575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

黒岳を先行く君や霧の中  竹葉

2024年08月30日 | Weblog

今日は寄せられたコメントとともに四句ご紹介します。

まずは登山の句

   黒岳を先行く君や霧の中  竹葉

麗子さん:先を行くパートナーが登山の斜面の霧の中にいる。信頼しながらその後ろを行く作者の姿が想像できました。黒岳という固有名詞がなぜかぴったり来ると思いました。

郁子:登山には縁遠いのですが、○○岳とあると雲海に包まれた頂を思い浮かべ憧れます。君とは誰でしょうか。物語を感じます。

 

   トンネルを超えて全ては霧の中  麗子

作者が出会った印象的な霧の実景。佐保子さんと亜子さんが採られました。お父さまの納骨に向かわれている車の中での体験だそうです。

亜子さん:「超えて」の意味がよくわからないが、平坦ではないトンネルを超えて行く。臨場感のある霧だと思う。

 

   眼前に蔵王現る霧晴れて  亜子

麗子さん:蔵王は確かに霧が深く、私が訪れた時は霧の中でまったくその姿は見えませんでした。霧が晴れると眼前には蔵王が現れる。ぜひ見てみたい光景でした。

晴代さん:蔵王が見えたときは心も晴れたでしょうね。

 

  霧晴れて蕾うっすりほころびぬ  晴代

うっすりという表現の評価が分かれるところかもしれませんが

細かい水滴をまとい、息を吹き返したような生命の兆しを見せる名もない蕾がアップで浮かび上がるように思いました。 

   

台風10号が雨をもたらし、この熱気を吹き飛ばしてくれないかと不遜なこと思ってしまいましたが反省します。

これ以上被害が広がらないよう祈るばかりです。  郁子

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咳続く肺に小さな霧ありて  容子

2024年08月29日 | Weblog

今月の兼題は「霧」でした。空気中の水分が冷えて凝結し細かな水滴となったもの。秋の晴れた日や風のない日に多く出現する自然現象です。今回の兼題ではこの自然の霧ではなく霧を比喩にした句もありました。季語を比喩に使わない方がいいという考え方もあるそうですが俳句は自由だから、そういう句があってもいいのかも知れません。

容子さんのこの霧は季語ではなく、あまりうれしくないレントゲンの影でしょう。肺の中の霧状のもの。ちょっと心配です。

郁子さん:画像診断の肺の影ですね。不安な気持ちに通じる霧ですね。

童子さん:霧を臓器の中に持ってくるなんて!

須美さん:実感!あれは肺に小さな霧があったんだと。

 

     病む夫の半ば霧の中に住む  佐保子

こちらも実際の霧の中ではなく、なんだかぼんやりした世界に夫君がおられる感じでしょうか?少し遠い世界に行ってしまったような。。。

容子さん:「半ば」が良いです。「病む」と言わなくても十分かもしれません(例えば「喰む」とか)

童子さん:霧の中に住むという表現に作者の心情がわかる気がします。

須美さん:夫の病状がよく伝わる。「半ば」と「霧の中に住む」が私に響いた。

 

     農薬を霧のごと吐きドローンゆく  童子

こちらはまさかの農薬散布。今時の農家の実景を見ないとでなかなか作れませんね。

作者の童子さんのコメントです。

「ドローンでのお隣りさんの田んぼへの農薬散布を目の当たりにしました。ものの数分で散布完了!ドローンは次の現場へさっさととっとと言っちゃいました!仕事早っ。昔は2人体制で時間もかかりました。」

 

容子さん:ドローンの農薬散布に着眼されたところが面白いです。動きが感じられます。

  いかがでしたでしょうか?

季語を比喩に使った句はなぜか選者が重複していました。私がこの三句を選句しなかったのはやはり季語としての霧を詠みたかったからかもしれません。また10月の対面句会でこのことを話題にできたらと思います。

台風が心配です。皆さまどうぞご安全に。     麗子

 

 

 

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朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子  遅足

2024年08月23日 | Weblog

 

