575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

湖がふっと吐きだす秋の虹  遅足

2023年09月29日 | Weblog

虹を見ると何かいいことありそうな気がします。オーバーザレインボー・虹の彼方に という歌のイメージでしょうか。

そこは夢が叶う場所。幸せの青い鳥が飛んでいるのだなどと言われれば、絶対行きたくなるのが人情。なのに何故 こんなに哀愁を帯びた歌なんだろうと子どもの頃不思議でした。空気中にただよっている水の粒に太陽の光が当たって屈折し、七色に見えるのだと説明されたとしてもいやいや、そうは言っても 何かあるんじゃないの?

能登さん:「湖がふっと吐き出す」いいですねー。

須美さん:ふっと吐き出すが面白い 

千香子さん:湖にかかった 虹を吐き出した、とは とても美しい景色が浮かびます。そっと吸い込むとしたらどういう感じになるかなーと考えていました

儚く消える秋の虹なら 湖の憂いから生まれるのかもと思わせる一句です。

 

 秋の虹城より出て堀に消ゆ  須美

作者のご友人が虹の写真を送ってくださったそうです。丁度お城から出ているように見える虹で 秋の虹なら淡く短くお堀に消えてしまったでしょうという句意

麗子さん:景のしっかり見える句。下五の「堀に消ゆ」が特にいいと思う。

古風でつつましやかな秋の虹が目に浮かびました。

 

おしまいに私の拙句

 ふと立ちてはて?と忘れり秋の虹  郁子

秋の虹の印象の薄さを、「はて?と忘れり」と表現。うまい!

と評してくださった能登さんありがとうございます。

最近、こんなことが増えまして、先日も冷蔵庫を開けてしばらく静止しておりました。「忘れり」の言い方が、ひっかかっております。「忘るる」のほうがよかったような気も・・古語の文法があやふやなので迷いました。「忘れてしまった~」という完了の気持ちを表したかったのですが・・

どなたか教えていただけるとありがたいです。  郁子

 

 

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夢で逢い夢で別れて秋の虹  亜子

2023年09月28日 | Weblog

作者の亜子さん曰く「夢でしか逢えない。逢えたと思っても別れがある。自画像の句。」

とてもせつないです。亡くなる人は虹の橋を渡るといいます。夢でもいいからもう一度逢いたい。夢の中でも別れるというのは、夢から覚めた時の落胆が伺えますが、それでも逢いたい。それだけ愛おしい人がいるということはすばらしいですね。お連れ合いを亡くされてから毎日空を眺めておられる亜子さん。秋の虹はきっと亜子さんの心を慰めてくれているはずです。

能登さん:出るも消えるも夢のなか、儚さをうまく表現。素敵です。

泉さん: 夢を見ると見た時覚えている気がするが、起きた時、どんな夢を見ていたんだろうとはっきり思い出せない。

     秋の虹ほほえむ父母よ消えてゆく  泉

泉さんは秋の虹を見ることができたそうです。いつもなら何も思わないけれど、じっくり観察しようと思っているうちに消えてしまったそうです。あーこれが「秋の虹」だと。

そんなはかない虹を見ていて、なぜか微笑んでいるご両親を思い出し、懐かしさで胸がいっぱいになりこの句が出来たそうです。

    秋の虹逢いにゆけるか黄泉国  晴代

泉さん:秋の虹ははかない。なんだかこの世、あの世の境い目の感じがする。

    ★★★

雨上がりの夏の虹なら明るく晴れやかな気持ちになりますが、はかない秋の虹は亡き人や愛おしい人を思慕する感じになりますね。秋の虹ならではの句をご紹介しました。麗子

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制限の見舞いの帰り秋の虹  麗子

2023年09月22日 | Weblog

「秋の虹」で同じくトップ賞の麗子さんの秀句です。

お父さま、お姑さんともに離れたところにお住まいですが、定期的に見守りに帰っていらっしゃるとのこと。「制限の見舞い」という表現に思うように会えない辛さが集約されています。

 

竹葉さん:コロナで自由がない中お見舞いの暗い気持ちが、虹を見てぱっと明るい気分になったという、良かったなー、と思わせるいい句だと思います。

須美さん:久々の見舞いで会えて安堵したのでしょうか。

晴代さん:心残りと秋の虹の取り合わせがよい。

千香子さん:ようやく見舞いに行けた日 滅多に見ない 秋の虹も見た。 嬉しいような寂しいような感じがしました 。

亜子さん:コロナ禍のお見舞いを多くの人が経験している。短い時間でも会えてよかったという気持ちと、虹を見るといいことがあるような気がするので、虹に希望を託す微妙な心理が伺える。

