柳生の帰りに般若寺へお参りした。勿論コスモスと出会うのが楽しみだったからである。駐車場から入るようになっているので、境内に入って先ず観音様のお出迎えである。西国三十三観音石仏が本堂を取り巻くように、慈悲深いお顔で立っていらっしゃるのが、コスモスの時期に花の優しさと相まって、ほっとするような和やかさに包まれる。
本堂は県文化財で、江戸時代に再建されている。戦国の兵火に、焼かれた金堂の跡が今の本堂であるとパンフレットに書かれている。
本堂の前は、コスモスだけでなく、今シオンの花が盛り上がるようにもこもこと花盛りである。
コスモスに気を取られがちだか、薄紫のシオンも綺麗である。
十三重石宝塔は、鎌倉時代建立で日本最大の石塔。この石塔とコスモスは、般若寺を代表する素晴らしい被写体として沢山の作品を観ることができる。
この石塔は建立以降後世の十三重石塔の模範となっている。
三十三観音石仏のほかに、境内のあちこちに十三仏の石仏がコスモスの中に立っていらっしゃる。境内の何処に行っても御仏の優しい眼差しに出会えるし、見つめてくださっているような安心感を持つことができる。
境内から見た国宝楼門。楼門遺構では日本最古の門であるとのことだが、そこにあるべくしてあるような自然体でコスモスの向こうに見ることができる。
鐘楼の近くにこんなシュウカイドウの咲く小道があった。コスモスに主役を譲っているが、これも優しい花を咲かせていた。
西国三十三番の観音石仏は、元禄時代の作で当時から現在に至るまでどれだけ多くの人の願いを受け止め、お参りする人の心を和らげてきたことだろうと、コスモスに埋もれるようにたっていらっしゃる御仏の一体一体に、私も手を合わせる。
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