「霧」に車椅子を取り合わせ、多くの方の心をとらえました。おひとりなのか、介添えの方とふたりでなのか、霧の中に車椅子がシルエットとなって浮かびあがります。

 能登さん:映画の1シーンのよう、きれい。

 容子さん:不安感よりポジティブな感じがしました。「漕ぐ」がステキな表現だなと思ったら、ディフォルトなんですね。勉強になりました。

 千香子さん:漕ぎ出すという言い方がとても魅力的です

 童子さん:元気を貰える句

私もいただきました。

母を乗せて車椅子を押す機会が増えました。車輪のサイドストッパーをはずし、まわりを確認して両の手にぐっとちからを込めて踏み出す・・儀式めいた一連の動き。この句からは前向きな意志を感じました。 朝という時間帯と漕ぎ出すというワードが効いています。

 

 

 能登漁村別れ促す霧笛かな  能登

 

霧笛とは、濃霧などで視界不良のときに、衝突事故を防ぐために船舶や灯台などが鳴らす汽笛をいいます。

 晴代さん:霧笛 なんてなつかしい語彙でしょう。何か月も帰村しないのでしょうね。

 千香子さん:促すに状況がよく出ていると思いました。

 亜子さん:単なる出航の霧笛なのか、やはり能登の地震のことを思い出すと、心ならずも能登を離れざるを得ない別れのシーンなのか。霧笛を聞いているとさまざまなことが思い出される。

 泉さん:お正月の地震以来、復興がなかなかすすまない。漁師さん達も船を出せない。

 

海岸線が隆起してしまった能登の漁港。水産業を生業としている漁師さんたちの気持ちを思うとやりきれません。もの悲しい霧笛の音が聞こえてくるようです。郁子

 

    

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山寺の鐘の音霧と広がれり  郁子

2024年08月22日 | Weblog

霧句会いかがでしたでしょうか?霧だけにつかみどころがなく五里霧中の感も。。。猛暑の中、体感的にはなかなか霧を感じることは難しかったかも知れません。皆さん霧の思い出、あるいは霧そのものではなく霧にたとえた句もありました。

見事トップ賞を射止めたのは郁子さんと遅足さんでした。

郁子さんのこの句はご主人の故郷、京都府福知山の実景だそうです。福知山は盆地だから霧がよく発生するそうです。養泉寺というお寺の鐘の音とともに霧が広がっていく様子を詠まれました。

竹葉さん:「霧と」の「と」は霧となってと言うことでしょうか。鐘の音がぼわぁんと霧の中を広がっていく感じがよく出てると思いました。

晴代さん:“音と霧が広がる”が霧の深さを感じさせます。

亜子さん:◎の句。リズムもよく俳句らしい俳句。晴れた日の鐘の音もいいが、霧の中じんわりと広がって行く鐘の音。余韻があって心に染みる。

須美さん:鐘の音が霧と広がるがとても美しい。

泉さん:高野山の大門に夕方に行った時、霧がでてきて あっというまに山の下の景色が見えなくなり霧につつまれたことを思い出しました。

 

           ★★★

山深い日本の原風景のような一句。視覚、聴覚に訴える秀句だと思いました。ちなみに福知山は霧のせいか、冬も乾燥せずお肌もしっとり潤うそうです。霧の福知山いつか訪れたいです。明日はもうひとつのトップ賞遅足さんの句をご紹介します。      麗子

 

 

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8月句会「霧」 結果発表!

2024年08月21日 | Weblog

2024年8月兼題「霧」

  1. 能登漁村別れ促す霧笛かな (能登) 晴代 遅足 千香子 亜子 泉
  2. 朝霧やせせらぎの径上高地 (須美) 佐保子 千香子 泉
  3. 朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 (遅足) 竹葉 能登 容子 千香子 童子 郁子
  4. 朝霧や川を歩けば服濡れし (泉)
  5. 朝霧や駆け来し犬は早太郎 (千香子) 竹葉 遅足
  6. 山寺の鐘の音霧と広がれり (郁子) 竹葉 麗子 晴代 須美 亜子 泉
  7. 霧晴れて蕾うっすりほころびぬ (晴代)
  8. 黒岳を先行く君や霧の中 (竹葉) 麗子 郁子
  9. トンネルを超えて全ては霧の中 (麗子) 佐保子 亜子
  10. 眼前に蔵王現る霧晴れて  (亜子) 麗子 晴代
  11. 咳続く肺に小さな霧ありて (容子) 能登 童子 須美 郁子 
  12. 病む夫の半ば霧の中に住む (佐保子) 能登 容子 須美 童子
  13. 農薬を霧のごと吐きドローンゆく (童子) 容子 遅足 佐保子

 

 

