575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

菠薐草ポパイよパイプ捨てなさい   静荷

2016年02月29日 | Weblog
ほうれん草といえばポパイ。
水兵さんの帽子にパイプがトレードマーク。
私のような年代の方には懐かしく思い出されます。
しかし、時代は変り、ポパイの姿を見る機会も減りました。
そして、タバコを吸う人は激減。
ついにポパイも「パイプを捨てなさい」と言われてしまいました。
ポパイ、パイプと、「パイ」という音の繰り返しも、
軽妙なリズムを生み出しています。
静荷さんらしい肩の力を抜いた面白い句です。

        

昨日は暖かな天気でした。平和公園を散策。梅の花が満開。
ずらっと、お墓が並んでいます。みな無言の不思議な光景です。
どれほどの死者の上に、今日の私たちがあるのか、と思うと、
ますます不可思議は深まります・・・
梅の花は、いったい何を感じているのでしょう?





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片時雨赤間ヶ関を押し渡る  遅足

2016年02月28日 | Weblog
旅の最終日は下関へ。源平の最後の合戦のあった壇ノ浦。
安徳天皇を祀った赤間神宮。平家一門の墓など。
30年ぶりでした。

  龍宮の門南風を奉る  山口誓子

午後は対岸の門司へ。こちらは初めて。
関門トンネルが出来るまでは連絡船が活躍。
旧税関、旧三井倶楽部など煉瓦造りの建物。
旧門司駅も残っていて、南の函館といった感じでした。
バナナのたたき売り発祥の地だそうです。

変りやすい早春の天気。
下関側の空が掻き曇ったかと思うと・・・
みるみるうちに、赤間ヶ関を押し渡ってきます。
傘をもっていなかったので、門司港ホテルに避難。
平家の怨霊たちが海峡を渡ってくる様に感じました。

写真は大連から門司に移築された建物。
今は国際友好記念図書館として利用されていました。


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落椿闇のなかより落ちにけり  遅足

2016年02月27日 | Weblog
旅の二日目は萩へ。
松陰神社には、昨年の大河ドラマの余韻が。
高杉晋作たちが住んでいた武家屋敷町では、
韓国の観光客とすれ違ったり、
台湾のテレビ局のロケ隊に会いました。
日本の紹介を専門にしているテレビ局で、
山口県が招いたとか。

萩の町の近くに椿の群生している笠山に。
ここには、25000本の藪椿の林が。
まだ開花したばかりで、花はちらほら・・・
林のなかに入ると、日の光はほとんど射してきません。
文字通りの木下闇。気の早い落椿も。

カメラとビニール袋を手にした一団。
袋のなかには椿の花。
写真を撮るために椿を集めていました。
お聞きすると、広島からとのこと。
駐車場にはチャーターしたバスも。

写真は展望台から見た椿林です。


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春の闇湯から首だす山頭火   遅足

2016年02月26日 | Weblog
山口県の湯田温泉に行ってきました。
温泉を発見したのは傷ついた白キツネ。
街のあちこちには可愛らしいキツネの石像が。

室町時代のこの地を治めたのは大内氏。
その掟には、「夜半に湯田の湯に入ること」と
あったそうです。
そのころから有名な温泉だったんですね。

山口は、詩人・中原中也の生まれたところ。
散歩道には詩碑がありました。
その横にこんな句碑も。

  ちんぽこもおそそも湧いてあふるる湯

漂泊の俳人・山頭火の句でした。
彼は、山口県・防府市の生れ。
湯田の温泉にも、よくやってきたそうです。
宿の各部屋にはかけ流しの露天風呂があり、
湯田の湯を楽しみました。

写真は、新山口駅にある山頭火の銅像です。

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喪の指の南無法蓮草をつまみけり  遅足

2016年02月24日 | Weblog
最初は「南無」はなく、

  喪の指の菠薐草をつまみけり

このほうが575音に収まりますが、
どこか面白くない感じ。

  赤い根のところ南無妙菠薐草  川崎展宏

この句を参考に「南無」を入れてみました。
違和感はありません。不思議です。


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ほうれん草小さき根猫の乳首ごと   等

2016年02月22日 | Weblog
「観察の行き届いた句」との評。
作者はスーパーに何回も足を運びました。
そして猫の乳首のような根っ子を発見。
普通なら「乳首のごと」とするところ。
五音にするために、ちょっと寸詰まりに
なったのが惜しいと思いました。

