575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

コスモス勁し   鳥野

2008年09月30日 | Weblog
秋の野の花のうち、褻の首位を曼珠沙華とすれば、晴のそれはコスモスかも。

 ・ コスモスの花あそびをる虚空かな 高浜虚子

メキシコ原産で渡来したのは明治時代というが、花色も風情も日本人好み。すっかり根付いて、親しまれています。

 ・ コスモスのゆれかわしゐて相うたず 鈴鹿野風呂

 ・ 乱るるといふ美しさ秋櫻 伊藤政美

風に逆らわず、それぞれに揺れて、やがてもとに収まる。なにごともなし。

優しさが身上のコスモスも、このところ様子が変わってきました。

休耕田などに種まきされて、栄養過多なのか、その逞し気なこと。茎も太く背も高く、微風などにはビクともしません。
御在所山麓の菰野に広がっていたコスモス畑の花たち。今年はいかがに咲いているでしょうか。
いっとき、黄花コスモスばかりが目立っていましたが。

 ・ 風つよしそれより勁し秋櫻 中嶋秀子



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秋の猫

2008年09月29日 | Weblog
 寝転がって本を読んでいたら、ガラス戸ごしに猫が覗いている。
 もの言いたげに消えていった。
 「秋の猫」一句出来ぬものかと暫らくぶりに石寒太の「日めくり猫句」をめくってみた。

  9月24日  遅く起き猫と秋刀魚を頒ち食す    田川飛旅子
    25日  秋好日仔猫は煮干よく噛んで     山崎冨美子
    26日  月の出に少し間のあり猫走る     長尾房子
    27日  黒猫の眼だけが戻る居待月      福井美代子
    28日  露ふかし猫来て人を嗅ぎにけり    高橋公子
    29日  さわさわと猫をさらいて野分過ぐ   松原君代
    30日  無時間の猫を抱けば芒また芒     北原志満子

 猫は野良猫だけで十分と思っていたが飼うのもいいか。

  窓のぞく猫ついと去り秋の風     愚
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連句 青すすきの巻

2008年09月28日 | Weblog
青すすきの句から始まった連句。
初めての狗子さんが善戦です。
晴代さんも味のある付けで、面白い連句となりました。


①夏    青すすき居丈高に風つかむ       狗子
②夏    穴のなかより蟻の行列         遅足
③雑    ぎゅう詰めの弁当なれどなお足らず  晴代
④雑    牛丼店に急ぐ学生           狗子
⑤秋     満月を見上げて猫の道を猫       遅足
⑥秋     色付く秋の山に分け入る        晴代

⑦秋     渋柿のほどよい艶に騙されて     狗子
⑧雑    振り込め詐欺と母は気づかず     遅足
⑨恋     金欠も笑いにかえるデートなり    晴代
⑩恋     つれなくされて一人飲む酒       狗子
⑪恋     ままごとは今日も駆け落ち話へと    遅足
⑫雑     役柄きめてなりきるしぐさ        晴代
⑬冬    馬の小屋月の寒さの漏れ来たる    狗子
⑭冬    近所の火事に消えた野良猫      遅足
⑮雑     文机に雑念を置き故郷へ       晴代
⑯雑     改札口で猿の捕り物         狗子
⑰花    西国の桜は八分咲きと聞く      遅足
⑱春    卒業式を無事に迎える         晴代 
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鳴く虫、鳴かぬ虫。         愚足

