575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

何処へとゴーギャンに問う除夜の鐘    殿

2018年12月31日 | Weblog

フランスの画家、ゴーギャン。ゴッホの友人です。
最後は南の島で亡くなっています。傑作の一つが島で描いた作品。
タイトルが長い。、
『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』
ボストン美術館所蔵で、名古屋へも来たことがあるはずですが。

この絵を念頭において詠んだものでしょう。
人生とはなにか?生きるとは?どこへ行こうとしているのか?と、
ゴーギャンに問う、というものです。
この「に」は私にも向けられています。わたしに問うています。
人生とはなにか?

一年の最後の「除夜の鐘」を聞きながら、静かに自問自答・・・
問いの数だけ答えがありそうです。
あなたの答えは?私は・・・(笑)  

みなさん良いお年を。遅足

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自国主義秩序を壊し年の逝く   能登

2018年12月30日 | Weblog

今年一年の台風の目はトランプさんでしたね。
年末の株の大暴落はトランプさんの仕掛けた米中の貿易戦争から。
日本も経済大国になった時、ちょっとアメリカに対抗しようとしました。
が、・・・あっけなく敗退しました。
中国は超大国、本当の独立国ですから、そう簡単にはいきません。
メンツをかけた貿易戦争は当分、続きそうです。

お互いガマンするところは我慢して協調する。
2回の世界大戦の反省から、智恵を絞って作り上げた国際秩序。
超大国アメリカが大きな支えでしたが、
そのアメリカの力も衰えて生まれた自国主義。
大きな歴史の流れの中で詠んだ一句。
「年の逝く」の季語が哀しい。(遅足)

  年の逝く音のごとくに遠き雷  関森勝夫

  年逝くとかくしどころを洗ひけり  日野草城

  自国主義壁を高くして年の果  遅足

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山形一泊の旅 ~ 酒田へ 向かいながら ~ 竹中敬一

2018年12月29日 | Weblog

10月28日 愛知県小牧市の県営名古屋空港から山形空港へ向かう

飛行機の中で " これまで、山形へ行ったことはあったかなァー "

などとぼんやり考えていました。

平成 12年 、妻が胃がんで亡くなり、しばらく経ってから、障害の

ある息子と年に一回、バリアフリーの部屋がある 「 かんぽの宿 」

に泊まることにして、どこかに旅することにしていました。

米沢市へ行ったことを思い出しました。日記で調べてみると平成14年

のことでした。

その日の夕方、宿に到着。一泊した朝、息子が突然、大発作を起こし

急遽、米沢市民病院へ運ばれたのです。

ここで、一日中、点滴を受け、その後、どこも見ずに帰って来ました。

しかし、米沢市民病院で出会ったどの人も大変、親切であったことは

今も忘れることはありません。

いまでも米沢と聞くと何か温かいものを感じます。

旅の思い出は名所旧跡よりも、一期一会、人との出会いにあるのかも

しれません。



その頃、息子は年に一回の旅をする前、日本地図を広げて、まるで占い

でもするように、" ここへ行きたい " と指さします。その近くの

「 かんぽの宿 」を探して 出かけているのですが 、平成18年、息子が

指さした所は福島県の相馬 ( そうま )。

なぜ、相馬なのか本人もわかっていないと思いますが、松島の「 かんぽ

の宿 」に泊まりながら、レンターカーで国道 6 線を東京電力第一原子力

発電所の近くを通って相馬まで行きました。

6月の頃でこれといった見るところもなく、すぐに相馬から亘理 ( わたり )

経由で 又、松島へ帰って来ました。

それから、5年後、まさか、あの東日本大震災が起きようとは。

私たちが車で通った辺りは最も大きな被害をうけました。

悲しいことです。私たちが泊まった風光明媚な所にある 「 かんぽの宿 」

も大きな被害を受け、その後、解体されたという二ユースを知りました。


その 「 かんぽの宿 松島 」での 私の忘れられない思い出 。

その日の朝、朝食をとるため、息子を車椅子に乗せて午前七時の開店少し

前に、レストランへ行くと、すでにどこかの高校生の長い行列ができて

いました。

そこで、この行列が入り終わった後にしょうと、少し離れたところで

待っていました。

すると、開店になると同時に、一番前列の女子生徒が突然、私たちの

ところへかけて来て、" お先にどうぞ " と言ってくれたのです。

高校総体の予選かなにかで、多分、福島県内のどこかの高校の選手たち

だと思いますが、思ってもみない若者の爽やかな行動に私は言う言葉を失い、

お礼も言わずにいたことをいまでも悔やんでいます。


回想に耽っていましたが、次回は山形の旅に戻します。

            

写真は 「 兼元浩祐 著 てんかん学ハンドブック 医学書院 2018 発行 」
息子、健の油絵の一部を表紙に使って頂きました。

息子がつけた題名は 「 脳の頭脳字ごちゃごちゃ 脳細胞絵ついた物 」

著者 兼元先生 ( 愛知医大 教授 )の説明文
「 作者は現在48 歳 ( 本書発行時 ) 生後11ヵ月で脳炎。以後、知的障害、
難治てんかんが現在まであり。独特な世界観を持った膨大な量の絵画を制作。
カバー絵はその1つ 。( 兼元浩祐 )

   目を覚ましカーテンを開けて!!雪でした。
           いい思い出ですね。遅足
            

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よれよれと歩く我が影年の果   静荷

2018年12月28日 | Weblog

冬の日差しの弱さ。あわあわとした影。
年の瀬を迎えた自らの老いを巧みに表現した句。
年の果<はて>という下五も美しい、と殿さま。

作者は夕暮れ時に散歩することが日課とか。
坂を上っていく影。それを追うようにわたし。
季語の「年の果」から人生の夕暮れ時を連想させます。
さみしさの極みですが、どこか透明感があります。

歩いて行く肉体と影を、少し高い所から見下ろしている。
句を詠むということは、そんな神の目となる技かも。

  数え日やわが影を置く石のうえ  遅足

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今年の年間グランプリは?   麗

2018年12月27日 | Weblog
平成30年も残り今日を入れて5日。今、まさに年賀状を書いています。
年末にあたり、改めて今年一年のトップ賞の俳句を振り返ってみました。

1月

鳥肌に細かなあぶく初湯かな   能登

2月

ポッケで鳴る鈴ほどの「ぽっ」梅の花  郁子

3月

囀りや野辺の地蔵のおつむから   立雄

4月

晩春や十分生きたと夫の嘘   佐保子

5月

掃除機で連休を吸う立夏かな   郁子

6月

屈託の顔の手土産さくらんぼ   晴代

7月

陽は熟みて水面死す河骨の花   等

8月

恐竜の深き眼に星流る   郁子

9月

栗の実や片寄せ眠る毬のなか  等

10月

何事ぞ呵々大笑の熟れ石榴   亜子

11月

木魚までとどく日差しや冬はじめ   遅足

12月

何処へとゴーギャンに問う除夜の鐘   殿

いかがでしたでしょうか?こうやって並べるとかなりレベルの高い句会ですね(自画自賛!)
そして、今年の俳句なのにもう懐かしい感じがしますね。
今年も色んな季語に挑戦しました。
来年も上を目指して精進しましょう。
今年もお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いします。麗
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孫追って己(オノ)が迷子の年の市   結宇

2018年12月26日 | Weblog

年の市。年の暮に注連飾りなど正月用の飾りもの、
食料品、縁起物の椀や箸などを売る市のこと。
寺社の境内などに市が立ち、多くの人でにぎわいます。

その年に市へ。孫を連れて。
キョロキョロしていた孫が、何か見つけて走り出します。
あわてて追いかけて・・・お祖父さんの方が迷子に。
上五の「〇追って」。いろいろな人が入りそうです。

  年の市白髪の母漂へる  山田みづえ
  
  暮の市ひとつの背中追ひにけり  谷口桂子

  夢追って己が迷子や年の市   遅足

          

ちょっと、朝ドラについて。余談。
占領軍の命令で日本の財務局が主人公の会社に追徴課税を。
この構図。どこか既視感が・・・と思って気付きました。
沖縄の基地問題。辺野古の埋め立てと全く同じ。
日本は独立したのではないのでしょうか?    遅足
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地底より車輪の響きゆく今年  等

2018年12月25日 | Weblog

2018年もあと僅か。さまざまな出来事がありました。
この一年、地震や風水害が日本を次々と日本を襲いました。
それを象徴するように今年の漢字は「災」でした。
街を歩いていると、地の底から車輪の響きが聞こえてきます。
地下鉄が通過していく音ですが、とくに重く不気味に響きます。
不安の塊が地底を通過していく。その音が聞こえるかのようです。
今年も過ぎ去っていく・・・、そんな感慨の句と読みました。
とくに「地底より」という上五は、近づく大地震を感じさせ不気味です。

下五の「ゆく今年」に作者の工夫がみられます。
ただ「今年」は、新年の季語があるので、一考が必要かも知れません。

2004年の漢字も「災」だったんですね。  遅足

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クリスマス施設の友の車いす   千香子

2018年12月24日 | Weblog

友人は施設に入所。不自由な車椅子での生活です。
それ以外のことは何も書かれていませんが、
どこか温かなものが感じられます。
それはクリスマスという季語の力でしょう。
二人が話しあっている景が見えてくるようです。

 吾子たちへとどけ聖夜にサクソホン

こちらは狗子さんの句。
遠く離れた子供たちにクリスマスの贈り物。
贈り物は音楽。楽器はサクソホンです。
この「吾子たち」はひょとすると星になった子供たちかな・・・
聖夜という季語のなせるところでしょうか。

私、初めて、クリスマス・メールをいただきました。
しかもメールにはホワイトクリスマスの音楽つき。
殿さまの演奏の音楽です。
うれしい贈り物。ありがとうございました。遅足
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焙(ほう)じ茶の香りひと匙年惜しむ   亜子

2018年12月23日 | Weblog

焙じ茶は緑茶より香りが強いといわれ、
茶香炉で楽しむ知人がいます。
ひと匙の焙じ茶。時が止まりふわりと香る瞬間。
作者の無常観がゆったりと伝わってきます、と殿さま。

我が家でも煎茶と焙じ茶を楽しんでいます。
煎茶はちょっとした外出着。ほうじ茶は普段着。
なにかと気ぜわしい年末。
ひと匙のほうじ茶がこころにゆとりを。
過ぎこし方を思い、残る人生をおもう・・・遅足

  ふだん着でふだんの心桃の花  細見綾子

今日は天皇誕生日。
30年、戦争のなかったことに安堵、との感想。
平和こそ、子供にのこすべき最大の遺産ですね。

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山形一泊の旅 ~ より道 「 奥の細道 」③ ~ 竹中敬一

2018年12月22日 | Weblog

芭蕉は能因 ( 平安中期の歌人) や西行 ( 平安末期、鎌倉前期の歌人 )の

奥州、出羽 行脚の跡をたどって 、一番楽しみにしていた所は、

松島と象潟 ( きさがた )だったようです。

宮城県中部の松島は日本三景の一つとして今でも知られており 、私も

行ったことがあります。

しかし、秋田県南部にある象潟は芭蕉の時代には景勝地だったが、その後、

地震で隆起。今は島だけ所々に残して、水田地帯になっているようです。

芭蕉は松島へ行く前に塩竈神社を参拝しています。


早朝 ( さうてう ) 、塩がまの明神に詣 ( まうず )。 国守 ( こくしゆ )

再興せられて、宮柱 ( みやばしら ) ふとしく、…


この 「 宮柱ふとしく 」 について、註釈では 「 謡曲の慣用語 」と記

されています。

広辞苑によると能楽は平安時代以来の猿楽からきているそうで、能の

台本である謡曲も相当、古くに書かれたのでしょう、

しかし、私が思うには、「 宮柱ふとしく」 という表現は奈良時代、

すでに文章化されて伝わる祝詞 ( のりと )から来ているのではないか

と思うのです。

神職だった父が毎朝、神棚に向かって唱えていた大祓詞 ( おおはらひ

のことば )の中に出てくるので憶えています。


…… 下津磐根 ( したついわね ) に宮柱 太 敷 ( ふとし ) き立て ……


いずれにしても、「 おくのほそ道 」には、つい見過ごしてしまいそうな

文章の中にも日本や中国の古典を踏まえた表現が沢山、詰まっていることを

知り、徒や疎かに読んではいけないと思いました。

塩竈神社を参拝した後、芭蕉はかねて念願の松島を訪れました。


抑 ( そもそも ) ことふりにたれど、松島は扶桑 ( ふさう )第一の好風

にして、凡( およそ)洞庭 ( どうてい )・西湖 ( せいこ ) を恥 ( はじ )ず。

東南より海を入( いれ )て、江 の中 (うち )、三里、浙江 ( せっこう )の

潮 ( うしほ )をたたふ。


松島は中国の洞庭湖や西湖と見劣りしないと記しています。

洞庭湖は 唐代の詩人 李白や孟浩然、西湖は唐代の詩人 白居易 や北宋の詩人

蘇東坡がそれぞれその景観を愛でて漢詩をつくっています。

芭蕉はこうした漢詩や中国の水墨画を通して、頭の中で洞庭、西湖の

イメージを作り上げ、それを松島に当てはめたのでしょう。


南宋絵画では 「 西湖十景 」を多くの画家が画題として取り上げいます。

西湖は南宋時代の都があった浙江省の杭州にあります。

私も平成2年、湖沼の汚染が問題となって、世界湖沼会議が西湖で開かれた時、

取材で行きましたが、実景は西湖と松島とでは、かなり違いがあります。

この時代、日本では宋元の写生画に人気があり、画家の中には中国の

景勝地を実景を見ずに想像で水墨画を描いたように、芭蕉の場合も、

あくまで頭の中で昇華させた西湖と松島であって、実景と比較するのは、

ヤボというものでしょう。(続く)


写真は新庄発~余目 ( あまるめ ) 行の陸羽西線
(愛称「 奥の細道 」最上川ライン)車窓より。時々 雨模様。
今年10月28日 筆者 撮影 。






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12月句会の結果です。

2018年12月21日 | Weblog
年の暮の句会。
千香子さんからの差し入れ、殿の参加とにぎやかな句会でした。
ごらんの結果となりました。遅足

題詠「年の暮など」
①地底より車輪の響きゆく今年(等)佐保子・遅足・亜子・千香子・麗子
②孫追って己(オノ)が迷子の年の市(結宇)智恵・遅足・静荷・等・郁子
③寄せ植えに赤多くして年の市(麗子)静荷・晴代
④自国主義秩序を壊し年の逝く(能登)佐保子・亜子
⑤紙の束シュレッダーにかけ年暮るる(晴代)結宇・すみ
⑥何処へとゴーギャンに問う除夜の鐘(殿)結宇・能登・佐保子・亜子・等・千香子・狗子・郁子
⑦年の瀬に熱くフレディ・マーキュリー(郁子)能登・智恵・麗子
⑧よれよれと歩く我が影年の果(静荷)殿・狗子
⑨門松の材あつむとふ友に会ふ(佐保子)晴代
⑩ガン抱え槇のせんてい年の暮(千香子)殿・麗子
⑪行く年を異国のひとと分かちあふ(遅足)結宇・能登・すみ・静荷・狗子・郁子
⑫街師走ゆっくり急ぐ老い二人(亜子)智恵・すみ・等・晴代
⑬爆竹の合い間に二つ除夜の鐘(狗子)殿・遅足
⑭賀状書き平成想う夜更けかな(すみ)千香子
 
自由題
①クリスマス施設の友の車いす(千香子)結宇・佐保子
②樹に在れば蜜柑も柿も解らぬ子(静荷)能登・郁子
③焙(ほう)じ茶の香りひと匙年惜しむ(亜子)結宇・智恵・殿・遅足・静荷・千香子・狗子
④友の書の安座の二文字冬館(佐保子)郁子
⑤ふれあえば散る木の葉ありわが木の葉(遅足)佐保子・亜子・静荷・千香子・狗子
⑥並び家の境にひそと花八つ手(晴代)能登・殿・すみ・等・麗子
⑦冬の時化髭面むさきコップ酒(能登)佐保子・千香子・晴代
⑧静かなる仏の里の冬紅葉(麗子)狗子
⑨手あぶりの炭尽きたまま選句かな(結宇)能登・智恵・すみ・等
⑩一年はボレロの如し除夜の鐘(殿)遅足・亜子・等・晴代・麗子・郁子
⑪老二人グラス見詰めし聖夜かな(等)
⑫失物を探して暮るる木守り柿(郁子)すみ
⑬着膨れて思考鈍るや木偶の坊(すみ)智恵・殿・静荷
⑭吾子たちへとどけ聖夜にサクソホン(狗子)結宇・遅足・亜子・麗子

次回は1月23日(水)午後1時20分になります。ご注意下さい。
場所は、愛知芸文センター12階C会議室。
題詠は新年に関係する季語。すべてOKです。


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平成最後の忘年句会   麗

2018年12月20日 | Weblog
昨日は今年最後の句会でした。平成最後の年の瀬です。今年もいろんなことがありました。自然災害に翻弄された今年。
この句会では遅足さんが大事故に巻き込まれるという思いもよらないこともありました。
でもお元気に復活されまた本領発揮の年の瀬です。そして、昨日は千香子さんが句会に参加して下さいました。おいしいお菓子をたくさんご馳走さまでした。
そして、お噂の殿さんも初めての投句でいきなりのトップ賞!!来年はますますにぎやかな楽しい会になりそうです。では一言講評です。


題詠
①地底より車輪の響きゆく今年

今年を象徴する天災などの不安感を地下から聞こえる音で表現されました。「今年ゆく」をあえて「響きゆく今年」と掛詞に。

②孫追って己(オノ)が迷子の年の市

ユニークなほほえましい一句。年の瀬の混雑ぶりが目に見えます。ミイラとりがミイラに?「孫」を「妻」にするとシュールですね(笑)

③寄せ植えに赤多くして年の市

南天、万両、シクラメン。年末の寄せ植えは赤い花が多くなります。「に」の使い方に一考を。

④自国主義秩序を壊し年の逝く

これぞ世界的時事句。ミニトランプ続出中。漢字を多用し厳つい感じですね。


⑤紙の束シュレッダーにかけ年暮るる

どんな紙を粉々ししたかを具体的にした方が面白いかも?恋文?通帳?個人情報を消す年末です。


⑥何処へとゴーギャンに問う除夜の鐘

ゴーギャンの名画「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこに行くのか」を思い起こさせます。一年の最後、除夜の音を聞きながら思索にふける一瞬。本当に我々は何処に行くのでしょう??


⑦年の瀬に熱くフレディ・マーキュリー

今年のベストワンムービーと言われるクイーンの映画。老若男女を問わずフレディの魅力を再認識した年の瀬でした。俳句に詠まれ、日本びいきのフレディも喜んでいることでしょう。


⑧よれよれと歩く我が影年の果

ちょっと淋しくなる一句。元気だして行きましょう。作者は107歳のお姑さんを見送り今淋しい気分だそうです。

⑨門松の材あつむとふ友に会ふ

手作りの門松を作られているお友達。竹や松、南天でしょうか?「とふ友に会う」がやや読みづらかったです。

⑩ガン抱え槇のせんてい年の暮

ガンという病をストレートに言葉にされました。五回も手術を乗り越えておられる作者のご主人。槇の剪定をして穏やかな明るい日々が続きますように。一日一日を丁寧に過ごしておられる姿が目に浮かびます。


⑪行く年を異国のひとと分かちあふ

平成30年間で日本の年末年始の風景も変わりました。外国人が増え共に暮らしていく日本の今です。


⑫街師走ゆっくり急ぐ老い二人

急いでいるけど遅い老人の歩み。観察の一句。信号の青の時間が短く渡りきれないという声多数。高齢社会に向けてなんとかして欲しいですね。


⑬爆竹の合い間に二つ除夜の鐘

豊橋の方では大晦日、爆竹をならす若者が多いそうです。中国の方でしょうか?これは具体的な異国の人との分かちあい?


⑭賀状書き平成想う夜更けかな

これぞ平成を振り返る一句。「想う」をもう少し?

いかがでしたでしょうか?
俳句の締め切りの頃はまだ年末という感じがしませんでしたが、今年も残すところ10日ほど。数え日に拍車がかかり始めました。

新年の初句会は第四水曜日です。
1月23日(水)午後1時20分になります。ご注意下さい。
場所は、愛知芸文センター12階C会議室。
題詠は新年、正月に関係する季語。すべてOKです。

来年のことを言うと鬼が笑いますが、
来年も健康第一。皆で笑って過ごせる日が多いことを祈ります。麗
 
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12月句会の投句が揃いました。

2018年12月19日 | Weblog

今回から新しく参加された方がいらっしゃいます。
どの句でしょうね。

題詠
①地底より車輪の響きゆく今年
②孫追って己(オノ)が迷子の年の市
③寄せ植えに赤多くして年の市
④自国主義秩序を壊し年の逝く
⑤紙の束シュレッダーにかけ年暮るる
⑥何処へとゴーギャンに問う除夜の鐘
⑦年の瀬に熱くフレディ・マーキュリー
⑧よれよれと歩く我が影年の果
⑨門松の材あつむとふ友に会ふ
⑩ガン抱え槇のせんてい年の暮
⑪行く年を異国のひとと分かちあふ
⑫街師走ゆっくり急ぐ老い二人
⑬爆竹の合い間に二つ除夜の鐘
⑭賀状書き平成想う夜更けかな
 
自由題
①クリスマス施設の友の車いす
②樹に在れば蜜柑も柿も解らぬ子
③焙(ほう)じ茶の香りひと匙年惜しむ
④友の書の安座の二文字冬館
⑤ふれあえば散る木の葉ありわが木の葉
⑥並び家の境にひそと花八つ手
⑦冬の時化髭面むさきコップ酒
⑧静かなる仏の里の冬紅葉
⑨手あぶりの炭尽きたまま選句かな
⑩一年はボレロの如し除夜の鐘
⑪老二人グラス見詰めし聖夜かな
⑫失物を探して暮るる木守り柿
⑬着膨れて思考鈍るや木偶の坊
⑭吾子たちへとどけ聖夜にサクソホン

平成の歳晩句会。どの句が選ばれるのでしょうか? 遅足



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歳晩や機械に払う受診料   遅足

2018年12月18日 | Weblog

2018年もあと僅か。今日は今年最後の通院です。
受診が終わるとお金を払うのですが、
いまは会計から番号札をもらって順番待ち。
そして機械へお金を払います。
はじめは戸惑う人もいましたが、いまでは皆、慣れたものです。

もうすぐ現金を持ち歩かなくても良い時代になるとか。
それまで生きていられるかな?
では行ってきます。元気なうちは病院へ。
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路地折れて風も曲がりぬ寒暮かな  等

2018年12月17日 | Weblog

金沢の武家屋敷を訪れた時の句だそうです。
場面は冬の夕暮れ。
中七の「風も曲がりぬ」の「も」をどう読みますか?

寒風のなか、人が武家屋敷の路地を曲がっていきました。
これに続く人影はありません。もう犬一匹通りません。
そんなエアーポケットに入ったような時間。
木枯しが強く吹き、かさかさと木の葉が・・・風です。
昏くなった路地に添って風が曲がっていきます。
誰かを追いかけていくかのように。

ひとしお寒さの身にしみるひと時。北國の都。長い冬の夕暮れです。

         

西郷どんの大河ドラマが終わりました。
今回、改めて教えられたが琉球(沖縄)との関係。
薩摩が幕末から明治にかけて活躍できたのは、琉球・奄美の砂糖のおかげ。
厳しい収奪によって得たお金。それが薩摩藩の近代化を支えました。

このやり方が台湾・韓国などに広げられて・・・1945年の敗戦。
それから70年余。今、日本は曲がり角にさしかかっています。
キーポイントは沖縄です。(遅足)




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