575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

味醂酒醤油按配よし雑煮   晴代

2017年01月31日 | Weblog
「酉」が4つも詠み込まれています。
作者の家のお雑煮に味付けは味醂、酒、醤油だそうです。
オイシイでしょうね。具は何かな?

名古屋のお雑煮はいたって質素。
カツオだしのしょうゆ味。
具は餅菜だけ。トッピングはカツオ節です。
本物の餅菜は手に入りづらく、今は小松菜を使っています。

ググってみたら、島根県では具に、ブリ、アユ、ハマグリなどを。
松江市あたりでは小豆雑煮だそうです。
本来は甘くないものですが、今では甘いぜんざいが多いとか。
広島ではブリの他に名産の牡蠣をお雑煮に入れる家も。
我が家でも名古屋コーチンのお雑煮がいいなあ・・・

お餅も丸があったり角だったり。
お雑煮ひとつにも、お国ぶりが出るんですね。 遅足


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酉の市美登利初店島田結ひ   佐保子

2017年01月30日 | Weblog
樋口一葉の「たけくらべ」からの一句。

主人公は美しい少女の美登利。
その年の大鳥神社の酉の市は大賑わいでしたが、
美登利は、いつもと違って幼馴染の正太郎を避けます。
ふてくされて正太郎は帰ってしまいました。
「大人に成るは厭やな事・・・」と美登利は嘆きます。

大島田に髪を結った日から美登利は変ったのです。
作者は一言も理由には触れておらず、読者の判断に任せています。

研究者の間では、初潮が原因という説が定説でしたが、
作家の佐多稲子が『娼妓として正式なものではないが、
秘密裏に水揚げが行なわれたのではないか』と
初店説を唱え、一時は大論争になったそうです。

子供のままでいられたら・・・という気持ち、
私にも記憶があります。
なにかコワイんですね。大人の世界は。  遅足

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受験生心配募る雪の夜   すみ

2017年01月29日 | Weblog
センター試験の日は、今年も大雪でした。
前夜の雪は、心配のタネをひとつ増やしてしまいました。
神様は受験生に試練をひとつ追加したのでしょうか。

下五は「夜の雪」とすると、雪に焦点が絞られます。
どちらが作者の心にかなうのでしょうか?

春を新学期とする制度では、冬の試験は避けられませんね。
しかし寒中を外すことは出来ないのかな?とも思います。
大学ばかりでなく専門学校や国家資格試験などの受験も今。

下の息子が職を失い、準看護士の試験をうけたことがありました。
結果を見てきてほしいと言われて港区まで行ったことを思い出しました。
寒かったので2月くらいだったかな?
今は以前勤めていたのと同じ仕事についています。

インフルエンザ、これからが流行のピークとか。
風邪を引かずに、ベストの状態で試験に臨めるといいですね。
     
                     遅足

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百八つ醒めるに任す燗の酒   結宇

2017年01月28日 | Weblog
除夜の鐘の音を聞いているうちに、
燗をつけたお酒がぬるくなっていました。
また酔いも醒めてきたようです。
醒めるにつれて、深く思いに沈んでいくようです。

人間には百八つの煩悩があるとされています。
なぜ百八なのか?
四苦八苦という言葉から、四苦(4×9=36)と八苦(8×9=72)を
足して百八の煩悩があるという説があるそうです。
生きることは苦と悟ったお釈迦様ならではの教えです。

「醒」を辞書で引いてみました。
①飲んだ酒の影響で正常な判断や行動がとれない状態から脱する。
②眠っている状態から意識のはっきりした状態に戻る。
③迷いがはれる、さとる(はっきりと理解する)。

煩悩を消す百八の鐘の音で、酒が冷め、酔いも醒め、
迷いも覚めたのでしょうか。

             

今日は旧暦のお正月。昨日が大晦日だったんですね。
寒さのターニングポイントです。
旧暦の方が季節感は肌に合います。
                  遅足


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シルクロードのおみやげ    竹中敬一

2017年01月27日 | Weblog
私は昼間、窓際に中国で買ってきた石材の小さなラクダを置いて眺めています。
緑色のラクダは、その日の天候によって、微妙に色を変化させるのです。
雨や曇りの日は、不透明で深い緑色、天気のよい日には半透明で薄い緑色に。
この置物は、敦煌 (とんこう)へ行った時、土産店で買ったもので、千円くらいだったと思います。