2008年09月28日 | Weblog
 このところ灯を消し風呂の窓を開けて湯に浸かるのが、無上のひと時である。
 虫の声が全てを忘れさせてくれるからだ。
 
 ところで、俳句には「鳴かぬものが鳴く」という不思議な季語がある。

  蓑虫である。

   蓑虫の音を聞きにこよ草の庵      芭蕉
   蓑虫の父よと鳴きて母もなし      虚子

  次に蚯蚓。

   里の子や蚯蚓の唄に笛を吹く      一茶
   蚯蚓鳴く六波羅蜜寺しんのやみ     川端茅舎

  亀鳴くも同類だが、どれも何の抵抗もなく受け入れられる名句に成っている から、日本人は凄いと思う。昔の人は聴こえたのかも。

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目の前に鳩の羽根散る曼珠沙華   朱露

2008年09月27日 | Weblog

   田舎道は舗装道路でも鳥の餌がある。
   前の車が鳩を跳ねたのが感じられた。
   目の前に羽根が舞い上がり徐行した。
   道ばたの草むらには一斉に曼珠沙華。


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庭 漆             草女

2008年09月26日 | Weblog
 ニワウルシ、別名をシンジュ(神樹)といい、ニガキ科ニワウルシ属の落葉高木。中国原産で1875年に渡来し、各地に植えられていて熱田神宮西の国道19号の中央分離帯にも植えられている。成長がはやく、繁殖力も強い。雌雄別株であるが、5cmほどのボート型の翼果をつける。この翼が縦に捻じれ、中央の種子をとばす。巧妙な仕組のおかげで今や河原などで野生化している。
 名前の由来は、奇数羽状複葉の様子がウルシに似ていて、公園などに植えられるからだそうだ。しかし、その葉はウルシよりはるかに大きい。
 暑かった夏、洗濯機を使うとき涼しげな緑が窓からみえた。風に乗ったか、鳥が運んだかニワウルシだ。この緑はどんどん成長し窓を越してしまった。ニワウルシが生えているる辺りはお隣との境界線。おそるおそる背伸びして、根本を確かめてみると10cmほどわが裏庭である。もはや緑を楽しんではいられない。1m近い複葉が落ちる前に退治しなければなければお隣に迷惑がかかる。
 別名の神は英名のヘブンツリーからつけられた。しかしお隣との狭い隙間に生えて巨大化する庭漆。どうやって伐採すればいいの・・私には、ヘル(地獄)ツリー。

  生えた場所不運ひと夏庭漆      草
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おくりびと    麗

2008年09月25日 | Weblog
先日、話題の映画「おくりびと」を見てきました。

人生の最後のお手伝いをする納棺師という仕事。
死者の尊厳を守り美しく旅立てるようにする。
死を忌み嫌う日本人の考え方から派生する偏見と闘いながら
その仕事に誇りを持っていく主人公。

映画を見ながら頭をよぎったことは自分も親や親戚をこのように送り、
またいつの日かだれかから送られる。死ぬのって大変だな~ということ。
でも皆が通る道。この道の向こうには何があるのやら。。

悲しいけどなぜか笑いも多いこの映画。生死について考える一本になりました。
ちなみにモックンこと本木雅弘はいい役者になりました。

       お彼岸やおくりびと見て考える   麗
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宿題は「曼寿沙華」      遅足

2008年09月24日 | Weblog
秋分の日の昨日、東山公園に。
植物園ではカメラを持った熟年があちこちに。
地に這うようにファインダーを覗く人も。
聞けば、タヌキを撮っているとのこと。
草女さんが紹介された狸豆でした。
「これは今、旬なんだ」とのこと。
我々は草女さんのおかげで、自然観察の最新情報に
接することが出来ているのだと、感謝。

あちこちの曼寿沙華も見ごろに。
今日の荻原教室の宿題のひとつが「曼寿沙華」

家の近くで一本頂いてきました。
半日ほど机のうえに・・・

よく観察すると花は8個。
花びらは6個。
オシベは6。メシベは当然1。
女王様のハーレムみたいですね。

どんな句にしようかな?まだ少し時間がある。

写真は半田にある新美南吉記念館の近い
堤防に咲いていたもの。数年前に行きました。
ごんぎつねの故郷も、今頃は人で一杯かな。


追伸

東山動物園の上池の南の斜面に鳥の檻があります。
これは人間も檻のなかに入って観察できます。
鳥とは金網に隔てられることがありません。
鳥も人を恐れることもありません。
知り人ぞ知る穴場でした。


 
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荻原教室・近況報告(6)   鳥野

2008年09月23日 | Weblog
ことしの夏の天候は異常でした。高温とゲリラ豪雨、いろいろな予定が狂わされました。

荻原先生の講座も、悪天に難儀したものです。なかでも8月29日は大変。
「開講2時間前に愛知県西部に警報が発令された場合は休講」という規定すれすれ。危うくお休みになるところでした。

