さながら正確なカレンダーを持っているかのよう。
ヒガンバナは、毎年秋の彼岸の入りに咲き始めて、
秋分の日が花の盛り。彼岸の果てる日に大方は色
あせて花の終わりです。
その律儀な花も、このところの不安定な気象には
お手上げ。
名所として知られる半田市の矢勝川一帯も、海津
市の津屋川堤防も、早々と見頃を終えてしまった
そうです。
ヒガンバナはまたの名が曼珠沙華。梵語では真紅
の花という意味とか。雄蕊、雌蕊を長く伸ばして
風に揺れる様子は妖艶。
ふと、スタンダールの小説「赤と黒」の主人公、
ジュリアン・ソレルを連想しました。野心に充ち
満ちた美青年と、燃えるような赤。まさぐる指に
掴んだものは、何だったのか。
・ 曼珠沙華お指反らせる手にも似てジュリア
ン・ソレルの赤夕光を浴ぶ
鳥野