575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

月天心誰憚らぬ悪巧み   朱露

2006年10月31日 | Weblog

  「月天心貧しき町を通りけり」は蕪村。
  蕪村の頃もワルはいたが可愛いものだ。
  牧歌的ワルと構造的ワルの違いは何か?
  構造ワルは自分が極悪人だと思わない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「波郷」の自句自解から       愚足

2006年10月30日 | Weblog
 石田波郷に惹かれます。                       人生の晩年に俳句という表現の世界を教えてもらい、読み進むうちに波郷に出会い「人間探求派」なる作品を知ったわけです。
 そして、「こんな事が詠めるのか。」「詠むことが出来たら。」そういった感動がありました。
 今、作者の自句自解を読みながら、慙愧の人生を思っています。

 「降る雪や父母の齢をさだかには」
  作者は本当に父母の年齢を知らなかった。作者は二十八歳。
  独居降雪を胡坐して眺め老父母を思った。

 「一茶忌や父を限りの小百姓」  
  兄は満州に、弟はビルマに。我はここに病む、家郷に一人鍬をとる老父の境涯
 を思いやったものである。
                  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

帰るのはそこ晩秋の大きな木  坪内捻典

2006年10月29日 | Weblog

三月の甘納豆のうふふふふ 

の作者、坪内さんの句です。
愚足さんに頂いた日本の名俳句100選(金子兜太選)。
なかでも好きな一句です。
とても抒情的です。
難解な句も多い作者も、こんな句を作るのだ!
という驚きがありました。

晩秋というのは妙に寂しいものです。

 晩秋の風がつくりし落とし穴  遅足

   



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

足のような靴履いて秋ビュッフェ見に  朱露

2006年10月28日 | Weblog


  三島市郊外の「ビュッフェ美術館」へ行った。  
  ビュッフェ71才で自殺。私、72才で生存。
  ビュッフェのような俳句を作りたいと思った、
  ということを彼が知ったら、また自殺かもね。

  
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私的新発見  鳥野

2006年10月27日 | Weblog
おっ、こんなのもありか、と嬉しくなった句。

 朝顔やおもいを遂げしごとしぼむ  草城

山本健吉氏は俳句鑑賞歳時記で「・・・こういう概念的な表現で、凋む朝顔の本性をとらえていると言うべきか」と述べていますが、わたしには、エロスそのもの。
さて、朝顔はどのような想いを遂げたのでしょう。

すでに膾炙されていることでしょうが、草城にはこんな句もあって驚きました。

   ミヤコホテル10作
 
 けふよりの妻と来て泊つ宵の春

 夜半の春なほ処女(おとめ)なる妻とおりぬ

 枕辺の春の灯しは妻が消しぬ

 をみなとはかかるものかも春の闇

 バラ匂ふはじめて夜しらみつつ

 妻の額に春の曙はやかりき

 うららかな朝のトーストはづかしく

 湯あがりの素顔したしく春の昼

 永き日や相触れし手は触れしまま

 失ひしものを憶へり花ぐもり

(クックッ、勝手にしやがれ)ですよね。

句壇は「俳句研究」に載つた作品を真摯に受け止め、賛否交々。

 一種のオーケストラ的効果 不死男
 これは遊び 万太郎
 連作の見本になったら大変 秋櫻子
 はかなくもあわれなるおっちょこちょいの姿

等々。

明治34年生まれの草城が、昭和9年に発表したこの10句、なるほど新興俳句とはこのようなもの、斬新な句とは、としみじみ考えさせられました。

  
 かいつぶりさびしくなればくぐりけり

好きです。        
                     









                              
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芋たこなんきん  麗

2006年10月26日 | Weblog
朝の連続ドラマ「芋たこなんきん」。
藤山直美さんの演技や関西弁が好きで毎日楽しみにしています。
藤山さんのモデルは作家、田辺聖子さん。
その田辺さんがあるインタビュー記事の中で

「人生でいちばん大事なのは、自分の好きなものに出会えるということ。
賢さや優しさは想像力から生まれ、想像力はやっぱり愛から生まれるの」
という一文がありました。

今の世の中の事件、事故は想像力が欠如してから起きると感じていましたが
それは愛の欠如だったのですね。
愛があればその人のいいところを見てあげようという気になりますもんね。