講座はますます充実、受講生は想いの丈を詠って、指導を受けています。

題詠は続いていて、題は「登」「泳」「食」「眠」「動」

 先生のお作

  ・ やすらかな径をえらんで登りゆく夏蝶をいつまでも見ている

  ・ いやな雨を降らせる雲のひろがりがからだの外に出るまで泳ぐ

  ・ けさ食べたパンや西瓜や消化する臓器をつれて自転車を漕ぐ

  ・ 沼になるとか秋風として吹くこともなくて眠りのなかでも私
  
  ・ 動くものなき秋日向だがしかしさびしきものはかならず動く

旧聞ですが、先生はNHKラジオの「夜はぷちぷちケータイ短歌」に出演されました。
リスナーは主に若者、騒々しく、軽口が多くて敬遠していましたが、先生の全国放送とあれば、話は別。
「ニューウエーブの歌人」であり、違った切り口を生み出した人と紹介されて番組は進みました。

携帯で投稿される作品は新鮮で、改めて学ぶところもたくさんでした。

そのなかで発表されたお作。

  ・ 桃を食べて桃の重さを加えたるからだでふたり秋の日をゆく

  ・ つまという山はますます雪ふかくこれは遭難かもしれない

  ・ 新緑はごらんのスポンサーの提供であなたの窓におおくりします。
  
                        
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虚子先生の人物句          愚足

2008年09月22日 | Weblog
 「俳句」九月号を眺めていたら、岸本尚毅氏の「人物を詠う」という記事があった。そこに虚子が人物を詠んだ句が並べてあって面白かった。
 男に、女にはさらに虚子の目は鋭い。

  熱燗に舌なめずりをする男
  美人絵の団扇持ちたる老師かな
  もの知りの長き面輪に秋立ちぬ
  太腹の垂れてもの食う裸かかな

  死ぬること風邪を引いてもいふ女
  乳いぢる癖の女や懐手
  命かけて芋虫憎む女かな
  秋扇や淋しき顔の賢夫人
  酌婦来る灯取虫より汚きが

★酌婦の句は名句とも言われていますが・・ちょつと  冷酷ですね。
 
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どれも似たような    遅足

2008年09月21日 | Weblog
自分の句を振り返って読んでみると
どれも似たような句だなあ、と感ずることがよくあります。

川柳作家の丸山進さんのブログ「あほうどり」を拝見したところ、
同じ様な悩みについて、こんなことが書いてありました。

   纏めてみると、我ながら発想がかわっていないなあ
   と思うことしきりである。
   どれも既視感があるようで、爽やかな気分にならない。
   魂を揺さぶるような刺激のある生活をしていないからか。
   そうは言っても過度な刺激は身体によくない。

考えてみれば、同じ様な生活をしているのだから
似た発想しか生まれない。これは当然。
体に悪いことは出来ないし・・・
でも・・・・
と、また同じところに戻っていくのでした。






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硝子戸を拭き表から部屋を見る   朱露

2008年09月20日 | Weblog

   「障子貼る」が秋なら[硝子戸拭く」も秋だ。
   昔仕事中ビル掃除の人が突然空中に現れ驚愕。
   重度高所恐怖症の私は今も書き乍ら眼が眩む。
   重度閉所恐怖症の私は押し入れの掃除も嫌だ。

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狸 豆        草女

2008年09月19日 | Weblog
 マメ科タヌキマメ属の20~60cmほどの一年草。花は毛深い大きな萼から顔を出して咲く。和名の由来もこの茶褐色の萼が狸の尾に似ているからとも、花を正面から見ると狸の顔を思わせるからとも言われている。
 深い緑色の葉が繁り、茎が大きな袋を幾つもぶら下げ、点々と青紫色の花が咲いている。まあ、美しいというより笑えてくる草である。
 しかしこの花、午後にならないと咲かない。それも一本の茎に一個咲いているというのが多くせいぜい二・三個なのだ。花の下には大きな萼が重そうで・・・それもおかしく、ひょうきんな狸を連想させる。
 タヌキマメを見るために森林公園を仲間と訪れたのが9月14日の午後。ちょうど盛りの頃でなかなかの見ごたえ。その後どうなったか知りたくて十月半ばに訪れたが(この文章は去年から書き溜めてあった物です)まだ健在て昼過ぎからの開花に備えて花が萼からはみ出しいた。
 一日に咲く花の個数や時間が短い分、開花期が長いらしい。
 仲間の一人が萼を一つ貰って割ってみると、エンドマメを超ミニサイズにしたような豆果があった。いずれ熟して莢も割れ種子をこぼすのだろう。

