575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

特攻隊員22歳   鳥野

2012年07月31日 | Weblog

 ・ 春雨や思ひすてたる身もぬるる

特別攻撃隊員として、知覧から出撃した上原良司の辞世の句です。
22歳。沖縄の海に散りました。

彼は、長野県、安曇野の池田町の出身。慶応大学在学中に学徒出陣。
見習操縦士に任じられていました。

命を受けて、明日は出陣という夜、報道班員に託した長文の所感。
その中で、「・・・明日は自由主義者が一人、この世から去っていきます。
ただ願わくば、愛する日本を偉大ならしめんことを・・・」と切々。

池田町の「アルプス展望美術館」の南側斜面に、「きけわだつみのこえ」の碑が建てられたのは、平成18年。モニュメントには、所感の一節が刻まれています。

8月は、日本敗戦の月。<特攻隊>という暴挙を、改めて心に刻みつける月でもあるのです。

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幼子の振るハンカチや瀬戸の海   立雄

2012年07月30日 | Weblog
瀬戸の花嫁を思い出しました、と郁子さん。
お嫁にいくお姉さんを、小さな弟がハンカチを振って見送る。
みるみる小さくなる姿・・・
岐阜の水郷地帯でも、昔は花嫁さんは小船に乗ってお嫁入り。
瀬戸内と同じような風景が見られたとか。
こんな風景は、瀬戸内でもほとんど見られなくなったとか。

ハンカチを振るという行為の古い記録は、古代ローマ時代。
競技場などで、観客が、小さな旗のようにハンカチをふったそうです。
応援のためだったのでしょうか?
ハンカチの歴史は古いんですね。
                         遅足

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夏雲が窓際に来る多米山麓     朱露

2012年07月30日 | Weblog
     大袈裟に言っているのではない。
     多米山脈自体が空に非常に近い。
     従って雲が目の前にある感じだ。
     それで人間も浮世離れして来る。

              


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心太磯の真鶴グラマン機     朱露

2012年07月29日 | Weblog
  心太(トコロテン)は天草から作る。
  神奈川県足柄下郡真鶴町は私の故郷。
  グラマンは米軍の戦闘機で一人乗り。
  六十七年前の恐怖の記憶は消えない。


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痩身は鋼よりなる水馬   遅足

2012年07月28日 | Weblog
船団・朝倉ドクターの診断です。
 句姿、調べ(口調)ともに美しく、痩身という漢熟語。
「はがね」という和語。その両方が、結果として「水馬」の
形容をはっきりと出しています。過不足なく、実にベストな選択眼です。
 〈水すまし水に跳ねて水鉄の如し 村上鬼城〉

ありがとうございます。

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こんな日はハンカチ三四枚持って   晴代

2012年07月27日 | Weblog
どのような日なのでしょう。嬉し涙、それとも?と鳥野さん。
妙に面白い句・・・と朱露さん。

上五の「こんな日は」が絶妙。想像力を刺激されます。
句会の当日は梅雨明けの猛暑。まさに、こんな日は・・・でした。
名古屋、連日、36度を越す猛暑日。
ハンカチは何枚必要になるのでしょうか?

ハンカチの起源をたどると、古代エジプトまで遡るそうです。
王女の墓から麻製と思われる布が出てきたとか。
もちろん庶民には高嶺の花、身分の高い人物の持ち物でした。
日本には明治の文明開化とともに入ってきました。
いまや季節を問わず必需品ですね。
                         遅足


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伯仲の試合ハンカチくしゃくしゃに   亜子

2012年07月27日 | Weblog
試合といえば、高校野球か、あるいはサッカーなどの観戦でしょうか?
作者のハンカチをくしゃくしゃにしたのは、大相撲名古屋場所だそうです。
ご贔屓はグルジア共和国出身の臥牙丸。
身長185センチ、体重200キロの巨体、「かわいい」そうです。
「ガガ」というニックネームに、親方が「臥」「牙」の字を当てて
「臥牙丸」という四股名が付いたとか。

名古屋場所、冷房のなかった昔は「南洋場所」と呼ばれたくらい大変な暑さ。
氷柱が立ち、時々、酸素の放出も行われました。
文字通り、ハンカチはくしゃくしゃになったことでしょう。

オリンピックが始まり、なでしこジャパン、男子ともに好スタートです。
テレビ観戦なら、ハンカチがくしゃくしゃにはならないかな。
いやいやテレビ観戦でも熱は入りますね。

                           遅足

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土用干し   麗

2012年07月26日 | Weblog
何年かぶりにつけた梅ぼし。
明日は土用なので、大ざるに漬けた梅を干すことにしました。
それにしても強烈な日差し。
梅を干すだけで私も干されます。
三日三晩干すそうです。
おいしい梅ぼしができるかな?