自由題

  1. パリ五輪頂きめざし夏の空 (泉) 麗子
  2. 今生はあきらめて夏の大三角 (童子) 亜子
  3. 平和とは何と聞きし子原爆忌 (容子) 麗子 佐保子 千香子  晴代
  4. 見ましたか人影の石夏の雲 (千香子) 郁子 須美 亜子 泉
  5. 壕の中帰らぬ人に終戦忌 (亜子)能登 千香子
  6. 梨剥くや汁したたりて子らの待つ (須美)
  7. トマト喰む急死の友の菜園に (郁子) 竹葉 佐保子 童子
  8. ややこしき話のあとや胡瓜もみ (晴代) 竹葉 麗子 能登 容子 遅足 童子 郁子 泉
  9. 秋立つや夫の主治医の転勤す (佐保子) 竹葉 能 登容子 遅足 千香子 童子 須美 
  10. 邯鄲の鳴き続けたり結核院 (能登) 遅足
  11. 茄子の馬父颯爽と帰り来ん (麗子) 晴代 郁子 亜子
  12. 鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ(竹葉) 容子 晴代 佐保子 須美 泉

 

 トップ賞は

  兼題  遅足さん  郁子

  自由題  晴代さん   

  おめでとうございます

 

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「霧」句会の投句が揃いました。

2024年08月20日 | Weblog

ようやく雨が降り今朝は涼しくなりました。霧は出ていませんが俳句の中でたくさんの霧に会えました。明日の結果をお楽しみに!

兼題「霧」

①      能登漁村別れ促す霧笛かな 

②      朝霧やせせらぎの径上高地 

③      朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 

④      朝霧や川を歩けば服濡れし 

⑤      朝霧や駆け来し犬は早太郎 

⑥      山寺の鐘の音霧と広がれり 

⑦      霧晴れて蕾うっすりほころびぬ 

⑧      黒岳を先行く君や霧の中 

⑨      トンネルを超えて全ては霧の中 

⑩      眼前に蔵王現る霧晴れて  

⑪      咳続く肺に小さな霧ありて 

⑫      病む夫の半ば霧の中に住む 

⑬      農薬を霧のごと吐きドローンゆく 

 

自由題

①      パリ五輪頂きめざし夏の空 

②      今生はあきらめて夏の大三角 

③      平和とは何と聞きし子原爆忌 

④      見ましたか人影の石夏の雲 

⑤      壕の中帰らぬ人に終戦忌

⑥      梨剥くや汁したたりて子らの待つ 

⑦      トマト喰む急死の友の菜園に 

⑧      ややこしき話のあとや胡瓜もみ 

⑨      秋立つや夫の主治医の転勤す 

⑩      邯鄲の鳴き続けたり結核院 

⑪      茄子の馬父颯爽と帰り来ん 

⑫      鬼灯の燃える朱色や君を呼ぶ

 

 

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園庭のすもも食む食む子等笑顔  須美

2024年08月16日 | Weblog

「すももも桃も桃のうち」という早口言葉がありますが、すももは桃とは違い、バラ科サクラ属の果実だそうです。皮もつるりとしてまるごとかぶりつくことができ、少し酸っぱいですね。作者は幼稚園のお迎えでちょうどおやつの時間に行き合ったのかもしれません。子どもたちの笑顔に癒されたことでしょう。はむはむという音の響きとリズムが効いていてここが魅力と思いました。

竹葉さん:子等がすももを食べる様子を「食む食む」とは可愛くていいですね。

泉さん:食む食むというのが可愛いらしい。

 幼い子が口いっぱい食べ物をほおばる姿。これこそあるべき平和の姿だと思います。

 

 宿題の観察日記オクラです  郁子

須美さん:朝顔とか向日葵ではなくオクラというのがなんとも可愛く面白い

安易すぎた感もありますが、これは実景です。ご近所さんがプラスチックの観察鉢に今年はオクラの苗を植えました。どうせなら収穫したいねという家族からのアドバイスがあったかどうか・・意外に立派な薄黄色の花を咲かせたあと、すぐに散り中心の尖った部分を上にして実が太っていくのですね。そのお宅の小学生の姉妹とも仲良くなり、私も童心に返って見守りました。家族の人数分4つのオクラを宝石でも扱うように摘む女の子。食卓での笑顔や語らいを想像して私も幸福のお相伴をさせていただきました。

  