PS カモカのおっちゃん役の俳優さん、愚足さんに似ていませんか?
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ほんのりとした甘さでした

2006年10月25日 | Weblog

追伸

ぽっかり口を開けた通草がありました。
さっそく食べてみました。
種ばかりですが、ほんのりとした甘さが
口にひろがりました。

通草より郁子のほうが甘いとか。

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あけび   遅足

2006年10月25日 | Weblog


数年前に山で子供のアケビを見つけ、
庭の片隅に植えておきました。
今では、ベランダの柵にそって成長、
ごらんのような実をつけました。

通草、木通、燕覆子など、さまざまな書き方が
あるようです。
郁子と通草とどう違うのか?ちょっと見ただけでは
さっぱり分かりません。

実が裂けるのが通草。
裂けないのが郁子のようですが。

いずれも秋の季語

  通草蔓ひっぱってみて仰ぎけり  深見けんじ

  郁子の門くぐりてつねのごと帰る 長谷川素逝



 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柿模様   遅足

2006年10月24日 | Weblog

先回に句会の「柿」、さまざまな柿が詠まれていますね。
なんといっても柿は故郷に直結しているようです。

 ふるさとの柿いっぱいの宅配便

故郷の義母を詠んだ句など、ふるさとに父母が健在。
まだ故郷が近い世代です。

 柿もいだ従兄もいつか古希となり

ふるさとの柿の思い出。懐かしくも甘酸っぱい初恋の味?

 照る柿の絵を古里と定めけり

さまざまな事情から都会へ出てきた父の世代。
その父の背中を思い詠っているような句です。

 熟柿一つテーブルにあり値踏みする

柿を自分に引き寄せて観照する句。

どの柿にも作者が映し出されていますが、
年代、性別によって違うところが良いですね。
句会の醍醐味です。

みなさん、ありがとうございます。

        



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

えっ 霜月。            愚足

2006年10月23日 | Weblog
 次回句会の「お題」を見てびっくり。 「霜月」ですか。 しかし困った季語です。
 困った時の「歳時記」頼みでページを繰ると、飯田龍太が

 「時候を端的に示す言葉だ。朝日に照らされた初霜のきらめきが見えてくるような感じだ。しかし、好例は存外少ない。言葉があまりに完結しているためか。あるいは語感が古風故か。また、同義とはいっても、雪待月・雪見月とではそこにかなりの感覚的な差異があろうかと思う。」
 では、数少ない好例句を

  霜月や日ごとにうとき菊畑      高浜虚子
 雪待月林はもののこゑ透る      加藤楸邨
 霜月や茶渋しみたる布巾干す     渡辺数子

 しかしまあ もう少し寒くなるまで待ちましょう。   
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

紅葉

2006年10月22日 | Weblog

 季語の紅葉は、じつに様々。
 場所によって、谷紅葉、山紅葉・・・
 種類によって、楓紅葉、柿紅葉・・・
 時期によって、状態によって・・・

 春の花、秋の紅葉と日本人が愛でてやまない
 美なんですね。

 写真は蓼科の紅葉山。
 全山紅葉でした。
 朝早くから山陰の川の側に3人のカメラマン。
 しばらくすると、川沿いの一本の楓に日の光。
 それが、まだ日の射さない川の水に映っている。
 岩の上を乗り越えていく水。
 その彎曲した水面に映える楓の赤。
 水の足を入れて3人はひたすらシャッターを切っていました。


  急流へゴッホの黄となりて散る   遅足


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

偽善者にもなれぬ虫たちまた来年   朱露

2006年10月21日 | Weblog

    今朝から荒れ狂っている。女房は逃げ出した。 
    この秋二回目の逆上。いや三回目になるのか。
    偽善者にもなれぬ我らは偽善者と手を切ろう!
    恐ろしいことを言うぞ、センテキを信じるな!
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナイモノねだりが大好きです 鳥野

