夏の甲子園は朝日新聞の販促イベントとしてスタート。そのため参加校は数校のみ。柳の下の泥鰌を狙ったのが毎日新聞の春の甲子園。私事ですが、小型機のライセンスを習得した母校が甲子園。ご案内と共に句会先輩諸氏の応援をお願いします。
夏の甲子園は朝日新聞の販促イベントとしてスタート。そのため参加校は数校のみ。柳の下の泥鰌を狙ったのが毎日新聞の春の甲子園。私事ですが、小型機のライセンスを習得した母校が甲子園。ご案内と共に句会先輩諸氏の応援をお願いします。
生活感のある句が私はとても好きです。
「泳ぎ」という兼題でこうきたか!と思わせた一句です。
殿さま: 米を研ぐ手。実は平泳ぎのスカーリングに近似。
作者はスイム経験者でしょうか。思いもつかない着眼点に拍手を贈ります。
等さん: 米をとぐ手と平泳ぎの手と同じとは知りませんでした。台所は水浸し???
紅さん: 着眼点が素晴らしい。難しい平泳ぎ。私も練習中です。
お互い頑張りましょう!!
台所しごとの合間に、泳ぎの教本どおり図解に沿ってやってみているという作者の生真面目さが目に浮かびました。
足も外股にカエルのように伸び縮みしていたかもしれませんね。
競い合い抜き手の後の浮身かな 晴代
こちらは、泳ぎの浮身に焦点を合わせました。
泳ぎのメカニズムを分析するとそういうことになるのでしょうか。
競泳女子二冠の大橋悠依選手を高校まで指導した奥谷直史さんは
「世界で勝負するにはパワーよりテクニックが必要」と、手の位置や姿勢にとことんこだわり、
地道な練習を何度も何度も繰り返させたそうです。
ゆったり流れるような美しいフォームは、身体の大きな選手に負けない強さを見せました。
多くの教え子が脱落していく中、根気よく最後までついていった大橋選手だからこそつかんだ、金メダルだったのでしょうね。
いろいろある中でのオリンピックではありますが、選手の頑張りには胸が熱くなります。 郁子
「人魚となりて」が斬新で、ひとり静かな海を遠くまで泳いでいる感じがしました。伝説上の動物ですがなぜか魅かれる人魚。どこか切ない物語も多いような気がします。
作者の紅さんからは「熱中症アラートが出ています。こんな風に涼んではいかがでしょうか?」と添えられていました。
では、いただいたコメントです。
殿様:童話の文言を切り取った印象。心象句でありながら映像がしっかりと浮かびます。
いつまでも頭から離れない感。
能登さん:泳ぎやすい海をどこまでも泳ぐ。 この気持ち分かります。
なんだかんだで見てしまうオリンピック。競泳の大橋さんの2冠は本当に圧巻でした。新たな人魚姫が誕生しました。オリンピックが終わったらゆっくり海で泳がせてあげたいです。麗子
「凌霄花」<のうぜんかずら> 英語で”Trumpet flower” 。花の形がトランペットに似ているからでしょう。ところで、凌霄花は蜜が豊富。落花すると辺りが濡れるほど蜜が飛び散ります。しかし、子どもの頃、凌霄花の蜜は猛毒といわれました。都市伝説なのでしょうか。
選者のコメントです。
殿さま: 高校のYMCAから数えるとスイム歴30年。
水中の心地よい浮遊感。これは胎内の記憶かと自問したことがあります。古い記憶を呼び戻した佳句。
紅さん: 泳いでいた記憶があるっていいますね。
能登さん: あの安心感! そうかも知れませんね。
私もいただきました。
水に潜ると独特の感覚にとらわれます。水圧のせいか全身が篭もって一人ぼっちでいる感覚。
進化の過程を経て人類が誕生する時も、こんな所から陸に這い上がってきたのかな。
