575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

青空に重機唸りて鳥渡る   すみ

2016年11月30日 | Weblog

真っ青な冬の空。高層ビルを建設するための重機。
キリンのようなのっぽさんもいます。
鈍く重い音が空に・・・
そのうえ高く鳥が渡っていく現代風景を詠みました。

長年、句会の会場だった東鮨さんが建て替えに。
近くにあった御園座の立て直しに伴うものでした。
新しい御園座の建設のために重機が大活躍しています。
あの音、鳥たちにはどう聞こえているのでしょうね?

俳句は17文字しかないので、言いつくすことは出来ません。
今、読んでいる「俳句入門・小川軽舟・著」によれば
俳句は、読み手の想像力が頼り。よい句は想像力を刺激する。
その扉の鍵が17文字。

別のコトバでいえば、説明ではなく詩に。
切れ字は、その鍵をつくるレトリックなのでしょう。

私は、説明を詩に昇華させるためには、読み手に「?」と思わせる、
小さな謎を投げかけるのも、一つの方法と考えています。
助詞をいろいろ変えてみるのは、その「?」を生みだすためです。

「に」を変えてみます。

  青空の重機唸りて鳥渡る

  青空へ重機の唸り鳥渡る

いろいろ試してみて下さい。遅足
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鳥渡る藤前干潟姦しき   立雄

2016年11月29日 | Weblog
北からの渡り鳥が次々と藤前干潟へとやってきます。
広い干潟も鳥たちで一杯。姦しいほどの鳴き声です。

藤前干潟は、庄内川が名古屋港に流れ込む河口に広がる干潟。
シベリアなど北半球の繁殖地と、オセアニアなど南半球の越冬地を
往復しているシギやチドリの大切な中継地となっています。
およそ60種類の水鳥がやってきます。

ここは、ゴミ処分場として埋め立られる予定でした。
しかし、市民運動の結果、残されることになり、2002年には
ラムサール条約湿地として登録されました。
庄内川左岸に名古屋市野鳥観察館があります。
観察館の説明には、こうあります。

秋から春は、シギ・チドリが干潟に、冬はカモが水面を埋め尽くします。
庄内川と新川の間の導流堤を真っ黒に埋め尽くすカワウ、
アオサギやダイサギなどのサギ類。眼光鋭く魚を捕えるミサゴなど
年中見られる鳥も多く、季節ごとにさまざまな水鳥を観察できます。

あおなみ線の「野跡」駅、下車徒歩10分です。
一度、行ってみて下さい。(遅足)
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夕空にでっかいV字鳥渡る   麗子

2016年11月28日 | Weblog
最近見た鳥の群れ。空いっぱいのV字編隊だったそうです。
渡り鳥だったのでしょうね。

「に」は、場所を示す助詞としてよく使われます。
その後にくる言葉は静止した状態を意味し、
動的な場合は「で」が使われる、と辞書にあります。
したがって「でっかいV字」は静止画として読まれます。

推敲の一つの方法として助詞を入れ替えてみる方法もあります。
「を」あるいは「の」のすると、どうなる意味が変わるのでしょうか?

  夕空のでっかいV字鳥渡る

夕空にでっかいV字、とほぼ同じ。より静止画に近い感じがします。

  夕空をでっかいV字鳥渡る

でっかいV字が夕空を〇〇〇という構文になり、
読者は自然に、この〇〇〇を動詞として連想します。
そして「渡る」という言葉に自然に繋げて読むことになります。

            

名古屋市内の空でV字形の雁を見たのは小学校のころ。
それは西から東へ飛んでいきました。
鳥帰る頃だったのでしょうか。それ以後、見たことはありません。
時々、一列になって飛ぶ川鵜はみますが。
                       (遅足)
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老いた背や光る庭木に小鳥来る    能登

2016年11月27日 | Weblog
老いた背は誰なのか?2つの読みが可能です。
一つは作者が年老いた人の背中をみているという読み方。
もう一つは自分の背を老いた、と感じているというもの。

素直に読めば、どなたかの背に老いを感じたと。
その背の視線の先には光る庭木があり、
冬の到来を知らせるように渡ってきた小鳥が・・・
と、寂しさを感じていたところへ小鳥がやってきてくれた・・・
と、いう情景が浮かんできます。

作者と「老いた背」の人は、どういう関係なのでしょう?
お母さんでしょうか。

私は、ガラス戸に映った自分の影。
あるいは、地に映る影に、老いを感じとった句と読みました。
この場合は「老いの背や」となるのかも知れません。

光る庭木は、落葉樹ではない常緑の樹木。椿や山茶花を指すのでしょう。
そういえば最近、庭でジョウビタキの姿をみかけました。
大陸で子育てを終え、日本などで越冬をするジョウビタキ。
翼にある白い斑点をキモノの紋に見たてて、モンツキドリとも。
  