 

 

私もいただきました。ちょうど母が誤嚥性肺炎で入院中。面会時間は時間厳守で10分・・あっという間です。

制限つきの見舞いの帰り、言い忘れたこと、やり残したこと、別れ際の母の顔などあれこれ思い出します。

妙に明るくふるまいながらひとりに戻ると少し寂しい。秋の虹がぴたりとくるように思いました。  郁子

 

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移りゆく色を集めて秋の虹  能登

2023年09月21日 | Weblog

「秋の虹」句会、いかがだったでしょうか?なかなか虹を見ることが出来ずに難しかったという声もありました。七色ならぬ十三色の色が集まりました。秋の虹は色も淡く、はかなく消えていくので哀愁が深いということで、別れた人を慕う句が多かった気がします。

そんな中、トップ賞になった能登さんのこの句。はかない秋の虹の色を集めたという表現に魅かれました。刻々と移りゆく感じが兼題にふさわしいと思いました。

竹葉さん:「移りゆく」が秋の感じがでてて美しい句だと思います。

須美さん:移りゆく色を集めてが好き。

晴代さん:“色を集めて”が色濃くなってゆく秋をおもわせる。

郁子さん:紅葉の季節、様々な秋色を集めた虹もいいですね。移りゆく色というのがいいですね。

亜子さん:◎の句。虹の七色を、移りゆくと表現したところが素晴らしい。はかない色が秋の虹とぴったり。

 

      ★★★

私は兼題が決まってから、偶然、秋の虹に遭遇しました。雲と雲の架け橋のように四半分の虹が見えました。俳句にしようと思いましたがなかなか写生句は難しく。。。どうしても心象風景の句になってしまいました。空に虹がかかるとなぜかプレゼントをもらったように嬉しい気持ちになります。消えるからこそいいのですよね。麗子

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9月「秋の虹」 結果発表!

2023年09月20日 | Weblog

2023年9月「秋の虹」

  1. 移りゆく色を集めて秋の虹 (能登)竹葉 須美 晴代 麗子 郁子 亜子
  2. 秋の虹日々の境が滲みたり (容子)童子 晴代 千香子
  3. 秋の虹逢いにゆけるか黄泉国(よもつくに)(晴代)泉 容子
  4. 十年前(ととせまえ)の鈴鹿の山の秋の虹 (佐保子)容子
  5. 夢で逢い夢で別れて秋の虹  (亜子)遅足 能登 童子 麗子 泉
  6. 秋の虹ほほえむ父母よ消えてゆく (泉)
  7. 朝の庭自在にかける秋の虹 (千香子)佐保子 竹葉 容子
  8. 戦場の秋虹曇る両の端 (竹葉)遅足 童子 亜子
  9. 湖がふっと吐きだす秋の虹 (遅足)能登 須美 千香子 郁子
  10. 秋の虹城より出て掘に消ゆ (須美)遅足 麗子
  11. 制限の見舞いの帰り秋の虹 (麗子)竹葉 須美 晴代 千香子 郁子 亜子
  12. ふと立ちてはて?と忘れり秋の虹 (郁子)佐保子 能登
  13. 秋の虹消えても我の番は来ず (童子)佐保子 泉

 

 

自由題

  1. 今生のスーパーブルームーンかな (亜子)佐保子 能登 容子
  2. 民藝の若き主が集う秋 (容子)千香子
  3. 一歩出て押しもどされる暑さかな (晴代)竹葉 童子 麗子 亜子 泉
  4. 秋暑しチャイムを前にセールスマン (千香子)遅足 能登 郁子
  5. 浴槽に鉦叩きの声待ちわぶる  (佐保子)晴代 千香子
  6. 白き米噛む度浮かぶ稲田かな (竹葉)郁子 亜子 泉
  7. のうぜんや街路樹一本包囲せり(能登)佐保子 晴代 千香子 容子
  8. 幾柱虹を鎮(しず)めし北の海 (遅足)
  9. 葡萄剥き爪紫に甘露落つ (須美)能登 童子 麗子
  10. おおつぶのぶどうほおばりあっぷっぷ (郁子)遅足 須美
  11. 赤とんぼ夕日に染まり鬼ごっこ (泉)
  12. 嵐の夜蔓に止まりし秋の蝶 (麗子)佐保子 竹葉 須美 童子
  13. 亡き父の表札下ろし蝉しずか (童子)遅足 竹葉 須美 晴代 麗子 郁子 亜子 泉 容子

