575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

半年   麗

2011年06月30日 | Weblog
猛暑のこの頃。お見舞い申し上げます。

さて、2011年も今日で半分終わりました。
東日本大震災から何かが変わって来ているという人が
増えているそうです。

あたりまえの幸せに気づいた私たち。今日あることに感謝する心。
結婚する人も増えているとか。。。

先日BSプレミアムの新日本風土記を見ていたら「諏訪」の特集でした。
諏訪湖の氷が張る「御神渡」。氷の張り具合でその年の吉凶を占うそうです。
ところが今年の冬は凍らなかったそうです。
ここ600年間こんなことは初めてで
「異例なり」と神社の方は記していました。

1000年に一度という大震災。地中の奥深くでは何かが起こっていたのかも知れません。

      人知れずマグマの夏は進みけり   麗

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黒南風や短針のごと観覧車   狗子

2011年06月30日 | Weblog
遠くから見る観覧車。
ゆっくり、ゆっくりと回る。回っていないようにも。
しかし確かに動いている。超ゆっくりなので、時計の短針のようだ、
黒南風の中、作者が感ずる時間を詠んだものでしょうか。
梅雨の頃の物憂い時間が感じられます。

ヨーロッパからやってきた観覧車。
日本人のお気に入りのようです。各地に観覧車があります。
魅力はなんといっても高いところからの展望。
しかし、それだけでしょうか?
地上から天空に運ばれ、また、地上の同じ地点にもどる。
あの円運動が不思議な魅力になっているように思います。

近代社会は、時間を直線でイメージし、
過去に戻るということはありません。
古代以来、時間は循環するものとしてイメージされてきました。
観覧車の懐かしさは、そんな現代人が失った時間感覚を
甦らせてくれるところにもあるのかも・・・

短歌で77がつくと・・・

                    遅足
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身の丈の山三方を囲む夏    朱露

2011年06月30日 | Weblog
   豊橋の東端多米は古代の匂いがする。
   どんな匂いか説明出来ないのが辛い。
   低い山と神社と寺と田んぼしかない。
   人家と小学校はあることはあるけど。

             



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黒南風がザラッと首すじ撫でて行く   能登

2011年06月29日 | Weblog
人間の体で、案外感じやすいのが首すじ。
幽霊などが現れる前に、ひんやりとした風が首筋に・・・
というのが、怪談の定番でしたね。
この句も、黒南風の不気味な感じを首すじで捉えたもの。

首は「頭」を意味する漢字。
首すじの首を意味する漢字は「頸」。
では、なぜ、「頸」に「首」の文字を使うのでしょう?
一説には、 もともと日本語「くび」は「頸」を指す語だったが、
頸を斬って頭を落とす、斬首の風習があったことから、
やがて頭も「くび」と呼ぶようになったとか。

今も解雇されるのを、首を切られる、というのは、
その名残でしょうか。
どうも、首すじ、という言葉には、あまり良いイメージはないようですね。
うなじ、という言葉には、逆に美しいイメージがあり、
使い分けてきたのかも知れません。

同じ作者の句。

  白い手が死を呼ぶ茅花流しかな

茅花流し、は、茅花の真っ白なわたが風に揺れる様子のこと。
この頃吹く風、あるいは、雨のことだそうです。
黒南風と同じ頃に吹く風ですが、こちらの方が美しいイメージ。
しかし作者は、こちらにも死の予感を感じています。

                       遅足


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生ゴミを捨てに行き蚊に刺されたり    朱露

2011年06月29日 | Weblog
   生ゴミであるが故に重いので私の担当。
   生ゴミを運んで半世紀も経ってしまう。
   我が人生は生ゴミを運ぶ為にあるのか。
   最近見ない「蚊」の為にこの句を作る。

             


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高田のど根性松   鳥野

2011年06月28日 | Weblog
・ 草臥せて即ち憩う松落葉 高浜虚子

・ 命なき 砂のかなしさよ さらさらとにぎれば ゆびの間よりおつ 石川啄木

陸前高田市の高田の松原に建てられていた句碑と歌碑です。

弓形の海岸線の2キロに7万本の松が茂る名勝。その松のすべてが、たった1本を残して、津波に攫われました。

三陸の人たちの希望のシンボルのように、空に向かって立つ奇跡の一本松。
「ド根性松」と呼ばれているのは、悲劇の中のせめてもの明るい話題と言えましょう。


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黒南風やのたうちうねるマイくせ毛  郁子

2011年06月27日 | Weblog
百人一首の歌。

 長からむ心もしらず黒髪のみだれて
         けさは物をこそ思へ 待賢門院堀川

髪は、自己の分身、いや自分自身とされたのでしょうか。
日本人は直毛の人が圧倒的です。
くせ毛は嫌われたのでしょう。
そんな日本も西洋の文化の洗礼をうけて・・・
戦前に早くも、パーマをかける女性が出現。
戦後には、わが母も美容院でパーマを。
直毛にウェーブをかけているのですから
美意識も180度変わったのか?と思っていましたが・・・
現代では、さらに髪を様々な色に染める人が多くなりました。
どこまで髪は変化していくのでしょう?

