575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

朝霧や沖縄十万の影法師    朱露

2007年09月30日 | Weblog

   「沖縄戦集団自殺に軍の関与はなかった」
   という政府に、島ぐるみ猛反発が起こる。
   我が家の前の山裾の寺が朝霧の中に沈む。
   あらゆる悲痛な死者が一斉に立ち上がる。


 

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温泉たまご            愚足

2007年09月30日 | Weblog
 卵が大好きだった私としては、何年かぶりの値上げにはおどろいた。
 ガソリン原料の値上げの影響で飼料が値上がりしたからだという。
 風が吹けば・・・の一例となるだろう。

 最近、今我が家の朝食定番は「温泉たまご」である。             かつての定番はハムエッグ。それが炒り玉子・目玉焼きと変化して今では専ら温泉たまご。しかも 四個260円タレ付きのパックものである。
 むかし、子どもたちが小さかった頃、彼らが大好きで自家製にこだわって失敗を重ね、幾つ目玉焼きにしたことだろう。温泉たまごを確実に作るために温泉卵つくり機も買ってみた。今でもその当時の名残の温泉卵機「コケコッコ」が冷蔵庫の上からこちらをにらんでいる。

 調べてみると「温泉たまご」という季語はなく、俳句も見当たらない。
 「たまご」そのものに季語が無く、「寒たまご」くらいに自己主張があるようだ。 それでは数句

  大つぶの寒卵おく襤褸の上      飯田蛇笏
  寒卵見に幾度も厨に来る       山口誓子
  みづうみの卵をてらすいなびかり   高橋龍
  氷上に卵逆立つうみたて卵      三橋鷹女
  
  温泉に玉子のゆれて秋の風      愚足 
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百舌鳥鳴いて俺ぐったりと死にかかる   朱露

2007年09月29日 | Weblog


   「百舌鳥の高鳴き」を聞く今私は参っている。
   今年の暑さには負けた、地球温暖化への恐怖。
   百舌鳥は例年通り来たから、ヤツは鈍感かな。
   温暖化犯人であるニンゲンの私がビビってる。
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姫松葉牡丹           草女

2007年09月28日 | Weblog
 可愛らしい名前だが熱帯アメリカ原産のスベリヒユ科マツバボタン属の一年草。葉や茎はマツバボタンにそっくりだが、葉の基部には白毛があるのでケツメクサの別名もある。花は紅紫色のみで7月から九月にかけて咲く。花の直径は7~8cm
と小さい。
 お隣さんの前庭はコンクリートで覆われているが半畳くらいの土の部分があってそこに数年前から繁茂している。入り込んできたのか、植えられたのか分からないが、毎年律儀に芽を出し花を咲かせる。
 今年の異常な暑さの中、ついに家の前の道路のコンクリートの隙間から芽を出し花を咲かせた。日ごと円形の広がりは大きく成長し、何処から養分を摂るのか、水分をどうやって確保しているのか疑問は膨らむ。
 夕方表を掃くとき葉は巻き上がりさすがに枯れたかと思っていると、翌朝には普通に葉を戻し花が咲いている。コンクリートに貼りつくように生きているヒメマツバボタンは一体どのくらいの温度に耐えていたのか。熱帯産で多肉質植物とはいえ
わが身に比べ、驚異的な頑張りだとエールを送っていた。
 しかし、やっと雨が降った日の朝、影も形も無くなっていた。道路とはいえ塀のすぐ前で通行の邪魔になるところでなかったのにとがっかりした。
 でも、たくましい彼らのこと、種子を地に残したにちがいない。来年の再会を楽しみにしている。

   おのづから松葉牡丹に道はあり       高浜虚子
   自動車に松葉牡丹の照りかえし       中村汀女
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アルケミスト   麗

2007年09月27日 | Weblog
先日、ブラジルの作家、パウロ・コエーリョの小説
「アルケミスト」を読みました。
ピラミッドのふもとに宝物が隠されているという夢を信じて
羊飼いの少年サンチャゴはアンダルシアの平原から
エジプトまで旅をします。
途中、錬金術師(アルケミスト)やさまざまな人との出会い
の中で人生の知恵を学んでいく子供から大人まで楽しめる一冊です。

