図書館に行ったら、先日書店でも見かけ読んでみたい本を見つけた。
その本の名前は、「『メンタルモンスター』になる。」
日本代表だった、現FC東京の長友佑都の著書である。
大会で、好プレーを随所に見せただけでなく、大会を通して彼が連発した「ブラボー!」は、当時の流行語となった。
インタビューなどで見せた彼の言動は、日本チームやサポーターたち多くの人を勇気づけてくれたのだった。
その彼のメンタリティには、興味があった。
本書の発行日を見ると、2022年11月15日 第1刷発行となっている。
去年のワールドカップサッカーカタール大会が開催されたのは、11月20日だったので、本書は大会直前に出されたものと言ってもよさそうだ。
だから、大会中のエピソードはないとしても、彼が見せる強靭なメンタリティの秘密を知りたくて、借りてきて読んだ。
本書のページをめくると、最初に書名が書いてあるが、次のページには、大きく
「光 長友佑都」と手書きのサインが現れる。
その下には、
僕は、
たくさんの人を照らせる
「光」になりたい。
とも書いてある。
ここに、著者の思いが最もよく表れているような気がする。
光が強ければ強いほど、たくさんの人を照らすことができる。
自分が強く光れば光るほど、家族、サポーターなど多くの人を照らすことができる。
だから、自分自身を磨き続け、成長を続けたいと、できる限りの努力をして走ってきた、と長友は言う。
3度目のワールドカップ、ロシア大会で、ベルギーに「ロストフの14秒」と呼ばれる負けを喫した日本。
この本の話は、そこから始まる。
4年前のブラジル大会終了後は、そこからの回復に時間がかかったが、この大会の負けの後は、4回目のワールドカップを目指そう、とすぐ積極的な気持ちになっていた。
そんな強いメンタルの持ち主、と長友は見られている。
それ以降、どのように時を過ごしてきたのか、移籍しながらどんなことを考え経験してきたのかなどが、書かれているが、彼は本当に何があっても強いわけではない。
彼は、批判やミスの中に成長のチャンスがあるということを信念としている。
そうやってかかる重圧をエネルギーに変えれば、人生が変わると主張している。
カタール大会の最終予選は、オマーンに敗れるというところから始まった。
そこでも、彼は、最も多く批判を浴びた。
だが、批判の中から、どうしていけばいいか、自分なりの答えを見つけつつ行動し、最終的には、日本代表チームは、グループを1位で通過することができた。
見事に重圧をエネルギーに変えていけたわけだが、それは簡単ではなかった。
SNS上では、批判ではなく単なる悪口になっているものも少なくない。
そういうものばかりを見せられていると、さすがにメンタルも厳しくなる。
最終オーストラリア戦で勝利した後、長友は、インタビューでこう答えていた。
「批判をたくさんもらうとこのままでは燃えてしまうので、今日だけは賞賛という栄養や水がほしいなと思います。」
…メンタルモンスターと言えど、本音も隠さずに表していた。
いいなと思ったのは、成長のためには感謝の思いを持つことが大切だということも力説していることだ。
所属したチームの監督一人一人によさをみつけ、自らの学びにつなげている。
普通は、起用してもらえなかったら、感謝の思いなど持てないものだが。
つい先日、FC東京を解任となったアルベル監督についても、本書で長友は「戦術家だけど心温かい人」「大好きな人」と評価している。
監督は、「日本にはうまい選手が多くいる。ただ、メンタル的に戦える強い気持ちを持った選手は、まだまだ少ない。」と言っている。
その少ない選手の一人が長友なのだな。
読みながら、さて、アルビレックス新潟の選手たちのメンタルはどうだろう、と思った。
今は厳しい状況だけど、長友的なメンタリティーで、乗り越えていってほしいなということも思っていたのであった。