575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

初雪に四年ぶりなり夫の歌  佐保子

2025年01月24日 | Weblog

この冬、名古屋に初の積雪をみたのは今月1月10日と記憶しております。豪雪に悩まされている地域の方には申し訳ないのですが、一面の白い景色は厳かでもあり、何か違ったスイッチを入れられるような気持ちになります。

能登さん:私の直感、「雪やこんこ・・・」の歌だったのかな。思わず、微笑んでしまう一瞬を切り取った佳句。

晴代さん:雪にちなむ歌かしら?

麗子さん:初雪で心が動いたのでしょう。何かのきっかけで歌が出来ることがあります。4年ぶりに短歌を詠まれた夫に捧げる喜びの俳句。

千香子さん:雪に苦しむ地域があるけれど、名古屋あたりでは久しぶりに積もるとうれしくなってしまいます

郁子:雪が降るとテンションがあがります。初雪ならなおさら。夫はこのところ歌を詠むことから遠ざかっていたのかな。初雪の感動に思わず口をついて出たのでしょうが、4年ぶりという具体的な数字がリアルで少し楽しくもあり効果的。何より妻の喜びが感じられます。

亜子さん:初雪で「夫の歌」というと「雪やこんこん」と歌ったのかも知れない。4年前に大病を患って久しぶりに歌を歌っているのを聞いてほっとしているのかも。これが短歌を詠んだということなら「初雪に歌詠む夫や四年ぶり」としてはどうか?

 ご紹介したように、選者の捉えかたも童謡か短歌で分かれました。亜子さんの添削の句もいいですね。

作者、佐保子さんからは

(ここ何年も俳句は辛うじて詠めるものの、歌は詠めなかった遅足が、先日の雪の積もったうちの朝の庭を見て短歌が生まれびっくりしました)とありました。 その短歌がこちら。

 

 初雪の描きあげたるわが庭にあかりのごとしふたつの蜜柑

 

ふたつの蜜柑に仲睦まじいご夫婦の姿が重なりました。

中日新聞「中日歌壇」の常連だった遅足さんの短歌がまた登場しますように。。   郁子 

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初富士や車窓いっぱい裾を引き  麗子

2025年01月23日 | Weblog

初句会はいろんな「初」が登場しました。

私は今年、お正月に初めて旅行しました。箱根駅伝をテレビではなく一目この目で見たいと上京しました。新幹車の車窓から見えた初富士は神々しく美しく窓いっぱいに裾を引き、何度も写真を撮りましたが、列車が動いているのでなかなかうまく撮影できず。。。でも心のアルバムに収めました。一度富士山を俳句に詠みたいと思いながら、雄大な富士山を詠むのがなかなか難しくて見たままの俳句にしましたが、思いもかけず多くの票をいただきありがとうございました。

郁子さん:車窓いっぱい裾を引き」がとてもいいです。車から見るには収まりきらない大きさがよくわかります。⑪も⑫も目の前の実景、それも絶景というのが「初」のお題にふさわしい

須美さん:光景がパッと目に浮かぶ。裾を引きが好き。

童子さん:裾を引きが良いですね。

竹葉さん:新年の景色の一番は富士ですね。間近に見られた富士の大きさがよくわかります。

         ★★★

ありがとうございました。富士山が見えると幸せな気持ちになるのはなぜでしょうか?思わず手を合わせました。

東京では芝の増上寺前から駅伝ランナーを応援しました。あっという間に通り過ぎていきましたが夢がかないました。今年はフットワーク軽く動くを目標にしています。今年もどうぞよろしくお願いいたします。麗子

 

 

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2025年初句会 結果発表!

