こんな呪文のような言葉で一日楽しんできた。森の冬は寂しい。でも森へ行きたい私達はシダ植物とバードウオッチングで冬の森で過ごす。そろそろ番いを形成しているのか鳥が姿を見せなくなった2月中旬、シダ植物のイワガネゼンマイとイワガネソウを探して楽しんできたのだ。
幼い頃からのもの名前が不思議だった。これを紙と言っているけれど、最初に紙と言ったヒトが布と言ったら布になるのではないか?と思ったのがきっかけであった。植物に親しむようになってますますこの思いは強くなる。それを発見したヒトが名づけた名前がまかり通っている。発見した地名、人名、思い違いなど覚えるのに苦労するものが結構たくたんある。 イワガネゼンマイとイワガネソウもその仲間で、どうしてこんな名前をつけたのか、ごちゃごちゃになってしまう。どちらもホウライシダで、大きさ、形などよく似ている。 見分ける方法は葉を裏返し葉脈を調べる。イワガネゼンマイは、真ん中の軸から外に走る葉脈が二つに分かれ平行線のままなのでサヨナラゼンマイと言い換える。 一方イワガネソウは、軸の近くで網目(輪)を作ってから平行になっていくのでコンニチ輪ソウと言い換えて覚えることを仲間が教えてくれた。 そこで私達はそれらしき草を探し、片っ端から裏返し葉脈を調べて歩いた。教科書通りにいかないのは世の常でイワガネソウでもたまに輪を作っているのもあるし、この二種の雑種のイヌイワガネソウもあるから、見分けるのははいへん。海上の森にはイワガネゼンマイが多く、調べても調べてもサヨナラゼンマイばかり。 もう帰るというころ仲間の一人が少し遠くからイワガネソウの葉を一枚採ってきてくれて、コンニチ輪を実感できた。
違いが分かるには、両方あるといい。しかし、比べる相手のないことが多い。
コーヒーのコマーシャルのようにそれだけでも違いが分かるようになりたいな。
ぜんまいの拳のほどけよ雲と水 桂 信子
退屈な和尚と鴉ぜんまい伸び 長谷川草々
鬼ぜんまい髯などはやし風に吹かれ 徳才子青良