 

 

兼題トップ賞は 能登さん麗子さん

自由題は 童子さんでした。  おめでとうございます 

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「秋の虹」句会の投句が集まりました。

2023年09月19日 | Weblog

七色ならぬ十三色の秋の虹が集まりました。明日の結果をお楽しみに。

2023年9月「秋の虹」

①        移りゆく色を集めて秋の虹 

②        秋の虹日々の境が滲みたり 

③        秋の虹逢いにゆけるか黄泉国(よもつくに)

④        十年前(ととせまえ)の鈴鹿の山の秋の虹 

⑤        夢で逢い夢で別れて秋の虹  

⑥        秋の虹ほほえむ父母よ消えてゆく 

⑦        朝の庭自在にかける秋の虹 

⑧        戦場の秋虹曇る両の端 

⑨        湖がふっと吐きだす秋の虹 

⑩        秋の虹城より出て掘に消ゆ 

⑪        制限の見舞いの帰り秋の虹 

⑫        ふと立ちてはて?と忘れり秋の虹 

⑬        秋の虹消えても我の番は来ず

自由題

①        今生のスーパーブルームーンかな 

②        民藝の若き主が集う秋 

③        一歩出て押しもどされる暑さかな 

④        秋暑しチャイムを前にセールスマン 

⑤        浴槽に鉦叩きの声待ちわぶる  

⑥        白き米噛む度浮かぶ稲田かな 

⑦        のうぜんや街路樹一本包囲せり

⑧        幾柱虹を鎮(しず)めし北の海 

⑨        葡萄剥き爪紫に甘露落つ 

⑩        おおつぶのぶどうほおばりあっぷっぷ 

⑪        赤とんぼ夕日に染まり鬼ごっこ 

⑫        嵐の夜蔓に止まりし秋の蝶 

⑬        亡き父の表札下ろし蝉しずか

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とつおいつゆうぐれていく冷奴  晴代

2023年09月15日 | Weblog

とつおいつという言葉を今回初めて知りました。

意味としては「取りつ置きつ」の音が変化したもので、手に取ったり下に置いたり考えが定まらず、あれこれと思い迷うさまとありました。

まさに投句〆切迫る私の状態にぴったりの表現です。

9月の兼題「秋の虹」は揃ったようです。発表をお楽しみにしてください。

 

いただいたコメントです。

竹葉さん:迷ってるのは夕食の献立なのか、そうでなくても、冷奴食べればいいや、というなんか冷奴が暗い感じを吹き飛ばしそうで好きです。

能登さん:自分に無関係に過ぎゆく時間を、冷奴が受け止める。哲学的です。

須美さん:食欲がないのでしょうか。なんとか食べようとするけれど食べられないまま夕暮れてしまったのでしょう。ゆうぐれてゆく冷奴という表現が面白い。

 

 ユーモラスにも哲学的な奥深さも感じる秀句と思います。日が暮れてあたりが薄暗くなるにつれて白い豆腐が浮かび上がるという映像的な効果もあり。冷奴だけ漢字表記というのも食べ物の句がお好きという作者の企みでしょうね。

 

もう一句食べ物です。

 あぐらかく父のまねして南瓜の子  遅足

童子さん:大きな南瓜が胡座をかいているように見えたのでしょうか。父子に見立てたほっこりする句ですね。

  

 確かに日本カボチャのごつごつ感は、胡坐をかいているよう。

南瓜の子というだけで風貌が浮かびます。丸刈りでランニングシャツ姿、不器用な素朴な少年・・(勝手な想像です)

「やーい。土手カボチャ」 やんちゃ坊の悪態の常套句でした。

「いいもーん。カボチャ美味しいもん」とそのたび言い返していた私。

 懐かしい思い出です。   郁子

 

 

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じゃんけんで勝ってニンゲンに生まれたの  童子

2023年09月14日 | Weblog

作者の童子さんのコメントです。

「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」

という句が本当に大好きで。じゃあ勝つと何に生まれる?と考えて。最初はヒグマとかライオンだとか。思いついたけど何とも面白くない!そうだ人間がいるじゃん!じゃんけんに勝つことが褒美なのが罰なのか。

       ★★★

「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」は池田澄子さんの句です。私は不勉強で知りませんでしたが、口語的な俳句が多く日々の生活を詠み、戦争をテーマにしたものも多いとのこと。