2025年01月22日 | Weblog

 

  1. 読初や遺品の書より故事辞典 (晴代) 竹葉 遅足 千香子 須美
  2. 初刷りや能登の家族の腕相撲 (千香子) 晴代 遅足 麗子 容子 亜子 泉
  3. 初漁や形見の万祝飾る海女 (能登) 千香子 童子 
  4. 哀楽のにじむ遺影や初明り  (亜子) 竹葉 能登 晴代 佐保子
  5. 初場所の鬼にならんか琴櫻 (遅足) 佐保子 麗子 童子
  6. 初場所や小力士巨漢を投げ倒す (須美)
  7. 初蝶や振り袖凛と二十歳顔 (竹葉) 泉
  8. 初お屠蘇吾子の笑顔に福来たる (泉)
  9. 初雪に四年ぶりなり夫の歌 (佐保子) 能登 晴代 麗子 千香子 郁子 亜子
  10. 初日の出目と目細まり初笑顔 (郁子) 泉
  11. 初日の出己が刃を研ぐ剱岳 (童子) 能登 郁子 容子 亜子 須美
  12. 初富士や車窓いっぱい裾を引き (麗子) 竹葉 遅足 佐保子 郁子 容子 須美 童子

 

 

 

自由題

  1. 冬ぬくし受話器に残る友の声 (竹葉) 遅足 佐保子 麗子 郁子 亜子 須美 泉
  2. 蝋梅や一輪咲いて一周忌 (麗子) 竹葉 能登 遅足 佐保子 千香子 亜子
  3. しいいんとしみる奥歯や寒の入 (遅足) 麗子 容子 須美 童子
  4. 福笑い猫片耳で参加して  (童子) 郁子
  5. 福笑ひと同じ顔して夫写る (佐保子) 遅足
  6. まあたらし箸一膳の淑気かな  (亜子) 能登 晴代 麗子 千香子 容子 須美 童子
  7. 洋風の輪飾りふえし近隣家 (晴代) 佐保子 泉
  8. 能登の海潰れ屋で泣く虎落笛 (能登) 竹葉 亜子
  9. スパイスに七草がゆは無国籍 (郁子) 晴代 千香子 泉
  10. カイロ5個振袖の下貼る成人 (須美) 郁子
  11. 過去と悔い雪に覆われ水墨画 (泉) 竹葉
  12. 寒の入り空酒ビンの青さかな (千香子) 能登 晴代 容子 童子

 

 トップ賞は  兼題 麗子さん

   自由題 竹葉さん 亜子さん 

  おめでとうございます 

 

 

 

 

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初句会の投句が揃いました。

2025年01月21日 | Weblog

2025年1月兼題「初」

①        読初や遺品の書より故事辞典 

②        初刷りや能登の家族の腕相撲 

③        初漁や形見の万祝飾る海女 

④        哀楽のにじむ遺影や初明り  

⑤        初場所の鬼にならんか琴櫻 

⑥        初場所や小力士巨漢を投げ倒す 

⑦        初蝶や振り袖凛と二十歳顔 

⑧        初お屠蘇吾子の笑顔に福来たる 

⑨        初雪に四年ぶりなり夫の歌 

⑩        初日の出目と目細まり初笑顔 

⑪        初日の出己が刃を研ぐ剱岳 

⑫        初富士や車窓いっぱい裾を引き 

           

自由題

①        冬ぬくし受話器に残る友の声 

②        蝋梅や一輪咲いて一周忌 

③        しいいんとしみる奥歯や寒の入 

④        福笑い猫片耳で参加して  

⑤        福笑ひと同じ顔して夫写る 

⑥        まあたらし箸一膳の淑気かな  

⑦        洋風の輪飾りふえし近隣家 

⑧        能登の海潰れ屋で泣く虎落笛 

⑨        スパイスに七草がゆは無国籍 

⑩        カイロ5個振袖の下貼る成人 

⑪        過去と悔い雪に覆われ水墨画 

⑫        寒の入り空酒ビンの青さかな 

 

