『今年も無事に一年を過ごさせていただいて思うのは、「この身に、どれほどのご守護を頂戴してきたことか」という感慨です。
「タンポポが一輪咲きました根のお陰です葉のお陰です」という、どなたかの詩の一節があります。とかく私たちは、タンポポの花にだけ気をとられて、その花が、根のお陰、葉のお陰で咲いていることに気づかずにいることが多いのですね。
それと同じで、お互いさま、ご主人のお陰、奥さんのお陰、親のお陰、子どものお陰、まわりのみなさんのお陰を、ごくあたりまえのことのように思い、見過ごしてはいないでしょうか。この世の中でいちばん大事なものは、よほど心の眼を見開いていないと見えてこないのです。
百七歳の天寿をまっとうされた清水寺貫主の大西良慶師は、「ありがとう言うて生きることが極楽やの」という言葉を残しておられます。
一年の終わりに、もう一度、まわりのお陰さまをかみしめたいものです。』
庭野日敬著『開祖随感』より