対岸が薄い朝靄に染まって、昇陽前の静寂。
近江富士と呼ばれている、三上山が靄の中から現れた。
どの辺りから太陽が昇るのだろうと、わくわくしながら東の方を見つめ続けた。
空も、湖もかなり染まってきている。
ベランダから体を乗り出して、腕を伸ばしてその瞬間を捉えた。
湖から昇ってくるような気持ちで待っていたのだが、対岸の山のなかから顔を出した。
かなり昇ってから、「あの山の向こうから出てきたんだ。」と分かった。この場所と向こうの山の地理的なことを、きちんと認識していないので、「どこから・・・どこから・・・」と焼けていく空とそれを映す水面を、まるで手探りするように眺めカメラを向けていた。
朝日はすっかり湖を朱色に染めて、みるみる昇って行く。
「おはよう 今日も1日いい日でありますように。」
カメラを置いてから、太陽に手を合わせていた。