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雪嶺がビルの隙間にぬっと立つ  能登

2025年01月17日 | Weblog

送っていただいた選句コメントで、句をあらためて鑑賞する楽しさを感じています。

思いもよらぬ新しい景の開けるコメントを今年もよろしくお願いします。つぶやきでも、疑問でも、長文でも何でも有難いです。ということで12月句しめくくりは寄せられたコメントを紹介します。

麗子さん:雪を頂くまではそこに山があることがわからず、白い雪が積もって初めて山の存在に気がつきます。「ぬっと立つ」がまさにそんな感じでした。私も遠くの雪山を詠みたいと思いながらなかなか作れないのですばらしいと思いました。

容子さん:地方の都市に行くと、真近にあまりにきれいな雪山がそびえていて驚きます。

千香子さん:隙間に見えたという意外性。隙間が面白く感じました。

泉さん:今年は富士山があちこちで問題になって、せっかく建ったマンションが壊された。今はよく見えていることでしょう。

 

 ゆれているないしょばなしの冬帽子  遅足

童子さん:近所のオバちゃんたちを言い得ています。ワタシも仲間ですが  w  あっ子供たちもかな

麗子さん:どんな「ないしょばなし」でしょうか?ひらがななので子供たちの内緒話のようですね。冬帽子のぼんぼりが揺れている気がしました。

郁子:ないしょ話は耳元に口を近づけて、聞いた方も驚いたり頷いたり。揺れる冬帽子は年配の二人かなと想像しました。

 

 杖つきつ闊歩の老婆冬の草  竹葉

 晴代さん:冬草も青々心持もまだまだと闊歩の一語につきます。

泉さん: 杖つきながら一歩づつ老婆が人生をかみしめながら歩いているのがわかる。

亜子さん:よく見る光景だが、「冬の草」は枯れずに青々とした常緑の草。おばあさんの姿を「冬の草」で終わったところがしゃれている。ぴったりの季語を探して来られたと思う。

 

女性のお年を明かすのは失礼かもしれませんが、おめでたいのでよしとします。亜子さんは米寿を迎えました。おひとりで何でもされていてバレエ、サーカス、コンサートなど、行きたい催しは積極的にチケットを購入してお出掛けになります。感想をきらきらした言葉で語ってくださる姿はとてもチャーミングです。

まさに冬の草、いや若草です。見習いたいと思います。  郁子  

 

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だんまりのひと日となりぬ枇杷の花  晴代

2025年01月16日 | Weblog

枇杷の花を見たことがありませんでした。調べると黄味を帯びた白い小花で、バニラのような濃厚な香りがするそうです。花は大きな葉に隠れるように咲いているので気がつかないことも多いとのこと。11月から2月にかけて房状に咲くそうです。

そんな「枇杷の花」という季語に、誰とも会話しない一日を重ねたトップ賞の句です。

竹葉さん:あー、一日話すこともなく過ごしたなー、とは一人で寂しかったのかそれとも相手がいながら平穏無事の日常でこんなもんだわの心なのかー、それは実を付けるために冬にそっと白い花をポツポツと咲かせる枇杷の花が語っています。寂しそうに見えてそうでもないと。。かな?

千香子さん:他の果物の花は春に咲くのにビワは冬に咲く珍しいと知りました。さみしさが出ていると思いました。 

容子さん:枇杷の花は寡黙な雰囲気がよく合います。けんかでもしたのでしょうか。

郁子さん:びわの花が、誰とも口をきかなかった一日と合っているように思った。奥ゆかしい物静かなイメージの花だからだろうか。

須美さん:だんまりのひと日が好き。

亜子さん:一日誰とも話さなかった日がある。目立たない「枇杷の花」は淋しげな花でよく合っている。

          ★★★

だんまりの一日。そういえば今日は誰とも話さなかったという日もあるでしょう。高齢化社会。単身の人にはその傾向もあると思います。そんな時そっと寄り添う枇杷の花。花が咲いてから実ができるまで半年以上かかるのですね。初夏の枇杷は甘く、果実にばかり目が行き、花の存在を気に留めたことがありませんでした。それほどまでに存在感を消す花も珍しいですね。でも晴代さんが俳句にすると見事な存在感となった枇杷の花でした。まだ咲いているかな?  麗子

