575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「小沢昭一的こころ」

2021年01月31日 | Weblog

小沢昭一<おざわしょういち>1929年都内杉並区の生まれ。父は長野県出身で写真館を始めるために上京。昭一が4歳の時に松竹の撮影所のあった蒲田で写真館を開きます。麻布中学ではフランキー堺、加藤武、なだいなだ、仲谷昇らと同級。やがて、彼らと演劇部を立ち上げますが終戦により退校。早稲田大学の文学部仏文科に入学し、加藤武、北村和夫今村昌平らと演劇活動に熱中します。早稲田在学中に俳優座の二期生となり、卒業後はテレビ、ラジオ、舞台など幅広い分野で精力的に活躍します。

「無愛想に 道を答えし ちゃんちゃんこ」<変哲>

昭一は、幼少期より落語に興味があり、大学時代に落語研究で知られる正岡容の弟子となり、桂米朝とは兄弟弟子の関係になります。後年、落語をはじめ日本の庶民芸能をまとめた「私は河原乞食・考」を出版しています。

「祭の甘い闇に 不良少年少女」<変哲>

1969年に新宿の鮨屋「銀八」で結成された「東京やなぎ句会」に参加。メンバーは永六輔<俳号 並木橋>柳家小三治<俳号 土茶>桂米朝<俳号 八十八>江國滋<俳号 滋酔郎>など錚々たる顔ぶれが並びます。現在は、柳家小三治が中心となり、女優の小林聡美、角野卓造夫人で俳優の倉野章子、歌舞伎俳優の中村梅花らにより句会は続けられています。

「身の丈の 二つほど跳ね 雨蛙」<小林聡美>

ところで、東京やなぎ句会は、欠席する場合、未婚の女性を代わりに出席させるなど面白いルールがあります。ちなみに、岩波書店刊「友ありてこそ」などにより句会を窺い知ることができます。

「夜店へ向いて 百円玉の まっしぐら」<変哲>

昭一の俳号は「小沢変哲」春風亭や柳家などの派生する入船亭扇橋が宗主。人気ラジオ番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」では「死んでから、人生で一番幸せだった日を一日だけ味わわせてやろうと神様から言われたら、トンボや小鮒でも捕りますか。いや句会で仲間と喋りたい。……となると、せめて三日は頂きたい」と語っています。

「雨の日は どこに宿るのか てふてふ」<変哲>

小沢昭一。葬祭の式場は自らが決めていた新宿の千日谷会堂。2012年12月10日没。享年83歳。

「寒月の 俺亡きあとも 照りやがる」<小沢変哲>

実は「小沢昭一の小津昭一的こころ」拙文を記すためYoutubeで初めて聴きました。落語のような軽妙な語り口。人気を得たのも当然でしょう。TBSラジオ制作。2010年6月19日放送分。下記サイトよりコピー&ペーストでお楽しみいただけます。https://www.youtube.com/watch?v=aLeN4KZCYow&fbclid=IwAR2RYyXBjhqlgfQgvoHoQmG7Rwdwol7q_MBcACgyhrD6G69JUuxZ5XvIsQE

今週よりパソコン用からスマホ用に文字組みを変えてみました。会員諸氏の使われている機器が不明。読みにくい場合はご連絡願います。jcoltrane30@gmail.com <殿>

写真と文<殿>
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「カフカの机」

2021年01月30日 | Weblog


浅井慎平<あさいしんぺい>1937年 愛知県瀬戸市の生まれ。4歳の時、名古屋の大須に転居。南山中学を経て旭丘高校より早稲田の政治経済学部に入学します。1966年のビートルズの写真集「ビートルズ東京100時間のロマンス」でメジャーデビューを果たします。

「色のなき 写真の中の レモンかな」<風太>

新しい感性の写真家としてPARCOやVANなど、新聞や雑誌広告など商業写真家として知られるようになります。さらに、ジャマイカの波の音だけで構成されたアルバムがヒット。脚本、監督、撮影をおこなった映画「キッドナップブルース」を制作するなど幅広い分野で、浅井慎平という独自の世界を展開した感があります。

「二月尽く 香水の名は エゴイスト」<風太>

慎平の第一句集「夜の雲」は彼らしく写真との融合を目指した写真俳句集。巻頭の挨拶に「映像詩人のオフ・ブロードウェイ。銀河劇場へようこそ」とあり、句集というより写真集につけた一行詩といった印象があります。