子供の頃、飼っていた猫が子供を産みました。
母猫の乳首はたしかにそっくりでした。
今は避妊手術をしてしまうために、
句の様な乳首をみる機会は少ないかも。

          

ちょっと西国へ小さな旅に行ってきます。遅足

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一昨日の三面記事や春の蠅   遅足

2016年02月21日 | Weblog
薬物依存の人の社会復帰を支援する「名古屋ダルク」
1989年にダルクを立ち上げたのは戸山さん。
その戸山さんの訃報記事が。まだ65歳。若すぎる死です。

「あなたたちは汚いものに集まる蠅だ」と、開口一番の先制口撃。
ダルクの取材に伺った時のことです。
30年前のことですが、今もはっきりと覚えています。

最近では、清原元野球選手の覚せい剤常用が発覚。
麻薬、薬物、覚せい剤の蔓延はとどまることがありません。
戸山さんのような方の力で覚せい剤を絶って
社会復帰を果たした人たちも多いと思います。
ご苦労様でした。心よりご冥福をお祈りします。

         

寒かったり暖かかったり。気温の変化の大きいのが春先。
寒さの戻ってくるのを余寒と言います。

  余寒なお旅の予定を確かめる  遅足




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噛むほどにほうれん草の味深し  立雄

2016年02月20日 | Weblog
「よく噛んで。30回は噛みなさい」と。言われています。
30回、噛むには根気が必要。すぐに呑み込んでしまいます。
従って、食事も、あっという間に。人生最大の楽しみである、食事。
やわらかな菠薐草でもしっかりと噛む。
味の深みが分かってくるはず・・・・です。
試してみました。不思議に甘さが増す感じでした。
残り少ない人生。ゆっくりと噛んで、味わいたいものです。

     

今日は雨。夕方から強く降るとのこと。春二番でしょうか。
先日、一番が吹きました。

  野も山も従えてくる春一番  遅足

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脇役の味捨てがたくほうれん草   亜子

2016年02月19日 | Weblog
ドラマに主役、脇役のあるように
食卓にも、主役と脇役があります。
ほうれん草は、無理な自己主張をせず、
しかし、しっかりとした存在感。
まさに名脇役でしょうね。

作者の頭の中は、ある男性のイメージが。
「主役にはなれないが、名脇役」とか。
一体、どんな男性なのでしょう。

       

今日は雨水。
雪や氷がとけて水になる、という意味。
雪解け水の音も聞こえてきそうです。
しかし、まだまだ雪の降るところも。
日本列島は長く季節の移り変わりも多様。
今日は青空に恵まれました。

  青空のうるみはじめる雨水なか 遅足

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2月句会の最終結果です。   遅足

2016年02月18日 | Weblog
7人の出席。すこし淋しい会でした。
選句の終わっていない方もみえますが、これまでの結果です。

題詠「菠薐草」
①脇役の味捨てがたくほうれん草(亜子)遅足・智恵・立雄
②噛むほどにほうれん草の味深し(立雄)
③ほうれん草小さき根猫の乳首ごと(等)麗子・すみ
④菠薐草ポパイよパイプ捨てなさい(静荷)能登・遅足・亜子
⑤喪の指の南無法蓮草をつまみけり(遅足)等・静荷・亜子
⑥戦後っ子嫌いのち好きほうれんそう(能登)晴代
⑦法蓮草一束ごとのエネルギー(すみ)結宇・麗子・静荷・郁子・智恵
⑧ほうれん草夫婦の夕餉報連相(智恵)晴代・すみ
⑨菠薐草時と空駆けペルシャより(佐保子)結宇・等
⑩祥月や和えて供える法蓮草(晴代)能登・結宇・佐保子・遅足・郁子・智恵・立雄
⑪ほうれん草キッシュの検索にらめっこ(麗子)佐保子
⑫ほうれんそう指より紅き根を洗う(結宇)能登・佐保子・等・晴代・静荷・亜子・すみ・郁子・立雄
⑬塩顔のポパイはサラダほうれん草(郁子)麗子