 

 

 

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しぐるるや人待ち顔の赤ポスト  郁子

2025年01月10日 | Weblog

新年初めての投稿ブログに自分の句で申し訳ありません。

嬉しい選句コメントをいただきましたので、さっそくご紹介します。

 

竹葉さん:郵便料金も上がるし年賀状もやめる人が多くなりポストも時雨て涙まで出そうな感じですね。

能登さん:私も赤ポストに人格を感じてしまいます。

童子さん:古書店同様、SNSが主役になりポストも空腹でしょうね。

容子さん:雨とポストも、なぜか似合います。

須美さん:人待ち顔の赤ポストが面白い

晴代さん:ポストの擬人化が面白い。

亜子さん:郵便物そのものが減っているので頻繁に人が来ない赤ポスト。「人待ち顔」の濡れたポスト。時事句の趣きもある。

泉さん:いよいよ冬になり 時雨の多い村では赤ポストが際立って見える。

年末になるとポンポンに膨らむほどのポストは、はるか昔のものになってしまうのでしょうか。

  

近所の集会所にある赤ポスト。わりと大きな桜の木の下にひっそり立っていて、花びらや木の葉が降りつもっても払う人がいないような存在です。いつもは駅のロータリーにあるポストを利用しているのですが、日も暮れかかりハガキも一枚だけだったので家から近いそのポストに投函しました。そのとたん降り出した冷たい雨。駆け出しながらふと振り返ったときに見たポスト。赤い色がなぜか侘びしく、なんとも言えない寂しさを感じました。

今年も日常でふと感じた思いを素直に俳句にできたらいいなと思います。よろしくお願いします  郁子

 

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包装紙たたむ手際の師走かな  亜子

2025年01月09日 | Weblog

新年も9日目になり日常も戻って来た感じでしょうか?

週末は寒波襲来とのこと、被害が出ないことを祈ります。

さて、先月の句会での自由題のこの句。多くの票を集めました。まずはいただいたコメントからご紹介します。

能登さん:手際の良さに、いつも感心して見つめてしまいます。

童子さん:プロの技に憧れ、子供の頃ちらしや新聞紙でうちにあるもの次々と包装してました…プロの12月はその技が冴える季節ですね!

千香子さん:手際の後の省略が暮れのあわただしさを表しているようです。

郁子さん:歳末の忙しさを、包装紙を包む手際で表現い。最近はセルフレジで自分で袋詰めしたり、お金も機械に投入することもあるが味気ない。

晴代さん:某和菓子屋さんで手際に見とれたことがあります。

遅足さん、佐保子さん、私も頂きました。

私も大学生の頃、デパートのおもちゃ売り場や紳士服売り場でアルバイトをしていました。クリスマスシーズンはとても忙しく、家で包装紙で箱を包む練習をしたことを思い出しました。まず包装紙のどこに箱を置くかでうまく包めるかどうかが決まります。そして角はきちっとあり上げる。手際の良さが求められるアルバイト先でした。私にプレゼント包装を頼んだお客さま、手際悪くてごめんなさい。

作者の亜子さんはバスに乗って栄までお買い物に出かけられます。お歳暮で忙しいデパートの店員さんの手際のよさやコツにほれぼれしたそうです。

何気ない一瞬ですが師走の風情をよく捉えたトップ賞の句でした。私も今年はフットワーク軽く動くことを目標にしたいです。 麗子    

 

 

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明けましておめでとうございます。 遅足

2025年01月05日 | Weblog

明けましておめでとうございます。

 今年もゆったりとお正月を過ごしています。

 お昼過ぎにようやく初詣に。と言っても一人ではでかけることはできません。

 帰省中の息子に車椅子を押してもらって出発です。

ひげを剃らずにマスクで顔を隠して。ゆったりではなく、自堕落ですね。

わが地元のお宮さんも、年々初詣客が増えているようです。

甘酒をいただいて帰宅。いいお参りでした。

 年賀状をいただいてお返事がしていない方があります。

この場をお借りしてお詫びいたします。

申し訳ございません。ほんとうはここで一句詠めるといいんですが、、、。

           遅足

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新年の幕開け  麗子

2025年01月01日 | Weblog

明けましておめでとうございます。新しい年が始まりました。テレビ画面の初日の出を撮影しました。今年が明るく輝く一年でありますように。また皆様の色んな俳句にお目にかかれるのを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いします。

初句会のお題は「初」です。

        初ブログ穏やかなこと祈りけり  麗子

 

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2024年 575の会

2024年12月30日 | Weblog

今年も残すところ二日となりました。皆さまにとってどんな一年だったでしょうか。この一年の兼題を振り返り、トップ賞の句を拾ってみました。

兼題と自由題合わせて掲載しています。

 

〇1月 「白菜」

白菜や外葉剥がせば白光る (須美)

 父の文字小さくなりぬ年賀状 (麗子)

 能登地震つぶれし軒の注連飾り (能登)

〇2月 「春の夢」

父宛の母の恋文春の夢 (亜子)

辺野古の湾を群れるジュゴン春の夢 (千香子)

 蝋梅は咲いたかと聞く父の指 (麗子)

3月 「風船」

頬ばかりふくらむ吾子の紙風船 (郁子)

 春愁を蹴散らす鍵盤ガーシュイン (容子)

 下萌や平城宮の都跡 (麗子)

〇4月 「春の花」

子を乗せて急ぐ自転車花の朝 (麗子)

 ビル街を墨絵仕立てに春の雨 (晴代)

 春星や入り江の波の子守歌 (郁子)

 納骨の日取り決まりて落花かな (麗子)

〇5月 「薫風」

薫風や千の石段登りきて (亜子)

 ピアノ譜に踊るひかりや夏木立 (郁子)

〇6月兼題 「短夜」「明易し」

湯けむりやさよなら会の明け易し (千香子)

 青嵐突っきってゆくベビーカー (晴代)

〇7月 「熱帯魚」

美ら海に砲弾と船熱帯魚 (泉)

 堰を切る言葉はある日の夕立 (容子)

〇8月 「霧」

朝霧の中へ漕ぎ出す車椅子 (遅足)

山寺の鐘の音霧と広がれり (郁子)

 ややこしき話のあとや胡瓜もみ (晴代)

〇9月 「菊」

菊を置く桐箪笥消ゆ母の部屋 (童子)

 逝き際の静かな化粧櫨(はぜ)紅葉 (竹葉)

〇10月 「里芋」

里芋や育児日記に足の型 (千香子)

 隣家より嬰の声して良夜かな (亜子)

〇11月 「秋の鳥」

鶺鴒のリズムよき尾の石づたい (晴代)

 瀬田川に浮くは言の葉月明り (郁子)

 青みかん昼餉の畦にころげでり (晴代)

〇12月 「冬の空」

古書店の消えゆく街や冬の空 (亜子)

 包装紙たたむ手際の師走かな  (亜子)

 だんまりのひと日となりぬ枇杷の花 (晴代)

 しぐるるや人待ち顔の赤ポスト (郁子)

 

年間トップ賞は

兼題のみ 1位 亜子さん 千香子さん(3句入賞)

兼題+自由題 1位 晴代さん 郁子 (6句) 

 2位 亜子さん 麗子さん(5句)  3位 千香子さん(3句) となりました。

獲得総数となるとまた違ってくると思いますが、あらためて一年を見直すとまた違った気づきや感動があります。

来年も素敵な句に出会えますように。皆さま♡どうぞよいお年を    郁子

   

