575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

思いっきり伸びして薄着春彼岸     静荷

2013年03月31日 | Weblog
伸びして薄着に、わたしも春の日差しに向かって
大きく伸びをしますと、えみさん。

暑さ寒さも彼岸まで、と言われるように、
春のお彼岸の頃は、急に暖かくなったりします。
長い間、お世話になってきた冬服が窮屈に感ずるようになります。
思い切って薄着に。お墓参りも軽やかです。

服装といえば、季語に「春の服」があります。

  春服やバスの車体の漫画文字   小高沙羅

春らしい、面白い句ですね。  遅足



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母の耳また遠くなり春彼岸    郁子

2013年03月29日 | Weblog
耳遠きことは長寿の証しとか、御同慶の春、と鳥野さん。

お墓参りに一緒に行った母。おや?また耳が遠くなったのかしら?
お正月の時も少し耳が、と思ったけれど・・・
あんなにテキパキとモノゴトに対処してきた母。
その母にも老いが、と感じた時の娘の気持ちが伝わってきます。
春彼岸という季語がよく効いています。

私事で恐縮ですが、私も耳が遠くなりました。
鶯の声も以前のようには聞き取れません。
テレビの音量が、いつの間にか高くなっています。
また、お芝居の声が聞き取れなくて・・・隣にいた友人も同じことを。
二人とも、長生きをするのかしら?

ちょっと佐渡に行ってきます。佐渡は彼岸過ぎても寒いようです。

                          遅足



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小鳥来る春   麗

2013年03月28日 | Weblog
ここ数日うぐいすのかわいい声で目が覚めます。
隣の公園のケヤキの木にいるのか、毎年この時期初鳴きを披露してくれます。随分上手になりました。
春眠暁を覚えずで朝起きるのがつらいのですが、この声を聞くと元気が出てきます。
当地の桃もほころび始めました。桜と同時に満開になりそうです。庭にたくさんの小鳥もやってきます。
やっとこさの春ですね♪

       鶯の声で目覚める6時半  麗
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空陸海際望洋と彼岸かな   晴代

2013年03月27日 | Weblog
そらりくうみ きわぼうようと ひがんかな、と読みます。

お彼岸になると、春めいて周りの風景がぼんやりとしてきます。
空と陸、陸と海、海と空、それぞれの境界も望洋としてきます。
私たちを取り囲む世界は、いつの間にか、此岸から彼岸に入れ替わっているのでは?
彼岸というコトバが生み出すファンタジーのようです。

朝刊に御園座が120年の幕を閉じたニュースが載っていました。
土地を積水ハウスに売却、借入金を返済。
さらに融資を募って劇場の再建を図るという。
うまく行きますように・・・

                     遅足

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椿は落ちる   鳥野

2013年03月26日 | Weblog
 ・ 巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲はな
   巨勢の春野を

万葉集・巻一 坂門人足の作。歌曲としても馴染み
深く、若き日の思い出も多そうです。

冬のサザンカを引き継いで、いよいよツバキの春。

ツバキは、花の楚々とした風情からも、艶々と輝く
葉の様子からも、風流の人に愛されて来ました。

自生種は南西諸島から、青森県までと広い。が、
早くから、鑑賞のための園芸種も手掛けられてい
て、移植も試みられていたらしい。それとわかる
歌も見えます。

同・巻二十 ・ あしひきの八峰の椿つらつらに
見とも飽かめや植えてける君     大伴家持

サザンカ散る、ツバキ落つ。厳然たるこの区別は、
ワタシへの戒めです。

三重県鈴鹿市の、椿大社。この美しい名を持つ神
社を訪れた日は、雪催い。石の階に真紅の椿が落
ちていました。

 ・ 斬首刑の跡形めいて椿落つ   鳥野




 