「象という 宇宙 冬の動物園」<風太>

本格的な句集といわれる「夜の雲」は、映画や音楽など慎平らしい題材でまとめられていますが、写真とは趣の異なる感性で詠まれ、巧みな使い分けをしている気がします。ちなみに俳号は風太。

「夏嵐 カフカの机 傷いくつ」<風太>

浅井慎平。84歳。TVのコメンテータとして知られますが、現在は、大阪芸術大学の教授や講演に活動の場を移しています。


*今回よりパソコン用の文字組みをスマホ用に変更しました。読みにくい方はご連絡ください。

写真と文<殿>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大寒の獅子咆哮し一山ゆれる  等

2021年01月29日 | Weblog

獅子の吠える声が山を揺るがすというスケールの大きさが
大寒という語感に響きあうと思いました。
獅子もただのライオンでなく、想像を超えるとてつもなく大きなもの。

須美さんからも「自然の脅威を感じる」とコメントが。

等さんに、この句はどのようにできたのか伺いました。

【「大寒」の兼題を頂いて、最初に私の頭に浮かんだのが「月に吠える獣」、獅子でも
狼でも熊でも良いのですが、これらの獣が寒々した夜に、月に向かって一人?吼えて
いるイメージでした。

このイメージで浮かんだのが数年前の冬、東山動物園で見た一頭のライオンが、山の
上で寒さに向かい吼える雄々しい姿でした。その声はライオン山を、イヤ動物園全体
を揺るがすような感じがしました。

そして出来たのが「大寒の獅子咆哮し一山ゆれる」の句です。
それから「大寒の獅子一哮(いっこう)し一山ゆるる」と韻を踏ませ、
さらに言葉の順序をかえ「一山ゆれ大寒の獅子一哮す」としたものの、
「一哮」が弱いので、最終的に「大寒」のイメージも強調して
「大寒の獅子咆哮し一山ゆれる」としたものです。】

 このように一句が動く様子を伺ってとても勉強になりました。
 “言葉の順序”と“言葉のイメージ”で苦労されたということですが
 一山(いちざん)という重々しいワードが出てきたことにも納得しました。郁子



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大寒や仁王のまなこ爛爛と  亜子

2021年01月28日 | Weblog
作者の亜子さん。覚王山日泰寺の山門をくぐった時に浮かんだ句だそうです。かけがえのない方を亡くした後に訪れた日泰寺。
日泰寺は日本でも珍しいいずれの宗派にも属さない寺院だそうです。そんな懐の深い日泰寺の山門には普通の仁王像とは違い、お釈迦さんのお弟子さんの像が二体立っています。
作者のご両親も日泰寺に眠っておられるとのこと。大寒の寒さに立ち向かうように門前に立つ像のまなこは、鋭いだけでなく慈愛にも満ちていたかも知れません。また、ご自身の決意かも知れないと思いました。故人のご冥福を心からお祈り申し上げます。麗子

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大寒や柱時計の重き音  麗子

2021年01月27日 | Weblog

大寒で音をとらえたもう一句。麗子さんの柱時計の句です。
こちらは重い音と表現しています。

等さん:大寒の深夜、部屋の空気はピンと凍てつき、柱の時計の音も何時もと違
う音がします。

千香子さん:寒さで時計の音まで「ああ寒い」と言っているよう 

須美さん:子供の頃祖父の家にあった柱時計とその部屋の質感まで思い出した
 
晴代さん:重き音、よほど大きな(古民家にあるような)時計でしょうか
 
泉さん:重い音を感じる 

冷え込んで静まり返った夜に、年代ものの柱時計が規則正しく時を刻む。
重々しい響きと同時に振り子の行きつ戻りつする様子が浮かんできます。
作者の気持ちもここに反映されているかもしれませんね

麗子さんは、最初
 「大寒や柱時計のねじを巻く」
 
という句を作ったそうです。
【我が身にねじを巻く意味でと思ったけれど、柱時計のねじを巻いたことが
ないので、やめました】と。
麗子さんより少しお姉さん(笑)の私は
かろうじて、時計のねじを巻いた経験があり、感触も覚えています。
自分を奮起させるねじがあるのなら巻いてみたいものですが、
世の閉塞感と停滞感を動かすためのねじは
さぞかし力がいり、重い音がするのでしょうね。郁子