お盆が終わると宿題の残りが気になりだします。今月の兼題「霧」の投句も揃ったようです。  郁子

 

 

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この星に争い止まず梅雨に入る  亜子

2024年08月15日 | Weblog

今日は79回目の終戦の日です。理不尽に310万人ものかけがえのない命が奪われた戦争。人の記憶はおよそ80年で失われると言われますので戦争の記憶を持つ人も数少なくなって来ました。二度と戦争をしないと誓った日本ですが、今も地球上には争いが絶えません。先の見えないウクライナ、ガザ、もろもろの内戦。一体いつになったら人間は愚かな争いをやめることができるのでしょう。。。憎しみしか生み出さないのに。。。

作者の亜子さんは毎年8月には平和を願って戦争の句を詠まれます。作者の切実な思いがこの句からも伺えます。

能登さん:酷い現実が止まらぬ地域あり、日常がそのままに過ぐる地域あり。

童子さん:「梅雨に入る」を、また別の季語でも色々と表現出来そう。秀逸と感じます。

       ★★★

確かに他の季語でも句が成り立ちそうですが、梅雨時の重苦しい感じが言いようのない無力感や憂鬱感を感じさせてくれるような気もします。

今日正午には黙とういたします。麗子

 

 

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初蝉や今生の日々始まりぬ  麗子 

2024年08月09日 | Weblog

計測史上に残るこの暑さ、生きものすべて必死で命をつないでいることでしょう。

生きもの二題の紹介です。コメントも読みごたえがあります。

 竹葉さん: 「今生の」から今迄の長い地下の数年間からやっと開放されて、現世の本物の生の始まり感がよく出ていると思いました。

 須美さん: 蝉の今生の日々始まると言うのが面白い。蝉の地上での短く貴重な日々が伝わる。

 晴代さん: 蝉の大切な一日の始まり。今日を大切に(人間も)。

 能登さん: うまい!! 私、羽化後の蝉の短い生を詠みたいと、何度も試みましたがうまくいきませんでした。 「今生の日々始まりぬ」がうまい。

 泉さん:  蝉は土の中に長いこといて、やっと地上に出ても短い、その短い命を大切に一生懸命生きている。

 亜子さん: ◎の句。蝉が土の中で長い年月を過ごしサナギとなって木に登り、脱皮して蝉になる。皮を脱いだばかりの初蝉の数日の日々が始まった。精一杯鳴いて「生を全うする」という祈りのようなものを感じる。

「今生」というのは「この世に生きている間」という意味。重みのある表現で、小さな命にむける作者の温かいまなざしを上手く表しています。

はかない命でも、やはり空を飛びまわってこその「生」ということなのでしょうか

 

 

 ででむしやだんだん手間の身ごしらえ  晴代

 麗子さん:「ででむし」のゆっくりした動きとだんだん手間取る身支度の様子。「でんでん」と「だんだん」の音の組み合わせもうまいと思いました。

 郁子: でんでんむしむし♪ と歌っていた頃が懐かしい。無警戒でゆっくりのんびりの動きが、思うようない動けない自分に重なります。

 千香子さん: 確かに何事につけ手間取るようになりました。

 

   

新見南吉のでんでんむしの悲しみを思い出しました。

生きている限り、悲しみはつきものです。その悲しみを分け合いながら少し笑って受け入れる日々。

一生懸命生きているひとに、たまにはご褒美をあげたいです。

 

 ででむしや今生の悲しみ背負いたり  郁子

 

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堰を切る言葉はある日の夕立  容子

2024年08月08日 | Weblog

自由題でトップ賞になった容子さんの秀句。なんと詩情豊かな俳句でしょう。いろんな物語が想像できます。何があったのでしょうか?ある日の夕立を機に堰を切ったように溢れ出す言葉たち。何か心にしまっていた思いがあったはず。誰かにその心のうちを打ち明けたのでしょうか?こういう俳句を私もいつか作ってみたいです。では皆さんの絶賛コメントです。

竹葉さん:言いたかった事をやっとどどーと言い出せた勢いを「夕立」とは凄い発想だと感心しました。

晴代さん:夕立の音が日頃の思いを言わしめたのか。

郁子さん:堪えていた気持ちが突然ダーッと。夕立の降り始めもこんな感じです。575の調子が定型でないのも効果的。

童子さん:ドラマティック!