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手のひらの豆腐はじけて彼岸です    えみ

2013年03月25日 | Weblog
はじけて、という文字から、どんなイメージが浮かんでくるのでしょうか?
蕾がはじけて花が開く、私はそんな風に感じました。
食事に欠かせない豆腐。賽の目に切って、お味噌汁のなかに。
そんな日常の動作も、彼岸になり、暖かくなって来ると・・・
おや?!お豆腐がはじけ、「彼岸ですよ」と話しかけてくる。
そんな弾ける心を詠んだのでしょうか。
                         遅足


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東北に向かって祈る彼岸かな    麗子

2013年03月24日 | Weblog
人は、この瞬間以外にも、幾つかの今を生きているそうです。
その起点は、あれから時が止まったまま、と言われる時。
あれから、ずっと今が続いているのです。
3・11は、多くの人びとにとって、今の起点です。

遠く離れて、なにか出来ることがあるのか?と自問する作者。
そして、祈ることしか出来ない・・・という思いを詠んでいます。
祈ることが、3・11を共に、今、生きている証ではないでしょうか。

                         遅足


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二万人の「それから」ありし彼岸かな   能登

2013年03月23日 | Weblog
残された者たちの「それから」が二万もある、ということを言いたくて、
なんとなく「」付きにしてしまいました、と作者。

私は、彼岸に行かれた二万人の方たちのことを詠んだ句と思いました。
あの世には、「それから」は無いわけですが、失われた「それから」に思いを馳せる。
それは、同時に残された人々の2年間に思いを馳せることにもなります・・・

庭の白木蓮、紫木蓮の花が散って、山吹が黄色い花を咲かせています。
東北にも、まもなく本格的な春がやってきます。

                             遅足



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3月句会の結果です。     遅足

2013年03月22日 | Weblog
3月句会、9人の出席でした。
今回は、佐保子さんがはじめての投句です。
最高点を採った句が5つもありました。
ちょっと難しかったという声も。


題詠「彼岸」

①二万人の「それから」ありし彼岸かな(能登)智恵・結宇・すみ・静荷・遅足
②東北に向かって祈る彼岸かな(麗子)亜子・静荷
③手のひらの豆腐はじけて彼岸です(えみ)郁子
④空(そら)陸海(りくうみ)際(きわ)望洋と彼岸かな(晴代)佐保子・狗子・佐保子・遅足
⑤母の耳また遠くなり春彼岸(郁子)鳥野・佐保子・亜子・麗子・遅足
⑥思いっきり伸びして薄着春彼岸(静荷)佐保子・すみ・えみ・立雄
⑦彼岸道吾より若き母に逢ふ( 亜子)鳥野・智恵・結宇・晴代・狗子・立雄
⑧盤囲み日がなベンチの彼岸かな(立雄)結宇・晴代
⑨壬生狂言くるまりて見し彼岸かな(佐保子)すみ
⑩添い遂げて彼岸桜の花の下(遅足)智恵・郁子・麗子・立雄
⑪腹くくり彼岸ググりて夜更けゆく(智恵)
⑫彼岸会や馴染みまばらに往き還へり(カエリ)(結宇)狗子
⑬光増し墓も華やぐ彼岸かな(すみ)亜子・郁子・晴代・静荷・麗子
⑭哲学の道に落ちてる彼岸かな(狗子)鳥野・えみ


席題「春の風邪」

①イケメンの声なやましき春の風邪(晴代)狗子・結宇・すみ
②閨(ねや)にきく猫の遠鳴き春の風邪(亜子)すみ・静荷
③春の風邪南画の渓(たに)に納むかな(結宇)亜子・遅足
④春の風邪治り悪しと長電話(麗子)亜子・郁子・晴代・静荷・立雄
⑤春の風邪駅のベンチでうたた寝す(狗子)
⑥春の風邪恋のワクチン頬染まる(郁子)遅足・麗子
⑦春の風邪まぬがれた気がばち当たり(すみ)郁子
⑧ふせておく漱石の本春の風邪(遅足)狗子・晴代
⑨観劇や幕間しわぶく春の風邪(静荷)結宇・麗子・立雄

番外
春の風邪うつらうつらのひと眠り(えみ)
春の風邪籠りてつのる旅心(佐保子)