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大寒や賽銭それて音高し  郁子

2021年01月26日 | Weblog
作者の郁子さん。初詣も落ち着いた頃、大寒の頃に神社へ行ってお賽銭を投げたら思わぬところへ飛んで行ったそうです。寒さの中での音の気づきを詠まれました。

選句された方のコメントをご紹介します。
竹葉さん: 賽銭の落ちる硬貨のカチンカランらしき音が大寒の空気の冷たさを感じさせてくれます。
殿様:賽銭を投げ入れる一瞬を音で切り取る。秀悦な一句。
能登さん:⑤の匂い(遅足さんの剃刀やの句)に対しこちらは賽銭の「音」に着目。すばらしい。
晴代さん:賽銭の音が高いとはこじんまりした町や村の氏神様でしょうね。
亜子さん:ユーモアのある一句。⑪の柱時計の句に比べて、硬貨の高い音が寒さを際立たせる。

偶然ですが、私は柱時計の重い音を詠み、郁子さんは軽やかな高い音を詠まれました。「重き音」は大寒に着き過ぎの感じがして、お賽銭の音の方が軽やかで春に向かって行く気がしました。同じ大寒でも感じ方が違って面白かったです。明日は郁子さんが私の重き音について書いて下さる予定です。
寒さが緩みほっとしていますが、今週末はまた寒さがぶり返すとか。皆様ご自愛くださいね。麗子



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「遊郭の俳諧師」

2021年01月24日 | Weblog



炭太祇<たんたいぎ>1709年江戸時代中期の生まれ。
軽妙洒脱でしられる川柳の祖ともいえる慶紀逸に師
事。その後、太祇は江戸の吉原で俳諧の師匠として
暮らします。しかし、縁あって得た二人の子どもが
相次いで急死。失意の太祇は諸国放浪の旅に出ます。
放浪の末にたどり着いたのが、京都の大徳寺。太祇
は禅の修行僧となり厳しい仏の道を歩み始めます。
しかし、ある日、寺を飛び出し下俗してしまいます。

「蚊帳くぐる 女は髪に 罪深し」<太祇>

このいきさつについて文献を調べましたが、太祇の
心変わりの理由がわかりません。ただ、太祇は京都
にある島原遊郭の「桔梗屋」という置屋の主人から
俳諧の師匠をしてほしいと懇願されていたようです。
太祇は江戸吉原での楽しい生活が恋しかったのかも
しれません。

「傾城の 朝風呂匂ふ 菖蒲かな」<太祇>

京都の島原遊郭は、江戸の吉原遊郭と異なり文人墨
客が集う文化サロンとして発展した感があり「島原
俳壇」が作られ、その指南役を任されたのが太祇で
す。島原遊郭の「桔梗屋」の隣に「不夜庵」という
庵を結びます。江戸時代の遊郭は、俳諧や和歌が盛
んで遊女たちが身につけるべき芸のひとつとされて
いました。

「山吹や 葉に花に葉に 花に葉に」<太祇>

京都の島原は幕府公認の花街。しかし市中にある祇
園に客を取られていました。そこで、太祇は、から
くり人形や仮装行列などのイベントを提案しプロデ
ュサーとして島原遊郭の活性化に尽くします。

「初恋や 灯籠によする 顔と顔」<太祇>

晩年を迎えた太祇は与謝蕪村が主催する「蕪村の三菓
社句会」に出席しています。太祇は蕪村より7歳年上。
しかし、頼り甲斐のある盟友だったのでしょう「太祇
馬提灯図」には楽しげな句会帰りの太祇と蕪村が描か
れています。

「芝居見る 後侘しさや 秋の雨」<太祇>

炭太祇。享年63歳。不夜庵には句を書き散らした紙が
高く積まれていたといわれています。没後、蕪村らに
より句集が編まれ900の句が残存。墓は島原にほど近
い綾小路通り大宮の光林寺にあります。


構成と文<殿>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「春立てる」

2021年01月23日 | Weblog



辻桃子<つじももこ>1945年神奈川県横浜生まれ。
子ども時代から文学に興味を持ち詩作に没頭して
います。しかし、画家の父親から学んだ描写力を
活かし早稲田大学の美術学部に入学。大学1年の時
に母親の影響で俳句を始め、俳人で随筆家の楠本
憲吉に師事することになります。