亜子さん:リズムは違うがきちんと17音になっている。訴える力のあるリズム。どんなシチュエーションかわからないが、ある日の夕立の勢いで堰を切ったように出て来る言葉。許されるなら心の内をわかってくれる人がいて安心してしゃべりたい。

      ★★★

それにしてもこれだけ猛暑が続くと夕立が待ち遠しいです。夕立のざぁーっという音に言葉はかき消されるかも?でもそれだからこそ思いは溢れ出るのかも知れません。今日こそ一雨欲しいです。麗子

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閉塞のため息二つ熱帯魚  麗子

2024年08月02日 | Weblog

題詠「熱帯魚」のいろんな発想や気づきの句を見ながら、連日の危険な暑さと言われる毎日を凌いでいます。

美しくて涼やかで可愛くて軽やかにいきたいものですが、少々ネガティブな色合いの心情句もありました。

そのひとつ、麗子さんの句に寄せられたコメントです。

竹葉さん:「二つ」は水槽の閉塞感から来るものでしょうから、海に帰りたい願望の強さを表してるのでしょうね。

郁子:美しいアクアリウムに何の不自由もなく優雅に泳ぐ熱帯魚ですが、本当に幸せなのか。聞くわけにもいきません。メランコリーな作者の気持ちを投影しているかもしれません。

佐保子さん、童子さんも採られ高得点でした。

 

 熱帯魚委ねる生の幸ありき  容子

亜子さん:心境句。熱帯魚の動きを見て心の中に沸いて来た思い。いろんなことを全て定めと思い受け止めて生きて行く。一種の悟りのような心境を詠んだ句。

 

そして

 不夜城を舞う名前無き熱帯魚  郁子

着飾って、楽しくやってはいるけれど・・と見た私の句です。

竹葉さん:竜宮城では軽々しいけれど、「不夜城」は休みなく泳ぎ続ける哀れさを感じさせてくれます。

須美さん:熱帯魚の水槽を不夜城と表現しているのが面白い。

 

名古屋栄辺りに、理由もなく集まってくる未成年が増えているそうです。

彼ら彼女らは互いの名前も知らないけれど、SNSでつながり集団で行動するためお巡りさんが、警戒と指導のパトロールを強化しているという話を聞き浮かんだ一句です。

 

麗子さんと二人句会をした時に「わたしたち疲れているのかなア・・?」と笑ってしまいました。

この暑さ。片陰に生きものみんなが身を寄せて、掛け合う言葉は優しくありたいと思うこの頃です。

 片陰に雀二羽と信号待ち  郁子

 

 

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海沸騰東京湾に熱帯魚  能登

2024年08月01日 | Weblog

今日から8月です。まだまだ耐え難い猛暑が続きます。能登さんのこの句はまさに今年の夏を表現していますね。

灼熱の東京湾の様子。海沸騰とは!ゴツゴツした漢字の多さにも暑さが感じられます。東京湾が効いていると思いました。このままこのような暑さが続いたら東京の海も熱帯の海になり、いつの日か熱帯魚も生息しそうですね。

晴代さん:まさしく海水温の上昇危機を訴えているようです。

泉さん:年々、海水の温度も上がり、南の海の魚も珍しくない。

 

暑いと言えばこちらはお熱い熱帯魚の様子。

     口寄せて相思の仲や熱帯魚  亜子

アツアツカップルのように口を寄せてキスする熱帯魚。作者の亜子さんはなかなか熱帯魚を実際に見る機会がないので、ご自宅の原色百科事典で熱帯魚を調べたそうです。そこで目にした「キッシンググラミー」という熱帯魚。淡いピンクのかわいい観賞魚。タイやインドネシア、マレーシアなど東南アジア圏に生息しているそうです。

私もネットで検索してみました。確かにぶちゅっと唇を合わせています。ラブラブかと思いきや、実はオス同士の縄張り争い?ということです。そんなことはともかく二匹の熱帯魚が口を寄せている様子はほほえましいですね。

能登さん:微笑ましき景。「相思の仲」がいいですね。

泉さん:可愛く仲良しの感じがする。

             ★★★

パリオリンピック真っ只中。時差が厳しく寝不足の方も多いと思います。トライアスロン競技が行われるセーヌ川の水質がとても気になりました。川に魚はいるのかな? 皆様猛暑の中くれぐれもご自愛くださいね。 

                           麗子

 

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