 

 

 

 

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冬空やつるっとむけてゆで卵  晴代

2024年12月27日 | Weblog

 俳句つくりの方法である「二物衝撃」という手法が生かされた魅力的な一句だと思います。なーんて、実は最近覚えたての作句法の名称です(笑)

季語をとことん観察して新しい表現や発見を試みる「一物仕立て」に対し、いろいろな事物と取り合わせて妙味を引き出すことができる「二物衝撃」。衝撃という言葉が示すように意外な取り合わせがうまくはまると新鮮な驚きと共感が生まれます。冬の空とは縁がないかに思う(つるっとむけたゆで卵)はまさに衝撃的でした。作者の意図は別の所かもしれませんが、雲一つない冬の空。天球の丸さ。爽快感。五感を刺激され趣きが増す気がしました。佐保子さんも採っておられます。

 

 冬空へぽっとはきだす銀の玉  遅足

 実はあまり読み取れなかったのですが、「ぽっ」が気に入りいただきました。感性の鋭さ、神様の視点も感じます。

ぽっと出た銀の玉は何でしょう。普通は白い息でしょうね。ひょっとしたら冬の妖精がもたらす清らかな雪。銀色ならば雪の結晶とか。想像は自由ですね。

亜子さんが、銀の玉は銀杏かしら?とおっしゃったとか。この想像も自由で素敵です。俳句は詠み手と読み手の相乗効果で大きく広がっていきます。来年も楽しく自由に想像の翼をひろげていきたいです。今年一年お世話になりました。  郁子

 

  この一年間、挑戦した兼題とトップ賞をまとめています。乞うご期待!   

 

 

 

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ベッドから眺む四角い冬の空  麗子

2024年12月26日 | Weblog

11月下旬に口腔外科に一泊入院。歯茎の中に埋没して姿を現さないけど、中で横向きで生えているやっかいな親不知を二本同時に抜くという小手術をしました。

病室の窓から切り取られた冬晴れの青空を眺めていました。お蔭様で今はすっかり痛みも引き普通に食事ができるようになりました。疲れると奥歯が痛かったので長年の不快が還暦を前にすっきり出来ました。それにしても親が亡くなってから抜く親不知。本当に親は知りませんね。

能登さん:「四角の空」体感から生まれる言葉でしょうか。佳句だと思います。

容子さん:「しかしその深さを知る」という思いがします。

郁子さん:病気で入院したことがありませんが、ベッドに横になっていると白い天井か窓の外を眺めるしかないのでしょうね。 四角に切り取られた冬空を見ている作者の心細さが伝わります。

 

私はベッドで寝ているしかありませんでしたが、こちらの句は軽やかな外出です。

     冬天に靴音軽き演奏会 容子

演奏会へのわくわく感が伝わってきます。心浮き立つ感じがよく出ていると思いました。

竹葉さん:「靴音高く」だと冬の凛とした空気に響いてる感じですが、「軽き」だから演奏会の入り口に向かう人々の軽やかな心を詠んでるのかと思いました。

童子さん:軽きの「き」が「気」になります。笑

心が躍るような演奏会だったのがうかがえますね。

晴代さん:真っ青な冬空が演奏会への期待をおもわせます。

 

続いてはちょっと寂しい冬空。

   冬空や重機の壊す螺子工場  千香子

「螺子工場」という言葉を見つけて来られたことに感服しました。物作りを支える「螺子工場」が大きな重機で壊されていく切なさ。

須美さん:螺子工場が効いていると思いました。

亜子さん:かつては活気のあった螺子工場も時代の波か老朽化で取り壊すことになった厳しい現実。冬の空にあまり希望は持てないが、更地になったところにまた何か立つかも知れない。螺子ひとつでも世の中が変わることもある。時事句かも知れない。

