575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

抱く手に児の爪たてる昼寝起き    結宇

2014年08月31日 | Weblog
まだ眠っている児を、その母の手から抱き寄せました。
爪を立てられてしまいました。

まだ覚めきらぬ、夢と現実の間に漂う意識。
おそらく無意識にとった行動でしょう。
夢に続きの行動だったかも知れません。
微妙な瞬間をとらえた句です。

昼寝起きは、昼寝覚という季語があります。
そちらを使ったほうが良いように思います。

  抱く手に児の爪立てる昼寝覚

                 遅足


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南瓜抱く草生ひ茂る大地より   佐保子

2014年08月30日 | Weblog
おおらかさに、とえみさん。
よく育ってくれました。充分な手入れもしなかったのに?、と鳥野さん。
何でもない風景ですが、昔を思い出します、と結宇さん。

あまり手入れをしないんでしょう。
畑とは言えぬくらいに雑草が生い茂っています。
ようやく見つけた南瓜。思いの他の重さです。
大地は恵みを与えてくれました。
しっかりと胸に抱くように収穫しました。

写生句の模範のような一句です。   遅足
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稲妻に抱かれてゆく聖母かな    遅足

2014年08月29日 | Weblog
隠れキリシタンの島。五島列島の福江島。
海沿いにある小さな天主堂。
聖母像がありました。ここまでは実景。
あとは想像です。
稲妻が光るたびに闇に浮かび上がる聖母像。
静謐な微笑みは・・・

キリストは処女懐妊。
釈迦は脇の下から生まれたとか。
お米は稲妻が懐妊させるという考えもあるそうです。

キリスト教に詳しい狗子さんの一票。、
作者の意図を超えた読みをして下さったのでしょう。
ありがとうございます。

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傷心を今年も抱き原爆忌        立雄

2014年08月28日 | Weblog
あの原爆が投下されて、もう69年。
被爆者の方々も少なくなってきました。

 一分ときめてぬか俯す黙祷の「終り」といへばみな終るなり  竹山広

被爆者として体験を詠みつづけてきました竹山さんです。
4年前に亡くなられました。

式典も次第に形式的になっているのかも知れません。
しかし詠み続けていくことが大切なテーマです。

安倍さん、広島での式典挨拶が前年のコピペでは?と指摘されました。
長崎では変えるのかな?と思っていたら、これまたコピペでした。
これは故意のコピペです。私には理解できない神経です。

                        遅足
追伸

 夏服の老いの背中や戦争展

亜子さんのこの句を忘れてはいけません。

忘れてはいけない、とえみさん。
余所行きに着替え、背を正して今年も戦争展へ、と鳥野さん。

麻の夏服を着こなした老紳士を想像しました。


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嬰児(やや)昼寝何の疑惑も抱かずに    静荷

2014年08月27日 | Weblog
人間は生まれた時は、ふにゃふにゃした体です。
自分で歩くことも出来ません。
もちろん疑うこともなく、天使のような無邪気さ。
それが智恵がついて人間らしく成長していきます。
それはまた疑うことを覚えていくことでも。

   生(あ)れて間もなきに蟷螂斧持上(もた)ぐ

同じ作者の句。
蟷螂は生まれたら、もう100%蟷螂です。

もう一丁前に踏ん張っています。哀しい性、と鳥野さん。

人間って不思議な進化を遂げた生きものですね。遅足
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じゃれて遊んで   鳥野

2014年08月26日 | Weblog
立秋を過ぎて早くも2旬、エノコロ草は穂を出し
たでしょうか。

地下鉄駅からわが家まで、堀川沿いの小道を、
エノコロ草を摘みながら帰るのが楽しみでした。
秋の23年間を。
生きのいいもの、姿や色のいいものを選んで5、
6本。2頭のネコへの手みやげでした。

ネコという生きものは、妥協を知らない我儘者。
性格も好みもそれぞれ。それが、エノコロ草だ
けは2頭とも揃って大好き。振ってやれば、飽き
もせず、じゃれて遊んで。別の名をネコじゃら
しとはよく言ったものです。

2頭とも保護した子。推定3・4年違いの雌と雄。
二人が誘い合うように逝ってしまって3年。
もうエノコロ草を摘んで帰ることもなくなりま
した。

 ・ エノコロの穂に甘やかな記憶あり 鳥野

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野仏のひしと抱き合ふ野分かな   亜子

2014年08月25日 | Weblog
信濃路の道祖神か。微笑ましいお姿が浮かびます、と鳥野さん。
野分の風情がよくでています、と結宇さん。

六地蔵、馬頭観音、道祖神など・・・。
野の神仏は、人や馬を見守ってくれました。
この野仏は道祖神のことでしょうね。
いつも仲良く抱き合っています。
それが風雨が強まるなか、しっかりと抱き合います。
さらに激しくなると、ひしと。
映像のしっかりした句です。

  抱き起す萩と吹かるる野分かな   河東碧梧桐

                    (遅足)
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眠れぬ夜母の子宮に抱かれる   麗子

2014年08月24日 | Weblog
寝返っても、寝返っても、寝付かれない夜。
心に引っかかっているのは何でしょう。
平安を求めて母の子宮にまで遡っていきます。
生まれる前にいた絶対的な安らぎの空間。
やがて眠りに・・・

  こもりうた子宮の底の暗がりへ  鎌倉佐弓

                  (遅足)


  
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字幕付きの画面ひろげて見るドラマ朝を重ねて秋となりゆく    遅足

2014年08月23日 | Weblog
歳とともに耳が遠くなりました。
テレビの音も聞きにくくセリフが聞き取れません。
そこで思いついたのが字幕スーパー。
さっそく試してみるとセリフがよく分かりました。
以来、字幕を愛用しています。

難点は真ん中に文字が出て画面が見づらいこと。
役者がしゃべる前に、ドラマのセリフが出てしまうこと。
でも、聞き取れないよりはずっと良いです。
「花子とアン」もいよいよ終盤に。
秋は間違いなくやってきています。


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8月句会の最終結果です。     遅足

2014年08月22日 | Weblog
立雄さんと麗子さんの選句が届きました。

題詠「抱」
①眠れぬ夜母の子宮に抱かれる(麗子)遅足・郁子・すみ
②野仏のひしと抱き合ふ野分かな(亜子)結宇・鳥野・佐保子・静荷・すみ・狗子・能登・立雄
③嬰児(やや)昼寝何の疑惑も抱かずに(静荷)
④傷心を今年も抱き原爆忌(立雄)亜子・麗子
⑤稲妻に抱かれてゆく聖母かな(遅足)狗子
⑥南瓜抱く草生ひ茂る大地より(佐保子)結宇・えみ・鳥野・遅足・静荷・郁子・すみ
⑦抱く手に児の爪たてる昼寝起き(結宇)晴代
⑧神を抱く私の胸の小さな秋(えみ)
⑨ほおずきの鉢抱く人の泣きぼくろ(晴代)えみ・遅足・郁子・立雄・麗子
⑩庭隅に闇を抱えて百合一輪(郁子)静荷・晴代・佐保子・能登・立雄
⑪流星群触れ合う肩をそっと抱き(能登)結宇・えみ・狗子
⑫夏終わる抱き癖ついて帰る孫(すみ)鳥野・亜子・能登・麗子
⑬老兵は抱くものなし敗戦忌(狗子)佐保子・亜子・晴代