余談となりますが、友人のデザインスタジオが赤坂
で、彼の隣のマンションに楠本憲吉の仕事場があり
ました。友人は顔見知りらしく書籍などの貸し借り
をしていましたが、氏の部屋には昼夜を問わずあか
りが灯り執筆業の厳しさを垣間見た気がします。い
ま思えば、俳句の話などお伺いしておけばと悔やま
れます。

「虫鳴いて 裏町の闇 やはらかし」<憲吉>

話を桃子に戻します。桃子は憲吉の主宰する「野の
会」の同人となり1967年に大学を中退。染色の仕事
で糊口を凌ぎながら「花椿」「現代詩手帳」などに
詩の掲載を続けます。やがて、金子兜太らと前衛俳
句を提唱していた高柳重信の「俳句評論」の競作に
入選。金子兜太の主宰する「海程」に入会したこと
を機に、1975年から本格的に俳諧師としての活動を
スタートします。

「右ブーツ 左ブーツに もたれをり」<桃子>

1979年に水原秋桜子に師事した藤田湘子の「鷹」に
入会。編集部員を経て同人となります。1983年に鷹
賞を受賞。「虚子の忌の大浴場に泳ぐなり」が高浜虚
子の弟子であった波多野爽波に評価され、広く知られ
るようになります。1987年「鷹」を辞し「童子」を
創刊し自らが主宰者となります。

「うららやかや カレーを積んで 宇宙船」<桃子>

2003年に句集「饑童子」<ひだるどうじ>で俳諧評論
で知られる加藤郁乎賞を受賞。「桃」「雪童子」「津
軽」など句集の他に、エッセイや歳時記、そして人気
のハウツー本など精力的な執筆活動を続けています。
変わったところでは、大学時代から現代舞踊のシナリ
オの執筆を続けていて「唐人お吉の場合」は芸術祭賞
を受賞しています。

「小祠の 切子硝子や 春立てる」<桃子>

辻桃子<つじももこ> 現在76歳。著作「あなたの俳句
はなぜ佳作どまりなのか」新潮社刊は必見。わかりや
すく楽しい俳句を提唱するトップランナーといった感。


*パソコン閲覧用に作成しています。スマホ・タブレッ
トでは表記が異なる場合があります。

写真と文<殿>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大寒や唸って入る檜風呂  須美

2021年01月22日 | Weblog

この句も票を集めました。須美さんご自身の体験でしょうか?
選んだ方のコメントです。

結宇さん:ゆったり温まってる図ですね。本当に寒いおりは、熱い風呂に
はいりたい。

麗子さん:中七の「唸って入る」が言えそうで言えないフレーズ。極楽、極楽 

亜子さん:実感がこもったユーモラスは一句

等さん:寒い夜には唸ろうが何しようが、暖かいお風呂は最高です。それも檜風
呂とは羨ましい・・

千香子さん:あまりの寒さに「寒いぞー」と声で勢いをつけて暖かいふろに入る。「極楽
極楽」、という雰囲気を感じます。


私も一票投じました。
たっぷりとした温かいお湯につかると思わず声が出ますね。
我が家は、入浴剤で温泉巡りをしています。
各地の名湯の名のついた入浴剤の詰め合わせが売られています。
今晩、どこの温泉に入るかは、温泉奉行の娘の管轄。(笑)
チョイスを間違うと、父親でさえ叱られます。
「檜風呂」とはいきませんが、ステイホームのユニットバスでささやかに
 極楽、極楽!    郁子

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

剃刀に大寒の夜の匂いあり  遅足

2021年01月21日 | Weblog
2021年の初句会は遅足さんのこの句が見事トップ賞でした。
皆様からの絶賛のコメントをご紹介します。

結宇さん:なにか、なまめかしい感じがします。それか冷ややかな独り者か・・・。寒さを感    じます。
殿さま:剃刀の金属が持つ冷感が伝わります。そして大寒の夜の匂いとは…。
能登さん:「剃刀の匂い」は秀一。
郁子さん:剃刀の冷やッとする肌感と夜の匂いが季語によって増幅して迫ってくる。俳句中の     俳句。素晴らしい。
紅さん:剃刀という予想外の言葉。そしてそこに夜の匂い。不思議な面白さを感じます。
亜子さん:寒さの極まった大寒の状態と剃刀が似合う。匂いに注目されたところがよい。なぜ     か、官能的な感じもする。(この句が◎)
晴代さん:剃刀や包丁の鈍色は寒さを一層増すような気がします。
奥様の佐保子さん:句作あきらめずに頑張ってねと一票。

