を召し上がったのでしょうか?すると豆のおまけがついて来ました。思えば今日は節分。明日からは暦の上では春。どこか心が軽くなった一瞬だったかも知れません。明るい俳句だと思いました。

郁子さん:老夫婦の昼餉の様子が浮かびます。蕎麦だけではちょっと寂しい。節分の豆をたんぱく源と笑い合う。 にぎやかな豆まきの思い出を語り合ったかもしれません。

能登さん:思いがけず、季節を知る。ちょっとした日常を詠む。これが難しい。 

泉さん:節分の日の次の日は立春、蕎麦を食べしみじみと春が来るのを待っている様子がわかる。

童子さん:リズム良く、縁起の良さが伝わってきます。当方、14日のランチにチョコのおまけが付いていました。

       ★★★

春はおなかの空く季節。今月は食べ物の句が多くなったことも印象的でした。さて、今日はホワイトデー。どんなおまけが待っているかしら?麗子

 

 

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地中より沸くごと雪の乱舞して  亜子

2024年03月08日 | Weblog

今日はお手本のような写生句をご紹介します。

言葉の選び方によって映像が鮮やかに浮かび、作者の心情まで勝手に想像させられてしまう。そんな二句です。

いただいたコメントです。

竹葉さん:雪の 下からも横からも乱舞する様を「地中より沸くごと」とは奇抜ではなくぴったりな表現で感心しました。

晴代さん:「地中より沸く」が雪の激しく降る様をうかがわせます。

能登さん:まさしく、ある時、雪は地中より沸くのです。

雪が地中から沸くようだという表現に皆、「やられました」というところですね。

作者はマンションの 9階にお住まいです。雪の降る様子をベランダから見下ろすと、下から湧き上がってくるように見えるのだそうです。

私は乱舞する雪に激しい情熱と心乱れるほどの寂しさを重ねてしまいました。

 

もう一句。こちらも鮮やかに景が浮かびます。

  雪嶺や白増す魔力光さす  竹葉

泉さん:今の季節は晴れた日は名古屋からでも御嶽、乗鞍などきれいに見える 

  「白増す魔力光さす」

声にしてみてもとても清々しく響きます。まぶしさを通り越した力強さと 春の近づきで確実に明るい方へむかっていく幸福感を感じました。

遅足さん、佐保子さんもこの二句に揃って票を入れています。

(作者の言)先月始め群馬の北の方の温泉に行きその後新潟の苗場まで行ってきました。車から雪を被った山が見えると大騒ぎして、苗場ではスキーはしなくとも、真っ白の雪を見て子どものように心躍らせて、雪を踏んで楽しんできました。描きたい景色や詠みたい心はどうしても説明になってしまい、俳句とはなんだっけ、と振り出しに戻って考えるばかりでした。まだまだというか全く進歩せず悲しくなるばかりです。

  

作者の真摯な俳句のとりくみをおもい私は反省しきりです。もう一度学び直しです。  郁子

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蝋梅は咲いたかと聞く父の指  麗子

2024年03月07日 | Weblog

去年の暮れに緊急入院し年明けに状態が悪くなってしまった父。

病床でも言いたいことがたくさんあるようで何かを懸命に話そうとしていました。でも何を言っているか聞き取れず、指で何度も空中に字を書いていました。何が言いたかったのかと思ったらなんと、「庭の蝋梅は咲いたか?」ということでした。びっくり!!

次の日お見舞いに蝋梅の枝を少し持って行きました。香りのいい蝋梅。蝋細工のようで亡き母が好きな早春の花でした。ベッドサイドの紙コップに活けてあげました。そんな経緯から出来た句です。

容子さん:「指」が効いています。

晴代さん:お父様は臥せっていられるのでしょうか 「指」がとてもいいですね。

郁子さん:気持ちの通い合った父娘なら指を動かすだけで会話ができるのでしょう。春を待つふたりの気持ちがしみじみと伝わります。

能登さん:父の指は庭の蝋梅のあたりを指していたのでしょうか。余韻の残る句です。

須美さん: 声が出ないのでしょうか。聞く父の指にキュンとした。

亜子さん:蝋梅は咲いたか」と尋ねるということは病床にあるのか、外に出られない。「指で聞く」というのは木を指さしたのか、あるいは文字盤を作ったのか。指を詠んだところに父親の動作をしっかりと見てその意味を汲み取ろうとした作者との関係性が伺える。

      ★★★

ありがとうございました。手書きの仮名の文字盤も作りました。最後に父が示してくれたのはなんと「か・す・か・い」でした。ここで、なぜかピンと来た私。「お父さん、春日井製菓の飴食べたいの?」大きくうなづく父。食後にいつも食べていた大好きな春日井製菓の黒飴。食べさせてあげられたことが救いになっています。

     早春の空に残れる一葉かな  遅足

明るさが増して来た早春の青い空。そこに冬を乗り切った最後の一葉に生命力というか力強さを感じました。作者の遅足さんももこのような心境でしょうか?

須美さん:春まで枝に残った一葉を空に残れると言うところがとても好き。

泉さん:温暖化になり落葉樹なのに葉が落ちない木が多くなってきた。

亜子さん:春めいて空を見上げると梢に残る一葉。落ち葉にならずしがみついているように見える葉がいとおしい。見落としてしまうことを拾い上げて詠むのが俳句ならではの醍醐味。

    ★★★

今日は美しい青空。季節はめぐり春が近づいています。麗子

 

 

 

 

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つぶやいたただ春の夜の夢のごとし  容子

2024年03月01日 | Weblog

 急に言葉が口をついて出るくるとき それは暗示でしょうか、啓示でしょうか。

それとも夢かうつつか・・皆さまの読みはいかがですか。

 竹葉さん:ふと口をつく独り言。作者はどのような気持ちでいたのでしょう。なんてつぶやいたのだろう?つぶやいただけで返事はなくつぶやきも、その場面も儚く消えてしまった。。なかなか余韻のあるいい句だと思いました。

  麗子さん:「春の夜のゆめのごとし」ははかないことのたとえ。作者は何をつぶやいたのでしょうか?「ただ」という二字で はかなさがより際立つ感じがしました。

 私もいただきました。下句を「夢のごと」で止めてもいいように思いましたが

平家物語のひとフレーズであるならば「ただ春の夜の夢のごとし」でなくてはいけませんね。

おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし・・

作者は、今ある権威や価値の転換を感じとっていたのかもしれません。

 

 

  夢の中春の一輪さがす原  晴代

童子さん: ちょっと怖い句だけど惹かれてしまいます。

私も一票投じました。春の一輪という言い方がよいですね。花にかぎらず何か明るい希望も感じます。

見つけられれば目覚めすっきり。そうでなければふわふわといつまでたっても夢の中。

それなら 「原」というのはどこでしょう・・・

確かにちょっと怖くなってきました。      郁子   

 

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