昔から酒泉という町が近くの祁連 (きれん) 山脈で採れる玉の加工で知られており、
店の話では、このラクダも祁連石で作られたものだと云うことですが、
真贋の程はわかりません。
安物ですから、偽物かもしれませんが、私にとってはヒスイのように見える宝物です。

井上靖の小説「 敦煌」を再読していたら、ウイグルの王族の娘の首飾りのことが出てきました。
その首飾りは、小説上のことながら、「碧(みどり)の玉」、「月光玉」と云って、
ホータン産の中でも最高級品だと書いています。

中国・唐時代の詩人、王翰 (おうかん) の有名な「涼州詩 (りょうしゅうし) 」に出てくる
「葡萄の美酒 夜光の杯」の夜光杯はホータン産の白玉だとする説があります。

私が土産店で買ってきた夜光杯は酒泉で加工されたもので、黒ずんでいます。
夜光杯と云っても、この他、緑がかったものなど、様々な色合いがあるようです。
私はこれまで、涼州詩の夜光杯といえば正倉院にもあるペルシャ製のグラスだと
ばかり思い込んでいました。そういう説もあるようです。

私は「葡萄の美酒 夜光の杯」はガラス製が似合うと思っていますので、
買ってきた杯でお酒を飲んだ事はありません。
緑色のラクダにシルクロードの歴史を重ねて楽しんでいます。
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新暦   麗

2017年01月26日 | Weblog
初句会で新暦という季語からカレンダーの話になりました。
我が家のカレンダーは大阪の友人が毎年プレゼントしてくれる、静岡にある国際文化交友会月光天文台というところが制作している「太陽・月・星の暦」です。

天文台が制作しているということもありとにかく写真が美しく壮大なスケールです。そして、毎日、天文に関することが多く書かれているので読み応えがあります。
ちなみに今日1月26日は「明け方、月の南に水星が出ている」。文化財防火デーでもあります。このカレンダーのおかげで夜空を見上げることが多くなりました。

先日の句会では最近の暦には酉という文字が見あたらないということでしたが、このカレンダーの表紙にはしっかりと
「平成29年丁酉・日本紀元2677年、西暦・キリスト紀元2019年、ユダヤ紀元5778年(9月21日)、イスラム紀元1439年(9月21日頃)とあらゆる方面に配慮がされていました。

ユダヤ紀元5778年とは!西暦だけではなかったのですね。この世に暦ができたのは一体いつなのでしょうか?
時間という不思議です。太陽が昇って沈んでそれを一日とした古代人は偉大です。天文学は面白いですね。

  
              新暦時間ということ考える  麗


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新暦    麗

2017年01月26日 | Weblog
初句会で新暦という季語からカレンダーの話になりました。
我が家のカレンダーは大阪の友人が毎年プレゼントしてくれる、静岡にある国際文化交友会月光天文台というところが制作している「太陽・月・星の暦」です。

天文台が制作しているということもありとにかく写真が美しく壮大なスケールです。そして、毎日、天文に関することが多く書かれているので読み応えがあります。
ちなみに今日1月26日は「明け方、月の南に水星が出ている」。文化財防火デーでもあります。このカレンダーのおかげで夜空を見上げることが多くなりました。

先日の句会では最近の暦には酉という文字が見あたらないということでしたが、このカレンダーの表紙にはしっかりと
「平成29年丁酉・日本紀元2677年、西暦・キリスト紀元2019年、ユダヤ紀元5778年(9月21日)、イスラム紀元1439年(9月21日頃)とあらゆる方面に配慮がされていました。

ユダヤ紀元5778年とは!西暦だけではなかったのですね。この世に暦ができたのは一体いつなのでしょうか?
時間という不思議です。太陽が昇って沈んでそれを一日とした古代人は偉大です。天文学は面白いですね。

  
              新暦時間ということ考える  麗
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満天星紅葉亡妻はしやぐはしやぐかな   金子兜太

2017年01月25日 | Weblog
この句について坪内捻典さんはこう評しています。

「角川俳句年鑑2017」が話題にしている80歳以上の俳句。
たとえばこの兜太の句について評者は「彼の世から妻の命が迸るのだろう」と言っている。
その通りだと思うが、句としてはなんということもない出来である。

