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植え込みの人だかりの間から、みんなの視線の先を見ると、でっかい声はそこから出ている。
樹木と人垣ではっきり見えないが、石垣の上から人が降りるのを確認して、もっと見えるほうへ移動した。
移動している間も、凄く気合の入った声が、ずっと続いている。
あまりにも大きい声なのと、私の場所が離れているので、声の意味は分からないが、号令と、それに呼応する声だと、分かってきた。
すぐにはカメラを向けないで、お城の石垣からロープに捕まって宙に飛び出し、3回ほど、石垣に足をつけるや否やそこを蹴ってまた宙に飛び出しながら下に降りる人の様子を、息を飲むような気持ちで、眺めていた。
こんな場面を見るのは初めてなので、手も足も震えてくる。
ようやく、カメラで降りる人を追えるように落ち着いてきた。
飛び出してから着地するまで、ほんの1瞬の様な速さだ。
だから、ここにあげた画像は一人の人でなく、ピンボケを削除して、見ていた順になるように、掲載した。
飛び降りた人は、私の立っている石段を「トン、トン、トン。」と調子よく登って石垣の出発地点の方に何事もなかったように登っていった。
どの人も初々しく爽やかな若者だった。
目が合うと軽く会釈をしてくれる。
「警察の方ですか。」
公園の中に警察の車両が沢山駐車していたのを思い出して声をかけた。
「ハイ、機動隊です。」と応えて走るように石段を登っていく後姿が頼もしい。
テレビで消防隊の訓練を見たことがあるが、この日のような、足のすくむような訓練と遭遇したことは勿論初めてだった。
このような厳しい訓練の数々を習得しながら、町を守り、命を守る任務に着くのだと、まだ少年のような顔をした若者のパワーに驚いた外濠の石垣の光景だった。