   ピーマンを切って中を明るくしてあげた

   前へススメ前へススミテ還ラザル

といった句が有名です。

「ニンゲン」とカタカナで書くと人間はとてつもなく恐ろしいもののような気もしました。

能登さん:そうかも知れない、と思います。

郁子さん:じゃんけんで勝ってなるなら勝ち組です。最高の幸せを享受するのだからそれなりの責任というものもあるはず。高等動物の長である人間をニンゲンとカタカナで言うところに皮肉めいたものを感じます。なかなか深いです。

 

    炎天下草木も枯れて雨恋し  泉

本当に今年の夏は暑くて植物にとっても辛い夏だったことと思います。我が家のヤツデも枯れました。

朝ドラの「らんまん」の中でハチクは120年に一度花を咲かせ、その後枯れてしまう。花が咲くと悪いことが起きるという言い伝えがあり、その後日露戦争が起きたというシーンでした。今年、各務原でハチクの花が咲いたとニュースでやっていました。どうぞ恐ろしいことが起きませんように。止められるのはニンゲンです。麗子

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新涼や白カーテンをふくらませ  佐保子

2023年09月10日 | Weblog

8月の台風の次の日の朝、我が家にも涼風が立ちました。その時、カーテンが膨らみました。まさにこの句のような窓辺の景色でした。

佐保子さんからは最初、

新涼や白きカーテンはためけり

という句が届きましたが、推敲の末、「ふくらませ」となりました。この方が新涼の新鮮な涼しさが伝わると思いました。

能登さん:映像クッキリです。

須美さん:気持ちが良い句。白カーテンが良い。ふくらませも良い。

       ★★★

今朝、久しぶりに早朝散歩に出かけました。新涼を感じる一時。高くなって来た雲の中に白い三日月も見えました。日中はまだまだ暑いですが、確実に秋は近づき、季節は少しずつ移っています。今日も一日がんばりましょう。 佐保子さん、体調戻られましたか?  麗子

 

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八月や戦時の記憶語り継ぐ  亜子

2023年09月08日 | Weblog

この句をとった千香子さんからコメントをいただきました。

「 女性俳句の世界」を読んでいたら 熊谷愛子

8月6日 ゆっくり 手を見 うしろを見  という句がありました。

 戦争 は2度として欲しくない そのために残しておきたい ということで いつも 戦争 に関する句を 作っているそうです また 12月8日も読み続けているそうです  

千香子さんの思いと同じように、亜子さんも毎年8月に戦争の句を作っておられます。

このブログをさかのぼって見てみました。

 

 八月や白木の箱に石ひとつ 亜子 (2022年)

 置き去りの骨の慟哭終戦日 亜子  (2021年)

 八月や不幸を詫びる兵の遺書 亜子  (2006年) など・・

 

 

自由題で戦争を詠む亜子さんの印象深い秀句が並びます。

兵士の骨が語る虚しく惨い戦争。歪んだ時代に翻弄される親子の情愛など575に刻むことで強く心に残ります。これもひとつの語り継ぎですね。

 

 

 デジタルで横顔浮かぶ広島忌  容子

 

麗子さん:終戦から78年。デジタル加工され色づいた映像が多く放送されました。より鮮明になり見えなかった顔や物が見えました。市井の人々の営みが一瞬にしてなくなった原爆がデジタルで蘇る。デジタルという表現が78年という年月が経過したことを象徴している気がしました。

竹葉さん:デジタルや AIを使うと、白黒で写し出されてた物が生き返って見えるという私のと同じことを詠んでる句でしょうか。

 

その竹葉さんの句

 色写真原爆の子や叫喚す 竹葉

 

童子さん:戦争を繰り返さない為にも、その悲惨さを伝えていかなければいけないのでしょう。

須美さん:色写真というのが悲しさを増すように思う。

泉さん:はだしのゲンを子供達に読んで、戦争について学んでほしい。

佐保子さんもとっていらっしゃいます。

 モノクロだと現実的に思えない若者や子どもたちも、カラー写真になると身近に思えて恐怖を感じるようです。

 

 鎮魂の通奏低音蝉時雨  能登

 

竹葉さん:蝉の声はちょっと高音にも聞こえますが、鎮魂には低音があってますね。

千香子さん:蝉しぐれが 低音に聞こえるのかどうか と思い ましたが 原爆記念式典の映像がみえました。 蝉しぐれの中で ちょうど それが 伴奏のような感じだ と思いました。

亜子さん、郁子もいただきました。

 

じわっとまとわりつくような蝉の鳴き声は、沈鬱な思いとリンクします。私も去年 蝉奏づ哀しみの通奏低音 と詠んだのを思い出します。

式典のテレビ中継のあいだ中 効果音のように聞こえる蝉しぐれ。

日本の戦中戦後の人々の悔いや哀しみが澱となって通奏低音のように聞こえていました。

真の平和を確立するために この先もこの音に耳を澄まし考え続ける必要があります。   郁子

 

 

 

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源流の水を掬えば秋の音  麗子

2023年09月07日 | Weblog

今朝は初めてクーラーをつけずに朝を迎えました。夜中、虫の声もにぎやかになって来ました。雲の形も変わって来たようです。あと少しの辛抱ですね。

 

先月、あまりの暑さにどこか涼しい所へ行きたいと愛知県で一番高い山、茶臼山高原に行きました。近くに矢作川の源流がありました。源流の水を掬うとやはり冷たく、吹く風は心地よく、早くもトンボが飛んでいました。とても静かな空間でしたが、一足早い秋の音が聞こえた気がしました。こんな細い源流から西三河の西尾市と碧南市の市境には大きな川になっていく不思議。そんな光景を詠みました。

 

童子さん:どんな秋の音がしたのでしょうか。

郁子さん:厳しい残暑に感覚が鈍り、なかなか秋の音をとらえられずにいます。この句から源流の澄み切った冷たい水を両手に感じました。

千香子さん:源流がいかにも涼し気です。

泉さん:涼しさを感じて、すぐそこに秋がやってきそう。

 

          ★★★

ありがとうございました。「秋の音」は「秋の声」の傍題です。風雨、草木のそよぎ、人の声など秋のさわやかさと寂しさを感じさせる音のこと。

源流のちょろちょろと流れる水音に秋を感じました。ありがとうございました。麗子

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昇降口子ら弾け散る鳳仙花  郁子

2023年09月01日 | Weblog

「昇降口」が学校と結びつかないと「??」となりますね。

授業の合間の休憩時間をすべて「放課」と言っていたローカルな私ならではの呼び名だったかと調べてみたところ、

1.のぼりおりするための階段のある出入り口

2.校舎などの出入り口で、上履きと靴を履き替えるところ(コトバンクより)

とあり少しほっとしました。

下駄箱の前にザラ板もあったよねと言えば、このザラ板こそ完全に名古屋地域のものでした(笑)

 

いただいたコメントです。

竹葉さん:弾け散るには明るく活発な「子ら」が似合いますね。また、「昇降口」は花が茎にぎっしり詰まった感もあり、子らがひしめいて賑やかな感じが似合っていいと思いました。

童子さん:昇降口という言葉を初めて聞いたので調べました 笑。お昼休みか放課後か。学校の子供達の出入り口での様子をそのままに、夏らしい躍動感を感じる句ですね。

須美さん:昇降口から出てくる子供達のようすを弾け散ると表現しているのが面白い。鳳仙花の種の飛び散りとも合っている。

泉さん:昭和の景色がうかんだ。

 素敵に読み取ってくださってありがとうございます。

昇降口の近くに花壇があります。鳳仙花が見られるかなと思ったら、近くの小学校には緑の綿菓子のようなコキアがありました。別名ホウキグサ。秋になると赤く染まります。植栽も流行りがあるようですね。私の小学校のときは「オジギソウ」がありました。あまり皆が触るのでずっと閉じたままだったという思い出もあります。

 

 鳳仙花種飛ぶときを心待ち  須美

千香子さん:種を飛ぶ時を待っている という言葉から色々 想像しました。友人が結婚、 子供が就職とか 誰かの 成長を期待している、 それを種飛ぶとしたのかな とか 。

 

 鳳仙花パツンパツンとこぼれ落つ  泉

郁子:鳳仙花はタネが弾けるということですが瞬間は見たことがありません。作者はきっとご覧になっているのでしょう。パツンパツンという擬音がとてもきいているように思いました。

 

 

今日9月1日。多くの小中学校で始業式です。

閉じていた昇降口が賑わいを見せそうですが、休み明けの不安から子どもの自殺が増える日でもあります。女優の故樹木希林さんは、亡くなる直前までこの状況を憂いて祈り続けました。この暑さで昇降口から飛び出していく姿も少なくなっているかもしれません。はじける時を願いつつ一日無事でと祈りたいです。    郁子

 

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