自由題
①百合鴎旅寝の夢の醒めやすし(佐保子)亜子
②受験子のセーラー服の短さよ(静荷)能登
③一年の眠り覚めたる内裏雛(麗子)晴代・静荷・智恵
④地鎮祭御幣の祓ふ余寒かな(晴代)能登・結宇・佐保子・等・遅足・静荷・立雄
⑤豆まきや主客二役の亭主あり(結宇)郁子
⑥無理に喰う孫と摘みたる蓬餅(能登)
⑦春立ちぬ子犬顔出す乳母車(立雄)結宇・晴代・亜子・すみ・郁子・智恵
⑧受験など遠の昔が夢に出る(すみ)能登
⑨バレンタイン甘いの苦いの無味乾燥の(智恵)すみ
⑩上下(かみしも)の音聞き分けて春の橋(郁子)結宇・佐保子・等・遅足・立雄
⑪象の鼻のびるそこまで春の来て(遅足)佐保子・麗子・等・晴代・静荷・亜子・すみ・智恵・立雄
⑫スノーボード抱え四五人神保町(等)麗子・遅足・郁子
⑬春浅し日露戦役兵の墓(亜子)麗子

番外  ほうれん草ゆがく口元ほうれい線(麗子)人気のある句でした。

次回は3月16日(水)午後1時  東鮓
題詠は「春日傘」です。
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2月句会の投句が集まりました。   遅足

2016年02月17日 | Weblog
今回は12句です。なかなか難しい題でした。

題詠「菠薐草」
①脇役の味捨てがたくほうれん草
②噛むほどにほうれん草の味深し
③ほうれん草小さき根猫の乳首ごと
④菠薐草ポパイよパイプ捨てなさい
⑤喪の指の南無法蓮草をつまみけり
⑥戦後っ子嫌いのち好きほうれんそう
⑦法蓮草一束ごとのエネルギー
⑧ほうれん草夫婦の夕餉報連相
⑨菠薐草時と空駆けペルシャより
⑩祥月や和えて供える法蓮草
⑪ほうれん草キッシュの検索にらめっこ
⑫ほうれんそう指より紅き根を洗う
⑬塩顔のポパイはサラダほうれん草

自由題
①百合鴎旅寝の夢の醒めやすし
②受験子のセーラー服の短さよ
③一年の眠り覚めたる内裏雛
④地鎮祭御幣の祓ふ余寒かな
⑤豆まきや主客二役の亭主あり
⑥無理に喰う孫と摘みたる蓬餅
⑦春立ちぬ子犬顔出す乳母車
⑧受験など遠の昔が夢に出る
⑨バレンタイン甘いの苦いの無味乾燥の
⑩上下(かみしも)の音聞き分けて春の橋
⑪象の鼻のびるそこまで春の来て
⑫スノーボード抱え四五人神保町
⑬春浅し日露戦役兵の墓

番外 ほうれん草ゆがく口元ほうれい線

       

インフルエンザが本格的な流行期に。
例年より遅れて、これからが本番とか。
マスク・手洗い・ウガイをして・・・
ほうれん草は予防に良いとか。
かかってしまったら、美味しいものを食べて
ゆっくり休みましょう。



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季語の引力   遅足

2016年02月16日 | Weblog
俳句は、季語という星がつくりだす小さな宇宙。
季語の周りを、いくつかの言葉の星が回っています。
季語の引力が大きいほど、他の言葉は遠く離れて回転出来ます。
宇宙は大きくなります。

引力圏のなかに捕らわれてしまうと、宇宙は小さく。
季語の説明になったり、類想句になってしまいます。
かといって、言葉が離れすぎると小宇宙は崩壊。
独りよがりの句に。

  人類の滅亡の日や菠薐草

この句、俳句の小宇宙をつくっているのでしょうか?