人にはなくて七癖。さまざまな癖があります。
これが個性といえば個性ですが、
必ずしも本人が気に入った癖とは限りません。
しかも癖ですから、簡単には直らないもの。
そんな自分を髪に託して詠っているように感じました。

マイくせ毛、という下五の「マイ」という横文字には、
どうしようもない私を許す気持ちも見えていませんか。

なお、髪の毛は、夜寝ている間に成長。
昼活動をしている時間には成長していません。
睡眠は髪の健康に大切だといいます。

                    遅足
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二階からトヨタ見下ろす梅雨の朝    朱露

2011年06月27日 | Weblog
     空き地に二階家が十軒建ってしまった。
     三十代の夫婦とそれに見合った子供ら。
     トヨタに限らないが乗用車が二台ずつ。
     私らの子供より若いのでどう付合うか。

               


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黒南風や町内防災訓練中  晴代

2011年06月26日 | Weblog
防災の日といえば、関東大震災のあった9月1日。
静岡県では7月の第一土曜日を「地震津波対策の日」、
12月の第一日曜日を「地域防災の日」、
福井市では福井地震のあった6月28日から
豪雨のあった7月18日「皆で防災を考える21日間」として、
いずれも防災訓練が行われているそうです。
阪神・淡路大震災のあった1月17日も忘れられません。


作者の町内はちょうど梅雨の頃が防災訓練。
洪水に備えた訓練でしょうね。
漢字が並んでいるので、緊張感が伝わってきます。

遠い親戚より近くの他人、と言いますが、
いざという時の隣近所の助け合いは大切です。
未来の防災訓練には放射能対策も実施されそうですね。

                 遅足
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やり過ごす夏がまた来てたじろがず     朱露

2011年06月26日 | Weblog
    七十の声を聞いて「やり過ごし」に入る。
    現象的には外出をぎりぎりまで断ち切る。
    消極的に見えるが主観的には積極的です。
    六年経験しているので板に付いては来た。

               
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黒南風のせまりて飛球こぼしける   立雄

2011年06月25日 | Weblog
小学校時代の思い出でしょうか。
グランドで飛球を追う。
そこに黒南風が迫ったように感じて・・・
ボールを落としてしまった。

この句を読んで思い出したのが、中日ドラゴンズの宇野選手。
なんと、おでこでボールを受けたんです。
ドーム球場ではない、昔の中日球場。
黒南風が吹いていたんでしょうか?

正岡子規は大の野球好きだったそうですが、
今日のドーム球場を見たら、なんと言うでしょうね?

作者は尾道の生まれ。
生まれた時から海と遊んできたそうです。
黒南風も肌で感じていることでしょう。

この自由題の句も同じ作者。

 潮の香も草の香もあり山下る

こんな懐かしい風景を持っていることは幸せですね。

                    遅足

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夏座敷私一人の四畳半   朱露

2011年06月25日 | Weblog
    四人の子供が全部外へ出て久しい。
    二人だけなのでそう話は弾まない。
    それぞれ忙しいと言えば忙しいし。
    この四畳半以外は彼女の縄張りだ。

            


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黒南風や目に見えぬもの運ぶかに   亜子

2011年06月24日 | Weblog
ある方の解説によれば、鳥羽・伊豆の漁師は、
梅雨始めの強い南風を黒南風、
梅雨の間の強い南風を荒南風(あらはえ)、
梅雨明けを白南風と呼ぶそうです。

黒南風の「黒」という言葉が暗いイメージを引っぱってきます。
黒、目に見えぬ、という言葉から、今なら放射能かな?
と、思ったりしますが、そんなに限定して読むより、
ちょっと不吉な感じが詠まれていると思いました。

                    遅足


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天草干す真鶴の路全て坂    朱露

2011年06月24日 | Weblog
    天草を煮て汁を型に流して冷やす。
    固まったら道具で細い紐状に切る。
    芥子醤油・酢・黒蜜をかけて啜る、
    と書いたが別々でも一緒でもいい。

               



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黒南風や畑に植えるもの多し   静荷

2011年06月23日 | Weblog
黒南風は海に生きる人々の生み出した言葉。
梅雨の始めに吹く南風ですが、
農家では、様々な苗を植える時期にあたります。
作者は農作業が大好きな方なので出来た句でしょうか。

わが家の家庭菜園では、いま、キュウリ・トマト・ナスが
ようやく実をつけはじめています。
と言っても苗は2本づつ。
今朝もキュウリを収穫しました。1本。
トゲが痛いくらいです。

                遅足

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