四季の歌と暮らす

 年齢ごとに「一度っきり」の四季と、
旬(しゅん)のヨコハマを味わう「くりごとの集」です。

私の青春、岩崎学生寮(その3)

2011-11-25 20:04:58 | 生かされて今日
 寮舎のまわりにはバラ園や温室、池も築いた岩崎理事長の別邸に園丁や寮母さんの家が在りましたが、現在は一面草や潅木が繁つて、芭蕉翁の平泉での名句が思い出され、時の流れにしんみりいたしました。
『夏草や兵どもが夢の跡』 兄の頼朝の軍勢から逃れた義経、弁慶らの屈強のつわもの、東北の藤原三代の栄華もついに鎌倉殿の武力にあえなく滅んだ現場の句です。
後日私の妻となる娘と母とが住んでいた家も跡形もなくただ秋草の揺れるばかりでした。美人だった義母の割烹着姿が浮かんできてしばし佇みました。時の流れはつれなくて、思い出を草の穂の中に覆い隠しておりました。
 バラの園遊会や寮の運動会、女子体育大生とのフォークダンス、ソフトボールなど思い出が尽きません。逢引中にまだ健在だった肥溜めに足を取られた寮生もいました。私は井の頭線富士見が丘まで歩いて週二回家庭教師をしました。夜食付きで愉しかったなぁ。仲間と深夜腹が減って久我山の中華店へ繰り出し、暗黒の畑の道を高吟して帰ったりしました。50年近い昔の夢物語です。
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