そのうえで、こう提案しています。

80歳以上の俳人たちはもっとモーロク化したらよい、と私は思う。
すると、支離滅裂な何かが俳句の詩的エネルギーになるかも。
高齢者の俳人たちよ、モーロクなさい、大胆にぼけなさい。

みなさんはどう思われますか?  遅足

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孫と子の酌にふらつく三が日   立雄

2017年01月25日 | Weblog
お盆と正月は里帰り。家族が揃う楽しい時です。
作者の家にも子や孫が集まりました。
「さあ一杯」と酌をされた作者。
可愛い孫の酌では、ついつい杯を重ねてしまいます。
心配そうな奥さん。
「大丈夫」と立ち上がります。
思わず足元がふらつきました。
「こんなはずじゃなかったが・・・」
年齢とともに強かったお酒にも足元をとられてしまいました。

平和な日本のお正月風景です。

中日新聞の「平和の俳句」にも相応しいとの声も。

炬燵の間母中心に父もあり  星野立子

作者は、高浜虚子の娘さんだった人。
あの大巨人・虚子も家庭のなかでは中心ではなく
妻の横に座っている存在だったと思うとなんとなくオカシイ。

お正月のようなセレモニーのある日には父の座が復活。
しかしお屠蘇に足をとられて父の威厳も失せてしまったかも。

            

今年一番の寒気団。伊勢の北部、四日市地方では雪。
こんな時は名古屋は降らない。しかし寒い寒い朝です。

                      遅足
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新暦酉という文字見当たらず   静荷

2017年01月24日 | Weblog
新暦、しんごよみ、と読みます。初暦の傍題です。
新年、初めてその年の暦を使うこと。また、その暦のことです。

一昔前までは、十二支が生活のなかに生きていました。
カレンダーには「酉」の字もありました。
しかし平成29年の新暦には「酉」の字は見当たりません。
ちょっとサミシイ作者です。

我が家のカレンダーも、元号と祝日を示す言葉のみが日本語。
あとは、曜日、月みな英語表示です。

先勝、友引、仏滅、大安などの六曜も月齢もありません。
結婚式は「大安」に。「友引」のお葬式は避ける、などと
いった慣習は絶滅したのでしょうか?
もちろん、今でも六曜の欠かせない世界もあり、
病院では、退院の日取りは六曜を参考にするそうです。
また釣り好きの私の子供は、潮の満ち干の入った暦を持っています。

カレンダーは世界観を表す文化そのものなんですね。
世界にはどんなカレンダーがあるのでしょう?
                       遅足

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押し合へる足の踏み場や酉の市    亜子

2017年01月23日 | Weblog
酉の市は日本各地の鷲神社(おおとりじんじゃ)の年中行事。
11月の酉の日に市がたつことから「酉の市」と呼ばれています。
縁起ものがたくさんついた熊手が名物です。
新しい年の開運招福、商売繁盛を願う祭りとして賑わいます。

名古屋では、東京ほどの人出はないようです。
その代わり、1月5日の熱田神宮の初恵比寿では、
一番札や「福熊手」を我先に受けようと、
足の踏み場もないほどの賑わいを見せます。

          

昨日の日曜日。地下鉄の伝馬町から熱田神宮へ歩いてみました。
なんと熱田さんは想定外の賑わい。
宮きしめんの店の前には長い行列。宝物殿の前にも行列。
もちろん拝殿前にも・・・・
中国(台湾?)からの観光客の姿も。
たまには世の中の空気にふれることも大切と思い知りました。

                    遅足



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酷寒の一花や鶴の息白く   遅足

2017年01月22日 | Weblog
北の大地、酷寒の雪のなかに一輪の花が咲いたような鶴の姿。
吐く息も白。丹頂に一点の紅。日本画のような句です。
テレビで見た映像をそのまま句にしたものです。
「酉」という課題詠がなかったら詠むことはなかったでしょう。

「酷」は、もともとは形容詞で、酒の味や香りが濃いことだそうです。
この酒はコクがあるのコクも、この「酷」なんですね。
そこから残忍なさまを表す形容詞となり、酷い仕打ちを意味する名詞に。
さらに副詞としても使われるようになった、と漢和辞典にありました。

