8年ほど前、この木の花が気になった。
当時の職員が、ほかの木のそばに生えていて、じゃまになるからと言って、切った枝が転がっていた。
「何という名の木の花なのでしょうね?」
と聞かれたけれど、分からなかった。
だけど、白い花がついていたし、その花は先端が4つに切れ分かれていて、結構きれいで可愛いと思った。
だから、捨てられてしまうだけではかわいそうな気がした。
切られた枝の花が付いている部分をさらに少し切って、職場の自分の机の近くに飾ってみた。
花瓶にさしてみると、緑の葉と白い花がきれいでとてもいいなあと思った。
ところが、しばらくしてから、その匂いが結構強いことに気付いた。
結構強いどころか、強すぎて気持ち悪くなってきた。
気持ちをよくしようとして飾ったのに、かえって気持ち悪くなるのでは本末転倒だ。
やっぱり、捨てることにした。
この木の花には、そんな思い出をもっていたのである。
先日、走っていたら、この花を道沿いに見つけた。
あの特徴的なすえたような匂いが漂ってきた。
まぎれもなくあの時の木の花だ、そう思って、以前のことを思い出した。
さて、何という木だったのだろう?
植物図鑑やら樹木図鑑をひっくり返したり、様々な条件でネット検索したりして、ようやくたどり着いた。
その名前を、「イボタノキ」というそうだ。
幹に「イボタロウムシ」という虫が寄生することも、その名前の由来らしい。
イボタロウムシがつくと、白い分泌物の中に、黒い粒々があり、イボに見えるためだという。
ふうん、なるほどなあ。
あんなに独特のにおいがあるのに、それを好む虫もいるんだね。
「蓼食う虫も好き好き」という言葉があったことを思い出したよ。