            

瀬戸内地方には、こんな民話があるそうです。
昔、スズメとモンツキドリは姉妹でした。母親が重い病気になったとき、
スズメはお歯グロを塗っていましたが、すぐやめて駆けつけたので
死に目に会うことができました。
ところがモンツキドリは、化粧をしたりモンツキを着たりと
時間をかけたので、死に目に間に合いませんでした。
怒った父親はモンツキドリに「こんりんざい食べ物をやらない」と言いました。
今でもモンツキドリは、おじぎをしているのは、このためです。
スズメの口元が黒いのは、途中まで塗っていたお歯グロのあとだそうです。
                             (遅足)
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鳥渡る去年(こぞ)より増えし高きビル   晴代

2016年11月26日 | Weblog
名古屋駅周辺の再開発は目覚ましいものがあります。
次々に高層ビルが姿を現しています。
地下鉄を降りて地上に出ると、空が小さくなっていました。
リニア新幹線が開通した時はどうなっているのでしょう。

等さんは、鳥の眼でみた街では、と読みました。
鳥たちの目にはどう映っているのでしょうか。

日本へ渡ってくるカモは、およそ30種ほどだそうです。
池などで泳いでいる姿をよく見かけますが、
お尻を突き出し、水中に顔を突っ込んで、水草などを食べています。
淡水カモと呼ばれる仲間で、マガモ、カルガモ、コガモなどです。
淡水カモは水に潜れないんですね。
もう一つは、キンクロハジロやスズガモなどの潜水カモ。
水中に潜って底の貝や魚などを食べているそうです。
そういえば流線型の体でしっぽが長く、潜水に適した姿です。

           

町内の公園のお掃除。散った木の葉が小山のようです。
焚火が出来なくなって、お芋を焼く楽しみも消えました。
ちょっと残念です。(遅足)
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歌声に力をもらう~むらなが吟コンサート~   竹中敬一

2016年11月25日 | Weblog
私の息子が入居している障害者支援施設では、毎年秋にイベントがあります。
今年も、障害者とその家族が招待され、私も息子と一緒に参加しました。
その日は、夜来の雨も上がって、少し風はあるものの、秋日和に恵まれました。

ボランティアや地域の人たちも協力。綿菓子や焼きそば、焼き鳥などの
屋台も出て、大賑わいでした。
施設の広い中庭では、ミュージシャンの「むらなが吟」のコンサートが開かれました。

岐阜県下呂の出身、毎年、北海道から沖縄までコンサートを続けているという
彼の歌を初めて聴きました。声量の豊かな中に錆びた歌声という印象でした。
彼はコンサート中、障害者やその家族を励ますような言葉を一言も発しませんでした。
しかし、心をこめて一生懸命、訴えるように歌う彼を見て、
看護師に絶えず支えられた重度の障害者や、手や足、言葉を発するのも
不自由な人たちが懸命に拍手を送ろうとする姿がみんなの胸を熱くしました。
これこそ、歌の力です。声に力です。

童謡から昔懐かしいベサメムーチョまで約1時間半のコンサートの中に
時々、短いトークを入れます。

"赤い靴 はいてた 女の子 異人さんに 連れられて 行っちやった"

野口雨情・作詞の童謡「赤い靴 」は 雨情が北海道にいた頃、友人から聞いた
悲しい実話をもとにしたこと。

"シヤボン玉 消えた 飛ばずに 消えた 生まれてすぐに 壊れて消えた"

童謡 「 シヤボン玉 」は、野口雨情が愛娘を生まれて僅か七日で亡くした
その悲しみを表現したものであること。

むらなが吟が、どうして、わざわざこうした童謡を選んだのでしょうか。
私はきっと障害者とその家族に向かって、「何も悲観することはありません。
人間、誰だって一生に一度や二度は悲しいことに遭遇します。」と
励ましているように思えてなりませんでした。

息子はというと、持ってきたノートに絵を描くのに忙しく、時々、歌い手やバンドに
目を向ける程度。「何でピアノがないの。フル・オーケストラで歌ってみたい 」などと
相変わらず、自分勝手なことを言っていました。

             

写真は、息子さんの健さんの絵です。暇さえあれば、ノートにこんな絵をびっしり
無造作に描いているそうです。(遅足)