K音を5つ重ねて詠んでみました。
下五も「白く」としましたが、効果があったのか?
自分では、よく分かりません。

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初句会の最終結果です。  遅足

2017年01月21日 | Weblog
ちょっとサミシイ7人の出席。
「おめでとうございます」と新年の挨拶で開会。
お雑煮談義、鰤談義・・・食べ物の話題になると炎上。
楽しいひと時でした。結果はご覧の通りです。

課題詠「酉」
①酷寒の一花や鶴の息白く(遅足)等・能登・智恵・佐保子・結宇・静荷・立雄
②新暦酉という文字見当たらず(静荷)等・能登・佐保子・遅足
③孫と子の酌にふらつく三が日(立雄)智恵・亜子・すみ・麗子・郁子
④押し合へる足の踏み場や酉の市(亜子)結宇
⑤百八つ醒めるに任す燗の酒(結宇)亜子・晴代・静荷
⑥受験生心配募る雪の夜(すみ)等・麗子
⑦味醂酒醤油按配よし雑煮(晴代)智恵・静荷・郁子・立雄
⑧酉の市美登利初店島田結ひ(佐保子)
⑨ほろ酔ひは猪口に三杯小雪かな(等)結宇・すみ・郁子・立雄
⑩鰤煮付けふるさとを賞ですする酒(能登)佐保子
⑪神杉に芳醇な風初参り(郁子)能登・遅足・晴代・麗子・亜子
⑫初空や酸素の粒の多かりき(麗子)晴代・遅足・すみ

自由題
①初富士は液晶の中そびえ立つ(麗子)佐保子・静荷・立雄
②神籤咲く熱田の杜の寒椿(立雄)等・能登・結宇・遅足・麗子
③冬晴れや考生れし街鳥瞰す(晴代)佐保子・遅足
④皆尻を見せ浮かびをる柚子湯かな(佐保子)等・能登・智恵・亜子・晴代・すみ・静荷・郁子・立雄
⑤さっきからサザンカの手がのびてくる(遅足)
⑥あら鍋や湯気の向こふの共白髪(結宇)智恵・すみ・郁子
⑦眼の端をかすめて落ちる椿かな(能登)智恵・佐保子・遅足・静荷
⑧年の瀬や星降る夜のベートーヴェン(亜子)結宇・晴代・麗子
⑨山茶花のやたらに咲きて色こぼす(静荷)等・能登・晴代・すみ・立雄
⑩眦(まなじり)を決し冬鳥雲海へ(郁子)結宇
⑪乗客はマスクし目つむる闇の中(等)麗子・郁子・亜子
⑫ミニ氷柱等間隔のきらめきや(すみ)亜子

次回は2月15日(水)午後1時20分  
愛知芸文センター12階・催事室Ⅾ(アートスペースⅮ)です。

課題詠は「耳」です。
耳、聞、取、恥など耳の含まれる文字を詠み込んだ冬の句を。

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詩人・萩原朔太郎と前橋の朗読会   竹中敬一

2017年01月20日 | Weblog
群馬県前橋市に住む私の知り合いから一枚のDVDが届きました。
「人生は過失なり~萩原朔太郎~娘・葉子が描いた、父への鎮魂 」
萩原葉子さんのエッセイをもとに、朔太郎の詩を7人が朗読。
その後、現代の詩人らの対談が収録されています。

詩、以外にも葉子さんのエッセイによって、赤裸々な人間・朔太郎像が
浮かび上がる構成になっていました。
手品が好きだったり、古賀メロディーが好きだったり…。

朗読するのは、前橋市の主婦、中には元アナウンサーもいて、こうした朗読会を
25年近くも続けているということです。

この会を主宰しているのが、他社ながら私と同じ民放局にいた後、
放送作家をしていた遠藤敦司さんです。
ご自身も詩を作られている遠藤さんはこれまでにも
茨木のり子、宮沢賢治らの朗読会を開いています。
私より三つくらい年上ですが、最近もインドへ行ってこられたとか。
ニューデリーのネール大学で日本文学に関するセミナーが開かれ、
遠藤さんら朗読会のメンバーが招待されたそうですう。
宮沢賢治の「 雨二モマケズ 」は、翻訳されてインドの10の言語で
朗読されているということです。

前橋での朗読会の場所は、いつも市内の書店、煥乎堂 ( かんこどう )。
その後、改築しているとはいえ、明治初期創業の老舗で、遠藤さんの話では
朔太郎も自著がこの店に並べられているのを見て、大変喜んだそうです。

朗読会はこの書店の160人余り収容のホールで開かれいますが、
どの会でもほぼ満員とのこと。
遠藤さんの奥さんと朗読会の皆さんの舞台作りもなかなか見事です。
毎回、朗読の合間には群馬交響楽団所属の外人演奏者らによる
短い演奏も行われています。

遠藤さんによれば、萩原朔太郎ほど故郷の地名を多く詩の中に取り入れている
詩人はいないだろうと云います。
裕福な医者の家庭に生まれた朔太郎。
若い頃、変人扱いされた故郷の人間関係は嫌っていましたが、
その風土は生涯、こよなく愛した詩人だったようです。

私は前橋へ行ったことがありませんが、朔太郎の詩を通じて、利根川に架かる
大渡橋、波宜亭 (はぎてい)、国定忠治 (くにさだちゅうじ)の墓などを知りました。
「日本文学アルバムー萩原朔太郎ー」(昭和31年 筑摩書房) は今も愛読しています。
赤城山を背景にした前橋市の全景、マンドリンを持つ若い頃の朔太郎、
なかでも朔太郎の歌碑 (敷島公園)と、その上に載せられた「 帰郷 」の詩句
のあるページは何回も見ています。
妻と離別、二児 (葉子、明子) を連れて帰った故郷。

   帰郷
  
  わが故郷に帰れる日
  汽車は烈風の中を突き行けり。
  ひとり車窓に目醒むれば
  汽車は闇に吠え叫び
  火焔 ( ほのほ ) は平野を明るくせり。
  まだ上州の山は見えずや。

                     「 萩原朔太郎詩碑 」より

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酉にちなんで初句会   麗

2017年01月19日 | Weblog
今年初めての句会。男性陣に欠席者多く、遅足さん黒一点でした。女性陣のおしゃべりに圧倒されていたかも知れません(笑)

それにしても酉の入った漢字のバリエーション豊かなこと。漢字の国に生まれてよかったと思った楽しい一時でした。酉がお酒の意味があることから飲食関係の話で盛り上がり、初句会にふさわしい笑いの多い会になりました。
では一言講評です。最初に使われた漢字を紹介しています。

1,「酷」掛け軸の世界とよんだ方もおられましたが、テレビで鶴の息が白いのをご覧になったそうです。ちなみに濃厚な味を表現する「こくがある」は   この酷の字と書くこともわかりました。
2,「酉」。最近の暦にはこの「酉」の字が見あたりません。時代の変遷でしょうか?ここから各々のこだわりの手帳やカレンダーの話に移行。
3,「酌」。しあわせなお正月の風景。家族が揃い、にぎやかな一時。孫から勧められたお酒を断れませんよね。「ふらつく」がいいですね。
4,「酉」。酉の市のにぎわいを思い出して作られましたが、今、名古屋の大須の七寺の酉の市は寂れて来ているそうです。
5,「醒」と「酒」。大晦日の除夜の鐘とともに今年一年を振り返り、新年に思いを馳せる。熱燗のお酒も冷めていきます。
6,「配」。今年のセンター試験はまさにこのとおり。多くの受験生や家族が明日の天気に頭を抱えたことでしょう。下五を「夜の雪」に変えると?
7,「醂」「油」「醤」「配」と4つも!お見事。ここにもあったかという感じですが、ちゃんとお雑煮が出来上がっています。ここで雑煮談義に。
8,「酉」。これは「たけくらべ」の世界です。美登里さんがだれかわかった人は教養人。すみません。知りませんでした。
9,「酔」。お猪口に三杯でいい気分。小雪という季語にもぴったり。
10,「酒」。富山ご出身の作者。寒鰤はさぞかしおいしいことでしょう。お酒もすすみますね。
11,「醇」。福知山にある元伊勢神社で漂って来た香り。パワースポットならではの句。
12,「酸」。きれいな空気の元日の朝。酸素が多く含まれているかのような新鮮な感じでした。下五を「多くあり」にしては?

いかがでしたでしょうか?たくさんの酉を使った漢字が出てきてそこにさらに季語を入れるという制約の多い課題でしたが、なかなかおもしろかったですね。
次回は「耳」を使った漢字が入る句が課題になりました。これまた大変かな?今年もよろしくお願いします。
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