         

  飯を炊きはうれん草茹で芋を煮て腹満ちしのちゆっくり悩む

こちらは、今朝の中日歌壇で島田修三さんが一席に選んだ歌。
作者は浜松の荒川訓子さんです。
最後の、ゆっくり悩む、が予想を裏切って、楽しい歌に。


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フェルメールの光に春の女の手  遅足

2016年02月15日 | Weblog
昨年のことですが、フェルメールの「水差しを持つ女」を観てきました。
私の弟は大のフェルメール・ファン。オランダまで観にいったそうです。
私は、初めてホンモノを見ました。
他の絵をみてきて「あれっ」と思ったのは、絵の中の空気感が全然違うこと。
やわらかい春の光にあふれています。
湿気の多い日本の空気と同じものを感じました。
そんな点も日本人のファンが多い理由かも知れません。

水差しを持つ女では、画面の左からの光が射し込んでいます。
この光の効果が人物に陰翳を与えて、日常のささやかな仕草に
物語性を持たせているようです。

            

昨日は初夏のような温かさ。今日は寒くなるとのこと。
インフルエンザが流行中。花粉も飛び始めて・・・
春も昔の春ならぬ憂き春かも。
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なつかしい岩瀬文庫   遅足

2016年02月14日 | Weblog
詩人・茨木のり子の没10周年の特別展に行ってきました。
会場は西尾市にある岩瀬文庫。

茨木のり子さんは大正15年、大阪生まれ。
6歳の時に西尾市へ。女学校を卒業する時まで、三河の地に。
女学校での成績表も展示されており、ほとんどが「甲」。
優等生の茨木さんは、軍事教練で、学友に号令をかけ、
自分の号令で皆が動くことに誇りを感じていた、という。

  わたしが一番きれいだったとき
  街々はがらがら崩れていって
  とんでもないところから
  青空なんかが見えたりした

「わたしが一番きれいだったとき」は、戦時中の体験に
基づいおり、こう続きます。

  わたしが一番きれいだったとき
  まわりの人達がたくさん死んだ
  工場で 海で 名もない島で
  わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった

  わたしが一番きれいだったとき
  だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
  男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった

    (略)

最後は、こう締めくくられています。

  わたしが一番きれいだったとき
  わたしはとてもふしあわせ
  わたしはとてもとんちんかん
  わたしはめっぽうさびしかった

  だから決めた できれば長生きすることに
  年とってから凄く美しい絵を描いた
  フランスのルオー爺さんのように
                ね

あれから70年。現代詩人の長女が亡くなって10年。
時代は曲がり角にきているという感を深くしました。


岩瀬文庫は、明治41年、西尾出身の実業家・岩瀬弥助が
創設し私立図書館。古典籍から実用書まで、約8万冊を収蔵。
私も、きしめんの番組を制作する時にお世話になりました。
今は建物も立派になり、西尾市の博物館として親しまれています。



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謡初(うたいぞめ)後期高齢者を揃え   遅足

2016年02月13日 | Weblog
今年の初謡。私は「箙(えびら)」を謡いました。
平家との戦に、梅の花を一輪、箙に挿して出陣した若武者がシテです。

まずワキの僧が謡います。

  春を心のしるべにて。春を心のしるべにて。
  憂からぬ旅に出でうよ。

舞台では中入り後、幽霊となって現れたシテが戦の模様を再現。
修羅道に落ちた苦しみを訴え、供養を頼みます。
ラストは、僧の供養を受けて消えてゆく。

能には、平家物語や源氏物語などの人物がシテという演目が多くあります。
語りや絵巻物などでしか知らなかった人物が目の前の舞台に出現。
当時の人々はびっくり。観劇に夢中になったことでしょうね。

それから650年。
能を支えているのは後期高齢者です。

            

謡っても声が出ません。
普段から腹式呼吸をしていないせいでしょうか。  遅足

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