『以前、子どもさんを亡くした家にご供養に行ったとき、「観世音菩薩普門品」の「童男・童女の身を現じて為に法を説き」という一節で涙を抑えられなくなったことがありました。子どもの死は親に菩提心を発させるためであるという言葉が、このときほど身にしみたことはありません。観世音菩薩の観の字は、ものごとを判然と見分けることであり、世音とは世の人びとの声、つまり大衆の悩みや願いのことです。私たちも観世音菩薩のように、その人その人の悲しみを聞き取り、相手に応じて三十三身を現じて法を説かなくてはならないのです』
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