             ★★★

同じ冬の空でも作者の見ている状況、その時の心境で色々と違った空に思えるものです。どうか来る2025年が穏やかな明るい空でありますように。皆さま、今年もお世話になりました。 良いお年をお迎えください。                 麗子

 

 

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『寒ないか』父の声する冬銀河  童子

2024年12月20日 | Weblog

全国的に冬本番です。初雪の便りも届き、年末は厳しい寒波が予想されます。そんな中「寒ないか」の一言でこころがほっこり和らぐやさしい一句です。

 竹葉さん:冬銀河が冬の星とか冬夜空とかより温かみがあっていいなぁーと思います。

 容子さん:お父様の優しい気遣いを感じると共に良好な関係性を思いました。

 須美さん:地元のことばがよいです。見守ってくれているのでしょう。

 晴代さん:多分関西出身のお父様と思いますが「寒ないか」の言葉に子供への思いがこもっています。

 亜子さん:夜空が見える部屋からか屋外から見ているのか場所がよくわからないが、父からすると子供はいつまでも子供。「寒ないか」という台詞が効果的でロマンが感じられる。

 佐保子さん:冬の寒い夜道での外出、父親が「さむないか?」と子を気遣う、空には銀河がきれい、晴れて寒い。

 遅足さん:死んだ父の声かなあ

「寒ないか」と声をかけたお父さまは、傍にいらしたのか、すでに亡くなられていて思い出の声なのか・・

   

作者から、コメントをいただきました。

「先日コロナから退院したばかりの幼なじみのお父様が旅立たれました。お別れの句です。もう冬銀河のどこかにいらっしゃるのかな…

わたしの父もいるのかな…空の父たちは自分のことより娘のこと、心配しているに違いないと思います。」

 髭を剃る退院の朝鳥渡る  童子(11/22ブログ掲載)

この時の幼馴染みのお父さまがご逝去されたのですね。たぶん父親同士も旧知の仲で、ふたりして銀河の向こうから見守ってくれているのでしょう。

訃報が次々入ります。お星さまがまたひとつ増えて冬銀河が切なく輝きます。  郁子

 

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古書店の消えゆく街や冬の空  亜子

2024年12月19日 | Weblog

今年最後の句会の兼題は「冬の空」でした。晴れた冬の日の突き抜けるような真っ青な空、あるいは鉛色の冬の空。凍てつく夜空。さまざまな冬の空の情景が詠まれました。

そんな中今年最後のトップ賞は亜子さんのこの句でした。皆さんのコメントをまずご紹介します。

竹葉さん:古書店でなく書店がなくなっていってますが、そんな寂しさが冬の空の季語にぴったりです。

能登さん:古書店の存在が、街にぬくもりを与えてくれるような気がします。

童子さん:このSNS時代でも、ワタシは紙で読書派です。まわりはkindleばかりなり。

千香子さん:街の本屋さんという文化も過渡期のあるのか、次にどのような形態に生まれるのかなどと考えさせられました。

須美さん:最近閉店した古書店がパッと浮かびました。冬の空とよく合っていると思いました。

晴代さん:書店が消えてゆく残念な気で冬の空(多分灰色)を仰いでいる様子。

泉さん:近頃本屋さんが消えていく。本屋さんの臭い、立ち読みなどできない時代になってきた。

              ★★★

作者の亜子さん。名古屋の上前津から鶴舞あたりは古書店が多かったのにいつの間にか様変わりしてほとんど古書店がなくなってしまったそうです。消えてしまった古書店。そんな冬の空は灰色でなんだか希望が持てない感じ。春になって青空になるのか。。。そんな気持ちを詠まれました。

街の書店も消えていますが、古書店となるともっと少なくなっているようです。ついついネットでぽちっと本を買ってしまいがちですが、やはり地元の本屋さんで本を買うということがその町の文化を支えてくれる気がします。本屋さんでの本との出会いも大切にしたいと思いました。麗子

 

 

 

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