 東山植物園の也有園から池へ出る道端にもタヌキマメが三本移植されているが、群生している森林公園のほうが良い。

   狸豆液晶見合う笑い声        草
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句会雑感   麗

2008年09月18日 | Weblog
さまざまな香りの漂った昨夜の句会。
サンマ・新生姜・デパ地下・ウタリの神・様々な恋・孫・白桃・土・紫蘇・うなじ。

こうして俳句にしてみても私たちは実に様々な香りに包まれて
暮らしていることがわかりました。

そんな中、トップ賞の愚足さんの

     病室の匂いにも慣れ秋団扇

決して心地よくはない病室の匂い。
亡き義兄さまを看病した様子と秋団扇の悲しみ。
私たちはすぐに気持ちよい香りを探してしまいますが
病気と闘う中での匂い。そういう匂いもあったことに気づかされました。

ところで、この句の「も」はあった方がいいのかで話題沸騰。
     病室の匂いに慣れて秋団扇

とした方がいいのか。
ここはひとつ、「も」研究家であり、縄文人の朱露さんのご意見を是非お願いしたいですね。
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9月の句会の結果です。        愚足

2008年09月17日 | Weblog
☆今月の題詠は「香」「匂」でした。
 様々な香が詠まれましたが、その中の遅足氏の句
   白桃にくれないの香の濃くなりぬ
 について、作者から形は出来たのだけれど、何か類型から免れぬもどかしさがあったこと。そして、荻原先生から次のように直したらのアドバイスを受けたとの披露がありました。
   桃の実に香のくれないの濃くなりぬ
 一同・・なるほど・・手品を見るような心持でした。

題詠

①路地裏に活気を起こすサンマの香 (郁子) 狗・晴・静
②包みにも匂いを残し新生姜     (晴代) 愚・静・麗・能
③デパ地下や飽食の香り混じり合い (麗子) 狗・晴・郁
④病室の匂いにも慣れ秋団扇     (愚足) 静・立・麗・亜・遅・能・鳥
⑤小坂井のウタリの神の匂いかな   (朱露)
⑥足音の香りを運ぶ良夜かな     (狗子) 愚・亜
⑦老楽の恋のかほりはほのぼのと  (愚山・光洋)
⑧花を抱く孫馨しき敬老日       (立雄) 遅
⑨白桃にくれないの香の濃くなりぬ  (遅足) 愚・狗・亜・鳥
⑩皮剥けば芋の顔なり土匂ふ     (亜子) 晴・立・麗・郁・朱
⑪手に残る紫蘇のにほひや秋暑し  (静荷) 遅・能・鳥・朱
⑫星月夜白きうなじの匂いたつ    (能登) 立・郁・朱


自由題

①秋天を鑿で彫りたる八ヶ岳      (能登) 愚・狗・静・立・麗・郁・亜
②新涼や墨する祖父の背中かな    (麗子) 愚・晴・立・郁・亜
③ほおづきの実を吹き鳴らす孫娘   (愚山・光洋) 静
④秋の田の直線所詮人の世は     (朱露) 狗・晴・麗・遅
⑤長き夜の擦する手落ちて目覚めけり (愚足) 立・麗・能
⑥水引草階(きざはし)なかば飛鳥の碑 (晴代)
⑦終電に忘れられてをり秋扇      (狗子) 愚・晴・郁・能・鳥・朱
⑧無口にも話題の続く残暑かな     (立雄) 狗・静・遅・朱
⑨吾亦紅奈良に美男の仏たち      (遅足) 鳥
⑩接吻の彫像溶けて稲光り       (亜子) 能
⑪漢江(はんがん)の月今宵わが葎宿 (静荷)
⑫恋ごころ灯すりんどう日暮れ道    (郁子) 亜・遅・朱


★ 次回は10月15日(水)午後6時 安田屋
  題詠は「恋」に関した句です。 お楽しみ・・・



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