藤岡家庭園の夕暮れ
< 鈴虫と雅楽の夕べ藤岡家住宅(うちのの館)> |
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「雅楽と鈴虫の夕べ」なんと秋の趣き深い素敵なイベントだと、心待ちにしていた。
大阪に嫁いでいる高校時代の友人とご主人を、福神駅に迎えてから 藤岡家を訪れたのは、申し込んでおいた夕食会に少し早い時間だった。
庭園に残照のあったのも、山の日暮れは早く、やがてシルエットのような薄の揺れる西の築地塀に日は落ちていった。
「リーンリーン」と鈴虫の音が何処からともなく聴こえる風情は雅である。
そんな鈴虫の音を耳にしながら、夕食を頂いた。
半月盆の敷き紙に「ばあく」と書いてあったので、運んで来てくれた人に尋ねると、山麓線を走っていてよく見かける手作りハムやソーセージなどの美味しいと評判の所のお料理だと知った。
いつかは行ってみたい所だったので、嬉しく頂く事ができた。
お食事中も鈴虫がバックグランドミュージックのように、お料理を一層楽しくいただけた。
京都の上賀茂神社、下鴨神社の本家にあたる由緒正しい神社、高鴨神社の雅楽は、めったに直接鑑賞する機会のない日常の中、由緒ある旧家の、梅の古木の傍で暫くは次元を遡った世界に誘われていくようなひと時だった。
受付で頂いた「収受」印の表に、「当館所蔵」源氏物語の絵(多分女三宮と源氏の君)と共に、
鈴虫は釈迦牟尼仏の おん弟子の 君のためにと 秋を浄(きよ)むる
与謝野晶子・源氏物語・三八条「鈴虫に寄せて」
と記されていた。
藤岡玉骨氏と交友の深かった与謝野晶子と、昨夜の「雅楽と鈴虫の夕べ」のイベントの企画は、このような経緯でもってされたのかと、深い感動を憶える。
今日留守にしている間に大阪の友人から次のようなファックスが届いていた。
「涼風と鈴虫の音、雅楽の音色と由緒あるお屋敷の風情と歴史を感じるひと時でした。 主人もとても感動し、宜しくとのことです。
ご縁のある方々との触れ合いも、ふるさとそのものでした。」
新町~倉賀野