「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」
というスピリチュアルなメッセージだけでなく、なんだか元気になれる
夢と希望の物語。
秋の夜長にぜひどうぞ。
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句集の読み方   遅足

2007年09月26日 | Weblog
先日の「ためしてガッテン」が、美術館の見方を紹介していました。

 ①まず、ざっと全体を見て回り、好きな絵、気になる絵をチェック。
 ②もう一度、その絵の前で、今度はじっくりと見る。
 
これは、私が、句集を読む時に無意識にやっていた方法でした。
まず出来るだけ、薄い句集を選ぶ。
厚い場合は、一回に挑戦する句の数を100~200句くらいにする。
そして
 ①ざっと、目を通す。
 ②気になった句、好きな句を読み返す。

どういう言い回しが気に入ったのか?をチュック。

ためしてガッテンでは、絵を「買うつもり」で見よとのこと。
私は、句を真似るつもりで読みます。
そして言葉を変えて、その言い回しにあてはめてみます。

  冷房の浅きところの火打石

これは能村研三(父は登四郎)の句集のなかで気になった句です。
どういう状況なのでしょうか?
火打石なんて普段目にすることはない。
博物館に展示された火打石なのでしょうか。
おそらくメインの展示ではなく、部屋の片隅、
それも冷房の効いていないような場所にひっそりと
置かれている石ころ。
別段、普通の石と変わったようにも見えない。

火打石という表示に目が止まったのでしょうか。

    


この句は気にはなりましたが、
真似るのは難しい句です。
冷房の浅き、という言い方は面白いです。


  追伸

昨夜、八事興正寺の薪能を見てきました。
満月が五重塔にかかる頃、本道前につくられた舞台で
「経正」が始まりました。
薪はなく照明のもとでしたが、夜風も気持ちよく
なかなかの盛況でした。

句は出来ませんでした。残念。






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虫の闇って    鳥野

2007年09月25日 | Weblog
9月句会の兼題は「虫」。いろいろな虫の秀句を拝見しました。ところで、日ごろから虫についての疑問が。それは季語の「虫の闇」です。

亀も蚯蚓も鳴くという”なんでもあり”で、それがそれぞれに、深い意味を持つ俳句の境地。素人に不可解で当然ですが、そこを明快にしていただきたくて。

   聞き役の虫もいるはず闇深し  松本小蕾

   虫しげきところもっともくらきところ  上井正司

   東大寺裏なる虫の闇深し  源一朝

   虫の闇分つ一灯ありにけり  稲畑汀子

 とあらば、虫の音は暗い所でこそ、というのでしょうか。

それに比べて、短歌(和歌)の単純なことよ。

   わがために来る秋にしもあらなくに虫の音聞けばまずぞかなしき
    古今集・読み人しらず
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赤をワンポイントに        愚足

2007年09月24日 | Weblog
 俳句の発想法という本で「ひらのこぼ」氏がそっと教えてくれる。
 「赤をワンポイントに・・わかった?」
 こぼさんによると、アクセントに赤を持ってくると、なぜか様になるそうだ。
   サイコロの一の目赤し春の山      波多野爽波
   業平忌赤き蒲団のほされけり      高柳重信
   女の素足紅らむまでに砂丘ゆく     岸田稚魚
 愚足も一句
   海までも紅点々の彼岸花        
 えっ!! 言わなくても分かる色はわさわざ言わないこれが原則です。
 
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25日が十五夜    遅足

2007年09月23日 | Weblog
先日、三井寺に行ってきました。
目的は、大津事件の史跡である「西南戦争の記念碑」。
大津事件は、訪日したロシアの皇太子を
警護にあたっていた巡査が斬りつけて怪我を負わせたもの。
犯人の津田巡査は、西南戦争に従軍したことがあったそうです。
山の中にひっそりと碑は残っていました。

記念碑への途中、月見の名所「観音堂」に立ち寄りました。
琵琶湖を望む絶景の地なんですが、琵琶湖岸に高層ビルが林立。
この十五夜は湖に映らないのでは?と心配されるほどです。

記念碑を見たあと、金堂のほうへ。
参道に「9条を守ろう」という幟が・・・
ここの福家管長は護憲の平和主義です。

  
  三井寺の門敲かばや今日の月

山門を入ったところに芭蕉の句碑がありました。
月に縁の深い三井寺の門を、月見の興に任せて敲いてみよう、という句。
「門敲かばや」は、唐の詩人賈島の著名な詩句
「鳥ハ宿ス池中ノ樹、僧ハ敲ク月下ノ門」に由来しています。

こんな大きな門を敲いたのかな?