私も頂きました。大寒の句を作る時に、金属の冷たさを詠めたらいいな~と思っていましたが、剃刀の刃を当てる行為は思いつきませんでした。剃刀の刃の冷たさ。それを嗅覚と合わせたところが秀逸だと思いました。
リハビリをがんばっておられる遅足さん、新年初句会からトップ賞!こいつは春から縁起がいいですね~(笑)新しい年も遅足旋風を巻き起こしてください。麗子





コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「初句会」結果発表!

2021年01月20日 | Weblog
2021年初句会「大寒」

① 大寒に獅子咆哮し一山ゆれる (等)郁子 須美 
② 大寒の 玻璃<はり>にうつろふ 犬の影 (紅)殿 能登 遅足
③ 大寒や舗装工夫の反射光 (千香子)泉
④ 大寒の日の出閃光ビル射たり(晴代)佐保子
⑤ 剃刀に大寒の夜の匂いあり  (遅足)殿 結宇 能登 麗子 郁子 紅 晴代 亜子 佐保子
⑥ 大寒や星にひと声闇に染む (竹葉)紅 泉
⑦ 大寒の夫の背まるく曲りをり  (佐保子)等 千香子 遅足
⑧ 大寒と聞けば手の皺(シワ)年毎に (結宇)
⑨ 大寒に ほどいた指の 冷たさよ (殿)竹葉 結宇 紅 遅足
⑩ 大寒や仁王のまなこ爛爛と (亜子)麗子
⑪ 大寒や柱時計の重き音 (麗子)等 千香子 須美 晴代 泉
⑫ 大寒や賽銭それて音高し (郁子)竹葉 殿 能登 晴代 亜子
⑬ 大寒や車うもれし北陸道 (泉)
⑭ 大寒の座禅の裡や嵐止む (能登)須美
⑮ 大寒や唸って入る檜風呂 (須美)竹葉 結宇 麗子 等 郁子 千香子 亜子 佐保子

自由題
① なべづるや舞ふ一万羽朝の田へ (千香子)遅足
② シンデレラ師走一日を夫預け  (佐保子)
③ 同年と知る死亡記事おでん酒 (遅足)結宇
④ どさり落つ張り出し雪や友の逝く (竹葉)結宇 須美
⑤ 砂利の音絶えぬ熱田の冬桜 (等)竹葉 殿 能登 紅 晴代 亜子 泉
⑥ 初夢やアリアと描く過ぎし日々 (結宇)
⑦ 歳時記を棺に収め冬に入る (亜子)結宇 麗子 等 郁子 千香子 須美 佐保子 遅足
⑧ 風花や懐かしき人会いたくて (麗子)殿 等 亜子
⑨ 雑煮椀求めし古都の艶のあり (晴代)麗子 郁子 千香子 紅 遅足
⑩ 氷張り 埋む木の葉に 時とどむ (紅)竹葉 殿 能登 須美
⑪ 凍てし夜に フリーズ解けぬ 信号機 (殿)紅 佐保子
⑫ 陽に溶けて氷柱明日の光あり (郁子)竹葉 能登 晴代 亜子 泉
⑬ 雪起こし静かなる朝銀世界 (泉)郁子 千香子
⑭ 風花の黒髪に舞い君十九 (能登)麗子 等
⑮ 凍てる道子ら滑らせて歩み行く (須美)晴代 泉 佐保子

いかがでしたか?
初句会、トップ賞は 遅足さんでした!
大寒の今日、冷え込んで冷蔵庫の中にいるようです。
身体に気をつけましょう。  郁子

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初句会の投句が揃いました。

2021年01月19日 | Weblog
「大寒」の句が集まりました。さまざまな情景が目に浮かびました。
どの大寒に心惹かれたか、結果は明日の大寒の日に発表です。麗子

