しばらく行っていなかったら気づかなかったが、近くの運動公園にタイサンボクの花が咲いていた。
この花は、樹木の花としてなかなか大きいものだと思う。
近寄って見てみると、もうおしべが落ちかかっているものが多く、花の時期も終わりそうになっていた。
だから、その匂いをかげなかったのが残念だが、優しい香りがするのだという。
香水の原料や化粧品の香料として「マグノリア」で流通しているのはタイサンボクのことらしい。
そうか「マグノリア」は「タイサンボク」と思ってよいのか。
そういえば、浜田省吾が2015年に出したアルバムに「旅するソングライター」というのがあったが、その中の曲に「マグノリアの小径」というのがあった。
その歌の詞では、「木蓮の花の下で踊ろう」と歌っていたから、きっとタイサンボクもモクレン科の仲間なのだろうな。
タイサンボクの花を見ると、大学時代を思い出す。
昔通っていた大学には、5号館の建物の前に、大きなタイサンボクの木が一本生えていた。
大きな木となっていたので、その花が咲いていても、下から見上げるしかなかった。
大学1年時、一般教養でとっていた「文学」の講師の先生が、ある時このタイサンボクの花について語っていたのが忘れられない。
「タイサンボクの花は、女性の体のにおいがするんですよ」
と、非常ににやけた、ある種いやらしい顔をして(?)言っていたのだった。
大学のタイサンボクの花は、高いところに咲いているから、はたしてその先生が言ったとおりのにおいがするのかどうかは、確かめようがなかったのであった。
まあ、その後もばかばかしいと思って、確かめたりはしていないが…。
タイサンボクの花言葉は、その堂々とした立派な樹木と爽やかな香りを放つ美しい白花から、「前途洋々」や「壮麗」だという。
「前途洋々」かあ。
その後に社会に出る大学生にふさわしい花言葉だなあと思う。
池袋のあの大学というと、時計のついている本館の方ばかりが有名なのだが、道の反対側にも建物はある。
タイサンボクの木は、そちら側であった。
さて、あの大学には、今もタイサンボクの木はまだあるのだろうか。
そして、花を咲かせているのだろうか?