 この日はでした。ズボンがぐっしょり。
 25日は大丈夫かな? 


 月うさぎ跳ねて大地の傾きぬ  遅足




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秋の夜の忘れられたる降圧剤   朱露

2007年09月22日 | Weblog

   働いている時は降圧剤と鎮静剤を常用。
   私が今日あるのは降・鎮両剤の賜物だ。
   定年後飲む気が失せ、薬は売る程溜る。
   働くのは実に心身に毒である、と悟る。

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塊 芋 (ホドイモ) 草女

2007年09月21日 | Weblog
 八月海上の森を歩いていて、この植物に出会った。高さ60~70cmの笹に巻きついて、たくさんの花穂を付けていた。定光寺の森で見つけてから二度目である。
 マメ科ホドイモ属の植物。塊根が食用にされてきた。その観察会で誰かが「どうしてホドイモなんだ?」と聞いた。するとある女性が「女の私にきくの?女性の陰部のことよ。」と答えたが「それは違う。それはホトだよ。」と言ってしまった。
 しかし、音の続き具合で清音が濁音になることは珍しくないが、インターネットなどで調べてみた。
 ホドイモはもともと「ほど」と呼ばれ塊芋と記されてきた。ほどの方が正しい和名であると主張している図鑑もある。
 インターネットによるとホドイモを「アピオス」と学名で表し、栽培を奨めている記事が2・3個あった。
 アピオスはアメリカほどイモという和名で呼ばれ、芋は自生のものより大きく育ち、味はクリとサツマイモをミックスしたような淡い甘みがあり独特な風味だという。栄養食品としても優れているそうだ。
 属は異なるがマメ科のクズの根がくず粉であり、くず湯なのだからホドイモにも
栄養がありそうだ。
 ところで、一口に芋というが、植物学ではイモは難しい。ジャガイモは根茎であり、サツマイモは塊根である。ホドイモはインターネット上では根茎であったり、塊根であったりして混乱している。正しくは塊根である。
 何はともあれ、ホドイモは女性とは無関係だと思う。
 
※芋は、色はじゃがいもに似ていてつやがあり、5・6cmの細長い芋である。
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9月句会の結果    遅足

2007年09月20日 | Weblog
題詠「虫」

①失望を埋め尽くしてまた秋の虫(麗子)鳥・遅・静・狗
②闇討ちの蟷螂寝たる新聞受け(朱露)郁・童
③鎌失せし蟷螂地面歩きけり(狗)能・朱・童
④しまい風呂まど開けて聴くちちろかな(愚足)鳥・能・晴
⑤逢えねども声細るまで籠の虫(立雄)亜・麗・狗
⑥そのかみの心中の森虫すだく(亜子)朱・晴
⑦一二三四五六七虫の闇(遅足)郁・静・愚
⑧虫時雨夜風にのりて高みまで(晴代)朱・麗・愚・立
⑨ひぐらしや母はひと日を失せ物に(静荷)鳥・能・遅・晴・亜・麗・童・立
⑩細長き葉に星降りて虫の鳴く(郁子) 遅・立
⑪虫の音の地に満ち星の天に満つ(能登)亜・郁・静・愚・狗

    