胎内の記憶であり原始の記憶かもしれません。なかなかに深い句ですね。
弱小水泳部に在籍していた小学生の私は、50m泳ぎ切れるかどうかのレベルで、地区の水泳大会に出たことがあります。
自分の息継ぎと水をかく音以外 何も聞こえない世界。
水中に見えるものといったら前方に見える黒々としたプール壁のみ。
それをひたすら目指す孤独なレースです。
ゴールして水から顔をあげた瞬間、競技場の色彩と音が戻りました。結果は大幅に遅れてヨタヘロのビリ。
私ひとり、ねぎらいの拍手が送られていました。(笑)
東京オリンピックがいよいよ開幕です。こんな私に言われてもですが。。
池江璃花子選手! 頑張ってください。 郁子
今日は大暑。そして移動した海の日です。今日は「泳ぎ」にふさわしい日かも知れません。
今回の兼題「泳ぎ」は難しかったという声が多く聞かれました。そんな中トップ賞に輝いた郁子さんの句。ご年配の方の武勇伝。遠い目に過去を振り返る姿が見えます。その目には水平線が映り込んでいたかも知れません。戦争を知る世代かもと思いました。視覚と波の音という聴覚も刺激されました。
頂いたコメントです。
千香子さん:遠い目という使い方になるほどと思いました。波の音を聞きながら若かりし頃のことを問わず語りに話しているのでしょうか。もしかして波うち際を散歩中なのかなど想像がふくらみます。
結宇さん:泳いだ後でしょうか。 ゆったりとした海の家ででもながめてるんでしょうね。
能登さん:過ぎ去った懐かしき日々を語る「遠い目」がいいですね。
晴代さん:遠泳は憧れです。
同じく「遠泳」を詠んだ亜子さんの句。「遠泳を付かず離れぬ二人かな」
こちらは具体的に遠泳の風景を切り取られたと思いました。「付かず離れぬ」二人。親子か、生徒同士か。泳力は同等なのか?連帯感を感じる一句でした。
私は遠泳はしたことがありませんが、実は私の母校は1916年に日本で最初に学校にプールが作られたということで、日本近代水泳発祥の地という石碑が立っています。ですから市を挙げて水泳教育が盛んで夏休みは毎日鬼のような水泳の日々でした。
竹葉さんの「泳ぎっ子水滴ぽとと黒き肌」。まさにこの通りでした。皆さんの俳句を通して私もいろんな夏の思い出が蘇りました。ありがとうございました。 麗子
2021,7月「泳ぎ」
自由題
いかがでしたか?「泳ぎ」は難しかったという声が多く聞かれました。
兼題トップ 郁子 自由題トップは9票の高得点で能登さんでした。
いきなりの猛暑。子供の頃のように泳ぎたいものです。結果は集計中です。しばしお待ちを。
兼題「泳ぎ」
① 果ての海 人魚となりて 泳ぎをり
② 荒梅雨を泳ぎ切ったる鼬(いたち)かな
③ 突堤の夜どこまで泳ぐ水平線
④ 茶葉泳ぐ 寺の茶碗は さめてをり
⑤ 足ひれを一閃海女は夏の海
⑥ 泳ぎっ子水滴ぽとと黒き肌
⑦ 今年こそ泳ぎわたるぞ向こう岸
⑧ 遠泳の付かず離れぬ二人かな
⑨ 遠泳を語る遠い眼波の音
⑩ 凪の海に抱かれ彼岸へ泳ぎ出ず
⑪ 胎内を泳ぎし記憶水の中
⑫ 米とぎて図解を横に平泳ぎ
⑬ 競い合い抜手の後の浮身かな
⑭ 泳ぎたし十代になり長良川
⑮ 背中の子泳ぎ疲れて重さ増す
自由題
① ちぎり絵の 甘きひとひら ソーダ水
② 叱られて一日(ひとひ)手探り黴の蔵
③ 蜘蛛の巣の ひそか光れり 橅の森
④ 墓職人眉動かせて拭ふ汗
⑤ 雨しきり萎えし梔子(くちなし)香残せり
⑥ たまゆらの命惜しみて髪洗ふ
⑦ 棚奥に効くか去年の蚊遣香
⑧ 土臭き風連れ来る驟雨かな
⑨ あらつゆを待つや静かな蝶の朝
⑩ 噴水や盲導犬の大人しく