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足元の小宇宙   麗

2016年11月24日 | Weblog
昨夜NHKで見た85歳の絵本作家、甲斐信枝さんのドキュメンタリー番組。
「足元の小宇宙」というタイトルの通り、雑草の美しさに惹かれて、足元の草花を描き続けておられます。
野原に寝ころんで視線を植物と同じ高さにして、繊細に描き続けるその姿勢にも、口からでる言葉にも魅了されました。
印象に残ったのは、キャベツ畑に差し込む朝一番の太陽の光。その一条の光を受けて、キャベツの葉の先端の露が輝きます。その様子を一人で見るのはもったいないと甲斐さんは、テレビで紹介してくれました。
光の角度でいろんな色を放つ露たち。まるで、キャベツ畑の一番星のよう。

冬を彩る各地のイルミネーションの光もいいですが、足元の小宇宙の光もすばらしいと思いました。
甲斐さんの絵本の代表作である「雑草のくらし」。ぜひ一度手にとって、読んでみたいと思います。

             朝露はキャベツ畑の一番星   麗
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渡り来て水搏(う)つ鴨や恋ならむ   等

2016年11月23日 | Weblog
「搏つ」には、羽搏くという意味もあります。
渡ってきた鴨が水面を搏つように羽搏きます。
これを求愛の行動では、と詠みました。
一歩踏み込んだ写生句です。
作者に芽生えた恋心と読むのは読者の特権です。

名古屋城の北にある公園をよく散歩します。
しばらく前から、お堀には鴨の姿が。マガモでした。
やがてコガモ、オナガ、キンクロハジロなども
姿を見せてくれることでしょう。

オスの冬羽は豪華で美しく、違いがよく分かりますが、
これは、日本に飛来した鴨が、冬に伴侶を決めるためです。
(多くの鳥は春に相手を探すため、夏羽のほうが豪華です)
ペアは毎年、変わるそうです。

            

今日は私たちが結婚して51年目。
奥さんの病気が判明、金婚は迎えられないでしょうという
医師の診断にも拘わらず今年を迎えることが出来ました。
現代医学の恩恵をうけています。

  冬桜記念日あわくすぎゆけり  遅足

冬桜という記念日があるようにも読めますが。



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鳥渡る国や原発再稼働   遅足

2016年11月22日 | Weblog
早朝の福島沖の地震。また津波が・・・と心配しました。
福島原発は大丈夫なのか?とも。

人だけでなく命あるもの全てへの脅威。
やはり再稼働には首を傾げざるを得ません。


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小鳥来る過疎の山里賑はひぬ   佐保子

2016年11月21日 | Weblog
下五の「賑はひぬ」は、渡り鳥で賑やかになったと読みました。
立雄さんは、野鳥観察の人達もやってきて、
過疎の村は鳥と人間でにぎわったと。こちらの方が素敵ですね。

山里によく似た言葉に里山があります。
里山は昭和の高度経済成長期に生まれた言葉です。
一方、山里は・・・

 山里は冬ぞ寂しさまさりける 人目も草もかれぬと思へば

百人一首にも出てきます。

また、過疎と言う言葉もそんなに古くはありません。
島根県の町長さんが使ったが始まりだそうです。
昭和40年代のことでした。

この句の場合は、過疎ですから、まだ人が住んでいる山里ですね。
訪れる人も少ない山里に季節を忘れず、小鳥たちが渡ってきました。

過疎化がさらに進んだ現在では限界集落と呼ばれています。
限界集落は超限界集落へ、そして消滅集落へ。
人間が消えて自然が復活。鹿や熊の増えています。

歳時記を調べたら「坂鳥」という季語がありました。
渡りをするツグミなどの大群が尾根を越えてゆくことを表すそうです。
福井県の方では、まだ坂鳥が見られるとか。

                        遅足
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鳥渡る残照海にちりばめて   亜子

2016年11月20日 | Weblog
海岸で鳥の渡りを見ていました。
やがて夕陽も沈み、海にはきらきらと輝く残照。
宝石を散りばめた美しさです。
立雄さんは鳥に夕日が射して輝いていると、読んだそうです。
これも良い読みだと思います。

残照は、日が沈んだ後も、なお照り残っている入日の光。
比喩的に、過ぎ去ったものごとの影響としてなお残っているもの、
と辞書にあります。

日の光とともに、飛び去った渡り鳥の姿も浮かんでくるようです。
鳥は西へ渡って行ったものと考えられます。
この時期、南へ渡る鳥にサシバがあり、「鷹渡る」という季語もあります。
しかし鷹渡る、ではこの句の美しさが失われてしまう恐れもあります。
どんな鳥かは読者にまかせておくのが一番よいのでしょうね。