自由題  

①秋簾親待つ子らの寝息かな(愚足)朱・郁・麗・立
②吾亦紅書中の言葉身のほとり(晴代)
③湯上がりの縁側で聞く虫の声(麗子)亜
④服役の窓の高さや星月夜(亜子)鳥・能・遅・静・狗・立
⑤白萩をこぼす草鞋の足の紅(静荷)鳥・郁
⑥野分け去り残る白花風あらた(郁子)晴・亜・麗・静・童
⑦草の花伊豆石廊崎生き止まり(朱露)能・遅・亜・愚・童・立
⑧水平に狂いのありぬ秋の空(遅足)朱・晴・郁・麗・愚・狗・童
⑨満月に翳り見えしや妻の声(立雄)晴
⑩売り家の乱れてもなほ秋簾(狗) 鳥・能・遅・静
⑪忽然と土手紅模様彼岸花(能登)朱・愚・狗


  立雄さんの選句が到着。最終の結果です。(22日)

    


次回は10月24日(水)午後6時 安田屋
題詠は「秋の暮れ」です。


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9月句会の投句が揃いました。   遅足

2007年09月19日 | Weblog
題詠「虫」

①失望を埋め尽くしてまた秋の虫
②闇討ちの蟷螂寝たる新聞受け
③鎌失せし蟷螂地面歩きけり
④しまい風呂まど開けて聴くちちろかな
⑤逢えねども声細るまで籠の虫
⑥そのかみの心中の森虫すだく
⑦一二三四五六七虫の闇
⑧虫時雨夜風にのりて高みまで
⑨ひぐらしや母はひと日を失せ物に
⑩細長き葉に星降りて虫の鳴く
⑪虫の音の地に満ち星の天に満つ

  

自由題
  
①秋簾親待つ子らの寝息かな
②吾木香書中の言葉身のほとり
③湯上がりの縁側で聞く虫の声
④服役の窓の高さや星月夜
⑤白萩をこぼす草鞋の足の紅
⑥野分け去り残る白花風あらた
⑦草の花伊豆石廊崎生き止まり
⑧水平に狂いのありぬ秋の空
⑨満月に翳り見えしや妻の声
⑩売り家の乱れてもなほ秋簾
⑪忽然と土手紅模様彼岸花


題詠「虫」は、さまざまな虫が登場しました。
私の説明が不十分だったと反省しています。
申し訳ありません。

   

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アツイぞ、今年のお月見 は   鳥野

2007年09月18日 | Weblog
中秋の名月は9月25日、今年は満月より2日早いそうです。

この分だと、団扇と汗拭きタオルを用意して、という無粋なことになりかねません。

無粋に輪を掛けてくれたのが、HⅡAロケット13号。「かぐや」と呼ばれ、またの名は、セレネ。
ギリシア神話の月の女神です。

どのように、優しげな名前を付けられようと、表から裏から見据えられ月はさぞかし、迷惑しているでしょうね。

宇宙開発の事業が、民営化されて、これからは月の資源も金儲けの対象。
アメリカは2020年に有人探査機を飛ばす計画で、”かぐや”はそのお手伝いという大きな役目を果たします。

詩歌に歌われ、ロマンを誘う月が、生臭くなりませんように。

  ・ 月の弧に幻の白き花置きてただそれだけで夫の忌終る

  ・ さまざまの噂を耳に詰め込んで月へと発ちし吾れの兎は

  ・ 月面図を膝に開きて想いおり「やっぱり兎が」と言いし背のかげ

                                   鳥野
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案山子          愚足

2007年09月17日 | Weblog
 案山子には古来より三通りあるそうです。
 一番目は、田の神の依代の人形を田畑に立てたり、注連(しめ)を張って鳥獣を脅し害を防ごうとするもの。
 二番目は、襤褸・髪・獣魚肉などを焼き悪臭を嗅がせて(だからカガシ)鳥獣を遠ざけるもの。
三番目に、物音を立てたり、鳥獣を吊るして恐れさせるもの。
 等があったが、現在では一番目の人形を立てて脅すものを案山子(カガシ)と呼んでいるそうです。
 あまり役立ちそうも無い、ユーモラスさが昔から俳人の心を捕らえ離さないと言います。

   水落ちて細脛高きかがしかな        蕪村
   案山子立つれば群雀空にしずまらず     飯田蛇笏
   はるばると潮に流るる案山子かな      吉武月二郎
   出征旗まきつけ案山子立ち腐れ       沢木欣一
   みちのくのつたなきさがの案山子かな    山口青邨
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