次回は4月17日(水)午後1時   東鮨
題詠は「春惜しむ」。席題はありませんので、自由題とあわせて2句です。
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これぞまさに彼岸句会   麗

2013年03月21日 | Weblog
お彼岸の中日に行われた昨日の句会。
実際にはだれも行ったことのない「彼岸」なので、ある人はGoogleで検索し(これを「ググる」と言います)ある人はお墓参りに行きました。

東日本大震災で亡くなった二万人の方と遺族に心を寄せ、台所でお豆腐の勢いを感じ、どこまでが此岸か境目を探し、久しぶりに会った母の耳がまた遠くなり、やっと春らしくなり薄着で出かけ、将棋を指す穏やかな公園、まだまだ寒い京都壬生。添い遂げた二人。彼岸会に出ていた人もいつの間にかあちらの岸へ渡ってしまい、光あふれる華やいだ墓地。哲学の道の堕落?を詠む哲学的な俳句で締められました。

お彼岸はあの世とこの世を隔てる川幅が狭まりご先祖さまが帰って来易くなるとか、時空が逆転するとか、地獄の釜のふたが開くとかこれだけ聞くとなんだかスピリチュアル色満載で、誰も見たことも行ったこともないのに不思議なことです。

いずれにしても春彼岸は明るくて光が差して春に向かう力があってなかなか面白いお題でした。

席題の方は「春の風邪」と決まりお風邪でダウンのえみさんが欠席で残念でした。
「恋のワクチン」が効くといいのですが。。。お大事になさってくださいね。

それにしても即興の席題はその人らしいありのままが出てなかなか面白かったですね♪ 麗

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3月句会の投句が集まりました。   遅足

2013年03月20日 | Weblog
今回の題詠は「彼岸」です。
先日、お墓参りに行ってきました。
暖かな一日で、ちらほらと他の方も墓参に。
そろそろお墓のことを考えておかないと・・・
と思っていますが。

今回は14人の句が集まりました。

題詠「彼岸」

①二万人の「それから」ありし彼岸かな
②東北に向かって祈る彼岸かな
③手のひらの豆腐はじけて彼岸です
④空陸海際(そらりくうみきわ)望洋と彼岸かな
⑤母の耳また遠くなり春彼岸
⑥思いっきり伸びして薄着春彼岸
⑦彼岸道吾より若き母に逢ふ
⑧盤囲み日がなベンチの彼岸かな
⑨壬生狂言くるまりて見し彼岸かな
⑩添い遂げて彼岸桜の花の下
⑪腹くくり彼岸ググりて夜更けゆく
⑫彼岸会や馴染みまばらに往き還へり(カエリ)
⑬光増し墓も華やぐ彼岸かな
⑭哲学の道に落ちてる彼岸かな

それぞれのお彼岸ですね。
句会では、どの句に風が集まるのでしょう?
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ネコとネズミと   鳥野

2013年03月19日 | Weblog
ネコと言えば、相方はネズミ。
古来聖獣と崇められたネコに比べ、収穫物を喰い病原菌を
媒介するなどとネズミは厄介者扱い。退治はネコの役目で
した。
どうしてどうして、これがなかなか手強い。

仏教では、重要な法会とされる涅槃会。生きとし生きるも
の全てが集まり、釈迦の入仏を悲しんでいる中に、ネコだ
けが不参加。

どうやら、またもネズミの仕業。日にちを違えて教えたら
しい。


釈尊を追慕し、読経するときに掲げる涅槃図の中にも見当
たらないというのは、一大事です。

その仕打ちを憐れんで、ネコを書き加えた図を秘蔵してい
るお寺も各地にあります。これも御仏の御慈悲。

 ・ 涅槃図に猫を探して小半日  鳥野

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帰化せよと吾を説く友よ梅白し   姜祺東

2013年03月18日 | Weblog
作者の姜祺東(かんきとん)さんは、昭和12年の日本生れ。
在日コリアンの二世です。
私の読み慣れた俳句とは肌触りが違います。