2021年初句会「大寒」
① 大寒に獅子咆哮し一山ゆれる 
② 大寒の 玻璃(はり)にうつろふ 犬の影 
③ 大寒や舗装工夫の反射光 
④ 大寒の日の出閃光ビル射たり
⑤ 剃刀に大寒の夜の匂いあり  
⑥ 大寒や星にひと声闇に染む
⑦ 大寒の夫の背まるく曲りをり  
⑧ 大寒と聞けば手の皺(シワ)年毎に 
⑨ 大寒に ほどいた指の 冷たさよ 
⑩ 大寒や仁王のまなこ爛爛と 
⑪ 大寒や柱時計の重き音 
⑫ 大寒や賽銭それて音高し 
⑬ 大寒や車うもれし北陸道 
⑭ 大寒の座禅の裡や嵐止む 
⑮ 大寒や唸って入る檜風呂 


自由題
① なべづるや舞ふ一万羽朝の田へ 
② シンデレラ師走一日を夫預け  
③ 同年と知る死亡記事おでん酒
④ どさり落つ張り出し雪や友の逝く 
⑤ 砂利の音絶えぬ熱田の冬桜 
⑥ 初夢やアリアと描く過ぎし日々 
⑦ 歳時記を棺に収め冬に入る 
⑧ 風花や懐かしき人会いたくて 
⑨ 雑煮椀求めし古都の艶のあり 
⑩ 氷張り 埋む木の葉に 時とどむ 
⑪ 凍てし夜に フリーズ解けぬ 信号機 
⑫ 陽に溶けて氷柱明日の光あり 
⑬ 雪起こし静かなる朝銀世界 
⑭ 風花の黒髪に舞い君十九 
⑮ 凍てる道子ら滑らせて歩み行く 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「きしやのけむり」

2021年01月17日 | Weblog



田中古代子<たなかこよこ>1897年鳥取県の生まれ。
1910年に鳥取の女学校に入学します。しかし、気管
支炎を患い中退。その後、東京の実践女学校の通信
教育で国文学と英語を学び「女子文壇」や「文学世
界」といった文芸誌に短歌や散文の投稿を始めます。

1915年に山陰日々新聞の女性記者して入社。文芸誌
「我等」の同人となり「闇の夜に」「心のまま」な
どの作品を発表。若き女流作家として文学青年たち
の人気を得たようです。結婚と共に退社。1916年に
「我等」に発表した「接吻」「性の闘争」が社会風
紀を乱すとして発禁処分になります。

「日本海の 荒潮の如き わたしの胸は」<古代子>

1917年に長女千鳥を得ますが、結婚生活はうまくい
かず古代子はやむなく実家に戻ります。実家は裕福
で運送業や海産物の問屋を営み、兄は県会議員でし
た。近くの浜村温泉で青年画家と親しくなったこと
で別居中の夫が告訴。しかし、古代子は別件で逆に
告訴して、和解が成立したことを機に離婚し執筆活
動を本格的にスタートさせます。

「鉄瓶 静かに鳴る 初秋の朝」<古代子>

1919年の春 古代子は「諦観」を発表。「実らぬ畑」
は大阪朝日新聞の懸賞小説に入賞しています。選者
の有島武郎に絶賛されたことから、文壇の注目を集
め古代子は広く知られる作家となります。

1922年「病床詩片」を文芸誌「微明」に発表。同
年の秋には文芸誌「水脈」に「御安宿」を発表しま
す。しかし、長女千鳥が病いを得ており、看病をし
ながらの執筆。長女の千鳥が亡くなり、死と向き合
った自らの心を綴っています。

「リボンを頂きたる 小さき骨壺壺」<古代子>

ところで、7歳で早逝した田中千鳥。5歳より自由詩
を作り、万物を素直な感性でとらえ80編の素晴らし
い詩文を残しています。これらは絵本「千鳥のうた」
としてまとめられ出版。また、千鳥の短い生涯を描
いた「千鳥百年1917-2017」という映画も秀悦。

千鳥の叔父 田中暢は「千鳥は死の前の三四ケ月と云
ふものは、凡ての人のみならずあらゆる物象に異常
な懐しみを抱いゐた様に思はれる。野原を凝視して
は花の心を歌ひ、空を凝視しては一生懸命になって
雲を描いた」と記しています。暢も千鳥の後を追う
ように亡くなり享年27歳。