                       遅足

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木枯らしの後トランプの大嵐   狗子

2016年11月19日 | Weblog
立雄さんの選句をいただきました。11月句会の最終結果です。

題詠「鳥渡る」
①鳥渡る国や原発再稼働(遅足)能登・佐保子・静荷
➁鳥渡る残照海にちりばめて(亜子)佐保子・智恵・遅足・すみ・静荷・等・郁子・立雄
③小鳥来る過疎の山里賑はひぬ(佐保子)能登・晴代・智恵・狗子・立雄
④渡り来て水搏(う)つ鴨や恋ならむ(等)結宇・遅足・亜子
⑤鳥渡る去年(こぞ)より増えし高きビル(晴代)
⑥老いた背や光る庭木に小鳥来る(能登)すみ・等・麗子
⑦夕空にでっかいV字鳥渡る(麗子)すみ・狗子
⑧鳥渡る藤前干潟姦しき(立雄)結宇・郁子
⑨青空に重機唸りて鳥渡る(すみ)麗子・郁子
⑩はや暮れて三日月の冴え鳥渡る(静荷)結宇・佐保子・亜子
⑪扁額を見上げ潜れば(クグレバ)鳥渡る(結宇)静荷・等・狗子
⑫夕暮れの天橋立鳥渡る(郁子)晴代・麗子
⑬渡り鳥汚れた羽をたたみおり(狗子)能登・晴代・智恵・遅足・亜子・立雄

自由題
①鍋底の白ネギ企業戦士かな(麗子)遅足・すみ・狗子
②御用邸の玻璃戸波うつ石蕗の花(等)(大正天皇沼津別邸にて)静荷
③正月用根深や更に土寄せて(静荷)結宇・智恵・亜子
④しみじみと湯割り焼酎葱の味(立雄)佐保子・亜子・等・郁子
⑤秋晴れや足取り軽く検診へ(すみ)
⑥萬代橋叩いて走る霰かな(晴代)能登・遅足・すみ・等・狗子
⑦藩校の蔀(シトミ)破れて金木犀(結宇)晴代
⑧秋日傘ひらく八十路の旅はじめ(亜子)能登・智恵・麗子
⑨野菊揺れなつかしき歌わきいづる(佐保子)すみ・静荷・麗子
⑩葱刻む今も膨張する宇宙(遅足)結宇・佐保子・亜子・等・狗子・麗子・立雄
⑪微動せぬ蟷螂と居る小春かな(能登)結宇・郁子
⑫家主見ぬ庭の南天色づきぬ(郁子)佐保子・晴代・智恵・立雄
⑬木枯らしの後トランプの大嵐(狗子)能登・晴代・遅足・静荷・郁子・立雄


次回は12月21日(水)午後1時20分  
愛知芸文センター12階・催事室Ⅾ(アートスペースⅮ)です。
いよいよ今年最後の句会。題詠は「年用意」です。(遅足)



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「地上マンダラ」審査員賞受賞 余話  竹中敬一

2016年11月18日 | Weblog
今年の秋、静岡市で開かれた第50回 日本てんかん学会学術集会に合わせて、
「てんかんをめぐるアート展」が開かれました。
息子のかかりつけ医からこのアート展への出品を薦められ、詳細も知らずに
30号の油絵を事務局へ送っておきました。

事務局から連絡があり、息子の作品は審査員賞10名の中に入ったので、
出来れば受賞式に出席して欲しいとのことです。
国内の患者の皆さんの絵だけかと思ったら、国の内外から一般公募。
そのうち152点が入選。その中から選ばれたわけですから、
息子を車に乗せて静岡へ行こうと思い、このことを息子に告げると、
喜んでくれると思いきや、反応はあまりよくありません。

その日は色々、やらなくてはいけないことだが、いっぱいあって、
などと難ぐせを付けていましたが、なんとか説得して日帰りで受賞式に出席。
表彰状を受け取り、カメラのフラッシュにも、一瞬、ニコッとしたくらいでした。

今年46歳になる息子は生後まもなく、種痘後脳炎による高熱の後遺症で
難治性てんかんと診断され、知的障害もあります。
油絵は東京の文化学院に通っていた頃から続いています。
今も毎週一回、かかりつけの病院の作業療法に通って描いているのですが、
私は息子の助手で、三脚を立てたり、絵の具を並べたりの下準備は結構、
高齢の身にはこたえます。息子はそんなことには無頓着で、
今も油絵を気ままに描いています。

           

写真は受賞した「地上マンダラ」です。(油絵・75x95cm)
作者は、竹中 健さん。絵は、こんな説明がついています。

この作品は、近くの病院の作業療法に通っている時に描いたものです。
不思議と絵を描いている時は発作は起きません。
どの作品にも、決まって虹と観音様、お地蔵さんが出てきます。