韓国の詩の特徴は、抵抗の抒情詩。
その特色は「恨」と「怨」にあると言われています。
「恨」は自己の内部に沈殿し、雪のように積もる悲しみ。
そして「怨」は他人に対する火のように燃える憤怒です。
姜さんの俳句も抵抗精神に溢れています。

   生きている場所が祖国よ草の絮

   選挙権なし銀杏を踏み砕く

   わが遺骨(ほね)は冬玄界に撒き散らせ

こんな句もあります。

   流星や封印の過去よみがえる

封印の過去とは?
桓武天皇の生母は百済王の子孫という事実。続日本紀に記されています。
平成天皇も、この事実を踏まえて韓国との友好を希望されています。

戦後、間もない頃には「社会性」のある俳句が盛んにつくられました。
豊かな社会の実現とともに、社会性の強い句は嫌われていったようです。
政治の時代が終ったのでしょうか・・・

姜さんには抒情豊かな句もあります。

   掌のなかの蛍と息を合わせけり

私の好きな句です。      遅足


   
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恋の神様      遅足

2013年03月17日 | Weblog
京都といえば清水寺。ひさしぶりに訪れてみました。
やはり京一番の観光地。参道は人人人・・・
いろいろな言葉が聞こえてきます。
なかには和服をきている男女が・・・・
話しているのは中国語。台湾からの若い観光客のようです。

目的は、地主(じしゅ)神社の桜。
ここの桜は地主桜と呼ばれています。謡曲「熊野」のなかで、

  雲かと見えて八重一重、
  咲く九重の花盛り

と詠われているように、八重と一重が同時に咲く珍しい品種。
熊野は母の病が重く、主の平宗盛に帰郷の許してほしいと懇願します。
しかし宗盛は、今年の桜見物こそ大事と許可しません。
熊野は仕方なく清水寺にお供をして、舞を舞います。
そこへ村時雨が・・・熊野は母を思う即興の歌をうたい、
心を動かされた宗盛は帰郷を許すという物語です。

地主の桜は、あれから何代目でしょうか?
若木が一本、植えてありました。

狭い境内は、恋愛成就を祈願する男女でにぎわっています。
日本人ばかりではなく外国の観光客の絵馬も。
中国語、韓国語、さらにはロシア語のものも。
この絵馬の女性も良いお相手が見つかると良いですね。

神主さんのお話では、フランス・ロシアからの観光客も多いそうです。
言葉は判らないが、だいたいのことは通ずるとか。
これから本格的な桜の季節。身動きできぬ人出かも・・・
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鶯の音の透きとおる智恵の道      遅足

2013年03月16日 | Weblog
真如堂へ行った翌日は、知恩院へお参りに行きました。
本堂の改修工事中で、ざわざわした境内を通って勢至堂へ。
法然上人は智恵第一とされた優秀な頭脳の持ち主。
勢至菩薩に喩えられて、お堂への道は「智恵の道」と呼ばれています。

この道の石段をのぼりはじめたところ、鶯の声。
奥さんが最初に気づきました。
最初は、ちょっとへたでしたが、二、三声、練習。
その後は、はっきりとホーホケキョと聞こえました。

目的は、作家の武田泰淳夫妻、佐藤春夫、そして湯川秀樹博士のお墓。
最近は、縁のない人には教えてくれないようです。
「千姫のお墓のあたり」という言葉を手がかりに探します。
武田泰淳夫妻のお墓はすぐに判りました。
すぐ近くに、佐藤春夫のお墓がありました。

しかし湯川博士の方は見つからず諦めて帰りかけました。
たまたま参詣にみえていた親切な方に教えていただき、
さらにお坊さんにも、そっと、ご教授願ってのお墓も発見!

周りを見回すと、しきりに小鳥が囀っています。
それまで気が付かなかったのが不思議なくらい。
こんなに多くの鳥の声を聞くのは久しぶり。
しばらく囀りのなかに身をおきました。

   囀りのなかに置かれて比翼塚   遅足

写真は武田泰淳夫妻のお墓です。




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