⑪ 飲みすぎだよ園児の注ぐビールかな
⑫ 農作業揺れるてぬぐい汗どこへ
⑬ そそくさと出たり冷房強き店
⑭ 羸痩(るいそう)の夫と生きをり梅雨末期
⑮ 昼寝覚め朝かな夜かここは何処
「暑中お見舞い申し上げます」
中部地方も梅雨明けを迎えたようです。会員諸氏の健やかな夏をお祈り申し上げます。夜の明けぬ湘南でサーフィンをしてきました。誰もいない蒼い世界。水着より砂がこぼれます。
晴れたと思えば雨が降り出す。そして突然の雷雨。今夏は気紛れな天気に翻弄された方も多いと思います。心おだやかな夏になることを切に祈ります。
選句コメントです。
竹葉さん:「たまゆら」なんて何かの枕詞かと思ったのですが、美しい言葉ですね。
ブログ(6/6当ブログ掲載)の写真をカラーにして虹を見た気になりました。
須美さん: 虹たちのぼるが面白い
紅さん:句が綺麗ですね。
泉さん: 自然の美しさを感じる。
「たまゆら・・」
玉響と書き、ほんのしばらくの間。ほんの少しの間という意味です。
勾玉が触れ合って微かに音をたてる意からきていると辞書にありましたが
俳句はまさにそんなたまゆらな風景や心の動きを切り取って言葉にとどめていくことなのでしょうね。
作者の殿さまは、写真の映像とともにこのブログで句を掲載してくださいます。
もうひとつご紹介。
濡れ縁に 昭和の団扇 置き忘れ 紅
殿さま: 揺れ縁。屋外とも屋内ともいえる空間。夏の涼を楽しむには最良の場。
そこに昭和の団扇。当時、夏の販促用にさまざまな企業の団扇をデザインしていました。
多かったのは笑みを浮かべた女性の絵柄。
さらに、扇子ではないので、置き忘れたのは年配の男性でしょう。
記憶に残る名句は多くを語らずすっきりしています。
この句も巧みに情報が詠みこまれた感。お見事。
結宇さん: 昭和の団扇というものが、多少違う雰囲気を持ってたのかな? 絵柄とか。
何か、次の⑧の句との連想を思ってしまう。
【ちなみに⑧の句とは自由題トップの 見開きの黴の香かすか蔵書印 晴代】
泉さん: ホッとした感じで、時がゆっくり流れている。
こんな時間が次々に奪われていくような気がしてなりません。
今流行の手持ちのハンディファンに比べ、団扇はゆったりとした時間をつくり
自分だけでなく、人にも風をおすそ分けしてくれる立派なコミュニケーションツールだ!
などと思う私・・かなり昭和ですね。 郁子
色とりどりの百合の花。百合の高さと車いすの高さはちょうどいい感じで園内を散策できると思いました。景がはっきりと見え、車いすを押す作者の優しさまで感じられました。
作者の郁子さんにこの句の思いをお聞きしました。
百合園で有名な千種公園。病気のお父様の車いすを押されていたのはお母さまだったとのこと。カラフルな百合とお父さまの病状とが思い出されるそうです。悲しい思い出の場所ですが、時間が経過して、今は美しい思い出の場所に変わっているようです。
皆様からのコメントです。
能登さん:映画の1シーンのよう。
等さん:お母さんではなくお父さんが・・というところが、何となく新鮮で良いですね。もうすぐ私もです。
この句のポイントは等さんがおっしゃるように母ではなく父というところだと思います。もし
百合園を母のせて行く車椅子
なら、花が大好きなお母さんの華やいだ雰囲気が感じられます。父にするとなぜか切なさが増します。
亡き母の面影よぎる夏の蝶
こちらは私の句ですが母が登場。選句の際に隣同士に並べてみましたが、断然、郁子さんの句がくっきりと映像が浮かびました。それにしても俳句の上での父母の違いって面白いですね。 麗子