2006年10月20日 | Weblog
今年の中秋の名月は天気予報よろしからず。あきらめていたのに、夜半近くから急に雲が去り、見事な満月を見ることができました。
そこで、ふと思ったのが、季語の「無月」

広辞苑によれば、
 とくに8月15日夜の月が見えないこと

季語では
 雲が出て名月がみえないこと、そして雨月も含むとあります。

「無」という概念の定義は難しい。古今東西、宗教に哲学に文学に、と追求しつくされ、まだ決定打を知りません。

そんな中で、無いものをあるとみて詠む俳句はすごい。

当方としては、無為、無策、無謀・・・そして「ナイモノねだり」が大好きです。

  大琵琶に水満ちみちて無月かな  多歌司

  うずくまる猫の宵寝も無月かな  たかし

  誰か行く無月の芝のややあをし  樟蹊子

  いくたびか無月の庭に出でにけり 風生
                       
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポチ子の時間  麗

2006年10月19日 | Weblog

以前このブログで紹介した「ミーナの行進」という小説の中に
世界4大珍獣のひとつ「コビトカバ」が出てきます。
主人公のミーナちゃんは身体が弱いのでコビトカバ「ポチ子」の背中に乗って学校へ行くのです。
想像するだけで楽しくなってきた私は東山動物園にこのコビトカバがいることを知り、秋晴れの中、
このかわいいカバに会いに行ってきました。

小説の中で「ポチ子は人間で言うと何歳ですか?」という女の子の質問に、
獣医さんは「ポチ子はポチ子の時間を生きているからその質問は成立しませんな」と答えるくだりがあります。なんだかしんとした気持ちになりました。

さて、東山動物園には2頭のコビトカバがいます。
こちらは「小夏」という93年に来園した20才のメス。この年齢は獣医さんの説にはあてはまりませんが
「小夏は小夏の時間を生きている」のですね。
干し草を噛む様子は見ていて飽きませんでした。

お風呂でも飼えそうなかわいいコビトカバ。また見に行ってくださいね。
大きいカバの横のひっそりしたカバ舎に住んでいますよ。

       秋日和カバにはカバの時間あり  麗
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10月句会の結果です。

2006年10月19日 | Weblog
題詠
柿噛んで千年祟る臍固め(朱露)○○
父眠る白磁の皿の柿熟るる(遅足)○○○○
村中の雀集めて柿熟るる(龍次) ○○○○○
柿もいだ従兄もいつか古希となり(晴代)○○○
棒切れの柿に届かずトボトボと(立雄)○○
ふるさとの柿いっぱいの宅配便(麗子)○○○○
里の柿はたらく義母の頬染める(郁子)○
豆柿や何処かに故郷あるような(ほたる)○○○
天日萎え渋柿日毎に色を成す(静荷)○○
柿ひとつ梢に残し村暮るる(亜子)○○○○○○○○
照る柿の絵を古里と定めけり(愚足)○○○○○
熟柿一つテーブルにあり値踏みする(鳥野)○○
鳥も来ず落ちて潰れし熟柿かな(能登)○



自由詠
木犀の金はらはらと零れけり(愚足)○○
萩叢を括りて今日の客を待つ(鳥野)○○○○○○
古都の月蒼林かなた鴟尾の座す(能登)○
裏通り金木犀の落つるのみ(郁子)○○
晩学の本積むばかり熟柿食ぶ(亜子)○○○○○○○
濡縁に萩の花降る数奇屋かな(立雄)○○
曲がり角ぬっと人影秋の暮(晴代)○○○
踏み入れば道遥かなる花野かな(朱露)○○○
秋日和カバにはカバの時間あり(麗子)○○○○○○
和菓子屋の柿ヘタ上に並べけり(ほたる)○○
いわし雲水平線で海に浮く(龍次) ○○○○
十六夜の月コンドルは飛翔せり(静荷)○
友去りて一句を残す山河かな(遅足)○○○




番外
種なしの柿あらがえず口の中(麗子)
金木犀窓開けてみる五六日(愚足)


次回は11月15日(水)午後6時 安田屋です。
            題詠は「霜月」です。

     




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする