静荷さん。俳号の謂れをお聞きしたことがあります。
「荷」は蓮の花。嫁いだ里が、レンコンの産地だったことにちなんだもの。
静かに咲く蓮の花。夏の暑い日、蓮の葉の下を吹き抜ける風。
極楽浄土とはこのこととか。
とにかお話し好き。
齢を重ねるに従い自由な句が多く、2015年10月のこの句。
思わず笑ってしまいました。
子供を一杯のせて道をゆく乳母車。
それをこんな風に詠んだ句はないでしょう。
私は静荷さんの最高傑作だと思います。
この頃に静荷さんの句に大きな変化が。
昨日は昨日今日は良き日と髪洗う
枇杷の実のつるりとむけて明日は晴
常識にとらわれない自由な発想です。
読み手を意識していません。自分の感性を楽しんでいる。
ふっとこぼれるように句が生れるそうです。
うかうかとテレビは愉し夜は長し
石垣の上まで行く気大蛞蝓(なめくじ)
俳句という形式にとらわれるのではなく、
575の定型を自在に使いこなしています。
口語の句であることで、面白さが良く伝わってきます。
静荷さん、最近では、句が降りて来なくなったのか。
残念です。(遅足)