自由題  
①炎天にどよめく歓喜逆転打(立雄)佐保子・静荷
②酔芙蓉飛行機雲のほぐれゆく(遅足)結宇・鳥野・静荷・晴代・能登・立雄・麗子
③烏賊釣火三艘並ぶ対馬沖(佐保子)
④生(あ)れて間もなきに蟷螂斧持上(もた)ぐ(静荷)鳥野・能登
⑤夏服の老いの背中や戦争展(亜子)えみ・鳥野・静荷・郁子・晴代・狗子
⑥ギヤマンに白海老装へ(ヨソヘ)夏座敷(結宇)えみ・佐保子・遅足・すみ
⑦四つ折りの角に詰まっている残暑(えみ)遅足・すみ・狗子・能登・麗子
⑧鳳仙花はぜほろ苦き安堵なす(晴代)亜子
⑨秋暑し過去と未来が交錯す(麗子)
⑩新涼の犬の散歩はアンダンテ(郁子)結宇・狗子
⑪天の川人間はずっと殺し合う(能登)佐保子・郁子・すみ・亜子・立雄
⑫青柿や葉か実か迷う繁りかな(すみ)
⑬宿題は残っているぞ法師蝉(狗子)結宇・えみ・郁子・亜子・晴代・立雄・麗子

次回は9月17日(水)午後1時  東鮓
題詠は「秋刀魚」です。

広島で集中豪雨。90人もの方々が亡くなったり、行方知れずに。
これが昼間だったら犠牲者は少なかったのに・・・。
まだ雨が止まず、二次災害の恐れもあり、救出作業も中断とか。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
行方不明となっている方たちが早く救い出されますように。

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8月句会の報告です。      遅足

2014年08月21日 | Weblog
恒例の句会の感想、麗子さんにかわって報告します。
最高気温36度、熱中症危険という残暑の中の句会。
冷房の効いた部屋で7人の出席でした。

             

題詠「抱」
①眠れぬ夜母の子宮に抱かれる(麗子)どこかドキッとする句です。
②野仏のひしと抱き合ふ野分かな(亜子)いつも抱き合っていますが・・・
③嬰児(やや)昼寝何の疑惑も抱かずに(静荷)疑う力がつくと智恵も。
④傷心を今年も抱き原爆忌(立雄)詠みついていくべきテーマ。
⑤稲妻に抱かれてゆく聖母かな(遅足)キリストを抱く聖母。その聖母を抱く者は?
⑥南瓜抱く草生ひ茂る大地より(佐保子)的確な写生の一句。
⑦抱く手に児の爪たてる昼寝起き(結宇)どんな夢をみていたのでしょうか?
⑧神を抱く私の胸の小さな秋(えみ)祈る私の胸に小さな秋が・・・
⑨ほおずきの鉢抱く人の泣きぼくろ(晴代)ほくろには、どんな物語が?
⑩庭隅に闇を抱えて百合一輪(郁子)闇が百合を浮かび上がらせて、百合が闇を抱く。
⑪流星群触れ合う肩をそっと抱き(能登)星がその命を終え、地上に恋が。
⑫夏終わる抱き癖ついて帰る孫(すみ)抱っこの好きなおばあちゃん子の誕生。
⑬老兵は抱くものなし敗戦忌(狗子)戦争体験ののこしたこころの空洞・・・

自由題  
①炎天にどよめく歓喜逆転打(立雄)高校野球の醍醐味。
②酔芙蓉飛行機雲のほぐれゆく(遅足)夕方の静かな時間のなかに。
③烏賊釣火三艘並ぶ対馬沖(佐保子)夜の海に漁師たちの生業。
④生(あ)れて間もなきに蟷螂斧持上(もた)ぐ(静荷)生れたら、もう100%の螳螂。
⑤夏服の老いの背中や戦争展(亜子)麻服の似合う男性の背中。
⑥ギヤマンに白海老装へ(ヨソヘ)夏座敷(結宇)富山の海の幸。至福の時間。
⑦四つ折りの角に詰まっている残暑(えみ)こんなところにも残暑が。
⑧鳳仙花はぜほろ苦き安堵なす(晴代)人生に数ある決断の時。こんなところか・・・。
⑨秋暑し過去と未来が交錯す(麗子)今をどう生きるのか?様々な思いが。
⑩新涼の犬の散歩はアンダンテ(郁子)涼しさに犬も人も元気を回復。
⑪天の川人間はずっと殺し合う(能登)人間の愚かしさ。じっと見つめる天の川。
⑫青柿や葉か実か迷う繁りかな(すみ)今年の柿の出来や如何に?
⑬宿題は残っているぞ法師蝉(狗子)思いだすのは自由研究の宿題。




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8月句会の投句が集まりました。      遅足

2014年08月20日 | Weblog
今回の題は「抱」でした。難しかったという声も。
私も詠みきれませんでした。
良い句も多く、どの句が票を集めるのか?楽しみです。

題詠「抱」
①眠れぬ夜母の子宮に抱かれる
②野仏のひしと抱き合ふ野分かな
③嬰児(やや)昼寝何の疑惑も抱かずに
④傷心を今年も抱き原爆忌
⑤稲妻に抱かれてゆく聖母かな
⑥南瓜抱く草生ひ茂る大地より
⑦抱く手に児の爪たてる昼寝起き
⑧神を抱く私の胸の小さな秋
⑨ほおずきの鉢抱く人の泣きぼくろ
⑩庭隅に闇を抱えて百合一輪
⑪流星群触れ合う肩をそっと抱き
⑫夏終わる抱き癖ついて帰る孫
⑬老兵は抱くものなし敗戦忌

自由題  
①炎天にどよめく歓喜逆転打
②酔芙蓉飛行機雲のほぐれゆく
③烏賊釣火三艘並ぶ対馬沖
④生(あ)れて間もなきに蟷螂斧持上(もた)ぐ
⑤夏服の老いの背中や戦争展
⑥ギヤマンに白海老装へ(ヨソヘ)夏座敷
⑦四つ折りの角に詰まっている残暑
⑧鳳仙花はぜほろ苦き安堵なす
⑨秋暑し過去と未来が交錯す
⑩新涼の犬の散歩はアンダンテ
⑪天の川人間はずっと殺し合う
⑫青柿や葉か実か迷う繁りかな
⑬宿題は残っているぞ法師蝉


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大崩れの碑   鳥野

2014年08月19日 | Weblog
4駆の軽自動車は実力発揮。ドライバーの腕は確か。
道幅の狭いヘアピンカーブの悪路をぐんぐんと、高
度を稼ぎます。暴れ川で知られる姫川は遥か眼下。
峠も橋もいくつか越えました。道路は糸魚川と松本
の城下を結んだ塩の道につかず離れず。牛や歩荷さ
んたちのかっての難渋が偲ばれます。

やがて、浦川橋際の狭い草地に出ました。
ここに「歳月茫茫」の碑。幸田文さんが、紀行文
<崩れ>で取り上げた明治44年の稗田山大崩落
の鎮魂碑です。
死者23人、田畑40町歩を失うという被害。日本
三大崩れに数えられています。

出はずれれば、今度は、長い下り。塩の道に合流し
て、千国番所跡も牛方宿も間もなくです。

 牛の居ぬ牛方宿に塩冷える   鳥野




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送り鐘一つは己をおくるため    遅足

2014年08月18日 | Weblog
お盆にはご先祖さまの霊を迎えることから始まります。
そして16日には送り鐘をついて帰っていただきます。

父母は亡くなっても、私の記憶のなかに生きています。
では、父や母のなかに生きていた私は、どうなったのでしょうか?
お盆には帰ってくるのでしょうか?

父母が帰ってくるのなら、きっと一緒に来るはず・・・
そして送る鐘に送られて帰って行くのでは?

京都の矢田寺で、この送り鐘を撞きました。
一つは自分のために。
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澄みきった闇をのこして大文字 遅足

2014年08月17日 | Weblog
お昼頃、1時間に90ミリ近い豪雨に見舞われた京都。
さすがに送り火の始まる頃には雨も上がってくれました。
午後8時に東山の大文字に火が。
その後5分間隔で妙法、舟形、左大文字、鳥居と点火。
無事に送り火の行事が始まりました。

この様子は地元のテレビ局が中継。
部屋でテレビで見たり、屋上に出たりして鑑賞。
実物は東山の大文字と舟形だけです。
テレビの解説によれば、昔は10か所で送り火が行われたとか。

東山の送り火の燃えているのは30分間くらい。
はじめは黄色い炎が立ち強い赤に。
そして澄み切った赤色に。
消えた後には、透明な闇が残されていました。




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