注・種痘後脳炎とは、種痘の副作用によって起きる脳炎のことで
高熱を伴い、重度の後遺症が残る場合もあります。

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鳥渡る句会    麗

2016年11月17日 | Weblog
小春日和の昨日、空は青く、芸文の屋外庭園の紅葉も色づいて美しい一日でした。
鳥たちもこんな穏やかな日なら渡りも楽であろうと。
鳥たちはどこから来てどこへ行くのか、いろんな風景の中、句会場にさまざまな鳥が出現しました。
では、一言講評です。


1,またしても原発再稼働のニュース。そんなことも知らずに鳥たちは汚染されたこの国を健気に訪れます。
2,夕映えの中、キラキラと光る鳥の残像。愛知県の伊良湖や島根県の宍道湖を思い出して作られた美しい句。
3,人より小鳥の方が多い山里。過疎はますます進みます。
4,「搏(う)つ」は羽ばたくという意味があるそうです。鳥たちの求愛の行動に一歩踏み込んだ句。
5,次々新しい高層ビルが立ちます。鳥の目から見た句かも?
6,「老いた背」はどなたでしょうか?伴侶?あるいは親?淋しくなった庭に小鳥が訪れる、穏やかな一日。
7,大きなV字を描いて大空を渡っていく鳥たちにびっくりぽん!小牧の田園にて。
8、ラムサール条約で保全された藤前干潟。多くの野鳥が訪れてさぞかし姦しいことでしょう。
9,重機という人工的なものと渡り鳥という自然の対比。
10,三日月と鳥がお互いをたたえ合うかのよう。情景が美しい。日本画のようです。ここで「雁風呂」の話がでました!(雁は海上で羽を休めるために木片をくわえて渡るそうです。春にその木片をくわえてまた北へ還るらしい。浜辺に残った木片は死んだ雁のもの。その木片を集めて供養のために風呂を沸かし振る舞ったという津軽の風習。すごいお風呂ですね!!)
11,山門の扁額から仰ぎ見た空。近景から遠景へ視点が移ります。
12,「天橋立」に鳥が渡ってくる。天に橋をかけるよような鳥たち。「夕暮れ」を擬態語にしたら?というアドバイスあり。
13,長い旅を終えた渡り鳥の羽の汚れ。鳥たちへの慈しみの心が出ています。

眠りながら飛ぶ鳥もいるとか。昼夜を問わず飛ぶのでしょうか?
最も進化した動物であると思われる鳥類。目的を持って進む彼らの旅はきっと苦しいものでしょうが、あの小さな体で海を越える力はすばらしいですね。
来年も鳥たちが日本に来てくれますよに。
来月は今年最後の忘年句会。お題は「年用意」ですぞ!!
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11月句会の投句あつまる。   遅足

2016年11月16日 | Weblog
11月句会の投句があつまりました。
粒ぞろいの13句。どの句が選ばれるのか?楽しみです。

題詠「鳥渡る」
①鳥渡る国や原発再稼働
➁鳥渡る残照海にちりばめて
③小鳥来る過疎の山里賑はひぬ
④渡り来て水搏(う)つ鴨や恋ならむ
⑤鳥渡る去年(こぞ)より増えし高きビル
⑥老いた背や光る庭木に小鳥来る
⑦夕空にでっかいV字鳥渡る
⑧鳥渡る藤前干潟姦しき
⑨青空に重機唸りて鳥渡る
⑩はや暮れて三日月の冴え鳥渡る
⑪扁額を見上げ潜れば(クグレバ)鳥渡る
⑫夕暮れの天橋立鳥渡る
⑬渡り鳥汚れた羽をたたみおり

自由題
①鍋底の白ネギ企業戦士かな
②御用邸の玻璃戸波うつ石蕗の花(大正天皇沼津別邸にて)
③正月用根深や更に土寄せて
④しみじみと湯割り焼酎葱の味
⑤秋晴れや足取り軽く検診へ
⑥萬代橋叩いて走る霰かな
⑦藩校の蔀(シトミ)破れて金木犀
⑧秋日傘ひらく八十路の旅はじめ
⑨野菊揺れなつかしき歌わきいづる
⑩葱刻む今も膨張する宇宙
⑪微動せぬ蟷螂と居る小春かな
⑫家主見ぬ庭の南天色づきぬ
⑬木枯らしの後トランプの大嵐

          

今朝の西の空に十六夜のスーパームーンがくっきりと。
木枯しが雲を吹き払ってくれたおかげ。
でも寒い朝です。











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