ここまで12km。
1kmごとのラップを確認してみる。
①kmラップ計測なし(6分くらいか) ②5分58秒 ③6分13秒 ④6分20秒 ⑤6分28秒 ⑥6分34秒 ⑦6分24秒 ⑧6分03秒 ⑨6分01秒 ⑩6分10秒 ⑪6分09秒 ⑫6分29秒
大石折り返し点までは、上りだったのだが、7km以降折り返すと全体的に緩やかな下り坂。
追い風だったので、ジョギングのつもりで走っていても、ラップタイムは6分台前半と順調だった。
体もきついけれども、まだ胸が苦しくなってはいない。
脚もまだ動いている。
あと半分。このままがんばろうと思う。
12kmのここからは、丸山大橋付近まで一気の上りとなる。
ご丁寧に、こんな看板が設置されてあった。
「ここから きつい上り 800M」
たしかにそう。
初参加から3回目の参加くらいまでは、この坂を必ず歩いていた気がする。
最もキツイ杉並木の上り坂。
写真がブレてしまったが、前方にはかつての私同様、歩いている人の姿も散見された。
私の走る速さも、歩いている人と大して変わりはないのだが、それでも腕を振って走っていると、一部の人を抜いて行くことができた。
国道113号線の歩道に出るが、まだ上り坂は続く。
もう少し上っていき、113号線と分かれて丸山大橋につながる道で最高点に至る。
そこ下り始めると、丸山大橋。
ここからは、荒川の流れが広がるいい景色を見ることができる。
橋を過ぎると、急激な下りが2km余りにわたって続く。
「人生、下り坂最高!」
こころ旅、火野正平さんの気分ですな。
だけど、下り坂のわりにスピードは出ない。
体が、脚が先ほどまでの上りで一気に疲れが出てきているのだ。
だから、下りでスピードを出そうとすると、体が、脚が悲鳴を上げ、勝手にブレーキをかける。
そのために、下りなのに歩いている人の姿も見られる。
ようやく下り切って、道は高瀬温泉の旅館の建物わきを通る。
この辺で15km。あと残りは6kmと減ってきたが、疲れからか歩いているランナーも何人かいる。
おや?目の前で歩いている人の後ろ姿には見覚えがあるぞ。
1km過ぎで「先に行きま~す。また後で抜いてください。」と言って私を抜いて行ったNGさんではないか!?
NGさんも相当疲れたのだなあ。
では、さっきのセリフを実現して抜いてあげよう。
横に並びながら、
「じゃあ、お先に。ゆっくり行きます。」
と話しかけ、抜き返して先行した。
ただ、自分に余裕があるわけではなかった。
⑬7分46秒 ⑭6分21秒 ⑮6分23秒 ⑯6分44秒
上りで力を使った後も、下りで速く走れず、7分/㎞近くかかるようになっていたのだった。
そこにとどめを刺すように、難所が来る。
湯沢の急坂。
200mもいかない間に15mくらいの高さを一気に上る。
ここで気持ちが折れるランナーが多く、歩いている。
私は、自分の心と相談しつつ、ユルいけど走り続けることを選択し、上り切った。
ここからは、脚が完全に疲れ切った。
道が平らになっても、早くは走れない。
民家の前でホースをもったおばちゃんが、「かけましょうか?」と聞くので、「お願いします」と言って、ミストシャワーをいただいた。
道を下って、長い「小見橋」を渡る。
渡り終わると、残りは2kmまっすぐに伸びた土手道。
いつもならなんてことのない距離なのだが、脚が限界を迎えていた。
限界になったのは私だけではない。
立ち止まってアキレス腱を伸ばす仕草をしているランナーもいた。
ゴールの数百メートル手前で、寝転んでつっている両足を治療してもらっているランナーもいた。
みんな厳しいレースをがんばってきたのだ。
ラストスパートなんかできる体力は残っていなかった。
なかなか近づかなかったゴールが、やっと近づいてきた。
土手からふれあいドームへ駆け降りると、もうあと10mくらいでゴールというところまできた。
そこで、私を知っている方が、横から声をかけてくれた。
そちらを向いて腕を上げて応えようとした、その瞬間、両脚の付け根がつった。
いたたたた…。
ここまで来て、こんな…。
少し時間をおいて、ゴールへ。
やっと着いた。
ゴール後、靴を脱ごうとしたら、ふくらはぎと脚の付け根がつってしまい、なかなか脱げなかった。
脚がつるので、ストレッチもできないしなかなか着替えもできなかった。
怖かったのは、帰りの車の運転。
目の前がやたらとチカチカした。
ときどき、風景が白くなった。
気持ちも悪くなり、早く家に着きたいとそればかりを考えていた。
家に着くと、「寝る」と言って、ふとんの上に倒れて寝込んだ。
やはり熱中症の一種だったのか、起きた後も終日ふらふらしていた。
こんなに具合が悪くなったのは、10年前の南魚沼グルメマラソン以来だったが、そのときよりももっとひどい状態だった。
この日の夜、体重を量ると、夕食後にもかかわらず、前日に比べて3.5㎏も体重が減っていた。
給水はきちんととっていたはずなのに、それだけエネルギーを消費したということだ。
ぐったりしたのも無理はない。
終盤のラップタイムを見ると、7分台ばかり。
⑰7分22秒 ⑱7分05秒 ⑲6分41秒 ⑳7分32秒 ㉑7分40秒
終盤がいかにきつかったのかが、わかる。
走り切れたのはよかったが、走った後こんなに苦しくなるのなら、ちょっと考えなきゃいけないな。
走ることをやめるとか、走るなら距離とか練習内容や頻度、自分の体調とか、日頃のあり方とか…。
…でも、本当に苦しい目にあったけど、やっぱり走ることをやめたくないな。
あれから2日。なかなかリカバリーできていないけど、そう思っている。
それにしても、…ああ、きつかった…。