猛暑ご自愛下さい。

       何もかも干しあげられて土用入り    麗
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ハンカチはこぼれゆくものすくい上げ   麗子

2012年07月26日 | Weblog
ハンカチは、失われそうな大切なものを、
引き止めてくれる重要な小物、と鳥野さん。
少し、分からない処もあるのですが、
それはそれで、語調に惹かれます、と結宇さん。

詠み方に広がりがでてきた麗子さんの句。
こぼれゆくものって、なんでしょう?
浜辺に落ちている美しい貝殻かな。

  浪の間や小貝にまじる萩の塵   芭蕉

あるいは、涙、思い出、愛・・・など、様々に読めます。

私は長良川で、メダカをすくって遊んだのを思い出しました。
あれは誰のハンカチだったんだろう?
                      遅足
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蝉の朝しばらく何も出来ぬ多米    朱露

2012年07月26日 | Weblog
     耳鳴りか蝉の声かわからなくなる。
     猫額の庭に三本の大きい木がある。
     これに一匹でもとまろうものなら、
     二階の私の目の前だから私も蝉だ。

              


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御年頃ハンカチ王女二枚持ち    智恵

2012年07月25日 | Weblog
ハンカチ王子ならぬ、ハンカチ王女もお年頃。二枚のハンカチは必需品。
一枚は人前で使うため、王子様や王女様に見せるハンカチ。
TPOにふさわしい、人柄をしのばせるハンカチを選びます。
もう一枚は汗を拭く実用的なハンカチと、読めば、
この句は若い女性を詠んだものと思われます。

しかし、作者は更年期の句とのこと。
「御年頃だからね」という「年齢」がもう少し高い。
汗をよくかくようなお年頃という意味も自嘲気味。
そして実用的なハンカチが2枚必要ということに。

女性のオシャレに疎い私。二枚持ち、のココロが読めませんでした。

                       遅足

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缶ビール空けて見下ろす百合の花     朱露

2012年07月25日 | Weblog
    二階から見ているので七米下になる。
    五、六本咲いているが盛りは過ぎた。
    あたりは全て人家になってしまった。
    昔多米山脈と我が家だけという大嘘。

 

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クラゲ襲来  鳥野

2012年07月24日 | Weblog
五臓六腑を曝け出し、触手までみせて、ふわふわ、ゆらゆら。

クラゲは愛いやつ。

名古屋港水族館の南館に見事な展示コーナーがあり、時間を忘れます。

最近、このクラゲがニュースになりました。
と、言っても、今に始まったことではない原発とクラゲの話。

稼動が再開されたばかりの大飯原発3号機。発電用タービンの蒸気を
冷やすための、海水取水口の付近に大量のクラゲが発生。出力を低下させて
しまった、というトラブルです。

眼をひいたのは、経済産業省原子力安全・保安院の情報発表。
本来は「クラゲの発生」というところを、「クラゲの襲来」と言っています。

原発はいらない、再稼動反対、とどんなに大勢が集つても、叫んでも、聞く耳持たない
当局に、クラゲが海から応援に参じたのかも。

 ・ 抗らって来し水族館に小半日クラゲのゆらゆら眺めて過ごす

                          鳥野






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夏浅し棋譜を崩してまた並べ    朱露

2012年07月23日 | Weblog
     棋譜はキフで囲碁や将棋の手順記録。
     丹念に辿ると一日潰れることもある。
     定年とは言えもったいない時間潰し。
     黙れ! 碁の別名は「手談」と言う。

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蝉鳴いて働く者は全て出る    朱露

2012年07月23日 | Weblog
   朝九時と決めたように蝉が鳴き出す。
   勤める人も蝉と関係なくその頃出る。
   私はここ二十数年働いたことがない。
   蝉と勤め人のことを偲んでは見たが。


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