「むかうのふぶきのふりようは 白い鳥がおりるやう」<千鳥>

話を戻します。1924年、古代子はジャーナリストの
湧島義博と再婚。上京して夫と南宋書院を牛込で営
みます。しかし、順風満帆ともいえる生活は短く古
代子は結核となり療養のため鳥取に帰郷。1935年に
睡眠薬で自死します。

田中古代子。享年37歳。鳥取市の玄忠寺に古代子の
記念碑があり、2001年に年譜碑も建立されています。

田中千鳥。享年7歳。母の古代子と共に玄忠寺が墓所。
墓碑には、湧島古代子。千鳥は田中千鳥と記されてい
ます。7歳半の絶筆は下記。

「ばんかたの空に ぽつぽと き江てゆく きしやのけむり」<千鳥>


写真と文<殿>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「6歳の女流俳人」

2021年01月16日 | Weblog



田 捨女<でんすてじょ>1633年 兵庫丹波の生まれ。
柏原藩の庄屋で代官を務めた田季繁の娘。幼い頃か
ら俳句を詠み、和学者で俳人の北村季吟に師事しま
す。北村は松永貞徳の弟子であり貞門俳諧の新鋭と
いわれ、土佐日記抄、伊勢物語拾穂抄、源氏物語湖
月抄などの注釈書をあらわし幕府の歌学方を世襲し
ています。門人は松尾芭蕉、山口素堂など錚々たる
顔ぶれ。江戸時代初期に俳壇の礎を築いた人物とい
っても過言ではないでしょう。

「鳥籠の 憂目見つらん 郭公」<季吟>

話を捨女に戻します。42歳の時に代官を務めていた
夫が死去。シングルマザーとなった捨女は五男一女
を育てあげます。夫の七回忌を済ませた翌年に剃髪。
仏門にはいり妙融と号します。やがて、播磨の天徳
山龍門寺に「不徹庵」という庵を構え貞閑と改名。
捨女は仏の道を歩むだけなく俳壇の指導者としても
優れ、貞門派女流六歌仙のひとりとして世間に広く
知られることになります。

「草よ木よ 汝に示す 今朝の露」<捨女>

田家は文芸を嗜むことが家風。そのため捨女は幼児
より筆を持ち、周囲の大人たちを驚かすほど迅速に
俳句を詠んだといわれています。下記は捨女6歳の
冬に詠んだといわれるユーモアあふれる句。

「雪の朝 二の字二の字の 下駄の跡」<捨女>

捨女の生誕地である丹波市崇広小学校には、ボブカ
ットの捨女像があります。また、句碑や歌碑が点在
する「田ステ女公園」まで作られ、捨女の名を冠し
た俳句大会が開催。捨女は地元で人気者のようです。
ちなみに、枢密院顧問官や閣僚を歴任した男爵 田健
治郎や、ジャーナリストから政治家となった参議院
議員の田英夫は捨女の子孫にあたります。

「花は世の ためしに咲くや ひと盛り」<捨女>

田 捨女。才知に富む女流俳諧師の祖。享年65歳。庵
のあった播磨の龍門寺に墓があります。


写真と文<殿>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

携帯に拝す四角の初日の出 郁子

2021年01月15日 | Weblog

こんな句を作っていたことを
麗子さんのブログ、初句会の振り返りで思い出しました。
7年前になります。帰省していた際、
早起きをして、ひとり散歩にいった夫が、故郷の初の日の出を見せたく
写真を撮って私の携帯に送信してきました。(ガラケーでしたが)
それを朝寝坊の布団の中で見るという僥倖?を詠んだものです。

実は今年元旦、一番に見たテレビのヘリ中継で、
富士山越しの初日の出、ダイヤモンド富士を見ました。
その美しさに感激して、私は一句作ろうなどとひねっていたのです。
やはり「四角の初日の出」
なんと進歩のないこと!しかも同じ発想であることも忘れていた!
日の出をじかに見たのは松の内も過ぎた頃になってしまいました。


2021年 575の会。初句会の句が揃ったようです。
どんな句に出会えるでしょうか。選句が楽しみ。
朝の陽の光は脳の幸せホルモン、セロトニンの分泌をうながしてくれるとか。
選句作業も、そのような効果があるといいですね。
このところ、閉塞感とストレスが多すぎて・・   郁子

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする